トーンの仕上げ作業について
朝にも挙げましたが、2024年3月20日です。 藤原ヒロです。
今日はすごい風が強くて雨がすごいっていう、 旬分の日ですが、春の嵐っていう感じですね。
結構これも外なんですけど、 木のざわめく音とかがちょっとすごいかもしれないです。
朝は坊主が読んでくれた教祖サイレントの感想をアップしたんですけど、
ここ3日ぐらいずっと続けている漫画の書き方の微暴録っていうものを、
今日はトーンの仕上げっていう作業についてお話ししようと思います。
アナログ時代ですね、まずアナログの時はどうやってたかっていう話なんですけど、
スクリーントーンっていうものが漫画の画材として今でも売られてるんですけども、
昔から結構高くて1枚の価格がだいたい300円から400円台のものがあります。
ICスクリーンとかデリータースクリーンとかJトーンとかを結構使ってたんですけど、
そのメーカーによって値段はまちまちで、中でもICスクリーンがやっぱり質が良くて高いっていう感じでした。
1枚の原稿に使うトーンの量っていうのが、やっぱり少年漫画とかに比べて少女漫画は多くなりがちです。
一番高くつくっていうのはもちろんアシスタントさんへのお給料なんですけど、
その次にトーン台が経費としてすごい値段になるくらい画材として高いものだと思います。
トーン作業っていうのは原稿を仕上げる一番最後にやる仕事で、
この作業が一番単純というかアシスタントさんに手伝ってもらいやすい作業になります。
指示がしやすいという意味での単純という感じですね。
だから締切り直前っていうのが一番人が多い状況になります。
トーンは薄いシール状のシートを切って貼るっていう使い方をするんですけど、
実は削るっていう作業も多いことが人によるとは思うんですけど、
うちでは結構削るっていう作業が多かったです。
削るっていうのはシール状に印刷されているインクを削って消すっていう感じですね。
カッターを斜めに寝かせて細くカンナのように削るっていうイメージです。
もちろん削りカスが出るということはそうなんですけど、
常にそれを練り消しでカスを取りながら作業するっていう感じになります。
少女漫画でよくあったトーンマークは人物の周りをぼかすっていうことが
よくやられていると思いますけど、
少女漫画ならではのふわっとした画面、
なんかぽやぽやーってした画面っていうのはそうやってできていることも多いです。
これがトーンを削ってた頃っていうのはめちゃくちゃ時間がかかりました。
一番盛り上がるシーンの決めの大駒にそういう削り作業がある時とかは、
もう一日中それを削って終わるっていうぐらい時間がかかってました。
それがデジタルの今、全部一瞬で終わります。
もうトーンは切って貼るっていうものじゃなくて、塗りつぶすっていうものになりました。
バケツツールでも洗濯範囲を塗りつぶしでもいいし、
ペンツールでトーンを書くっていうこともできます。
トーンで書き文字なんてアナログ自体は無駄にめんどくさすぎて、
よほど理由がないとやろうなんて思わなかったんですけど、
デジタルだったら一瞬なので、特に意味はなくてもやろうと思います。
ぼかしっていうのもそういうブラシを使えば一瞬なので、
昔は一日がかりで削ってた作業が今は数分でできてしまいます。
デジタル作画によるトーンの変化
さらにこれらは基本的に無料なんですよね。
クリップスタジオっていうソフトさえ買っておけば、
もう無料で使い放題っていう。
追加でトーンを買ったりカッターの刃を買ったりしなくてもいい。
もちろん有料の素材のものもあるんですけど、
それも一回買えば使い放題っていう感じですね。
つまり貼り放題、塗り放題で遠慮なく画面を華やかにできます。
デジタル作画になってからかなりトーンを多用するようになった気がします。
そんな感じだったんですけど、
今回の読み切りはあえてトーンを少なめに抑えた画面作りをしています。
その理由はサイレント映画感を出したかったからですね。
もともと漫画は白黒で描いてるんですけど、風がすごい。
ちょっと風がすごいです。
トーンを多用していると印象として現代っぽさが出たり華やかな画面になります。
すごいな風が。
どれだけこれ入ってますかね。風の音。
多分また声を聞き取りやすくする編集をしてると思うんですけど。
どこまでしゃべったっけ。
サイレント映画感を出したいからトーンを少なめにしてるっていうやつですね。
そのトーンを多用していると印象として現代っぽさが出たり華やかな画面になるんですけど、
そこをあえてベタの入れ方でコントラストが高い画面にすることによって
白黒映画の印象に近づけられたらなぁと思って挑戦してみてます。
そんなところも効果的になってたらいいなと思いながら
読んでいただけるのをあと3日心待ちにしています。
一応漫画の書き方微暴録みたいな内容はこれで終わりにしようかと思います。
もし何か話してほしいみたいなことがあったら
お便りフォームが一応番組の概要欄にあるので
そちらから送っていただければいつでもお答えしたいと思っています。
明日からは競争サイレントという作品について
何かしらお話しできればいいなと思っています。
ではでは今日はこの辺で藤原博でした。