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はい、というわけで始まりました。
本日はですね、なんというか、制作仕事で起こったですね、なかなかこういうのってすごい悩ましいなと思ったことについてちょっと話したいと思うんですけど、
まあ本当にちょっと起きたてホヤホヤでですね、全然何の原稿も用意せずに、メモも用意せずなんで、話ちょっとどちらからかもしれないんですが、
あるクリエイターの方と付き合っていたと。
まだその人はプロではなくですね、プロを目指してやっている方であると。
その人はですね、結構僕は好きな作品を描いてくる方でですね。
ただ、絵が上手くないと。
だけどセリフ回しだったりとか、キャラクターだったりとか、そういうのはすごいかっこいいという感じでですね。
その人と、どれくらいだろう、数ヶ月半年くらいかな、付き合ってたんですよね。
最初にその人とパッて出会った時に思ったことはですね、この人はこのセリフ回しだったりとか、キャラクター、ストーリーみたいなところが明らかに強みでですね。
で、絵については、たぶんこれは相当上達に時間がかかる。
もしくは上達…なんていうかな、この人の持っている作品の良さを引き出せる絵には到達しないかもしれないみたいな感じだったんですよね。
それぞれ描いている物語の良さというのを表現できる絵に、その人自身の絵がいけないかもしれないみたいな感じだったんですよ。
やっぱり原則者になった方がいいんじゃないかということを最初に思うわけですよね。
思うんですが、一応本人の希望でもあるよねと思ってですね。
そういうことはあまり言わずにですね。言ったかな?とりあえずまず話聞いてみようみたいな感じで。
面白かったですが、どういう風になりたいですかみたいな話をしたんですよね。
そしたら、原作ということも考えたこともあるんだけど、自分で絵を描いて描いていきたいということでですね。
それは作者自身の方が選ぶんですけど、僕としては二つ見通しを立てたんですよね。
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一つは、その人が多分原作者を目指すんだとしたら、1年以内ぐらいにはプロになれるんじゃないかなという風に思いましたと思います。
一方でですね、自分で作画もするっていう場合は、まだゴールがわからないんですよ。
ゴールがわからないんだけど、とりあえずそういう希望だったら、とにかく数を描いていくしかないので、毎月毎月描いて賞に出していきましょうと。
それを見て、僕はフィードバックをしていきますという感じで、磨き上げていくしかないですね。
ただそれはすごく時間のかかることですと。
時間のかかることなんですけど、その時間がかかるっていうのは大丈夫ですかっていう話をしたんですよね。
それはもちろん社会的な状況もあるので。
といったら、ご結婚されている方で、いわゆる専業主婦みたいな感じだったので、それは大丈夫ですと。
じゃあ結構腰の座った長い付き合いになるな、長い修行時代になるなって感じで、そういう風に見てたんですよね。
結論から言うと、毎月出すみたいなことを3回くらいかやったところで、ちょっと痺れを切らしてきたというか。
あと一つは、やっぱり絵が思ったより上手くならないんですよね。
とにかくこの人が自分の作品の良さを表現できる絵になるには、っていうところにまだ届くビジョンが見えない。
多少は良くなっているか、いないのか、ぐらいな感じでですね。
3回連続来ていると。
でも内容はどれも面白いんですよね。
なのでですね、原作やった方がいいんじゃないかみたいなのが喉元まで出かかるんですけど、
とにかく本人が作画やりたいって言ってるしなみたいな感じで、
でも作画としてはこういうことが気になる、こういうことが気になるみたいなことを伝え続けていたらですね。
やっぱり本人もですね、思ったより上手くならないみたいなことも分かっているだろうし、
本当はちょっと痺れを切らしてきたんだと思うんですよね。
こうやってずっと読み切りばっか書いて、時間かかってやるっていうことが良いことなのかみたいな。
なんか今のままの絵じゃダメなのかみたいな。
そもそも読み切りばっか書くんじゃなくて、プロになるってのは連載やることですよねと。
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その時に読み切りばっかやってても連載になる力がつかないじゃないかみたいな感じですね。
とにかく結論としては、今の絵でも連載の企画作っちゃえばいいじゃんみたいな話になったんですよね。
僕はですね、結局連載の企画、よしこの人に商業で連載の企画をやってもらおうと思うのは、
すごくざっくり言うと、総合的に見てそれで勝負できると思ったら、そういう風に舵を切るわけですよね。
で、その人が原作じゃなりますって言ったら、多分もう速攻そっちに舵を切っていますと。
でも作画もってなると、トータルで足りないと言わざるを得ないと。
なんですけど、世の中には、もちろん絵が荒いんだけどすごく画面がしっかりしている人もいれば、
絵はそんなに上手くないんだけど、あまりにストーリーとかキャラクターが良すぎて、
上手くない絵がすごく個性みたいになっている、特徴みたいになっているっていうタイプの人もいると。
それは絵が上手くならなきゃいけない、綺麗に描けなきゃいけないというわけではないんだけど、
トータルとして商業で勝負できる形になっているというような話をしたんですよね。
それで、そのトータルに自分はまだ届いていないと思っていて、だから絵をもっと上げてもらう必要があるという話をしていたんだけど、
絵はこれでもいいんじゃないかと。だってすごいヒット作でも、めっちゃ荒い絵、下手な絵のものがたくさんあるじゃないですか。
あれとか、あれとか、あれとかみたいな感じでって言ったんですよね。
結局、総合的に商業と勝負できるという必要があるという風に見えればいい、感じられればいいという話なんで、
絵がこのままだとしたら、くっそべらぼうに面白くてオリジナリティの高いストーリーとかキャラクターができているべきだと。
それを目指すんだったら、それはそれで別にいいよという話をしたんですよね。
という話をしながら、なかなか難しいことがあったと思っていたんですけど、何が難しいかと思ったかというと、
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これって人を見定めているんですよね。伸びしろとか、その人の能力とか、良さとかも含めてですね。
人を見定めていることについての話だと思うんですよね。
編集者って職業柄ですね。おそらく人を見定める必要はもちろんあると思うんですよね。
この人は良さがあって、でもこの辺課題があって、なんだったらこれぐらいまで伸びるんじゃないか、もしくは伸びないんじゃないかとかみたいなことを考えるんだと思うんですけど、
僕はそういう仕事を長くやってきたので、おそらく経験からくるですね。
こういう絵の描き方をしていたらちょっとこういう伸び方ぐらいかなとか、もしくはこういう絵の描き方をしていればこの人はものすごく伸びるなみたいなことも感覚的にわかる。
でですね、書く内容についてもそうですよね。これはちょっととんでもないものを書くかもしれないなっていう人もいれば、
とんでもないものまでいかないかもしれないけど、頑張っていろんなことを身につけていけばちゃんと面白いものを書くんじゃないかなみたいな人もいる。
それは本当にセンサー番別なんですよね。
ただ、パッと作品を読ませてもらって相対して話したりとかする中で、ちょっとその人に対する見定めが自然と入ってくるわけですよ。
で、現状に対する見定めに加えてですね、これから先に対する見定めも入ってくるんですよね。
つまりその人の未来のポテンシャルっていうのを無意識に予測しちゃうんですよね。
で、予測して答えが自分の中で出るんですよ。
で、その答えをそのまま言うと、その人の場合は原作者になったほうがいいなってなるんですよね。
そしたら活躍できると思う。
でも、原作者じゃないってなると急にバッとモヤの中に入るような。
この人はモヤの中に入るし、何だったらその可能性もものすごく減っちゃうんですよね。
つまり、自分のその人に対するポテンシャルとかも含めた評価みたいなことをそのまま伝えて、長年の経験に裏打ちされた確かなものとして、そのまま伝えてそれをさせるという仕事の仕方が正義で、正義のある仕事の仕方とも言えるわけです。
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一方で、その人のポテンシャルを見定めるということは、その人のポテンシャルを見限るという面でもあるわけですよね。
見限る面もあると。
もしかしたら、自分の予想を超えてすごく絵が上手くなるかもしれない。
今まで自分はこういうケースでは絵は上手くならないかったと思っていたけど、こういうケースでも絵が上手くなる第一号になるかもしれないし、わからないわけですよね。
例えば、その話の流れの中で出た絵は上手くないけど、すごいオリジナリティとか、ものすごく面白いストーリーによって、逆に絵の上手くなさみたいなことがアバタニエコボみたいな感じで魅力になっている人、作品ってあると思うんですけど、
そういうものをその人が作れるのかと聞かれたら、今まで相対した感じで言うと、そういうものは作れないと思うんですよね。
そこまでエポックなものではないんだけど、ちゃんと面白くてかっこいいものが描ける人みたいな感じなんですよね。
でもその人は自分の絵はこのままでいいじゃないかと。
でもエポックでさえな作品は絵が上手くなくても成功している作品あるじゃないかという感じで、絵を伸ばすということについてもこれでいいじゃんと言っちゃうと、エポックであることが求められるんですけど、
じゃあエポックなものを描ける人なのかと言うと、エポックまではいかない、天才ではない、でも才能の豊かな人であるという感じなんですよね。
という感じでですね、つまり僕はその人のエポックなものは描けるわけではない人というふうにその人のことを無意識で見定めている。
いわゆる言い方をすると見限っているわけですよね。
でももしかしたら、いや、意外となんじゃこれや!みたいなエポックなものを描いてくる可能性もあるわけじゃないですか。
そこの可能性に欠けるということも一つ手ですよね。
自分の経験から来る見定め、見限りと、もしかしたらそれを裏切ってくれるかもしれないという逆の選択肢ですよね。
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どっちを取るかということに関して言うと、僕は本人に委ねたんですよね。
あなたが何をしたいかに私は委ねますよというふうに委ねた。
委ねた結果、僕の見定め、見限り以上のものを自分はできると言ってきたわけですよね。
逆に言うと絵は伸びないしこれでいいんじゃない?でも超エポックなものを描けばそれもありになるんじゃないか。
そうとは言っていないんですけど、という選択肢だと。
本人が言ってるから、本人が言ってるんだったらそれに乗っかってみようと言ってやります。
そうなると今度は想像されるのは絵がまだ届いてないね、絵がまだ届いてないねと言って原稿をフィードバックするのと同じように
まだそんな絵が下手でもめっちゃ売れる漫画にはなってないね、みたいな感じでフィードバックをし続ける。
つまり進まないフィードバックをし続けるわけですよね。
言っちゃうと、僕はこうしたら今この人はすぐに上手くいくだろうということを伝えはしたが、
本人がそう期待しないんだったら、それを望んでないんだったら取り下げて、
本人が望んでいることに順次で見ようかと。
この可能性を超えられないだろうなと思いながら、でも超えるかもしれないな、次の次で。
その可能性はゼロじゃないよな、すごく低いと自分は想像しているけどと言いながら付き合うということに。
なるわけですよね。
これですね。
どっちがいいと思います?っていうことをちょっと思いましたね。
そのことも含めてぶっちゃけて本人と話してみようと思うんですけど、
どっちがいいと思います?って話そうと思うんですけど、
お前の希望なんか知るかと、こっちのほうが上手くいくんだ、いいから俺を信じろ。
信じろ。
お前の希望なんてとりあえず一旦飲み込め。
これだったら上手くいくから、みたいなですね。
80年代くらいの傲慢音楽プロデューサーみたいな態度が良いのか。
それは一方で、人を機能として見ている部分もありますよね。
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だってその人の生きて生活して作品作ることが楽しかったり夢見たりみたいなことをとりあえず置いておいて、
お前はこれをやれ。だってお前はそれができるんだからみたいな。
トンカチだったら釘叩いてろ。みたいな感じではあると。
逆にですね、そっか、どんな可能性もあるもんね。
じゃあ見せてごらん。
でも基準は別にそれで緩くなるわけじゃないんで、基準は厳然として世の中に存在してしまっているものなので、
届いてないな、届いてないね、届いてないねって言ってですね、
奇跡を起こすのを待つのか。
どっちが正しい態度なのかどうか分からないですけど、
今話しながらですね、こういうことを含めてそのまま本人に言うっていうのが一番誠実かもしれないなと思いましたね。
もちろん例を指してはいけないとは思ってますけど、
ちゃんとそういうことを伝えるのがまずは一歩目なのかなというふうに思いました。
なかなかというわけでですね、人を見定める、これは僕の編集者という仕事上のことでもあるけど、
でも仕事を抜きにしてもですね、誰か人間を見定めたり、イコール見限ったりすることってあるわけですよね。
その中の大きな態度としてですね、悩ましいもんだなというふうに思いました。
というわけで本日は以上です。ありがとうございました。