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こんにちは、常蔵です。
デザインレビューFM第47回目、始めていきます。
このデザインレビューFMは、世の中の様々なもの、主に工業製品や、それに関わる事について、私の主観で、勝手にデザインレビューをしていこうという番組です。
今回はですね、前回引き続き、技術士ハンドブックの9章、倫理を読んでいきます。
では、本編をどうぞ。
はい、本編です。
この9章では、エンジニアの倫理を扱います。
エンジニアの倫理とは、すべての技術者が従うべき行動規範、そのように行動せよという倫理的な命題を意味しています。
近年、我が国においても、エンジニア倫理が重視されるようになってきました。
日本技術士会では、多くの論文が発表されていますし、多くの理工学系の学部を持つ大学に、エンジニア倫理が教育カリキュラムとして取り入れられるようになってきました。
このように、日本でエンジニアの倫理が重視されるようになってきた背景には、以下の4つの理由があります。
1つ目として、技術者に起因する事故の多発。
1990年に起きたJCOの原子力事故、JR九州トンネルにおけるコンクリート落下事故、東京メトロ日比谷線の脱線事故、JR福知山線の脱線事故、
自動車会社のリコール事件など、技術者などが関与する事件や事故というものが多発しています。
こうしたことから、新聞や雑誌ではしばしば技術者のモラルの不在というものが強調された社説だったり、記事が増えて、エンジニア倫理がクローズアップされるようになりました。
2つ目として、技術者資格の国際的な相互承認。
国同士の技術者の需要供給のアンバランスだったり、技術水準の格差など要因として、技術者の国際的な移動というものが増えています。
エンジニア倫理の理解と習得は、その世界基準の技術者と見なされるための要件となっています。
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3つ目、技術士法の改正。
日本の技術士をアメリカのプロフェッショナルエンジニアと同等な技術者と位置づけ、高いエンジニア倫理を維持しながら、
同時に技術に関わる高度な業務を自立して遂行できる能力の証として位置づけるために、改正された技術士法というものが2001年の4月から施行されました。
そして4つ目、JAVI認定基準の策定。
JAVIとは正式名を日本技術者教育認定機構といって、1999年11月に設立されました。
2004年に改定版が発表されて、その中に技術者倫理が組み込まれています。
ちなみに私もですね、卒業した大学がこのJAVIの認定がありましたので、技術士試験の第一次試験は免除されました。
そして次にですね、プロフェッショナルの条件とは。
技術士がプロフェッショナルと呼ばれるための条件には、プロフェッショナルの7条件というものがあります。
プロフェッショナルの7条件の1つ目、高度で専門的な知識を持ち、これを体系的に、理論的に理解すること。
2つ目、その知識を社会に役立てる実践的な活動を行うこと。
3つ目、最新の知識を獲得するための努力を絶えず怠らないこと。
4つ目、次の世代を計画的に育成する活動を行うこと。
5つ目、明確な倫理的基準を持ち、公正な倫理的判断を持つこと。
6つ目、社会の利益を優先して考えること。
7つ目、専門職団体を組織し、相互交流し、広い視野を持つこと。
以上の7つがプロフェッショナルの7条件ということです。
そして、技術者にとっての倫理の重要性ということで、
技術者がプロフェッショナルであるためには、その倫理的な事項への十分な理解が必要で、
これを確実に実践できる応用力と実践力が必要となるということです。
なぜ技術者の倫理かというところで、
技術者は社会から科学技術を人間社会に利用する業務を行う権限というものを授けられています。
その条件として、社会規範を遵守する、コンプライアンスですね、そういった義務を負っています。
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そして、技術者へ期待されているのは、科学技術の危害を抑止する、
公衆を公害から救う、公衆の福利を推進するということです。
倫理というのは、人が対人関係においてしてはいけないことの規範、決まりです。
嘘をつかないようにしよう、盗んではいけない、などですね、倫理の基本というものは、時代を越えて民族を越えて変わらないものです。
そして次はですね、設計における倫理問題。
この説では、技術者倫理を専門職技術者の能力と責任の下、倫理的問題の存在を発見し、適切な解決方法を着想・評価・実行することと定めます。
設計とはですね、人工物を作るための具体的な方策を生成することと定義します。
設計の倫理の第一の特徴は、エンジニアリング業務の中で特に大きな責任を負っていることです。
製品の機能、コスト、環境負荷、安全性などで示される工業製品の特性は、設計過程でそのほとんどですね、80%が決まると言われています。
これため設計の失敗がもたらす影響というものは非常に大きいのです。
第二の特徴は、業務の内容を適正なレベルに確保するには、担当する技術者個人の倫理規範によらざるを得ないという面が強いこと。
そして第三に、最も重要な特徴は、設計においては製造元の利益と利用者、社会の利益の双方を達成するという、本質的に相反した達成目標が設定されているということです。
そもそも技術者の倫理は、技術者の雇用主と商品の使用者、および社会全体の双方に対する責任というものを常に負うことに最大な特徴があるということです。
設計における倫理の課題、設計における倫理の課題として以下の7つがあります。
1つ目、科学的原理に従いながら人間の定めたルールにも従って目標を実現すること。
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2つ目、外部から指示される設計目標と自分で決める設計内容。
3つ目、創造的業務を緻密な解析に基づいて実施すること。
4つ目、人工物は未知の環境の中で使用されるということ。
5つ目、設計とは大きな自由度を有する業務であるのに、技術者に与えられた表面的な権限というものは非常に小さいということ。
6つ目、科学者として新しい現象を解き明かしながら、一職人として現実の人工物を作り出すこと。
7つ目、創造という破壊性と維持・発展という保持性を併せ持つこと。
そして、設計の倫理問題解決の能力。
設計者は、設計業務を実行する過程で、その設計の倫理問題を発見し、認識し、解決できなければいけません。
設計者の設計能力に肯定があるように、倫理問題を発見して解決するにも、次のような高度の能力が必要となります。
1、倫理規範を守るという認識・覚悟。
2つ目、倫理の基本知識の習得。
3、専門能力。
4つ目、業務遂行能力。
そして、製造物責任と倫理。
製造物に欠陥があって他人に損害を与えると、製造業者、企業、またはその業務に従事する技術者は、次の3つの観点から責任を負うことになります。
1、科学技術。
2、PL法などの法律。
3つ目、倫理。
PL法の特徴。
PL法の特徴として、科学技術の進歩によって製造工程や製造物がブラックボックス化して、消費者というのはそれをよく分からないまま被害を受けて、そして大量生産、大量消費によって同じ種類の欠陥による被害が広まってしまうこと。
PL法は消費者をこの被害から保護するような対策として生まれました。
そして、環境倫理。
環境倫理は、その倫理の対象を人間や社会だけに限定しないで、人間以外の生き物、そしてそれを取り囲む生態系まで拡張したものです。
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そこの中には、水、土、大気、景観といった生物以外のものまで含まれます。
あとは、生命倫理。
生命倫理学というのは、1970年代にアメリカで成立して、1980年代にかけてバイオエシックス生命倫理、あるいは生命倫理学として日本に導入されました。
扱う項目としては、人工妊娠中絶、臓器移植、安楽死、クローン人間、遺伝子組み替えなどがあります。
次はですね、個人の倫理的判断の能力を磨くテクニック。
それはですね、次の4つの質問を自問自答することですと書いてます。
質問の1つ目、自分の判断が法令や企業の価値基準に合致しているかどうか。
質問2つ目、自分の立場と相手の立場を入れ替えてみたらどうか。
質問3つ目、自分の判断の結果を自分の家族や恋人はどう思うだろうかと考えること。
質問4つ目、自分の判断をステークホルダーに説得力を持って説明できるかどうか。
という4つの質問を自問自答しましょうということですね。
そしてこちら最後になりますけれども、情報倫理。
情報倫理とは、情報の生産、流通、利用、組織化、処理、蓄積、通信、回帰、
それぞれの局面を対象とする応用倫理の一分野です。
個人情報保護法の制定や多発する情報漏洩問題などを契機として最近着目されているそうです。
はい、クロージングです。
今回は技術士ハンドブックの9章、倫理の章を読んでいきました。
次回はですね、10章。10章は人材育成ですね。人材育成を読んでいきます。
ということで、今週はここまでです。
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