はい、みなさーん。こんばんは。こんにちは。元、公立高校理科教諭のちょぼ先生です。ちょぼっとサイエンスのお時間となりました。ちょぼっとサイエンスでは、みなさんにちょこっと、ちょぼっとサイエンスに触れていただいて、科学的思考力を身につけて、理系頭になっていこうということを目的に配信しております。ということで、みなさんはですね、
水清ければ魚を棲まずという言葉を知っていますかね。これね、中国の古い書物に登場する言葉なんですが、水があまりにも清く澄んでいると魚は生息しない。つまり、清廉潔白で人柄が厳しすぎると人が懐いてこないということの例えなんですけども、
これはですね、水清ければ魚を棲まずという言葉ね。これ、科学的に見てほんまなのかということでね。水が清く澄みすぎているとですね、魚ってほんまに生息できないの?というお話をしたいと思います。
ここで言うね、この言葉に登場する清く澄んだ水というのがですね、どのような水を指しているのかどうかはわからないんですけども、例えばですね、水道水でも消毒用の塩素を取り除けば金魚とか魚を飼えるんですね。カルキヌキと呼ばれるものがペットショップによく売られてますよね。
正直ね、カルキヌキはそこまで使わなくても魚は使えるんですけども、でもですね、この水道水を蒸留して不純物が取り除かれた蒸留水とか純水では金魚とかメダカ、魚は飼育できないんですね。
なぜかというと、魚が生きていくためにはナトリウムイオンや塩素イオン、カルシウムイオンなど各種イオンが必要なんですね。魚はこれらのイオンを自ら取り入れているので、これがないと生きていけないんですよね。浸透圧の調整とかね。なのでイオンが必要なんですよ。
蒸留水とか純水にはイオンが含まれていないので、魚は生息できないということなんですね。じゃあ、自然の海、川、湖の場合はどうなのかということなんですね。
清く澄んだ水イコール透明度の高い海、川、湖ということに解釈して話を進めていくわけなんですけども、一般に透明度の高い澄んだ水にはリン酸塩とか小酸塩などの栄養塩類が少なくて濁りのある水には多いというふうに言われてるんですね。
栄養塩類が少ないと植物プランクトンが増殖しにくくなるということで、それを餌とする動物プランクトンも少なくなっちゃいますよね。食べるものがなくなっちゃうと。
すると、動物プランクトンを食べる小魚、そして小魚を食べる大型の魚類も少なくなるというふうになるんですね。
確かに透明度の高い水は、透明度の低い水に比べたら栄養塩類は少ない傾向にあるから、だから生き物が少ない、澄んだ清らかな水には生き物、魚は少ないというふうに論理に当てはまるのかと言われたら、現実はそこまで単純じゃないみたいなんですね。
例えば、赤道付近の海域は、非常に透明度は高いんですけども、海底には豊富な栄養塩類が溜まっていて、冷たい海水とともに氷層あたりに沸き上がってくるんです。
これはターンオーバーと言うんですけども、そのようなところでは魚の種類や生息数が豊富で、非常に良い漁場、非常に漁師が盛んに漁をする有名な海域になっているんですね。
確かに冷たい海域の方がターンオーバーが起こりやすいので、確かに冷たい海の方が魚が獲れるというところもあるんだけども、温かいところも済んでるけども、酸化症とかもあるし、栄養塩類が氷層に沸き上がってくるので、清らかな水、非常に澄んだ海域に魚がいない、全くいない、生息しにくいというわけでもないじゃないんですよね。
さらにですね、全ての魚の稚魚が動物プランクトンを餌としているわけではないので、それが当てはまらないということなんですね。
清流と言われる渓流魚、川の上流には岩田や山目が棲んでいるけども、これらの稚魚はプランクトンではなく水性昆虫を食べているので、確かに清らかな水にはAONが少ないから、それに伴って生態系、植物連鎖、動物プランクトンの数は確かに少ないのかもしれないけども、魚はいるということで、そんな単純な話ではないということなんですね。
世界一透明度の高い湖と知られるシベリア南部のバイカル湖、バイカルアザラシについて取り上げてお話したこともありますけども、体長1.8メートルにもなるチョウザメ科のバイカルチョウザメやサケ科のイトウなど、いろんな種類の魚が生息しております。
コイとかドジョウとかナマとかカジカとか、たくさんいるので、世界一透明度が高いバイカル湖でもたくさんの魚が存在しておりますので、清らかな水やから魚がいないというわけでもないということなんですね。
透明度の高い海とか川とか湖にもちゃんと魚が生息しているということなんですね。魚が生息するかどうかを分けているのは、水の透明度ではなく水質というところなんですね。
だから水質が悪いところには住んでいない。濁ったようなところでも栄養塩類とか食べ物があればちゃんと魚はいるし、水質が大きな鍵を握っているということなんですね。