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  2. #11 閃光の危険性とその対策
2024-07-18 09:46

#11 閃光の危険性とその対策

今回はウェブアクセシビリティ対応の中でも重要な「閃光」について解説しています。


ウェブコンテンツにおいて、閃光は発作を誘発する危険があり、特に注意が必要です。

WCAGの達成基準「2.3.1 3回の閃光、又は閾値以下」では、閃光を避けるか、1秒間に3回を超えないようにすることを推奨しています。

閃光が引き起こす発作には、目の痛みや頭痛、痙攣などがあり、過去にはアニメの演出で問題が発生しました。

対策としては、閃光を使用しないか、一般閃光閾値や赤色閃光閾値を下回るようにすることが重要です。


WCAG 2.0 達成基準2.3.1

3回の閃光、又は閾値以下:達成基準 2.3.1 を理解する



相対輝度とは:

相対輝度とは、物の明るさを比べる時に使う値のことです。簡単に言えば、「どのくらい明るく見えるか」を数字で表したものです。

相対輝度は0から1の間の数字で表されることが多く、0は最も暗い状態(完全な黒)、1は最も明るい状態(完全な白)を表します。その間の数字で、様々な明るさを表現します。

相対輝度 - Wikipedia



一般閃光閾値とは:

一般閃光閾値とは、発作を引き起こす可能性がある光の強さや頻度の基準です。この基準を超えると、一部の人が光に反応して発作を起こす危険があります。具体的には、1秒間に3回以上の強い光の点滅が続くと危ないと言われています。


赤色閃光閾値とは:

赤色閃光閾値とは、特に赤色の光が強く点滅する場合の基準です。人間の目は赤色の光に対して敏感で、強い赤色の点滅が発作を引き起こす可能性が高いため、この基準が設けられています。

G15: コンテンツが一般閃光閾値及び赤色閃光閾値を越えていないことを確認するためにツールを使用する | WCAG 2.0 達成方法集



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サマリー

本日のテーマは、閃光の危険性とその対策です。閃光とは相対輝度の交互の変化で、一部の人の発作を引き起こす恐れがあります。対策としては、閃光を避けるか、1秒間に3回を超えないようにすることが重要です。

00:05
ゆみこ:こんにちは。チャコウェブラジオは、株式会社Cyber Catsが運営するチャコウェブのスタッフが、
ウェブアクセシビリティやSNS運用など、ウェブに関するテーマについて楽しくお話しするポッドキャストです。
進行を担当するゆみこです。よろしくお願いします。
みあ:みあです。よろしくお願いします。
閃光の定義と危険性
ゆみこ:本日のテーマは「閃光の危険性とその対策」です。
みあ:ウェブコンテンツを作る際、閃光は特に気をつけなければいけないもののひとつとされています。
今回は、閃光とはどういうものを指すのか、どうして気をつける必要があるのかを解説していきたいと思います。
ゆみこ:閃光というと、ピカッと光るもののイメージがあります。具体的には、どういったものを指しているのでしょうか?
みあ:はい。閃光を辞書で引くと、「瞬間的に発する光」と出ます。
言葉の意味合いとしては、イメージ通りで瞬間的にピカッとする光のことを指します。
WCAGにおける閃光は、このイメージとは少し異なり、相対輝度という言葉を使って説明されています。
先に相対輝度の説明をしますが、色の明るさを0から1の範囲で表し、最も暗い黒を0、最も明るい白を1として色を比べるものを相対輝度と言います。
WCAGでの閃光の定義は、「相対輝度の交互の変化で、ある程度の面積と特定の頻度によって一部の人の発作を誘発する恐れがあるもの」とされています。
「相対輝度の交互の変化」を簡単に言うと、明るさが交互に変化する現象のことです。
ゆみこ:つまり、WCAGの定義では、明るさが暗くなったり明るくなったりと交互に変化するもので、それが面積や頻度の程度によって一部の人の発作を引き起こす恐れがあるもの、これを閃光とするということでしょうか。
みあ:はい、その解釈で良いと思います。
閃光と点滅の違い
ゆみこ:ひとつ気になったのですが、閃光と点滅は何が違うんでしょうか。明るさが交互に変化するというと、点滅も同じような現象を示すような気がします。
みあ:点滅を辞書で引くと、「光がついたり消えたりすることを意味する表現」と出ます。
日本語表現の話で言えば、光が瞬間的にピカッとするのが閃光で、ついたり消えたりピカピカするのが点滅といったところでしょうか。
WCAGの定義だと点滅は、「注意を引く意図で2つの視覚的な状態を交互に切り替えること」とされています。
また、ある程度の面積を持ち、ある程度の明るさ、特定の頻度で点滅するものは、閃光に分類されることもあり得るとされていることから、明るさが交互に変化するもの全体を点滅とし、その中で発作を引き起こすレベルのものを閃光と区別していると考えられます。
ゆみこ:うーん、なるほど。明るさが交互に変化すること自体は点滅で、その中でも発作を引き起こすレベルのものを閃光としているんですね。
そもそも、この引き起こされる発作というのはどういうものなんでしょうか。
みあ:光感受性発作や光過敏性発作と呼ばれるものです。
光の刺激により目の痛みや頭痛、目眩を起こしたり、中には痙攣や意識障害を起こすなどで、救急搬送される場合もあります。
ゆみこ:ああ、光が原因でそれほど重い発作を引き起こすことがあるんですね。
みあ:そうなんです。実際に、過去には子ども向けのアニメにおいて、閃光を使用した演出が原因で、視聴していた子どもたちが痙攣などを引き起こし救急搬送されたという事例が報告されています。
ゆみこ:はい、そのお話は耳にしたことがあります。
みあ:当時は社会問題になりましたし、テレビ業界の新たなガイドライン策定のきっかけにもなりました。
このガイドラインにもあるのですが、人間の視覚は他の色と比べ、赤色の閃光に敏感なので、鮮やかな赤色の閃光は特に注意が必要となります。
ゆみこ:うん、色によっても与える影響というのは異なるんですね。
他に、どのくらいの明るさの変化が危ないといった目安はあるんでしょうか。
みあ:1秒間に3回を超える明るさの変化があると危ないと言われています。
例えば、1秒の間に3回を超える閃光を放つ雷の映像などは注意が必要です。
ゆみこ:うーん、なるほど。1秒間に3回までは許容範囲ですが、4回以上は対策が必要ということですね。
これはどのように対策すれば良いでしょうか。
閃光の対策
みあ:対策方法はいくつかありますが、一番簡単なのは、閃光を避けることです。
閃光を含むコンテンツが必須ではない場合は、使用しないのが一番だと思います。
どうしても閃光を含むコンテンツが必須である場合は、閃光がどの1秒間でも3回を超えないようにするということが重要です。
ゆみこ:この「どの1秒間でも」とはどういう意味ですか。
みあ:少しややこしいですが、閃光を放っている時間の間のどこの1秒間を切り取ってもといった解釈で良いと思います。
例えば、閃光を3秒放つコンテンツがあったとしたら、そのコンテンツの0秒から1秒の間、1秒から2秒の間、2秒から3秒の間といったどの1秒間を切り取っても、閃光が3回を超えないようにする必要があるということです。
つまり、0秒から1秒の間、1秒から2秒の間は3回の閃光だけど、2秒から3秒の間は4回の閃光を放つといった場合は、閃光の対策としては認められないということですね。
ゆみこ:なるほど。閃光を放つコンテンツのどの部分を1秒として切り取っても3回を超えてはいけないということですね。
みあ:はい、そうです。また、他の対策方法として、一般閃光閾値と赤色閃光閾値を下回るようにするというのもあります。
ゆみこ:うーん、閾値とはあまり馴染みのない言葉ですね。これはどういう意味なんでしょうか。
みあ:辞書で引くと、「感覚や反応や興奮を起こさせるのに必要な最小の強度や刺激などの量」というように出ます。
簡単に言い換えると、反応や興奮などを引き起こす刺激の最低量といった感じでしょうか。
ゆみこ:難しい言葉ですが、まとめると、WCAGでは、一般閃光閾値と赤色閃光閾値という2つを閃光に関する基準としていて、それを下回ることを求めているということでしょうか。
みあ:はい、そうなります。
この対策方法は、他の2つと比べると評価方法などが複雑なので、基本的には閃光を避けるか、1秒間に3回を超えないようにするのが良いと思います。
ゆみこ:なるほど、そうなんですね。
みあ:はい、これまでお話しした内容は、WCAGの達成基準「2.3.1 3回の閃光、又は閾値以下」に記述されています。
閾値に関しても詳しく書かれているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
ゆみこ:はい、本日のテーマは「閃光の危険性とその対策」でした。
お聞きいただきありがとうございました。
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