倉下メモ
本書の妄想とは何か。たとえば、「被害妄想」のようなネガティブなものではない。今この社会には存在していないものであり、それを他者に語ると「はあ?」とあきれられるくらいに今の価値観から乖離してしまっているもの、というくらいのニュアンス。
他人に語ったときに、「ああ、それって便利だよね」と共感されるならば、既存のものの改良でしかなく(それはそれですごいわけだが)、イノベーションには至れない。言い換えれば、そのときの価値観を書き換えてしまうようなプロダクトこそがイノベーションと言える。
私たちは自分が持つ価値観=世界観=パラダイムをフレームにして物事を考え判断するので、それが世間様と完璧に合致するならば、新しいものは何も生まれてこない。逆に世間様と完全に違っているなら話が通じない。だからこそ少しだけ「ズレ」ているものを思いつく価値観は貴重である。「はあ?」とあきれられる妄想を抱けるのは一つの希有な力なのだ。
日本の画一的な教育と、単一指標による評価は、そうした希有な力の持ち主を貶め、規格化しようとする点でイノベーティブな芽を刈り取っているのではないか、とまでは本の中で直接書かれていないが、そういうニュアンスは受け取れる。
すごく良かった箇所の引用
同じようなアイデアは、自分以外にも思いつくことができる。でもその妄想を阻む壁を乗り越えられるのは自分しかいないかもしれないし、乗り越え方に自分らしさが出せるかもしれない。そう思うと、一回やってみて失敗するぐらいのほうが、やり甲斐のある面白いアイデアのように思えるのだ。
失敗が重要なのは、それが「自分が取り組んでいる課題の構造を明らかにするプロセス」だからだ。
次の本の候補
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ブックカタリスト009、アフタートーク。今回は、そうですね、2人とも読んでたんですね。
妄想する頭、思考する手っていうのは。これはね、やってみて思ったんですけどね、こう、どういう喋り方をしたらいいんだろうっていうのはちょっと難しかったですね。
おだしょー 読んでますよね、っていう形で。
ブックカタリスト 読んでいくか。僕もだから、それってどういうことですかって、この知らんていでいう。
でも、知らんていで聞いたほうが、聞いてる人はいいかなとは思いましたけど、おそらくは。
おだしょー その辺りも、今後経験値が増えていけば、違和感はなくなっていくのではないのかなっていう。
ブックカタリスト お互いに知っている感じで盛り上がると、ちょっと読んでない人が置き去りになる感じもあるから、ちょっと塩梅は難しいですね。
おだしょー まあそうですね、ある程度はやっぱ中立な立場で、こういう話がありましたっていうのは言わないといけないし、その中で一部お互い知っている前提みたいになってもいいのかなとは思うんですけど。
ブックカタリスト 確かに、そうですね。はい、ちょっと勉強になりました。
おだしょー はい、ということで、次回の倉下さんの紹介する本の予定というか。
ブックカタリスト 一応決まってはいるんですが、第一候補は世界はゾウよでできているという本で、近内ゆうたさんで、あれなんですよ。ニュースピックスパブリッシングの本ですね。
おだしょー また側面オレンジじゃん。
ブックカタリスト そうそう、同じ出版社で同じ編集者さんの本なんですよね。この本買ってたんですよ。発売日が結構前なんですよね。
ブックカタリスト これ、2020年の3月の初版の本を買ってるんですけど、買ったまま放置してたんですけど、前回同じ編集者さんでしたっていう話をしたときに、その人が編集してる本っていうのを気づいて、じゃあ読むかなっていう感じで手に取ったんですけど、
ブックカタリスト 抜粋に面白いんで、ちょっとこの本が第一課題ですね。ゾウよっていうことについて、ゾウよ論っていうと、モースっていう人のゾウよ論が有名なんですけど、現代においてゾウよっていうのをどう考えるか。ゾウよっていうのは、例えば資本主義経済とは別の力学で動いているのが、
ブックカタリスト ゾウよによる経済、この前経済っていうのはお金をやりとりというよりは、物とか人とかお金の流れの全体のことを経済と呼ぶんですけど、ゾウよによる経済を論じた本で、一見今こうやってすごく難しそうに言ってますけど、文体内容はもっとビジネス書よりにわかりやすく書かれております。
ジャンルとして経済になるんですか、それは。社会学みたいな感じ。
思想と社会学をビジネスマンにもわかりやすいように、つまり学術書っぽくなく書いてあるっていう本かな。
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なんかね、タイトルからね、全然内容が、ゾウよというキーワードはわかるんだけど、全然内容が想像できない感じというか。
福田よい思う。資本主義の隙間を埋める倫理学。倫理学の本ですね。
そっちになってくるんだ。確かに今の最初の話を聞いていて、ゾウよっていう行為は資本主義と全くずれた考え方ですよね。
そういうことです。
っていうのはすごい思って。なぜそれが発生するのかとか、そういう感じのことですかね。
そうですね。ゾウよっていうのは一体どういう意味や、人間と人間の関係において、ゾウよという行為は何を表しているのか、何をもたらしているのかっていうことが中心的に論じられていて。
まあ、通過交換っていう、何かを買うっていうのは通過交換じゃないですか。お金を出してそれと等しいものを得るっていう。でもゾウよは通過交換じゃないんですよね。当たり前ですけど。
文字通りのゾウよですからね。
もう一個、買うっていう行為、市場で何かを買うっていう行為は瞬間で終わるんですよ。でもゾウよって時間がかかるんですよ。時間っていう概念があるんですね。
何かが起こりましたで終わりじゃないんですね。ゾウよっていうのは。これは本の中の話なんで、ここで深く論じませんけども。だから、どんどん時間的に一転になっていく、買う購買活動っていうのと、時間の長さを養成するゾウよっていうものの違いですね。
だから、時間があるってことは、そこに場を発生させるっていうことなんですね。それが倫理学に繋がるんですね。誰かを大切にするとか、自分の利益を最大化する経済活動ではないものがそこに立ち上がるっていうことなんですけど。これは非常に面白いので第一候補なんですけど。
いいと思う。直接役に立たなさそうだけどすごい面白そうっていう感じがして。
もう一個はまだ読めてないんですけど、和尚石黒のクララとお貴様という本があって、今まで文学は一切取り上げてなかったんで、文学に1回取り上げてもいいかなというので名前をあげたんですが、読み切れない可能性があるので。
順分ですよね。その人って。
の女の子が語り手になっている本なんですね。だから要素としてはSFギミテルんですけど、まあ順分学です。これはもうすごい順分学です。どっちかなんですが、多分読み切れないんで、世界はゾヨでできているのほうになると思います。
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今本の厚さを見せてもらったんですが、順分学でその分厚さの本というのは、一年勝負だなっていう印象がある。
ものすごく読みやすいですよ。読めてないのは僕が時間をとれてないだけなんで、日曜日1日当てたら多分読めると思います。
なんかね、順分学論というかあれなんですけど、やっぱりまだ何が面白いのかよくわかんないんですよね。順分学と言われるジャンルのもの。
何が面白いか説明できるかというとできないんですけど。
でも、SFを読んで面白いと思えるんであったら、多分この本は面白いと思えると思いますよ。
まあ、それだけのことか。
おだしょー 人間の心理に全く興味がないんやったら、別に面白くないと思う。
人間とは何かとか、人間の心について興味関心がゼロであれば、文学は多分読んでも何も面白くないと思いますけど。こればかりは。
そうか。確かに言われてみると、読んでないんですよね。少なくとも10年、20年ぐらいは。
なので今読んだらひょっとしたら変わるのかもしれないな、それは言われてみると。
おだしょー 文学って一口で言っても、ジャングルが広がってるんで、カテゴリージャングルが広がってるんで。
それぞれによってテイストというか、読んだ人に与える影響もかなり違うから。
最初の1冊との出会いがミスマッチだった場合って、文学に対する全体的な嫌気感が生まれてしまうんで、これ難しいんですけど。
いろいろ読んでみると、文学好きの人をAとB書いて、好きな作家が全く違うことがあって、全く噛み合わないこともあるわけで。
だからいろいろ読んでみるのはいいと思いますね。1冊ぐらいでめげずに。
確か石黒和夫さんはノーベル賞を取ってますよね。
おだしょー 多分取ってると思います。
その時に、中、高校、大学、半ば強制されて読めって言われたんですよね。
その時に。
友達から勧められるんじゃなくて、人から読めって強制されたものなんてね、基本的に面白くないじゃないですか。
面白かったとしても面白くなくなる可能性すらありますからね。
だからね、そのせいなのかもしれない。ひょっとしたら。
おだしょー だから逆に言うと、今、本を見る時に書店に行って文学コーナーも行かないでしょうし、
伝承的サイトで文学のコーナーもたぶん覗かないと思うから、出会いそのものがまだ発生してない可能性がありますよね。
まあ、一般的な小説と呼ばれるジャンルのものはたまに読むけど、純文学みたいなものは売れ線でもないから出てきづらいですよね、上の方には。
おだしょー だから、本棚、書店を歩ければ一番いいんですけど、そうじゃないと、なんかチラッと見てみて、気になるタイトルを一応欲しい本リストに入れておくぐらいをしておくと、いつか何か出会えるかもしれませんね、これは。
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そうですね。純文じゃないけどね、平野圭一郎の本とかは楽しめて読めたので。
おだしょー あ、それなら全然オッケーですよ。
割と寄ってますよね、あの人の本とかは。
おだしょー うんうん、そうですね、確かに。
それを考えると、確かに今だったら読めるかもしれないなっていうのは思いました。
マチネの終わり寝居とか、なんかは面白かった。
おだしょー あんなのは全然小説、あれは別に文学ですね。文学と言っていいと思うんで、読めてると思うんですけど。
なんかひょっとしたらあれは確かにね、ほぼ純文学に近いものなのかもしれない。
おだしょー まあその、純と純じゃないのを分ける手も僕にはわからないんですけど。
まああれ、なんかね、書籍業界の謎のジャンル分けというか。でもやっぱね、純って付けるせいで俺は売れなくなってるんじゃないかっていうのは思いますよ。
おだしょー ああ、なるほどね。うん、そうだよな。だからライトノベルっていう言い方がある種の見下しを含んでしまうっていうのと一緒で、ちょっともったいないね。
小説。
大冗談に構えられるから、なんか引いてしまうっていうか。
おだしょー まあ普通に、僕も純文学を読もうと思って別にこの本を手に取ってるわけじゃなくて、僕の中では小説のカテゴリーでこの本が位置されてるんで。
この本は純文学ですかって聞かれたらそう答えますけど、僕の中ではただの小説なんで。
そうぐらいの気持ちですね。
おだしょー あのあれですね、文字として物語を楽しむっていうフォーマットであれば何でもいいってことですね。
そうそう、何でもいいってことですね、僕の中では。
おだしょー うん、まあそれは確かにある気はする。まあだから、でもそういう意味ではな、やっぱそれを読んで紹介してほしいですね。
じゃあ読み終えたら紹介しよう。
おだしょー なんかその本の幅を広げるという意味で、やっぱ、何て言うんだろう、もう勿体ないじゃないですか。
それも純文学という名前で敬遠してしまうというのは、まあ俺もそうなんだけど。
だからその自分が読みそうな本を紹介してもらえるのも嬉しいとともに、自分なら選ばない本を紹介してもらえるのも嬉しいっていうこの先のネットワークの話と一緒なんですけど。
だからこれも、たぶん55とかではちょっとあれやから、たぶん自分に近しいものが8、遠いものが2ぐらいがたぶんね、僕の中でいいバランスかなと思うんですけど。
おだしょー そうですね。だからね、例えば俺もね、次回やっぱこう変な本とかが紹介できると一番いいんですね。
フィンガードラム入門とか紹介しましょうか。
ああもうすごい。
おだしょー どうやって語れるかな。
そもそも多分フィンガードラムとは何かっていう話になるでしょうね、その会話をおそらくは。
おだしょー で、あのね、何て言うんだろう。楽器の練習本でもあるから、読み終わったか読み終わってないかで言ったらね、読み終わったんですよ。
なるほど。
おだしょー でもね、終わったか終わってないかで言ったら終わってないんですよ。
練習はこれからだってことですもんね。
おだしょー そうそうそう。あれも別にAmazonで本のジャンルにあるし、楽器屋さんにあることは多いけど、ジャンルとしては本なので、とてつもない変化球だけどありなのかもしれないですね。
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でもそれはありですよね。逆にそういう本の語り方の練習でもあるし。一般的に音楽を好きな人でも結構知らん話じゃないですかね、フィンガードラムって。
おだしょー フィンガードラムっていう概念はそうですね。俺もTwitterで知ったんですけど、こんな面白いものがあるのかって初めて聞いて思いましたからね。
僕の中では若干打ち込み系とかテクノ系の概念カテゴリーに入ってるんですけど、それを概ね間違ってないんですかね。
おだしょー 一般的にはそれで間違いなくて、ただこのフィンガードラム入門という本は元が生ドラムを叩いていた人で、生ドラムをパッドで再現したいなんですよ。やりたいことが。
なるほどなるほど。
おだしょー だからいわゆるロックとかジャズとかをパッドで叩けるようにしようっていう。
なるほどなるほど。でもそれはそれでまた面白いな、そんな話は。
おだしょー できるかもしれないね、それは。来月なんだけど。
それは一応期待しておきます、そしたら。
おだしょー そうですね。なんか超変化球だけど、10回過ぎたからちょうど8対2ぐらいならいいかもしれない。
そうそう、そういう感じで。こういう感じでこの概念を使っていけると思いますよ。
おだしょー じゃあ次回と次々回は大体決まったということで。
そういう感じですね。
おだしょー もう一回タイトル言ってもらっていいですか。
世界は雑魚でできているですね。
おだしょー 話を聞いてすげえ面白そうなので、読んだら聞いたら買うかどうか決めようと思います。
ということで、来週もまたお楽しみにっていう終わり方でいいんですかね。
いいと思います。
おだしょー ありがとうございました。
ありがとうございます。
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