持続可能な医療介護を世界でつくる
このポッドキャストは、持続可能な医療介護の世界を実現する事業を行うスタートアップ企業を中心に、その未来や現在を共に考える番組です。
エニケアは、医療介護の産業を持続可能な状態に変革し、誰もがあらゆるケア、エニケアを受けられる世界の実現を目指しています。
スタートアップのリアルな現状や、医療介護業界の現在や今後の動向、それにまつわる課題にどう取り組んでいくのか、
すべて積み隠さずお届けする医療介護特化のスタートアップチャンネルです。
皆さん自身や親御さん、親戚に必ず来る医療介護のことについて、今日は一緒に考えてみませんか。
さっそく、武藤さん、自己紹介いただければなと考えていますが、お願いできますでしょうか。
武藤とも子と申します。
看護師歴は33年、そのうち管理職という職に就いていたのが12、3年あったので、管理職としての経験を生かして今、活動をしています。
その管理職の中でも、私をとても成長させてくれたのが、1999年、医療界ではとても大きな医療事故が起きましたが、
その患者取り違い事故の後に起きた医療安全の体制を、医療制度の中に取り組まれたときに、医療安全管理室の設置が求められた際、
ちょうど私は大学病院で働いていたので、その際、初代の安全管理室の担当者ということで任命されました。
その間、5年ほどありましたが、その時、私は看護師以外の人たちと関わるきっかけが多くありまして、
航空業界の方、産業の方、あとは企業で働く方々が安全管理に取り組んでいるのかということを
身をもって知ることができたことが、とても私は看護師の成長になりました。
というのは、私たちは医療現場にいるときには、患者さんに向けてもちろん安全な看護をしているわけですけれども、
その安全という概念が、やはり医療職としてすごく欠けていた部分があったなというのに気づかされたことにより、
その後から私は現場の見方が少し変わってきました。
その現場の見方が変わってきた大きな理由は、やはり患者服を安全に守るというのみならず、
働いている自分たちが安全で働ける状態を作るということが何よりも大事だということで、
看護部長になったときには、看護師の方々が気持ちよく働ける職場環境を作りたいと取り組んでまいりましたが、
思いもよらぬことで、私自身がメンタルヘルスの不調に陥ってしまい、看護部長職をしている最中で退職という、
医療現場を一度離れるという選択をしたのが53歳のときです。
その選択をした一つの理由は、もちろん自分自身の状態が整っていなかったというのはもちろんなんですけども、
私は看護師が大好きだったので、その大好きな看護師を嫌いになってしまいそうな自分がいた。
このまま看護師をしていたらとても辛くなってしまうなという気持ちになってしまったので、
一度現場を離れようというふうに考えました。
とどおちに、やはりどんなに医療現場を良くしたいという重い志を持っていたとしても、
私の場合はですけども、やはり組織の中で働くというのは、
特に医療の現場は医療制度という、今年も診療報酬の改定がございましたが、
その診療報酬の改定等により、やはり病院の体制を変えていく必要がある。
人員を確保することが必要と、様々なことが起きるわけですけども、
その際に私たちは、やはり現場ではどうにもできない様々なことに心を動かされてしまい、
働く上での働きづらさというのを感じてしまっていた自分もいました。
ですので、一旦組織を離れて、もう少し広い目で大好きな看護師をしている人たち、
看護師をし続けている人たちをサポートしていきたいという思いを持って、現場を離れました。
もちろん自分がメンタルヘルスの不調だったので、一旦ちょっと自分の心を整えるという意味で、
幸福学という学問に出会うことができまして、
幸福学という学問に出会ったことにより、自分の状態を整えながら、
医療現場で働く看護師のサポートをするという、今のお仕事の準備をしていきました。
【武藤】ありがとうございます。
本当に今お話ししただけでも、かなりすごいご経歴だなというところで。
最初、手術、オピスでの患者さんの取り違い事故のところで、
安全管理室というところの、その病院の中の安全管理室というところなんでしょうか。
そうですね。病院というか、病院には安全管理の体制を作りなさい。
あと規模によって安全管理室というお部屋を持ちなさいというのが、
医療制度の中でも定められたので、私は大学病院にいたので、
大学病院は安全管理室を設置しなさいというのが、制度上の決まりだったので、
病院の中に安全管理室はありました。
【佐藤】なるほどですね。
そこの中で、病院の中でより患者さんの安全を確保するために、
仕組みを作るというところでされていたんですね。
そうですね。患者の安全と同時に、やっぱり職員の安全ですよね。
職員が安全に働ける環境作りというのがメインですかね。
【武藤】むとうさんのご興味というところも、
職員さんの心理的安全性みたいなところも含めてなのかもしれないですけども、
特にそこからちょっと掘り下げたいなと思っているんですけども、
職員さん、特に看護師さんが普段働かれている中で、
どういうところが心理的安全性を阻害するというんですかね、
いわゆる不安要因になるものって、むとうさんの視点から見て
いくつかあるかなと思うんですけど、どういったものがあるんですか。
【武藤】そうですね。心理的安全性という言葉が医療の現場でも
すごく使われるようになって、たぶんまだ日が浅いと思うんですね。
数年前、おそらく最初にGoogle社が心理的安全性ということに対して、
いろいろと情報を発信し始めて、世の中ですごく話題になった記憶が
私にはあるんですけども、医療の現場でも看護雑誌とかで
心理的安全性というワードがすごく飛び交うようになったのは
3年くらい前だったと思うんです。その時に、私は実は
看護雑誌に連載を組んだんですけども、心理的安全性という点も
含めてなんですけども、この心理的安全性ということ自体が
医療の現場でどうしたら確保できるのかなっていうのを考えた時に、
私たち個人が良い状態であること、その良い状態という表現が
当時は私は幸せな状態という、ウェルビングな状態というような
表現をしていました。ウェルビングな状態で言っても、
ちょっと抽象的で、なかなか皆さんに伝わりづらかった点も
あるんですけども、今行き着いているところがですね、
やっぱり心理的安全性っていうのは一番大事なことって
自分が揺らがないことなんですね。だと私は思っています。
揺らがないというのは、誰しもが一人でお仕事をしていないわけで、
一人で生きていないわけであって、日本人ってすごく真面目なので
周りに気遣うとか、人のことを考えるとかっていうことをすごく
教えてこられるわけですよね。人のことを気遣うがばかりに
自分を気遣うことを忘れてしまって、人のことを気遣うがばかりに
人のご機嫌ばかりを伺ってしまって、結局自分がストレスフルになって
思うことも言えない、思い通りに行動できないっていうようなことが
発生しちゃうんですね。その心理的安全性な環境っていうのは
誰しもが様々な意見を言うことができたりするっていうことを
よく言われるんですけども、それって否定もしない、肯定もしない
っていう環境ってすごく作りづらいだと思います。
じゃあどうしたらいいのかって言ったら、自分がそう言われたとき、
そうなったとき、ちょっと否定されて嫌だなって思ったときに
それに対して反応するのではなくて、今こういう意見を
言われたなとか、そのときに私ちょっともやもやしたなとか、
ちょっとイライラしたなとかって思ったとしても、その場ですぐに
自分の気持ちを整えることができれば、また平静な状態で
人と対応ができるので、自然と安全な環境っていうのを
自分自身が作ることが、自分でできるんですよね。
ちょっと長くなりますけど、どうも私たちって他人に何かを
してもらって環境を作ることを望むと思うんですね。
忙しすぎる、時間がない、人が足りないとか言いますけど、
でもこれってどうにもできないんですよ。
どんなに声を大にして、どんなに集団で言っても、時間は限られてます。
忙しさだって別に自分たちが忙しいだけではなくて、特に医療の現場は
緊急入院があったりとか、患者さんの状態が変化をしたり、
その時その時によって違いがあるので、それを私たちがコントロールできないわけですよね。
でもそのことに対してイライラして仕事をおかしづらくしているのは、
もう何と言っても自分なんですよね。自分でそこに反応しちゃってるわけだから。
なので自分で自分の心を整えるようなことができれば、
もっと自然的な安全性が保たれた環境を自分で作ることができるので、
私はそこが今、医療の現場では足りないところだなと思っています。
とにかく人に委ねる職場環境を整えるとか、業務改善をするとかっていうワードが
特にいつもいつも出てきてますけど、でもそうすることもできないことが多いんですよね。
なので自分で心理的安全性な環境を自分で作るっていうのが、
私が今ここ数年行き着いたところの今ですね。
なるほどですね。自分で選んだ選択肢を正解にするみたいな、
そういう言葉もあったりすると思うんですけど、具体的に看護師さんが、
例えば今忙しい職場にいるというふうになった時に、
武藤さんだったらどうやってそこの環境を自分なりに理解していくのかなというふうに思いまして、
自分に呼びかけるみたいな、そういう感じなんですかね。
そうですね。つい最近も、私がサポートに入っている病院であるスタッフから、
あえてご意見という言い方にさせていただきますが、
人が足りないとか、自分だけが忙しいとか、周りの人は余裕を持って仕事をしているのに、
私だけがこういう状況だとか、私だけとか周りがどうとかっていう言葉って、
結構現場で私管理している時からのスタッフ、時もスタッフからよく聞いてたんですけども、
別にどうでもいいんですよ、周りなんて。自分が与えられた役割が分担。
看護の世界って様々なお仕事を役割担当制で分けたりとか、
チーム制で分けたりとかしたお仕事をしているので、
そこには明確に自分がやるお仕事が分担されているわけですよね。業務分担されているんだから、
そこだけに一生懸命目を向けて取り組めばいいのに、
なぜか周りと比較をするっていうことが癖になってるんじゃないかなと思うんですね。
とにかく今目の前のことを一生懸命するっていうことに集中する。
ただそれが私は今大事だと思っています。看護師の仕事として。
なるほどですね。
でもそのためには、実はトレーニングが必要なんですよ。
いいですね。それちょっと聞きたいです。
なぜならば私たちさっき言ったように、認知をするというか、周りを気にする、
あと周りと協力する、気遣いをしなさいとか、空気を見なさいとか、
なぜか自分中心というよりは周りを中心にして自分を行動させなさいっていうような、
働き方とか過ごし方、社会での動き方っていうのを言われてきてますよね。
自分だけ主張するとわがままだって言われたりとか、わがままも結構ですよ。
わがままっていう言い方ではなくて、自分の意見を言っていると言い換えれば、
わがままではないわけであって。
なので何か自分の意見を言おうとすると、
あなたばかりがそんなふうに、あなたばかりの意見を聞いてるわけにいかないとか、
責任者言ったりとかしますけど、
それはあくまで意見としてあるスタッフが言ってきていることであれば、
それはそれで捉えられればいいんですけども、
何よりもトレーニングっていうのはですね、
やっぱり自分自身が正解はないんですよ、何事に。
こうしなきゃいけないとか、こうするべきだとか、
ナースって○○するべきってよく言われるんですけども、
○○するべきっていうのは患者さんに対して、
確実にこれを治療としてやっていく必要があるよと、
ドクターが決めたこれは治療ですよと、
これに対して私たちは看護を提供していくんですよっていうことがあるのであれば、
それはもちろん治療方針としてやっていく必要があることなんですけども、
でも患者さんの看護っていうのは、
1日1日違いがある場合によっては、
1時間ごとにも違いがあるし、1分ごとにも違いがあるので、
こうあるべきっていう、あるべき論っていうのは、
必ずしも適応できるものではないと思うんですね。
ですけど、どうしても私たちってそういう教え方をされてきているので、
正解を求めるんですよね。
でも正解は、看護の場合には目の前にある患者さんの看護の結果が、
その人にとって良かったと思うことが、
一時そこでは良いとされていることかもしれませんけども、
自分たちの一つ一つの判断に、正解も不正解もなくて、
自分がこう決めたのであれば、それが正解だし、
トレーニングとしては、とにかく今自分がやっていることは、
自分が決めたんだ、自分の意思で決めたんだっていうことを、
繰り返し繰り返し、自分の中で整えていけるようにすることと、
あと一番大事なのは、ポジティブ思考っていうことに
とらわれないということですね。
全然ポジティブにならなくてもいいです。
ポジティブならば、人間の感情に浮き沈みが当たり前だからです。
悲しければ、私って今悲しいなって思えばいいし、
私って今怒ってるなと思ったら、怒ってるなって思えばいいんですよ。
なのに、あ、怒っちゃいけない、嫌っちゃいけない、
人を恨んじゃいけない、恨んじゃいけない、
文句を言っちゃいけない、文句を言っちゃいけないっていう風に、
自分の感情に蓋をして蓋をして蓋をし続けるから、
結局それが苦しくなって、ストレスになって、
しんどくなるわけですよね。
なので、私が最近やってるトレーニングは、
自分の感情、これもトレーニングなので毎日毎日なんですけど、
自分って今イラついてるなとか、
今の自分ってモヤモヤしてるなとか、
この人の発言にちょっとイラっとしたなとか、
っていうのは自分でちゃんと感じるようにしてます。
そうですね。まず、看護師さん、人に会った人はやっぱり優しい方すごく多いですし、
真面目な方多いですよね。
そこはやっぱり自分に対しても清くあらねばならないみたいなところで、
結構あんまり周りに迷惑かけちゃいけないみたいな風に、
逆の方向に考えちゃってる方も多いのかなっていうのを
お聞きしながら言いました。
ありがとうございます。
そういう中で、実際に看護師さんたちが考え方、
自分の働き方とか、自分の心持ちに対しての考え方を変えるっていうのは、
やっぱり人間的な成長が結構大事なのかなっていうところで、
どういう、ちょっとずつ習慣化するっていうのが一番いいんですかね。
そうですね。人間的に成長しなくても大丈夫です。
そうなんですね。
成長って何なんですかね。
よく医療の現場でキャリアって言われますけど、
キャリアって何なのって、キャリア自分で決めればいいわけだし、
私は転職サイトとかでも、キャリアアドバイザーさんとかがいらっしゃいますけど、
私、別にキャリアアドバイザーって実は必要ないと思ってるんですね。
別にキャリアを自分で自然に決めていければいいんですけども、
なぜキャリアのアドバイザーが必要なのかっていうと、
自分のことを自分で見つめられない人たちが多いから、
そこに対してのアドバイスをしてくれるっていう意味では、
大事なことだと思うんですけども。
でも私は看護部長の時に、何百人と人たちと採用面接したりとかしましたけど、
結局うまくいかないんですよね。
理由は前に全職を辛くて辞めたとか、
あとメンタルヘルスが落ちて人間関係が理由で辞めましたとかっていう人は、
やっぱり続かないんですよね。たとえ再就職したとしても。
なぜかっていうと、結局は自分を自分で整えることができないまま、
人に委ねて自分を何とかしようと思ってきているので、
再就職をしても結局はうまくいかないんですよね。
私は今お勧めしているのは、人間関係がうまくいかなくて退職をするとか、
あとはこのコロナ禍で職場との適応障害ですね。
適応障害で辞めていく人たちが増えてきていて、
それでもやっぱり看護師の資格を取って看護師を続けたいっていう思いはどこかにあるから、
転職サイトに登録をして、転職先を見つけるってことをしているんですけども、
まずはその時に自分の感情に向き合うこと、自分が今好きなことは何なのか、
自分をご機嫌にするにはどうしたらいいのかっていう、
私が勧めているのはライフスキルっていうスキルなんですけども、
そのライフスキルを自分でトレーニングする週間付けをしながら
転職活動をしてほしいっていうことをお勧めしたいです。
そのライフスキルっていうのは具体的にはどういう感じなものなのですか?
ライフスキルって今Googleとですね、どんな困難な状況であったとしても、
生き抜いていける力のスキルなんですね。
でもそれって人によって困難だと思う事例も違うし、苦しさも違うし、
同じような環境に至って別にその環境に不満を抱かないスタッフさんも
いるわけじゃないですか。
たとえしんどいなと思っても、そこをうまくこなせるスタッフもいれば
こなせないスタッフもいるわけですよね。
なのでそこは自分が生き抜いていく力がどれだけついているのかっていうことによって
違うと思います。
他力本願ではなく自力本願で、自分の気持ちは自分で、
自分の機嫌を自分で整えるっていうことと、
私が最近よく言っているのが、
ご機嫌であるのは人としての責任っていうことを伝えてます。
ご機嫌っていうのは誤解を受けないように伝えたいのが、
常にワイワイキャンキャン言ってるとかではなくて、
私が言っているそのご機嫌っていうのは不老状態のことですね。
集中とかですか?
そうです。不老状態。
不老というのは、
ミハイルさんって心理学者が言ってたこと、
すごく研究してる状態なんですけど、
よくスポーツ選手とかは使われますよね。
集中できる。
持続看護の世界でも、そんなことを本に書いてる人いるんですけども、
不老の状態っていうと、さっき言った物事に一生懸命になれる。
時間を忘れて物事に集中できる。
でもこの状態っていうのは心を整えないとできないんですね。
なのでこの状態が仕事中できていれば、
周りの声も気にしないし、周りの目も気にしないし、
よくスタッフが毎朝、おはようございます。
その後に言っている会話、
今日の市長さんのご機嫌ってどうかな。
市長さんのご機嫌って、昨日悪かったけど今日はどうかな。
誰々先生のご機嫌ってどうかな。
あの会話って何だったんだろうな。
本当に今になると言いたいんですけど、
何で相手の機嫌を気にしながら、
どうしなきゃいけないんだろうっていう反面、
言われてる側の人たちっていうのも問題があると思うんですよね。
私今日機嫌が悪いから声かけないでとか、
言ってしまう責任者とか先輩たちもいるじゃないですか。
現実のところね、現実問題。
私が今サポートしている病院にもいますけども、
あんたの機嫌でさ、いろんな物事が変わるなんておかしくないっていうのを、
口にはもちろん言いづらいかもしれないけど、