2020-12-05 38:43

#023 ウォッチメン

この番組では、毎回1冊の邦訳アメコミをテーマに2人で語っています。今回のテーマは「ウォッチメン」!舞台は、スーパーヒーローが誕生したことで、我々とは異なる歴史を歩んだ1985年のアメリカ。ヒーロー活動が禁止されたこの世界で、元ヒーローのコメディアンが殺された。法に背いてヒーロー活動を続けていたロールシャッハは、この殺人事件を追ううちに、巨大な陰謀に気づく。映画化され、続編のドラマ版も出たアラン・ムーアの傑作アメコミです。
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この番組では、毎回一冊の邦訳アメコミをテーマに二人で語っております。
今回のテーマは、ウォッチメン!
ついに来ました。
舞台は、スーパーヒーローが誕生したことで、我々とは異なる歴史を歩んだ1985年のアメリカ。
ヒーロー活動が禁止されたこの世界で、元ヒーローのコメディアンが殺された。
法に背いてヒーロー活動を続けていたロール・シャッハは、この殺人事件を追ううちに巨大な陰謀に気づくというようなお話です。
古典的名作ですよね。
超名作、大傑作ですね。
ライターはアラン・ムーア。
このラジオでも名前を出したことはたびたびあったかなって思うんだけど、作品を扱うのは初めてですかね?
そうですね、初めてですね。
伝説的なライターで、特にこのウォッチメンでですね、その名声を不動のものにしたのかなと。
結構、なんていうか、尖った作品が多くてですね。
最近もプロメアっていうのがね、翻訳されてたと思うんだけど、なんか魔術師らしいよ。
ちょっと存じ上げなかったですね。
神秘的な思想にも詳しい。
そうなんだ。
是非写真見てもらいたいんだけどね。
もじゃもじゃした、いかにも魔法使えそうっていうビジュアルしてますし。
何かで読んだんですけど、結構いい匂いがするらしいですよ。
どういうことですか?
もじゃもじゃした見た目に反して、アラン・ムーアーはいい匂いするんだって。
何の話なの?
前にも少しお話したんですけど、この作品1985年、6年かな?発表されたんだけど、
アメコミ医師に刻まれる名作なんですね。
何でかって言いますと、アメコミってコミックスコードっていうのがありまして、
第2次世界大戦くらいから出てきたやつなんだけど、
すごく暴力描写とか性描写とかを厳しく取り締まる、規制するコミックスコードっていう、
結局自分たちで設定したコードなんだけど、
自主規定みたいな?
自主規定みたいな感じだったんだけど、
こういうのがあったせいで、全然そういう暴力とかそういうのは描けなかったですね。
セックス・ドラッグ・バイオレンスは。
セックス・ドラッグ・バイオレンスはやっぱりダメだった。
なんだけど、やっぱりこの80年代くらいからですね、
そういうのに対して見直そうみたいな感じがありまして、
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このお話の中にも出てきたんだけど、
街中でブックスタンドみたいな本屋に並べる本は、
コミックスコードを通過してないとなかなか置けなかったんだけど、
コミックスショップはそういう規制の対象外だったらしくて、
コミックスショップに直接下ろせば、
コミックスコードから外れてても出版できるみたいなノリがあったりしたそうで、
ここでアラン・ムアがウォッチメントコミックを出したことで、
グッと読者層が上がったというか、
アメコミっていうのが子供の読むものじゃなくて、
大人の鑑賞にも耐えられるものになるんだっていうことがですね、
広く伝わったんですね。
この作品と同時期に出されたフランク・ミラーのダークナイト・リターンズと、
この2つの作品がアメコミの作品の質をグッと押し上げた、
記念碑的な歴史的作品としてアメコミの歴史に刻まれております。
なるほど。
そんな感じですね。
我々、翻訳アメコミ読む人間からしてみると、
ウォッチメントいえば2009年に出版された化粧箱入りのバージョンがなじみ深いところですよね。
そうですね。
前回にも話したけど、初めて読んだアメコミはこれでした。
僕もそうですね。初アメコミはウォッチメントでしたね。
びっくりしましたね、最初読んだ時。
すっげえ面白いと思った。
すっげえ箱でかいなと思いました。
独特のインクの匂いとか。
匂いとかね。
なんかちょっと違うなっていうね。
博来品の楽しさがありますね。
フルカラーでびっくりした記憶がありますね。
もともと1回1999年にも翻訳されていたらしいですね。
電撃コミック版っていうのがあったらしくて、
でもやっぱり人気だったから、
結構プレミアがついてましたね、その当時は。
そうなんだ。
で、小プロさんから再販というか新訳というか、
2009年に改めて出されたんでね。
2000年代ってもともと翻訳アメコミは不作の年だったというふうには聞いてますね。
このウォッチメンが出るまでのね。
もともとアメコミって映画とかゲームとかフィギュアとか、
マルチメディアで展開していくっていう売り方日本ではしてたみたいなんですけど、
2000年代前半はXメンとかの映画が公開されたのかな。
結局タイアップのアメコミみたいの出なかったらしいですよね。
ほとんど関連作みたいのが。
2000年代後半になるとバットマンビギンズとかアイアンマンとかの映画も公開されたんですが、
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それもそんなに翻訳アメコミは出なかったらしいですよね。
Xメンが出た時は翻訳出たんだけど後は続かなかった。
バットマンビギンズとアイアンマンは関連する翻訳もほとんど出なかった。
という状況が2009年にウォッチメンが。
これも映画に合わせての出版だったのかな。
そうだね。2009年がちょうどザック・スナイダー監督のウォッチメン。
劇場版が。
それと合わせて出版したところ、これが大ヒット、大ブーム。
大ブーム。翻訳アメコミ界に。
電撃走る。
電撃走る。
これはすごく売れた。
この前講演会で聞きましたね。
完全に聞いた話をそのままされてます。
さも自分の話しネタかのように。
人の話しネタかのように。
人の話しネタかのようにフワフワした説明になっちゃいますね。
それのおかげで、翻訳アメコミがどんどんどんどん出版されるようになって、今の我々があるわけです。
本当だよね。だって毎月何を読もうかなっていう感じだもんね。
確かに。毎月新作出ますもんね。
選べますもんね。
ありがたい話ですわ。
ありがたい話ですわ。
このウォッチメン、未だに再販が続いてるって言ってましたよね。
全部人から聞いた話。
まあでもそうだよね。本屋さんに行ってもやっぱウォッチメン並んでるから。
アメコミコーナー行くとね。ちょっと大きい本屋さんだと必ずありますもんね。
定着してるんだなっていう感じがして。
確かに。
嬉しいかもしれないですね。
定番としてね。
だからアメコミ史的にも刻まれる作品だし、翻訳アメコミ史的にも一つ大きな。
時代を築き上げた作品ということですね。
何をもって大人の鑑賞に耐えうるかっていうと、やっぱりリアリティがすごいってことに尽きるかなって。
確かにね。
作品のコマのちょこっとしたところに出てくる新聞記事とか、落書きとかで世情がわかるとかね。
直接的には言及されないんだけど、きっとこういう社会情勢らしいということが見えてきますよね。
世界観の組み立てがすごくいいねっていうか、ちゃんと考えられてるんだなっていうね。
だからそういう直接的な物語に関わるところじゃないんだけど、コマの端々から世界の空気っていうのを感じられるっていうのは、
やっぱりこの漫画というかコミックならではの読書体験なのかなって。
あーなるほどね。
だから今回読んでて、やっぱ面白いなって改めて思っちゃいましたね。
アメコミの素晴らしさを改めて。
あとサブテキストっていうか、漫画じゃない部分がさ。
そうだね。結構な分量入ってますもんね。
作中の登場人物が書いたジレンの一部とか、精神科医のカルテとか、記事コラムとかそういうのがあって。
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で、やっぱりヒーローたちに内面があるっていうことを結構書いてるよね。
こういう過去にトラウマとか経験があったからこういう人格になったんだみたいな。
そうだね。一応一つのウォッチメント氏のストーリーはあるんだけれども、その裏側に何があったのか。
直接言及されてない部分をレポートとかを読むと読み解けるようにはなってますよね。
だからそういう人間の心理的にもリアリティがあるような作風になっててね。
あーなるほどね。
やっぱ面白いなと思ったよ。
確かに。
政治状況のリアリティすごいなというふうに思いましたね。
1985年が舞台じゃないですか。1985年って現実の我々のユニバースだと。
ゴルバチョフのテレストロイカが始まって、西側と東側の友和ムードが高まってきた時期でもあるんですけど。
こちらのウォッチメント氏の世界では、東西の対立、冷戦が非常にギリギリの状態を攻め合っているという設定なんですよね。
登場人物のドクターマンハッタンという、文字通りスーパーファワーを持ったヒーローがいるんですが、彼の力があまりにも強大であるがためにソ連とアメリカの戦力差が広がってしまって。
逆にそのせいでソ連も捨て身で核兵器を使おうとしている。
追い詰めちゃったんだね。
というふうな状態になっていて、現実とは全く異なる友和ムードのない、すぐにでも最終戦争が始まるんじゃないのかという緊張感が描かれてますよね。
なるほどね。
このドクターマンハッタンはスーパーファワーがありすぎて、ベトナム戦争をアメリカが勝っちゃうんだよね。
ベトナムがアメリカの州の1個になっているという設定でね。
ちなみにこのベトナムがアメリカの州になっているという設定は、ドラマ版のウォッチメンで結構描かれていて、あちらも面白いので。
私まだ未見なんですよね。
ぜひ見てほしいですね。
つい最近、今年だよねドラマ版のウォッチメンって。
今年かな?
去年かな。
配信でか、レンタルDVDでもなんでもいいんだけど、やってて。
それがあれなんですよね。
漫画版、コミック版の続きなんですよ。
さっきも話出たけど、2009年に映画化されてるじゃないですか。
映画、かなりコミックに忠実だったよね。
忠実な作品でしたね。
カット割りとか、本当に漫画と同じ映画、見たことある映画って感じだったよね。
だけど最後の最後だけ、リアリティを銀したのか何なのかちょっと違ったじゃないですか。
そうだね。
イカ。
12:00
イカが。
だから、ドラマ版の方はちゃんとイカなんで。
本当にイカが現れた。
だから、コミック版の続きでですね。
なるほどね。
すごい面白かったよ。
今回は霊戦っていうのが一つの時代背景だったじゃん。
今度のドラマのやつは、核差の問題とか、人種の問題とかっていうのがテーマになってて。
また現代の政治状況を反映させてやってて。
なるほど。ウォッチメンを今やるっていうのはこういうことなんだなって思ったよ。
なるほどね。
ちゃんと今の問題を取り上げて、再構成して。
なるほどね。
とても面白かった。
めっちゃネタバレしたい。
私はまだ見てないんで。
ドゥームズデイクロックが出るまでには見ておきます。
またどこかでね、ウォッチメン語ることがあれば。
ドゥームズデイクロックっていうコミックでもこのウォッチメンの続きっていうか、世界観共有してる作品もあるし。
あと、ビフォアウォッチメンっていう、ウォッチメンの過去編もいろんなアーティスト、いろんなライターが書いたやつがあって。
それも翻訳されてるんで。
そうか。
見終わったらその話するついでに、翻訳やろうか。
そうだね。
ついでに。
ついでにやってみましょう。
そんな感じで。
なるほど。
冷戦ですね、今回はね。
そうだね。
冷戦の時に世界がどういう感情だったかっていうのは、今はピンとこないところが。
ピンとこないですよね。
生まれる前だしね。
ぼやかしとこか。
でも、冷戦っていうのはソ連を代表とする共産主義のチームと、アメリカを代表する資本主義のチームが医療ロギー、心情の違いで対立してて。
お互いを牽制するために、直接バチバチ戦争してるんじゃなくて、核兵器をね。
核兵器をお互いたくさん作って。
作って、お互いを牽制するという。
お前が手を出してきたらこちらから核兵器が飛んでいくぞと。
条件だったね。
だから、当時はやっぱり核戦争が起きるんじゃないかっていう恐ろしさが、多分世界的な空気としてあったんだろうね。
多分ね、リアリティとしてあったんでしょうね。
やっぱりそういうお話っていうか、SF?この冷戦の時期、80年代とかのSFってそういうのがモチーフの作品なんとなく多い気がしますね。
あー、確かにね。
ターミネーターとかね、あれ1984年の映画ですよね。
ジェームズ・キャメロンの。
あれはロボットとの戦いによって戦争が起こったって話なんですが、あれも核兵器によってアメリカが壊滅的打撃を受けた後の話じゃなかったっけ?
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分かんないです。
でも世界が終わってしまうっていうのが一つのテーマでありましたよね。
それをどうやって防ぐかっていう映画でしたよね。
フォクトの件も80年代ですよね。
あー、なるほどね。
あとトワイライトゾーンとか、でもこういう核系のお話はすごくいっぱいある気がしますね。
村上春樹の世界の終わりとハードボイルドワンダーランドは1985年に出ましたよね。
あれって核?
あれ核じゃない。世界が終わってしまうというテーマ。
でも世界が終わるっていうリアリティがあったんだね。
あったんじゃないかな。核に限らずだけどね。
分かる分かる。1999年のノストラダムスの大予言。
あー。
あれもあったりしてさ、やっぱり終わるんじゃないか世界っていう空気。
2000年に向けて終わっちゃうんじゃないかっていう空気がね。
確かに。
少なからずあったような気がするよ。
なるほどね。
2000年以降はね、あれ終わんねえなって感じする。
いつの間にか2001年宇宙の旅は過去の話になってますからね。
過去の話ですよ。
ブレードランナーもなんだろ、過去の話じゃない。
すごいね、そう考えると。
すげえ未来ですよ、我々生きてるの。
2020年だってSFじゃん。
SFですよ。まだ車飛ばねえのかやってますね。
そうですね。
今回歴史的にもイフモノというか、アメリカ軍の方にスーパーヒーローがいたことでちょっといろいろ変わったし、
ドクターマンハッタンの技術で他のこともいろいろ大きく変わってるんだよね。
そうだね。
例えばガソリン車とかなくなってるんですよね。
みたいですね。
全部電気自動車になってて。
これも80年代感というか。
80年代の未来なのか。
アメリカの環境政策ってもともと90年代、80年代末ぐらいから一気に進んでくるんですけど、
日本車がアメリカで一気に売れて、アメリカの自動車産業をはちゃめちゃにしたじゃないですか。
めっちゃ恨まれてるっていう話がある。
85年ぐらいが前後の話なんですけど。
ちょうど85年だ。
その時に結局日本車を市場から占め出して、アメリカの自動車産業を復興させようという時に、
電気自動車。
エンジンの技術力では日本に負けるからモーターで勝負しよう。
と言って、環境政策。
日産から減らしていこうみたいなのが出てきたと聞いたことがあるので。
環境的な配慮っていうのだけじゃなくて、
経済的なやつもあって、電気自動車っていうのがプッシュされてた。
プッシュしようっていう時期にこの作品も出てるから、
この世界で描かれる未来は電気自動車が全部。
そういう意味でリアリティその部分でもあるのかなって。
SF的な意味でもリアリティがあるってことだね。
そんな気がしますよね。
街中に飛行船が飛び交うっていう。
18:02
これ私結構好きなシーンというか好きな描写ですよね。
なんで?
街中に飛行船が飛んでる。
現実にはそうだよね。
全然飛行船って見なくなりましたもんね。
でもこの世界では主要な移動手段としてね。
どうやら飛行船が。
羨ましい世界です。
そんな好きなんだよ。
飛行船良くないですか?
いいかもしれない。
ふわふわしててね。
ふわふわしてて。
久々にあれやっていいですか?
今週の導入褒めコーナー。
まだそのコーナーは生きてたんですね。
このコーナーはですね。
導入が素晴らしい時にその導入を褒めるっていう。
なんて斬新なコーナーなんですけど。
ウォッチメンの導入いいっすね。
いやーもうね。大好きですよ。
あとこれね、映画もちゃんとセリフで再現されてたからさ。
かっこいいよね。
確かに。
ロールシャッハの日誌で始まります。
はい。ロールシャッハ記。
1985年10月12日。
今朝路地裏で犬の歴史体を見つけた。
ってとこから始まるんですけど。
事件の発端となるコメディアンの殺害された現場。
ビルの上から突き落とされたんだけど。
その現場からシーンスタートしていくんだけど。
犯人は誰だかわからないんだけど。
すごいがたいのいいコメディアンが窓ガラスをぶち破って落とされた。
窓ガラス落としたり突き落とされたというね。
それを警察が捜査してるんだけど。
エレベーターに乗るシーンがあって。
お宅ら何階にしなさるって聞かれて。
ああ、1階だ。すまんな。
はいよ、1階ねっていうセリフと
突き落とされるコメディアンのコマが被る。
このおしゃれ。
おしゃれてるよね。
ウォッチメンは絵とセリフをあえて文脈ずらしてるシーン多いですよね。
別の人のセリフなんだけど、別の人の絵が描いてあったり。
でも意味が通じるって感じであって。
おしゃれてますよね。
本編の中で脇役の男の子がずっと海賊漫画を読む。
その海賊漫画のセリフが本編のシーンとリンクしてるってのが結構あるよね。
おしゃれてますよね。
心にくいね。
警察が去った後、現場に落ちていた血の付いたスマイルマークのバッジを手に取る人がいるわけですね。
顔が見えない。誰だ誰だと。
グラップショットっていうか、投げ縄みたいなやつですね。
壁を登って殺害現場のビルの一室に入ってくるわけですね。
そこで初めて全身が見えるわけなんだけど。
痺れるほどかっこいいね、この絵。
かっこいいよね。
21:01
かっこいい。このコートに帽子。
帽子にね。
スーツ着てますよ。
ロールシャッハテストの顔面が。
かっこいい。
真夜中、全てのスパイが。
かっこいい。
ロールシャッハかっこいいっすね。
ロールシャッハいいよね。
めちゃくちゃ好きなキャラですよ。
作中では完全に狂人みたいな扱いになっちゃってるんですけど。
でも彼の振る舞いを見てると、やはり狂人とは言い難いところもあるじゃないですか。
私好きなシーンがあって、警官隊にロールシャッハが包囲されてしまうっていうシーンがあるんですけど。
はめられるんですね。
騙されて、アパートに入ったところで警察に包囲される。
やばいやばいって言いながら、30秒遊戯をやると警察に言われるんですね。
それの間に投稿して出てこいって言うんですけど、
その30秒間でロールシャッハがそのアパートの部屋にあるものを使って即席の武器をどんどん作っていくんですよね。
いいよね。
もう最高のシーンですよね。
やってきた警官隊を一人ずつその武器を使って倒していくシーンがあって、泣くほどかっこいい。
かっこいい。
かっこいいよね。
ロールシャッハはおかしなやつなんだけど、結構保守的な考え方を持ってて。
そうだね。
過去には母親とちょっとうまくいってないことがあったりとかして、
そういうのが今の話の後に警察に捕まって精神分析されて出てくるんだけど、
ちょっと前までは黄色活動を始めた初期は、わりとヒーローヒーローしてたんですよね。
あんまり細かく描写されないんですけど、どうやらまともなヒーローというか、
いわゆる我々がイメージするスーパーヒーローとしてだったんじゃないかってことだよね。
過去のお話の中に女の子がさらわれてしまったというような事件があって、それを追っていくんですよ。
その時に両親に対して必ず無事に連れ戻すって約束するシーンがあった。
ヒーローじゃん。
ただこの時にこのさらわれた子供がですね、めちゃくちゃひどい扱いを受けた挙句、犬に食わされてたという事件があって、
もうこれでロールシャッハーの心は完全にまなっていうか壊れたというか、
本人の言葉を使えばここで初めては自分自身本物に本当のロールシャッハーになったんだと言ってますね。
ビフォーアウォッチウェンのやつとかだと、わりと普通にナイトウォールとコンビを組んでる。
24:00
ロールシャッハーとか見れて、逆に辛い。
この事件が起こる前の。
ナイトウォールとの関係もいいですよね。
必ず家に来る時はドアの方にして、家に押し入って勝手に豆の缶詰とか角砂糖食べるっていう。
温める?みたいな事聞かれるんだけどね。
ストイックなんですよ。
自分の信念の人ですからね。
妥協はしないって。
豆も温めない。
角砂糖を直接食う。
これがカッコいいって言ってるの伝わるのかな?
説明難しいですよね。
本当にウォッチウェン知らないで、ただ我々の話だけ聞いて、その人が思い浮かべてるロールシャッハーって全然カッコよくないよね。
だからすごいよな。絵とお話でさ。
絵とお話のおかげですよね。
最後もいいんだまた。
彼の最後がね。
最後話していいの?
もうお家まで行っちゃいますか?
実はこのヒーロー殺しの事件はですね。
同じくヒーローだったオジマンディアスという人が企てたもので。
彼はですね。
イカの形をした精神に作用するサイコ爆弾みたいなものを作ってですね。
第3勢力として。
アメリカでもソ連でもない第3の敵を。
敵を作り上げることで、冷戦の対立構造を解消しようという作戦をしたんだと。
ただこの作戦を実行することによって大きな犠牲が出た。
ロールシャッハーはそれを告発しようとすると。
その結果、この秘密を守ろうとしたドクターマンハッタンに殺されてしまうんだね。
爆死させられてしまう。
このシーンもまたとてもいいんですよね。
そうだね。
自分を曲げないんだよね。
ロールシャッハー。殺せって言って。
自ら南極の雪の染みになってしまうんだね。
映画版だと、結婚がロールシャッハーの模様になっているという演出がありましたよね。
おしゃれな演出だね。
ロールシャッハーのかっこよさを話したけど、全体としてオッチュメンは語りにくいね。
それはめちゃくちゃわかる。
語りにくいというか、語るところが多すぎてこうなってしまうね。
何を語っても言葉足らずになっちゃうよね。
さっきもコマのブシブシに様々な要素が隠れている話もしたけど、
アラン・ムーアーはライターなんで、お話の物語を書くわけなんだけど、
27:05
一コマ一コマにすごくたくさんの注釈をつけていたんだよ。
これにはこれを書けと。
こういう風に書いてくれって。
本当に色々読むところがあるというか。
そうだね。僕も改めて読み直して新しい発見が色々ありましたもんね。
やっぱり我々どうしても物語の筋とか追っていきがちだけど、
小説じゃなくてコミックだから。
そうだね。本当はちゃんと絵も読み解かなきゃいけないんだろうね。
あえて構図を左右対称にするところとか、
いろんなことがあるから、これを読んでたくさんのことに気づける人って
すごい情報量を受け取ってるんだろうなって。
そうだよね。きっと。
全然人それぞれで変わってくるんだろうね。
アメリカ人でなければ読めないこととかあるだろうし。
それもあるだろうし。
あとどのヒーローに感情移入というか共感できるかとかね。
確かにね。
そういうのもあるよね。きっとね。
確かに。
我々は温めずに豆を食うロールじゃない。
心惹かれましたが。
心惹かれてますけど。
コメディアンに心惹かれる人も、ドクターマンハッターに惹かれる人もいるのかもしれないですよね。
私はこれを読み直してて思ったのは、今の時点での私の解釈ですけど、
やっぱりこの無意味な世界とどう向き合っていくのかっていうお話なのかなって。
なるほどね。
スーパーパワーを持っているドクターマンハッターなんかがよく言うんですけど、
結局この世界は単なる原始の集まりにすぎないんだと。
何の意味もないんだっていうことをよく言うんですよね。
言ってますね。
火星に行って巨大なガラスの宮殿を彼は作り出すんですけど、
その時におそらく世界は誰かの手で作られるようなものではない。
何者も作られることはない。
ただそこにあるだけだ。
そこにあり、あり続け。
職人の手を経ずに存在する時計だ。
っていうセリフがありまして。
この世界はただあるだけなんだと。
そこには何の意味もなくて、ただあってそれが終わっていくだけだと。
無情感ですね。
無情感を語ってて。
彼はまた以前のパートナーだったローリーと一緒に火星を旅するシーンがあるんですが、
ローリーは一般人というか普通の人間なんでね。
人類が苦痛苦を重ね、逃走を続けた末に残ったものは虚無と幻滅だけではないのかな。
人々がただ傷ついただけだろう。
人間の命っていうのは火星にある巨大な山にも劣るんだ。
こう言ってますね。
こんなに何の意味もない世界で君たち何やってるんだということをドクターマーが張ったのが言い訳だ。
それ以外の登場人物も結構同じ感情を持っていて。
30:02
キオスクで新聞を売ってるおじさんとかもいるんですけど、
彼は普通の一般人、ヒーローでもなんでもないおじさんなんですが、
彼も頑張ったところでソ連が水爆を落としたら全部おしまいだよみたいなね。
なるほどね。この冷戦下の世界の空気としては、
核戦争が終わったらもう全部無意味だと。
なるほどね。
という思いが描かれているのかなって思うんですよね。
なるほど。
とはいえ、人生は続くわけで。
無意味な世界とどう向き合っていくのかっていうところで、
それぞれのやり方が出てくるのかなと思っていて。
なるほどね。
さっきのオジマンディアスなんかは、世界は無意味かもしれないんだけど、
この第三勢力、別の敵を作り出すことで世界を平和にする。
平和な世界っていう新しい意味を生み出すこと。
あるいは、ロールシャッファーは、さっき出てきた女の子が殺されてしまった後で、
本当のロールシャッファーになった後でこういうふうに思うわけです。
この最低の世界を作ったのは刑事上学的な超越力じゃない。
子供を殺したのは神じゃないし、その死体を犬に食わせたのも運命なんかじゃない。
俺たち人間だ。人間の仕業だ。
きな臭い煙の中で、俺の胸に残っていた最後の希望が凍りついて粉々に砕けた。
俺は生まれ変わり、無意味な白紙の世界に自分の考えを記そうと決意した。
それがロールシャッファーだ。
なるほどね。
彼が妥協しない信念を貫くのも、この世界が無意味だからなんですよね。
何の意味もないから、そこにロールシャッファーとして痕跡を残そうとしている。
ロールシャッファーってね、白い紙に落ちた黒いインクのシミだもんね。
そうそうそうそう。
かっけえ。
ナイトオウルとか、ヒーローとして生きていくという方法を選ぶわけですよね。
ヒーローとして引退してたんだけど、やっぱりヒーローとして復活しようと。
復活してもう一度ヒーロー活動をしようという風に、この世界を意味付けていっている。
そういう無意味な世界、何の意味もない世界とどう向き合っていくのかというのが、いろんな答えがそれに示されている作品なのかなと思う。
なるほどね。それぞれの存在、同情人物が自分の生きる意味を、この無意味な世界に。
オジマンディアスも一応悪役と言えば言い難い人なんだけど、やっぱり我々がどうしても彼を嫌いになれないのは、彼の行いもまた無意味な世界を何とかしようという思いがあるから。
彼もまた信念の人であったわけで。だからこそ魅力もありますよね。
はー、なるほどね。そっかそっか。無意味な、なるほどね。
スーパーパワーを持ってしまったことで、ドクターマンハッタンは時間覚が常人とは違うんだよね。
過去、未来、現在を同時に把握できるっていうことになってるから、やっぱりこういう無情感になるよね。
33:06
この作品すごく私が好きなシーンがあって、ヒーロー達はもちろんめちゃくちゃかっこいいんですけど、やっぱり一般人もすごく良くて。
ニューヨークにビカがやってくる直前。
いいですね。ここは今まで出てきたヒーローじゃない一般人の人たちがちょっと一つの場所にね。
そう、集まって何をしようとするかっていうと、喧嘩している人たちを止めようとするっていうシーンなんですよ。
すごい良いセリフがあるので読みますけど、結局喧嘩を止めようとすると、自分の奥さんに止められるわけだ。
あんた何やってんのと。他人のことにちょっかい出す暇なんかないでしょと言うんですけど。
いやでも違うんだと。こんな世の中だからこそ助け合わなければ生きる意味がなくなってしまう。
お願いだ。分かってくれって言って、その喧嘩を止めに行くっていうシーンがあるんですけど。
やっぱり彼もまた意味ということを使って、新しい意味のない世界でどう生きていくのか。
助け合うことが大事なんだと言っていて、結局無意味な世界って孤独なんですよね。
なるほどね。
何にもないから。でもそこで何か意味付けようとする行為っていうのは、人と繋がろうとする思いでもあるわけで。
なるほど。ヒーローコミックしてますね。
そう思うと、一般の人々がもうまたヒーローとして活躍してるし。
なるほどね。
私読んでて思ったのは、なんやかんやって人生は続くっていうことが書かれてるなって思ってて。
これも名言ですよね。
ローリーのお母さん、初代シルク・スペクターとかは、コメディアンに暴行されてレイプされて、ローリーを見守ってしまうんだけど。
それに対して、整理がついてないんだよね。
そうだね。
もちろんそういう行為は悪いことだと思ってるんだけど、自分の中で彼に対する行為があったような気もするシーンとか。
あと過去すごいエロ同人誌みたいなの作られたりしてるんだけど、そういうのもおばあちゃんになった後、いい思い出ねみたいなことを言ってスクラップブックにしたりしてるんだよね。
ロール・シャッハーも過去に母親の関係でトラウマを負ってたり、さっきの事件とかで色々あったんだけど、それでも彼は彼のまま生きていく。
だから、そういう色んなことあるけど、人生は終わらないというか、なんやかんやって続いていくんだなっていう。
ドクター・マンハッタンも言ってますもんね。何事にも終わりなどありはしない。
最後のシーンで。名言ですよね。
名言ですね。
36:00
この無意味な世界で我々は意味づけ続けなくちゃいけないということなんですね。
そういうお話だったんですね、これね。
はい、というわけでウォッチメンでした。
全然話せてなくない?
もうね、申し訳ないね。
確かにこのページ数が多いっていうのはあるよね。
ある。
400ページ以上あります。
結構あるからね。
にしたってね、全然語られてない。
ミミッツメンの話とかね。
ミミッツメン、過去のスーパーヒーローチームの話ですけど、一切知らないですね。
一切触れられてないしね。
ウォッチメンね、この見張りっていうのと、時計がかかってるわけなんだけど。
かかってる。
この話も全然できてないですね。
全然できてないですね。
他にも結構好きなエピソードとかあるんだけど。
ナイトオウルとかね、全然掘り下げられませんでしたね。
ナイトオウルね。
いいキャラしてるんですけどね。
彼EDになってるんですよね。
ヒーローコスチュームを聞いた時だけエレクトするっていう。
豪華深いキャラクターですね。
あと、オジマンディアスが素手で弾丸キャッチするシーンとかね。
でもあれだね。また話したくなったらまたやればいいんだもんね。
そうだね。人生は続くし。
何事にも最後などありはしないんだからね。
ということで、名残惜しい。
名残惜しい。もっと喋りたいとこですが。
また次回ということで。
次回にやりましょう。
今日はありがとうございました。
また次回。さよなら。
スーパーマンの回でオッチメン重いから、最初このスーパーマンから手取ってほしいみたいな話してたじゃん。
でもさ、オッチメンとりあえず読んでほしいな。
確かにね。
いいから一回読んでみ。
黙って読めよってことで。
アメコミ何がいいっていうさ、アメコミに対する興味があるんだったらさ、オッチメン。
なるほどね。アメコミを読みたいと。
こっちからプレゼンするんじゃなくて、向こうに頼まれたときに何を渡すか。
じゃあオッチメンだね。
アメコミ好きになってもらいたかったらスーパーマンとか。
確かにね。
読みやすげな。
ボリュームあったね。
またやろう。
38:43

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