1. 絶望カフカの何者かになりたいラジオ
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2026-02-23 15:57

#207 わたしたちが光の速さで進めないなら

#わたしたちが光の速さで進めないなら
#キム・チョヨプ
#旅行
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サマリー

このラジオでは、筆者が広島・岡山・香川への旅行中に読んだキム・チョヨプ著のSF短編小説集『わたしたちが光の速さで進めないなら』について語られています。特に表題作のあらすじと感想が中心です。物語は、遠い惑星スレンフォニアに移住した夫と息子に会うため、170歳になった祖母が宇宙ステーションを訪れる話です。彼女はコールドスリープ技術を開発し、長年の時間をかけて旅を続けていました。筆者は、孤独から逃れたいという祖母の強い意志や、物理的な移動の困難さと人間の心の移動の対比に深い感銘を受けています。

オープニングと旅行の報告
絶望カフカの何者かになりたいラジオ、この番組は元アスリートのカフカが日々の絶望と些細なヒントをお送りするラジオです。
さて、久しぶりの配信になってしまいました。
えーと、資格試験が終わって、まあやや心が疲れてしまいまして、ちょっと燃え尽きた、しまった感じがありまして、
えーと、しばらく休養を経て、またスタイフ更新していけたらいいなっていうふうに思っています。
それはそうと、昨日までですね、また僕は旅に出てまして、
えーと、それが広島と岡山と香川に行ってきました。
まあその旅の話をしようかなとも思ったんですが、
旅先で読んだ本の話を今回はしていきたいと思います。
紹介する本について
それが早川書房が出ている、キムチョヨプさんが書かれた、
私たちが光の速さで進めないなら、というSFの短編小説集ですね。
いくつかの短編がこの本には収録されているんですけれども、
タイトルの私たちが光の速さで進めないなら、この短編がね、すごく良かったんです。
なので今回はこの短編について、簡単なあらすじと僕が思ったことを紹介していけたらいいなと思っています。
どうしてもネタバレしたくないという方は、この回はスキップいただければと思っています。
短編「わたしたちが光の速さで進めないなら」あらすじ
それでは、私たちが光の速さで進めないなら、簡単にあらすじをご紹介していきます。
時系列としては、現代からかなり先の未来の話ですね。
人類は何らかの理由によって、地球を離れて住むという選択を取るようになっていきました。
地球にも人類は残っているんですが、他の惑星に移住をしているような時代ですね。
そして主人公であるおばあさんが、ある宇宙ステーションに現れます。
彼女は彼女の夫と息子に会いに宇宙ステーションに訪れたんですね。
夫と息子がいるのはスレンフォニアという地球から遠く離れた惑星です。
話は戻るんですが、人類が他の惑星、人類が住めるような惑星というのが、
太陽系からかなり遠く離れた宇宙にあるということがわかっているんです。
だから普通であれば、宇宙船の速度に比例して時間がかかって、
かなりの時間を要する、そして移動ができるということがわかっているんですが、
人類はワープ工法という、工法の工は巡航の工ですね。
ワープ工法という技術を編み出して、宇宙船は本来光の速さで進めないのですか。
宇宙船の周りの空間をねじ曲げることによって、光の速さで進むことができる。
そしてそのスレンフォニアという惑星に、かなりの速さで進むことができるという技術を編み出しました。
とはいえそれによっても数年かかるという旅路になっています。
おばあさんはそれを求めてこの宇宙ステンションにやってきたんですね。
そこから話は急展開します。
その宇宙ステンションにある男が、スレンフォニア行きの宇宙船は100年前にもうなくなっていますよとおばあさんに告げるんですね。
あなたにはそれがわかっているはずだとも言うんですね。
なんでおばあさんは100年前にスレンフォニア行きの宇宙船が途絶えているのにも関わらずそこを行きたいと思ってその場所にいるのか。
そこから話がまた展開して、
おばあさんは実はコールドスリープと言って人間を冷凍保存する技術を発明した技術家、技術者であることがわかります。
そのコールドスリープの開発者だからこそ、彼女は自身の肉体を眠らせて何十年という時間を超えてその宇宙ステンションにやってきたんですね。
つまり地球の時間は流れている中で、おばあさんの肉体だけは冷凍保存するようなことをしていったんです。
おばあさんはなんでそんなことをしたのか。
その理由が彼女自ら語られるんですが、なぜかというと、実はこのスレンフォニア行きのワープというのが打ち切られるということがわかって、
でも彼女はそのコールドスリープの開発の途中だったんですね、その時。
どうしてもこれだけはやり遂げたいと思って、そのスレンフォニア行きのワープを少し見送っていたら本当に打ち切られてしまって、その宇宙船がなくなってしまった。
でも政府はそんな行き遅れた人たちに対して救済の手を差し伸べるんです。
それが時々スレンフォニア行きの宇宙船を人数限定で、その宇宙船に乗れる人は限られてますから。
人数限定で行ってもらうと。
そんな内容だったんですね。
で、おばあさんは自分の番が来るまでずっと待っていたんです。
10年、20年、30年。
そして100年の時間が経ってしまった。
彼女はすでに170歳になっていました。
実は他の惑星に行く方法というのがもう一つありまして。
それがワームホールという、ワープとは違う方法なんですけれども、スレンフォニアへ通じるワームホールは残念ながら存在しなかったんですね。
そこから先、話は展開して、おばあさんがスレンフォニアに行けるのか行けないのか。
そのクライマックスまでは話さないでおくんですけれども、
祖母の行動原理と筆者の考察
それでもなお、おばあさんはスレンフォニアに行きたかった、その思いというのが静かに語られていくんですよね。
何かこう、感情的になる場面もあるんだけれども、淡々とその世界が描かれている。
その世界観が僕はとても好きだなというふうに思いました。
それにこのおばあさんというのは今170歳です。
当然夫も息子も生きていない可能性が高いですよね。
あるいはスレンフォニアでもコールドスリープの技術があれば生きているかもしれませんが、
彼らがそこまでして生き延びる理由があまりない。
そして今スレンフォニア行きの宇宙船がない中で到着できる保証もないし、
到着する前におばあさんは死んでしまうかもしれない。
それでも彼女はその宇宙船に乗りたいって思ったんです。
何かそれは自分の中で欲しいものがその惑星にはあるんだと思ったからだと思うんですよね。
彼女は言うんです。
夫や息子に会えないかもしれない。
でも彼らが見た景色を私も見たいんですっていうふうに言って、
その宇宙ステーションの男に説得をしていくんです。
何かこうロジカルな部分を超えて孤独から逃れたい。
今自分が求めている場所、地球ではない、ここではない、
スレンフォニアという惑星に行きたい。
何かその孤独から逃れるという部分において、
僕は人はそこまで熱意というか、
170年ですからね。
そこまでのことをするんだなというふうに人として興味深く。
人って面白いなというふうにどこか思ったし、
どこか共感する自分がいるということに
何か興味深いしさがあるなというふうに思ったんですよね。
タイトルの意味と祖母の言葉
これはこのタイトルにある
私たちが光の速さで進めないなら、
これは比喩でも何でもなくて、
本当に物理的に光の速さで進めないなら
時空をねじ曲げてワープをして
惑星にたどり着けばいいんだってそういう意味でもあり、
私たちが光の速さで進めない、
それは分かっているんだけれども、
それでもおばあさんは今ここではない、
孤独ではない場所に進むんだっていう
そのダブルスタンダードというか
意味が込められているんじゃないかなって
僕は思いました。
最後にその宇宙ステーションの男性にですね、
おばあさんが言った言葉というのを
紹介していきたいなと思っています。
この文章がねとても好きなんです。
別れというのは昔はこんな意味じゃなかった。
少なくともかつては同じ空の下にいたからね。
同じ惑星で同じ大気を分かち合っていた。
だけど今では同じ惑星は愚か、
同じ宇宙ですらない。
私の事情を知る人たちは数十年もの間
私を訪ねてきては慰めの言葉をかけてくれたよ。
それでもあなたたちは同じ宇宙に存在しているのだと。
それはせめてもの救いではないかとね。
でも私たちが光の速さで進めないのなら
同じ宇宙にいるということに一体何の意味があるだろう。
私たちがいくら宇宙を開拓して
人類の外縁をおしろげていったとしても
そこにいつもこうして取り残される人々が
新たに生まれるのだとしたら
そこで男は言います。
そうやって時間を稼ごうとしても無駄ですよ。
最後におばあさんはこんなふうに言います。
私たちは宇宙に存在する孤独の僧侶を
どんどん増やしていくだけなんじゃないか。
出発させておくれ。
とおばあさんは言うんですよね。
なんかこのSFの
とてもいいところが詰まっている文章だなって
個人的には思っています。
エンディング
はい、というわけで今回は
キムチョーヨプさんの
私たちが光の速さで進めないなら
という短編小説についてお話をしてきました。
最後までお聞きくださりありがとうございました。
ではまた。
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