現在の日本のポップアイドルシーンはあまりにもカオスに急加速しており、この歪な肥大化は、未来へ向けた発展と、文明の退廃、そのどちらの気配をも感じさせます。
以前から我々は「アイドルを語ることは、社会を語ることである」という姿勢を表明してきました。今まさに時代の転換点とも言うべきこの状況をきちんと捉えるためには、個々のグループを点や数値で追うだけではもちろん足りません。あらゆる界隈をまたぐ横断性と網羅性、そしてなにより、時代の少し先を読む「勘」が必要不可欠です。
というわけで今回は、TOKYO IDOL FESTIVALと、EBiDAN「Yes!東京」について話します。「FRUITS ZIPPERだ〜、イコラブだ〜と言いながら、今度はiLiFE!かよ。そのうえEBiDANまで行くのかよ」と思うかもしれません。しかし、とどまることを知らない時間の中で、いくつもの移りゆく街並みを眺めていかなければならない。一見まったく別の場所で起きている出来事を、同じ「東京」のポップカルチャーとして並べてみることで、初めて見えてくる景色もあります。
巨大化し続けるアイドルフェス、グループの垣根を越えて立ち上がる「ブランド全体曲」、細分化されながら奇妙な場所で接続していくファンダム。そして、「いま東京でポップアイドルを見る」とはいったい何を見ることなのか。
これは非常に困難で複雑な作業です。生半可な理解やPV欲しさだけでこの領域に踏み込めば、たちまちポップという複雑で巨大な濁流に飲み込まれ、あっという間に瀕死となるでしょう。データをAIにぶち込んでよくわからない図表を作ったり、インタビュー記事をAIで要約したポストでviewを稼いだりするだけでは、決して「ほんとう」を掴むことはできません。厄介なのは、ほんとうではないものほど、しばしば「ほんとう」らしい顔をして近づいてくること。
TIFからEBiDANまで。東京という街で同時多発的に起きているポップの異変を、今回もできる限り広く、そして勘を頼りに観測します。
お気づきの通り、誰か一人の言葉を頼りにして済む時代はとうに過ぎました。どうか皆さん、おのおののスタイルで考え続けてください。健闘を祈ります。
※本編内で「FRUITS ZIPPERの"りのまる"」と発言していますが、正しくは「CANDY TUNEの"りのまる"(福山梨乃)」です。
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