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2026/05/11 湧き水のほとり #115 村山壽子「みみず先生の話」
2026-05-16 10:59

2026/05/11 湧き水のほとり #115 村山壽子「みみず先生の話」

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サマリー

この放送では、児童文学作家・村山壽子の「みみず先生の歌」が朗読されます。村山壽子は明治36年生まれで、自由学園の第一期生として学び、記者や童話作家として活躍しました。短い生涯ながらもユーモアあふれる作品を多く残しました。物語では、みみずが自身の生態や働きについて語り、土壌改良の重要性や、仲間との平等な暮らしについてユーモラスに描いています。

番組紹介と作者紹介
湧き水のほとり。
エフエム八ヶ岳をお聞きのみなさん。
各種インターネットからお聞きのみなさん。
ごきげんいかがですか。開運小天です。
ここからの15分間は、聞く読書の番組、
湧き水のほとりの時間です。
児童文学や、昔懐かしい物語、
さまざまな文豪の短編などを、
少しずつ読ませていただきます。
おいしいお水を召し上がりながら、
ひと息ついてくださいね。
本日は、村山壽子の作品、
「みみず先生の歌」をお届けします。
作者の村山壽子は、1903年、明治36年、
11月7日、香川県で生まれました。
実家は、当時全国に名の知れた、
漢方薬屋さんだったそうで、
地元の女学校を卒業した後は、
後に小野陽子や坂本隆一を輩出した、
東京都に本部を置く、
学校法人自由学園高等科の
第一期生として入学しました。
卒業後は、婦人の友者で記者として活躍し、
その頃から子どもの友という雑誌へ、
童話を発表し始めます。
戦中戦後、そして病気と戦い、
昭和21年、43歳でお亡くなりになるまで、
大変ご苦労の多い人生だったようですが、
ユーモアとウィットにあふれた
童話を数多く残しました。
それではどうぞ。
「みみず先生の歌」朗読
村山和子作
ミミズ先生の歌
僕の名前はミミズ。
決してメメズなんて名前じゃない。
僕はメメズと呼ばれると、
いつでもこの長い体が半分ぐらいに
縮まってしまうのだ。
僕は土の中に住んでいる。
朝から晩までせっせと働いているのだ。
何をしているのか?
土を耕しているんだ。
何で?
僕はひっきりなしに土を食べるんだ。
土の中には僕たちの体を養う
需要物があるからだ。
夜になると体にたまった糞を出しに
土の上へ這い出すんだ。
僕の体を通って外に出た土は、
粉のように細かい土なのだ。
こうして僕は土を耕しているのだ。
僕はお百姓さんの味方で助手なんだ。
土の上へ這い出したついでに、
僕はビタミンA、B、Cに
飛んだかどうだか知らないが、
落ち葉と青草を食うのだ。
僕たちは愉快だ。
けれども土が乾くとすっかり元気がなくなって
土の中でまんまるく縮こまっている。
冬の間は僕たちは土の底に潜り込んで
春の来るのをじっと待っているんだ。
雨の日などに僕たちが土の上で
ゴロゴロしているのを見て、
雨に打たれて叩き出されたと思っている人がある。
けれどもそれは認識不足というものだ。
雨で湿って土が柔らかくなると、
僕たちは自由に土を掘り返すことができるので、
大急ぎで新しいところへ引っ越していくのだ。
僕たちは一刻もじっとしていない。
次から次へと新しいところへ移っていく。
君たちが次から次へと新しいことを考えるように、
僕の体は人間とはずいぶん違っている。
僕は百四十の丸い節がつながっているのっぺら棒だ。
頭のほうは少し大きく、
尾のほうは少し平になっている。
僕には足がない。
目もなければ耳もない。
角もない。
けれど僕の触覚は大したものなのだ。
なぜと言って、
僕はそれで明るいところと暗いところの見分けがつくからだ。
僕はこんにゃくのごとく骨なしだ。
そしてこんにゃくのごとく弾力がある。
だからこそ、
僕は足がなくても体を伸縮させて這うことができるのだ。
僕は体の中にいろいろ立派な内臓を持っている。
第一番に食ったものを消化する器官。
そこには食堂があり、
餌袋があり、
砂袋があり、
腸がある。
一つの節ごとに左右に腎臓がついている。
体中には血管があり、
それを循環している血は、
君たちと同じ赤い血だ。
動物学者はこういうのだ。
ミミズの脳には少ししか脳みそが入っていない。
それはデマだと言いたいのだが、
残念ながら本当だ。
そのかわりには、
僕はいかなるテロを加えられようとも、
決して痛くはない英雄である。
靴で蹴っ飛ばされても、
煙草の火で焼かれても、
サーベルでぶっ切られても、
暴虐の嵐深は吹け、
僕の体はまた新しく伸びていく。
我ながら人物だと思っているが、
僕は男であって、
しかも女である。
だから僕は、
私は卵を産む。
卵は顕微鏡で見るべき大きさだ。
一昼夜か二昼夜のうちに十二ぐらい産む。
十四日目に小さいミミズが、
卵の中から出てくるのだ。
諸君、ミミズは卵から産まれるんだよ。
小さな小さなミミズの子。
大きさは一インチの八分の一。
それで大人になるには、
一年か二年はかかるのだ。
あったく虫にしちゃ時間がかかりすぎるよ。
犬だって猫だって一年たてば大人になるんだ。
だが僕たちはいつも楽しく暮らしている。
なぜと言って、
僕たちには地主や子作人なんていうものがないからだ。
生きている限り、
誰でも同じように食うことができ、
住むことができるんだ。
そして、もっとたくさん脳みそさえありゃ、
学校へ行けるんだ。
発出は1932年、昭和7年、
働く婦人、4月号より、
村山和子作、ミミズ先生の歌でした。
エンディング
お聞きいただきありがとうございました。
番組では皆様からのリクエストや感想をお待ちしております。
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お送りしましたのは開運商店でした。
この後もFM八ヶ岳でお楽しみください。
本日もいい塩梅に過ごせますように。
またお会いしましょう。
10:59

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