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2026-02-27 14:30

2026/01/06 湧き水のほとり #97 「三百年後」

00:12
湧き水のほとり エフエム八ヶ岳をお聞きのみなさん、
各種インターネットからお聞きのみなさん、 ご機嫌いかがですか。
開運商店です。 ここからの15分間は、聞く読書の番組、
湧き水のほとりの時間です。 児童文学や昔懐かしい物語、
さまざまな文豪の短編などを、 少しずつ読ませていただきます。
美味しいお水を召し上がりながら、 一息ついてくださいね。
明けましておめでとうございます。
2026年、令和8年は、知的好奇心もますます末広がりに広まっていく1年としていきたいと思っています。
今年もよろしくお願いいたします。
本日は、小倉勤之助の随筆、
三百年後を読んでいきます。 小倉勤之助は、1885年明治18年、
山形県坂田市にて、大きな海鮮丼屋の長男として生まれ、
科学者になりたい夢を諦めざるを得ず、 家業に尽きながら数学の研究を始め、
大学を卒業していないにもかかわらず、 東北帝国大学の数学の助手、
後に教授となり、多くの著書を出版し、
特に子どもへの数学教育方法について、 文部省を動かすほどの改良に貢献しました。
本人が海鮮丼屋をしていたからこそ成し得た、 世界各国からの貴重な書籍の収集は、
早稲田大学図書館に収められ、 小倉文庫として設置されています。
その小倉勤之助が55歳の時に書いた 随筆を読んでいきましょう。
どうぞ。
03:00
小倉勤之助作
三百年後、老朽に入ると、 若い自分のような楽しみがだんだんとなくなってくる。
ことに、近頃のご時世では、 食べ物もだいぶまずくなったように思われるし、
白米にも別れを告げたし、 今にお酒もろくに飲めない時が来るかもしれない。
ただいまでは、私の楽しみといえば、 古本いじりと決まってしまった。
このごろの寒さでも、 天気のいい日に日当たりのよい廊下で、
三百年も以前の和本や東本や洋書などを 手当たり次第に取り上げて、
いいかげんのところから読み始める楽しみは、 およそ何物にもかえがたいものがある。
妙なもので書物も三百年ぐらいの年をとると、 私にはただなつかしいのだ。
よくも今まで生きていて、そしてよくも 貧しい私の懐に飛び込んで来てくれたものだ。
そういう感謝の気分にもなるし、
時にはまた、本当にこの世でお目にかかれて よかったというような三百年前の恋人とのめぐりあい、
どうかするとそんな気分にもなることがあるのである。
しかし何か仕事をしなければ書物も買えないような身分の私は、
いつまでもそんな糖水気分に浸っているわけにはいかない。
やがてその気分からさめると、
今度は急に内容の検討、価値批判の精神で頭がいっぱいになってくる。
三百年前の書物というのも、私にとってはお楽しみに読むのではなく、
実は仕事のための資料なのだった。
批判することは批判されるよりも苦しいのだが、
しかしその苦しい批判を外にして、 どこに学問の歴史があり得るだろう。
ところが世の中には批判されるのをひどく嫌がる学者があるらしいが、
私から言わせると、そんな先生は一日も早く廃業するに限ると思う。
こう言うと、いや真面目な立派な仕事をするからこそ批判の的になるのである。
06:01
だから批判を免れるつもりなら、箸にも棒にもかからぬような、
誰も相手にしないようなつまらぬ仕事ばかりやればよいではないか、
と皮肉な連中がにやにや答えるかもしれない。
なるほどそれは一理がある。けれども私にかかってはそれでもだめなのだ。
私は立派なものを批判すると同時に、つまらないものをも批判するつもりなのだ。
立派な作品がその時代を代表するなら、 具作もまたその時代を代表する権利を持っている。
具作の意味を認め得ないような歴史家は片目しか持たないのだと思う。
ところで私は遺憾なことに預言者ではないのだから、
三百年後のことは見当もつきかねるが、
しかし三百年後の我が日本は文運もそういっそう流々として栄えることと想像される。
そうするとその頃になっても私と同じような根性の人間がまた生まれないとは限らないのである。
そこで今のうちに出版屋さんに告げておきたい。
もし皆さんが三百年の後に、
昭和時代の学問は皆非実に立派なものばかりであったと言われたいなら、
今日以後つまらない本を馬行家にして保存のできない質の紙に印刷するがよい。
これに反して立派な本は廉価にして永久性ある紙質を用うべきである。
これがこの年になってやっと悟り得た一つの教訓である。
昭和十四年十二月十一日。
発出は岩波書店、図書。
1940年、昭和十五年一月号より、小倉金之介、三百年後でした。
09:14
昭和十六年十一日。
昭和十七年十一日。
昭和十八年十一日。
昭和十九年十一日。
昭和十八年十一日。
昭和十九年十一日。
昭和十九年十一日。
12:47
昭和十九年十一日。
昭和十九年十一日。
昭和十九年十一日。
日陰の勇気。
堀米隆一の歌で、冬来た苦葉でした。
お聴き頂きありがとうございました。
番組では皆様からのリクエストや感想をお待ちしております。
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お送りしましたのは、開運商店でした。この後もFM八ヶ岳でお楽しみください。
本日もいい塩梅に過ごせますように。またお会いしましょう。
14:30

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