FJクルーザーとのドライブ
長い長いトンネルを抜けて、
トンネルを抜けたら、そこは雨だ。
雨が降っている。ガラコが効いている。
こないだ洗車した時のガラコが効いている。
ガラコが効いているので、ワイパーを止めてみる。
この速さだったら水をはじく。
ワイパー要らず。
FJクルーザーと並走しております。
小さい小さい軽自動車が、FJクルーザーと張っている。
ガラコが効いている。
前に輪ゴンがある。
鈴木の輪ゴンがある。
白い輪ゴンがある。
抜き去ろうとするために、右車線へ移動。
右車線へ移動。FJクルーザーの後ろ。
紺色か黒色か、見分けがつかない。
見分けがつかない。多分黒。
メガネに青色が入っているから、大体青く見える。
FJクルーザーの鈴木が前進にかかる。
左車線に移動。
FJクルーザーの横に並ばない。
こいつは本当にずっと右車線を走っている。
京都ナンバー、京都ナンバー。
京都ナンバーは京都しかない。
他の多府県は、一つの都道府県にいくつかの地名が書かれていることはあるけど。
京都のナンバープレートは京都しかない。
京都しかない。これトリビア。
ナンバープレートは読み上げないけど。
FJクルーザーが、天井が、トップが白、ボディが黒。
2トーンカラーのFJクルーザー。
前に、これはグランティスという名前だったかな。
何という名前だったか忘れた。
車両グランティス。
抜くために右車線移動。
トンネルに入っている。
トンネルに入っている。
グランティスであってたかな。
この車ちょっと忘れた。
トンネルをくぐれば。
トンネルをくぐれば。
そこは何と。
さっきも降ってたから。
鈴木の雨。
もう一回トンネルに入る。
もう一回トンネルに入る。
トンネルを抜ければ。
トンネルを抜ければ。
そこは。
やっぱり雨を見せる。
知ってる。
しぶきがかかる。
右車線を走るFJクルーザー。
こいつはいつまでだっても右車線しか走らない。
さっき後ろから超高速な車が
違法の速さで走ってきた車が
FJクルーザーを抜かすために
一回左車線へ行って
それから右車線へもう一回戻って走り去っていった。
なのにFJクルーザーは一向に右車線から抜かない。
まるで王座。
別れの瞬間
まるで王座かのように。
我が王様かのように右車線を走っている。
トンネルに入る。
トンネルに入る。
トンネルに入ると雨のしぶきがかからない。
ここで一回ワイパーを押しよう。
一発で。
一発で。
雨が。
視界は良好。
FJクルーザーが平走。
ちょっと右斜め45度前にいる。
おっと後ろから早い車が来ている。
我と右のFJクルーザーの間は車間距離そのさ10メートル。
後ろから来た早い車は一回左車線に来ることを
ためらう。
そりゃそうだ。この車間距離で左に行くのは
俺が危ない。
俺が危ないから。
おっとそれでも行くよ。
FJクルーザーがいざどいた。
王座陥落。
FJクルーザーが左車線に。
これは屈辱。
そして抜いていった赤い車。
何かわからなかったがFJクルーザーを抜き去った後
左車線に。
左車線に寄ったFJクルーザーは俺の前。
傷ついたFJクルーザーは俺の前を走っている。
そしてトンネルを抜けるとまた雨が降っている。
この雨に打たれているFJクルーザー。
FJクルーザーの涙か雨かわからないしぶきが
この俺にかかっている。
FJクルーザーは何を思う?
この左車線を走っているFJクルーザーは一体何を思う?
つらすぎる。つらすぎる。
もう一度右車線を走ってくれFJクルーザー。
どうだ?どんな気持ちだ?
どんな気持ちだ?
今俺が右車線を走ってお前を抜き去ろうとする。
そうしたらお前は何を思う?
FJクルーザーお前は何を思う?
いいのか?それで。
左車線を走るFJクルーザー。
お前はいいのか?それで。
そうだ。右車線を走ってくれ。
そのまま行くのか?
俺は左に逸れて出口に出る。
出口に出るFJクルーザー。
さらば。さらばだ。さらばだFJクルーザー。
20キロのEDCゲートを40キロで走り去る。
いいのか?高速を降りる。
お前は頑張って走れFJクルーザー。
いざさらば。お前と出会えてよかった。
何とかお前はこのまま走ってくれ。
めちゃくちゃ減速して丁寧に右車線に入る。
そして赤信号を止まるFJクルーザー。
俺はお前を何かわからないけど
俺はお前を誇りに思う。さらばだ。