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仮釈放中の性犯罪者にGPS 実証実験へ
2026-09-14 12:26

仮釈放中の性犯罪者にGPS 実証実験へ

日替わりコメンテーターによる解説で、きょうのニュースを深く理解する『BRUSH UP』毎週月曜日は、法学者・谷口真由美さんです。

田畑竜介
Groooooow Up

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サマリー

法務省は仮釈放中の性犯罪者に対し、GPS機器の所持を義務付ける実証実験を検討している。しかし、同意に基づく実験は実質的な義務となり、GPS機器では行動の意図を判断できず、再犯防止効果は限定的であると指摘されている。韓国や欧州諸国の事例と比較し、日本の案は対象者や監視の方向性が逆であり、満期出所者への介入や治療との併用が重要であると論じている。

GPS実証実験の概要と問題提起
この時間は、日替わりコメンテーターによる解説で、日々のニュースを掘り下げるブラッシュアップ。 月曜日は、法学者の谷口真由美さんです。谷口さん、おはようございます。
おはようございます。
さて、谷口さん、今日はどんな話題でしょうか。
はい、今日は先日報じられた、性犯罪者への位置情報、GPSの装着というかですね、それについてお話ししたいと思います。
はい。
法務省が仮釈放中の性犯罪者の方にですね、GPSのついた機械を所持してもらう実証実験を、再来年度にも始める方針を固めたというのがあって、
このニュースを聞いて、私が最初に感じたのは、これは予防なのか、後から動かすための防犯カメラみたいなものか、どっちなんだろう、みたいな感じだったんです。
だから予防か、事故かですね、やったことに対してかっていう視点でちょっとお付き合いいただけたらなと思うんですけども、まず事実の整理なんですけど、対象になるのは仮釈放中の人、それから保護観察付き執行猶予判決を受けた人です。
しかもその中で、本人が同意した人だけが対象です。
機械は、韓国は実はですね、足首につける足輪、外せないやつなんですけども、日本でやろうとしているのは、カバンとかポケットに入れて持つ、いわゆる所持型です。
装着型ではなく、持ち運びできる所持型ですね。
例えば夜中に外をうろついてるとか、以前やった犯行の場所に近づくといった、再犯の兆候が見えたら保護観察官が読んで指導するということになっていて、
効果があれば将来は義務化とか対象の拡大も検討するというのが今回の案です。
ここだけ読むと、まあまあそういうこともあっていいんじゃないですか。同意した人だけ持つだけだしっていうので、思われる方も多いかもしれないんですけど、ちょっといくつか引っかかることがあります。
「同意」の実質と実験設計の課題
一つ目は同意というものについてです。
仮釈放中の人っていうのは、そもそも刑務所から出してもらってるという意味なんですよね。
で、遵守事項を破れば仮釈放が取り消されて刑務所に戻るということもあり得るわけですね。
そんな立場の人がこのGPS持つことに同意しますかって言われたら断られるかっていうと、自由な同意っていうのはちょっととても言えないかなと思うんですね。
つまりやっぱり引き換え条件というか、出るための条件として同意させられるとしたら、これ同意の形をした実質的な義務だというふうに言ってもいいと思うんです。
そうですね。強制に見えますね。
そうですよね。しかも今回の実験はどっちかというと、真面目に公正しようと思っている人みたいな方が参加すると思ってください。
で、性犯罪をもう一回やろうと思っている、企んでるような人はそもそも同意なんてしないので。
だからこの実験は効果というものは、どう転んでもGPSは効かなかったとも効いたとも証明できない設計になってるんですね。
なるほど。
GPS機器の限界と海外事例の検証
で、GPSって皆さんも携帯とかについてたりとかするので、例えばお子さんの居場所とか、自分の地図の位置とかね、今どこにいるんだろうみたいなので使われると思うんですけど、
このGPSで何がわかるかっていうと、どこにいてたかだけなんですよね。何をしたかわかんないんです。
そうですね。
はい。で、例えば夜、公園に若い女性が一人でいてて、その公園の近くに性犯罪歴のある人がいたら警察動きますかっていう話なんです。
そしたらどこから動くのかっていうのも、例えば性犯罪歴があったとしても散歩してるとかリラックスしてるとか、それかまた罪を犯そうとしてるのか、GPSでは区別がつかないわけですね。
電車だってそうで、乗っただけで、例えば痴漢の疑いって持てないですよね。
なのでGPSっていう道具は犯行の場所っていうもの、場は教えても行為は教えてくれないんですよ。
はい。つまりGPSって基本的に犯行があった後にそれを裏付けるためのもの、防犯カメラみたいなものになりがちです。カメラついてないですけどね。
実際海外の研究者もGPSっていうのは逃亡とか居場所の違反を見つけるのには役に立つけれども、性犯罪そのものを減らしたいという確かな証拠っていうのはなかなか出せないというふうに言っています。
ここでよく引き合いに出されるのが実は韓国の話なんですけど、韓国は2008年からさっき言った取り外しができないGPSの足輪の制度をやっています。
韓国法務省の発表では、性犯罪の再犯率が14%台から1.7%、およそ9分の1に減ったという花々しい数字が出ています。
でもちょっと待っていただきたいのが、この数字そのまま鵜呑みにできないんですね。
韓国の足輪って裁判所が再犯の恐れが特に高いと認められた人にだけ付けられてるんです。
だから付けられる前の人たちと付けられた、厳選された人たちを単純に比べてるってことですね。
だから同じ時期に韓国では刑罰の引き締めっていうか引き上げっていうか、それから身元の公開、薬物治療の義務化、警察の強化っていうのが全部同時に進んだんです。
だから足輪の効果と言われてる数字はその全部が混ざったもので、韓国の研究者は偏りのない研究がまだないということを認めてるんですね。
さらにちょっと怖い話として、2021年に足輪を切断した男がその前後で女性2人を殺害した事件がありました。韓国で。
だからいくら堅牢な足輪でも、切断しようと思ったらできるんですね。
なので足輪というのをつけてることと、足輪の情報がちゃんと抑止に使われてるかっていうと、別の問題じゃないかと言われています。
欧州諸国のGPS導入事例と日本の案の比較
そうなんですね。例えば他のヨーロッパの国でどうかっていうと、イギリス政府がつい先月ですね、大きな発表したんですけど、
レープと児童性犯罪の加害者は、刑期を満了して出た後も少なくとも1年間、GPSのタグを義務付けるというものを発表しました。
これ注目すべきは刑期満了後なんですね。だから日本で言うと満期出所、つまり保護観察がつかずに誰の監督もなく社会に出るという、性犯罪で言うと再犯率が高いと言われているので、
いわゆる危険因子のある人たちだけにGPSを貸すというのがイギリスです。
一方ドイツでは2011年からGPS足場を高リスクと評価された出生者に限って使っていると。
だからやっぱり監視の重さと危険の度合いが釣り合ってなかったら許されないというのがドイツの基準ですね。
なので日本の今回の案というのはこの2つ実は真逆のとこに立っているというふうに言えます。
対象は同意した人で、一番再犯率が高いと言われている満期出所者が対象外ということですね。
だから網を張る方向がどうも逆なんじゃないかというのが今の日本の案です。
日本の制度の穴と再犯防止策の提言
最後にですねちょっと言いたいのが日本のやっぱり先言いましたけど性犯罪で一番再犯リスクが高いのは
累犯ですね何回もやっている満期出所者です。
刑務所を出る人には2通りあって仮釈放されて保護観察がつく人と刑期を終えて出る満期出所者で、
満期出所者には今の制度では誰も介入できないんですね。
だからGPSの話をしている場合ではなくてそもそも監督すらついてない人たちっていうのがいてるっていうことですね。
ここに制度の穴があってどんなにGPSを監視してもそれだけでは加害者の心の問題とか認知の歪みとか
衝動のコントロールが治らないと言われていて、今医療の現場で性犯罪者を治療してきた医療者の方とかは
加害者の再犯の2大要因、2大トリガーは孤立と社会的排除だと言われています。
だからやっぱり監視で人を社会から切り離して偏見で追い詰めたら
むしろ再犯の引き金を引くことになりかねないということで
再犯防止のために何か手を打とうという気持ちはよくわかるんですけども
そして被害者とその家族のことを思うと放置はしてられない。
だからGPS反対というわけではなくてGPSつければ安心っていう幻想が一番危ないと思ってるんです。
だから監視は出生直後の高リスクの人に治療とセットで限定してつけてもらいたいと思います。
ゼロのまま放置されている満期出生者の介入ですね。
こここそ先に手をつけるとこなんじゃないかなというふうに思う次第です。
まとめと今後の展望
今日はその仮釈放中の性犯罪者にGPS実証実験へというニュースについて解説していただきました。
谷口さんありがとうございました。
ありがとうございました。
12:26

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