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2024-09-30 11:51

ひな形をもとに意見を述べる | パターンで学ぶ議論の仕方 3

1 Mention

レクチャーシリーズ「パターンで学ぶ議論の仕方」(全8回)は,議論の仕方を少しずつ学び,充実した議論を行うためのスキルを高めることを目的としています。その第3回となるこのエピソード「ひな形をもとに意見を述べる」では,具体的な意見の述べ方を様々なひな形をもとに解説しています。

なお,このエピソードは,私(たな)が大学の授業で使っている講義ビデオ「議論を深める意見(応答)の書き方〜ひな形をもとに〜」をもとに作成しました。したがって,「このビデオ」といった言い方が出てきます。ビデオでは,スライドを示しながら説明していますので,そのスライドを下に掲載します。文字起こし欄に,そこで参照してほしいスライドの番号を【スライド1】などと記載していますので,必要に応じて参照してください。

また,講義ビデオ自体も下に掲載していますので,必要に応じて参照してください。

スライド

スライド1

スライド2

スライド3

スライド4

スライド5

スライド6

講義ビデオ

ひな形(再掲)

ビデオに登場したひな形の部分を以下に整理して再掲します。

They Say(他人の意見の紹介)の書き方

  • ○○さんは,私の要約によれば,・・・と述べています。
  • ○○さんは,「・・(引用)・・」と述べています。つまり,・・・だと主張しています。
  • ○○さんは,次のように述べています。すなわち,・・・と。

I Say(自分の意見=応答)の書き方

  • 私はこの意見に同意します。
  • 私はこの意見に一部同意します。
  • 私はこの意見に同意しません。

理由の書き方

  • なぜならば,・・・だからです。
  • ただし,その理由は・・・だからということではなく,・・・だからです。

同意する部分と同意しない部分の書き方

  • 確かに,・・・だと思います。しかし,・・・。

反論を想定して,あらかじめ再反論しておく

  • 確かに,この意見には,・・・のような反論をする人がいるかもしれません。しかし,私はそのような反論には同意できません。なぜならば,・・・だからです。

参考文献

They Say / I Sayのパターンについては,次の文献を参考にしました。

G. Graff & C. Birkenstein, They Say / I Say: The Moves That Matter in Academic Writing, 6th ed., W. W. Norton, 2024.

サマリー

このエピソードでは、意見を具体的に書く方法を、ひな形を用いて学びます。特に、同意する、一部同意する、同意しないの3つの応答パターンのひな形を解説します。

意見の書き方の基本パターン
【スライド1】議論を深める意見(応答)の書き方〜ひな形をもとに〜
このビデオでは、議論を深める意見の具体的な書き方について、ひな形をもとに説明します。
【スライド2】議論を深める意見(応答)の書き方(復習)
前のビデオで、議論を深める意見の書き方は、They Say / I Sayのパターンで書くと良いということを学びました。
They Say / I Sayのパターンというのは、まず他人の意見を紹介し、それに対する応答の形で自分の意見を述べるというものです。
このThey Sayが他人の意見、I Sayが自分の意見、これを意味しています。
特に、このThey Sayというのを書くことによって、論点が明確になるという利点があります。
それから、自分の意見を書くときには、他人の意見に対する応答の形で書くと良いわけですが、
その応答のパターンは3つのみです。
すなわち、同意する、一部同意する、同意しないの3つです。
このように、同意するかしないかというところを明確にするということは、
みなが同意していない部分が明確になり、そこを深く議論していけば良いということが分かって、議論を深める上で非常に有用です。
同意しない意見のパターン
【スライド3】では、このThey Say / I Sayのパターンに沿って、今言いました3つの応答パターンの意見を具体的にどのように書けば良いか、
それをひな形に沿って説明していきます。
まずはひな形(Noの場合)です。
同意しない場合ですね。
同意しない場合は、この四角にあるような形で書けば良いわけです。
すなわち、「〇〇さんは、私の要約によれば、⋯⋯と述べています。
私はこの意見に同意できません。
なぜならば、⋯⋯だからです」。
このような書き方ですね。
この黄色で書いた部分(「〇〇さんは、私の要約によれば、⋯⋯と述べています」)、これがThey Sayに当たります。
そして、「私はこの意見に同意できません」が、I Sayに相当する部分です。
Noの場合、同意できないという場合は、どうして同意できないのか、その理由を「なぜならば」という言葉でつなげる必要があります。
また、その理由が十分説得的であるようにするためには、その理由の根拠となる資料やデータをさらに示すと良いでしょう。
つまり、この意見には同意できない理由とその根拠を示すということですね。
以上がNo、同意しない場合の応答のパターンです。
【スライド4】では次に、OK, Butの応答の仕方のひな形を見てみましょう。
すなわち、一部同意するという場合です。
四角の中に書いたものがそのひな形ですが、ちょっと読んでいます。
「〇〇さんは、『⋯⋯』と述べています。
つまり、⋯⋯だと主張しています。
私はこの意見に一部同意します。
確かに、⋯⋯だと思います。
しかし、⋯⋯」。
このような書き方ですね。
先ほどと同じように、この黄色で塗った部分(「〇〇さんは、『⋯⋯』と述べています。つまり、⋯⋯だと主張しています」)はThey Sayにあたります。
先ほどはこのThey Sayの内容を自分の言葉で要約して書いていましたが、
ここでは引用の形をとっています。
このように、それほど長くなければまず引用するというのも良い方法です。
ただし、その引用の後にはまた自分の言葉で言い直した方がいいですね。
つまり、この引用文の中のどういう部分を問題にしているかということが明確になるからです。
このThey Sayの後、I Sayを書きますが、ここではこれですね。
「私はこの意見に一部同意します」。
こういうふうに書くと明確に自分の意見が伝わります。
そして一部同意ですから、どこの部分に同意し、どこの部分には同意しないかということを明確に書く必要があります。
それがこの「確かに〜、しかし〜」という部分で書けています。
「確かに、⋯⋯だと思います」。
この前半の部分は同意する部分ですね。
「しかし」以降の部分が同意しない部分になります。
もちろん、同意しないという場合は、さらにその後、先ほどと同じようにその理由や根拠を示す必要があります。
ということで、OK, But、一部同意の場合は、まず同意できる部分と同意できない部分を明示するということ。
それから、同意できない部分についての理由や根拠を示すということ。
このことが重要になります。
同意する意見のパターン
【スライド5】では最後、Yes、すなわち同意するという場合のひな形について見てみます。
ここではひな形を二つ用意しました。
まず一つ目です。
四角の中を読んでみますと、「〇〇さんは次のように述べています。
すなわち、⋯⋯と。
私はこの意見に同意します。
ただし、その理由は⋯⋯だからということではなく、⋯⋯だからです」。
このようなひな形が載っています。
これまで通り、黄色い部分(「〇〇さんは次のように述べています。すなわち、⋯⋯と」)、これがThey Sayです。
〇〇さんの意見がかなり複雑で長くなるような場合は、このように先に「次のように述べています」と書いて、
その後、「すなわち、⋯⋯」ということで、その内容を書くこともできます。
こうすると、「〇〇さんは、⋯⋯⋯⋯⋯⋯と述べています」というような、
主語と述語の間が非常に離れてしまうということを避けることができます。
そしてその後、「私はこの意見に同意します」というI Sayが来るわけですね。
この同意する場合というのは、やはり理由を示した方がいいわけですけれども、
ただ、このYesの場合、同意する場合というのはなかなか難しい問題があります。
というのも、同じ意見なわけですから、あまりその意見を言っても意味がない、
広がりができない、あるいは議論が深まらないということもあるわけです。
つまり、〇〇さんの意見をただ繰り返すだけになってしまうような場合があります。
これでは意見を言ってもあまり意味がありません。
ですので、同意する場合、Yesの場合は、やはり何か新しい情報、
新しい要素を付け加える必要があります。
ではどのように新しい要素を付け加えればいいのでしょうか。
この場合は、別の理由を示すということで新しさを出しています。
そこで、その理由を、既に言われている⋯⋯だからというのではなくて、
⋯⋯だからと別の理由を挙げて同意を示しているということです。
こうすれば、同じ同意の意見でも別の角度からそのことについて深めることができます。
【スライド6】ではYesの場合、同意する場合の2つ目のひな形について見てみます。
少し今度は長めになっていますが、このように書いてあります。
「〇〇さんは、次のように述べています。すなわち、⋯⋯と」。
ここの部分は先ほどと同じですね。
「私はこの意見を同意します。なぜならば、〇〇だからです」。
ここも普通に書いてあります。
この意見は、次からが少し新しい要素が入っています。
「確かに、この意見には⋯⋯のような反論をする人がいるかもしれません。
しかし、私はそのような反論には同意できません。なぜならば、⋯⋯だからです」。
ということで、ここでは同意の意見を述べているんですが、
しかし、同意しない人に対して、つまりこの同意の意見に反論をする人に対して
同意しないという意見を述べています。
同意しない人に同意しない。ですので同意するということになるわけですけれども。
ですから、これはYesの意見でありながら、
Noの意見も含まれているということになります。
もちろんこのNoというのは、元の意見に同意しない人に対するNoですけれどもね。
このように、あることについて賛成派、反対派、両方がいるような場合には、
賛成派につく場合、反対派に対する反論を述べるという形で賛成の意見を述べるということは、
新しい要素を付け加えるということになると思います。
ですので、Yesの場合の書き方として、先ほどは別の理由を挙げるということを挙げましたが、
ここでは反論を想定して再反論するという、そういう書き方もあるんだということをここで示しました。
以上、いくつかひな形を示してきましたが、これはあくまでもそれぞれの例に過ぎません。
他にも書き方はいろいろあります。
ですので、ここに挙げたひな形で書くことになれたらば、ぜひ別の書き方にも挑戦していってもらいたいと思います。
以上で説明を終わります。
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