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日本全国のプレイパークの現状と課題:プレイパークと子どもの居場所(プレーリーダーのデジタルゲームへの積極的関与の状況)
2026-09-01 23:09

日本全国のプレイパークの現状と課題:プレイパークと子どもの居場所(プレーリーダーのデジタルゲームへの積極的関与の状況)

プレーリーダーの積極的関与と役割に関するブリーフィング・ドキュメント

エグゼクティブ・サマリー

本資料は、提供された文献および活動レポートに基づき、プレーリーダー(またはプレイワーカー)の役割、専門性、および組織運営における関与の現状をまとめたものである。

調査の結果、プレーリーダーの関与は単なる「子どもの見守り」にとどまらず、以下の3点において高度な専門性と積極的な働きかけを行っていることが明らかになった。第一に、子どもの発達に不可欠な「リスク」を維持しつつ、不必要な「ハザード」を除去するという、高度な安全管理と価値創造の両立である。第二に、子どもの「やりたい」という本能的ニーズを支える専門職(プレイワーク)としての確立。第三に、コロナ禍以降の課題解決として、IT専門家(プロボノ)との協働を通じた組織の可視化や広報といったデジタル領域への活動拡大である。

総じて、プレーリーダーは自然環境における物理的な遊びの提供者であると同時に、地域コミュニティの結節点、および組織運営の変革者としての役割を深めている。

1. プレーリーダーによる安全管理の専門性:リスクとハザード

プレーリーダーの最も重要な関与の一つは、遊び場における「危険性」の適切な管理である。資料によれば、危険性は「リスク」と「ハザード」に厳密に区分され、それぞれに対して異なるアプローチが取られている。

リスクとハザードの定義と関与の状況

区分意味・定義プレーリーダーの対応
リスク遊びの価値の一部。子どもが判断可能で、冒険や挑戦の対象となる予知可能な危険性。適切に管理し、子どもの回避能力を育むために維持する。
ハザード遊びの価値とは無関係な、子どもが予測・判断不可能な危険性(事故につながる瑕疵)。極力取り除き、完全に排除するように努める。
  • 積極的関与の目的: 子どもが小さなリスクへの対応を学ぶことで、将来的な事故回避能力を養う「自己教育力」を支えることにある。
  • 安全への配慮: 幼児や年少児のように危険予知能力が不十分な利用者に対しては、大人や地域住民と連携した見守りを強化している。

2. プレイワークの専門性と社会的役割

プレーリーダー(プレイワーカー)は、子どもの自由意志による遊びを支える「アートとサイエンス」の実践者として定義されている。

プレイワークの基本理念

  • 本能的ニーズの肯定: 遊びを人間の生存に根ざした「いのちの仕組み」と捉え、教育や福祉の知見を土台に環境を整える。
  • 環境のコーディネート: 子どもが自ら作り変えることができる「柔軟な環境」を維持し、大人が過度に介入しない「見守り」の姿勢を重視する。
  • 専門職としての確立: イギリスでは国家職業資格となっている。日本においても、プレーパークのみならず、児童館、学童保育、病院(小児病棟)、避難所など、多岐にわたる場での活躍が期待されている。

3. デジタル活用と組織運営への外部関与

近年、プレーリーダーの活動は現場の遊び場づくりだけでなく、組織運営の持続可能性を高めるための「デジタル化」や「外部専門人材の活用」にも及んでいる。

ITプロボノとの協働(仙台市・西公園プレーパークの会の事例)

コロナ禍を経て運営スタッフが減少する中、外部のIT関連企業勤務者等のプロボノを受け入れ、以下の成果を上げている。

  • 課題の見える化: 第三者の視点によるヒアリングを通じ、会の想いや現状、漠然としていた課題をレポート形式で整理。
  • 広報の改善: ITスキルを活用し、今までうまく言葉にできていなかった「会の良さ」を言語化し、ネットワークを通じた情報発信を強化。
  • オンライン研修: 千葉県冒険遊び場ネットワーク等では、Zoomを活用した「オンライン子育て講座」や「プレイワーカー研修」を積極的に実施し、遠方や夜間でも参加可能な体制を構築している。

4. 地域社会における活動展開の多様性

プレーリーダーは、常設の遊び場運営以外にも、地域や時代のニーズに応じた多様な形態で関与を強めている。

  • プレーカー(移動型遊び場): プレーパークがない地域へ遊び道具を積んだ車で出向き、学校や公園などで遊び場を一時的に創出する。
  • 多世代交流の拠点化: 世田谷区の「そらまめハウス」のように、乳幼児親子から高齢者までが集う「屋外型の子育て支援拠点」を運営し、地域コミュニティの核となる。
  • 行政との連携: 公園管理者や区役所と協議し、売店の運営(羽根木公園「はねっこ」)を通じた見守り活動や、行政委託による事業運営など、公共サービスの担い手としての側面も持つ。

5. 結論と今後の展望

プレーリーダーの積極的関与は、物理的な「遊びの提供」という初期の段階から、以下の3つの高度な段階へと進化している。

  1. 教育的関与: リスク教育を通じて子どもの生きる力を育む。
  2. 専門的関与: プレイワークという体系化された知見に基づくプロフェッショナルな支援。
  3. 戦略的関与: デジタルツールや外部人材を活用し、組織を「見える化」して持続可能な地域コミュニティを構築する。

今後は、これらの専門性をいかに社会の他分野(教育、福祉、防災など)へ波及させていくかが、活動の更なる深化の鍵となる。

感想

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サマリー

現代の公園が過度な安全性を追求し、子どもたちの創造的な遊びや挑戦の機会を奪っている現状が指摘される。これに対し、「プレーパーク」は、子どもの成長に不可欠な「リスク」と排除すべき「ハザード」を明確に区別する画期的な哲学に基づき、意図的に危険を許容する遊び場を提供する。プレーリーダーは、単なる監視員ではなく、子どもの主体性を尊重しつつ、遊びの環境を調整し、親の不安をケアする専門職として機能する。また、ITプロボノなどの外部専門人材との連携により、組織運営の持続可能性を高める取り組みも進む。ウェールズの「遊び充足義務」のように、遊びの権利を社会インフラとして捉える動きは、子どもたちが社会を生き抜く力を育む上で、計算されたリスクの重要性を再認識させる。

現代の公園と失われた遊びの価値
スピーカー 1
あのー、リスナーのあなかも、最近近所の公園を通りかかった時に、ふと感じたことないですかね?
スピーカー 2
と言いますと?
スピーカー 1
なんか入り口に、ボール遊び禁止とか、自転車乗り入れ禁止、あと大きな声を出さないとか。
スピーカー 2
あー、禁止事項の看板がずらりと並んでますよね?
スピーカー 1
そうそう。で、遊具の下には、転んでも痛くないように分厚いゴムマットが敷かれていて。
ええ、よく見かけます。
スピーカー 1
子供たちはどうしてるかと思ったら、スマホを片手にベンチでおとなしく座ってるみたいな。
スピーカー 2
確かに静かなものですよね。
なんだか現代の公園って、安全と引き換えに作られた、禁止事項のテーマパークみたいだなって。
スピーカー 1
子供たちが泥だらけになって、心からワクワクできるような場所が、私たちの町からどんどん姿を消している気がしませんか?
ええ、その違和感は決して気のせいではないんですよ。
スピーカー 1
やっぱりそうですよね。
スピーカー 2
大人の私たちが子供の頃に、空き地や路地裏で当たり前のように経験していた予測不可能なワクワク感とか、ちょっとしたスリル。
スピーカー 1
はいはい、ありましたよね。秘密基地作ったりして。
それが今、綺麗にコーティングされた安全な環境デザインと、クレームを恐れる管理体制の影に隠れて、すっかり排除されてしまっていますからね。
プレーパークの哲学:リスクとハザードの概念
スピーカー 1
そこで今回の探究のテーマなんですが、こうした禁止だらけの現代にあって、あえて危険を許容する場所、いわゆるプレーパークとか、冒険遊び場と呼ばれる空間について深く掘り下げていきたいと思います。
スピーカー 2
いいですね。
スピーカー 1
そしてその裏側で活躍するプレーリーダーという専門職の存在についても解き明かしていきます。
今回の資料もかなり興味深いものが揃っていますよね。
スピーカー 1
そうなんですよ。国土交通省のちょっと堅苦しい指針から始まって、川崎市や仙台市といった自治体の実務データ。
あとは現場をどろくさく支えるNPOの膨大なレポートまで、本当にいろいろな角度からの資料が集まっています。
スピーカー 2
非常にコントラストの強い資料群ですよね。
これらを丁寧に読み解いていくと、プレーパークが単なる一部の熱心な親たちの活動というイメージから脱却して、
今や行政や専門職が関与する社会インフラとしていかに機能し始めているかという生々しい実態が浮かび上がってきます。
スピーカー 1
そうですね。ではこの大量の資料から見えてくる真実をリスナーのあなたと一緒に解き明かしていきましょう。
スピーカー 2
よろしくお願いします。
スピーカー 1
あえて危険を許容する遊び場が、なぜ今になって世界中で、そして日本中で求められ、自治体までが巨額の予算を組んで本格的に動き出しているのか。
その背後にある驚きべき哲学と、現場をコントロールする黒子のような大人たちの存在に迫りたいと思います。
スピーカー 2
まず現場にいる専門家たちの話をする前に、この遊び場が根底に持っている危険に対する画期的な哲学を共有しておく必要がありますね。
スピーカー 1
危険に対する哲学?
スピーカー 2
ここを勘違いすると単に危ない無法地帯だと思われてしまいますから。
スピーカー 1
ちょっと待ってください。そもそも危険に対する哲学ってどういうことですか?
スピーカー 2
というと?
スピーカー 1
私たち大人からすれば、危険というのはいかなる場合でもゼロにすべき、避けるべきものですよね。
スピーカー 2
一般的にはそう考えられていますね。
スピーカー 1
子供が怪我をするかもしれない環境をわざわざ残すなんて直感的には全く理解できないんですが。
スピーカー 2
実はそこが最大のパラダイムシフトなんですよ。
スピーカー 1
ほう。
スピーカー 2
国土交通省が出している都市公園における遊具の安全確保に関する指針という資料や川崎市の子供夢パークの文献を読むとですね。
スピーカー 1
はいはい。
スピーカー 2
専門的な視点から危険というものを2つの明確な概念に切り分けていることがわかるんです。
スピーカー 1
2つの概念?
スピーカー 2
それがリスクとハザードです。
スピーカー 1
リスクとハザード。なんか日常会話では同じような意味で使ってしまいますけど、明確な違いがあるんですか?
スピーカー 2
いえ、全くの別物として定義されています。
へー。
まずリスクですが、これは子供の遊びにおいて楽しみの要素であり、冒険や挑戦の対象となるものを指します。
スピーカー 1
挑戦の対象ですか?
スピーカー 2
例えば高い木に登る、少し急な斜面を滑り降りるといった行為ですね。
スピーカー 1
あーなるほど。確かにちょっと危ないけどワクワクするやつですね。
スピーカー 2
そうです。これらは子供自身が自分の目で見て危険を予測できます。
スピーカー 1
はい。
スピーカー 2
そして小さな失敗や痛みを経験することで、次からはどうすれば落ちないか、どうバランスを取るかを学ぶことができる。
つまり、成長につながる価値のある危険という位置づけなんです。
スピーカー 1
なるほど。ではもう一つのハザードというのは何ですか?
スピーカー 2
ハザードはですね、遊びの価値や子供の成長とは全く無関係なところで、一方的に事故を発生させる恐れのある危険性です。
スピーカー 1
遊びの価値と無関係?
スピーカー 2
ええ。例えば遊具のボルトが外れかかっているとか、砂場の中に鋭いガラス片が埋まっているとか。
スピーカー 1
うわーそれはただの事故ですね。
スピーカー 2
あるいは、見えない部分の木が腐っていて折れやすいといったものです。
はいはい。
スピーカー 2
これらは子供が事前に予測できませんし、どう対処していいか判断不可能な危険ですよね。
スピーカー 1
確かに気づきようがないですね。
スピーカー 2
資料では、これは大人が責任を持って徹底的に排除すべき危険と定義されています。
スピーカー 1
あーなるほど。すごく負に落ちました。
スピーカー 2
わかりますか?
スピーカー 1
つまり、ささくれたって壊れかけた滑り台とか、見えないところに飛び出している錆びた釘はハザードだから大人が絶対に取り除くべき。
スピーカー 2
その通りです。
スピーカー 1
でも子供が自分の体力と送電しながら登れるところまで高い木によじ登るのはリスクだから、大人はハラハラしてもあえて手を出さず見守るべきということですね。
スピーカー 2
まさにそういうことです。
スピーカー 1
これって、なんだか県有の世界で言うところの株式投資と詐欺くらい違うってことじゃないですか。
スピーカー 2
おーと言いますと。
スピーカー 1
いや株式投資って元本割れするというリスクはありますけど、自分で企業の業績を調べて計算されたリスクを取ることでリターンを得て資産が成長しますよね。
スピーカー 2
ええ、自己責任で挑戦するわけですね。
スピーカー 1
でも詐欺に遭うのはただのハザードです。
そこには学びも成長もなく、ただ一方的にダメージを受けるだけですから。
なるほど。
スピーカー 1
だから国は詐欺、つまりハザードを徹底的に取り締まるけど、投資というリスクの機会まで奪ってはいけない。
スピーカー 2
ええ。
プレーパークの考え方ってまさにこれと同じなんだなって。
スピーカー 2
その例えはこの概念の革新を見事についていますね。
本当ですか。
スピーカー 2
ええ、プレーパークはまさに計算されたリスクを取る機会を保証している場所なんです。
スピーカー 1
なるほどな。
遊びの質の変化とプレーパークの必要性
スピーカー 2
そして資料を読み込んでいくと、ここで非常に興味深い背景が見えてくるんですよ。
スピーカー 1
何でしょう。
なぜ現代において、その計算されたリスクをわざわざ大人が意図的にデザインして提供しなければならないのか、という深刻な背景です。
スピーカー 1
ああ、確かに。昔はそんなことをわざわざ大人がお膳立てしなくてもそこら中にありましたよね。
スピーカー 2
おっしゃる通りです。
資料にある遊びの空間量調査の推移グラフを見ていただくとわかるんですが、
はい。
スピーカー 2
1955年頃から現在にかけて、子供が遊べた目の時間、空間、仲間という、いわゆる三間の現象が急激に進んでいることが示されています。
スピーカー 1
三間ですか。
スピーカー 2
ええ、都市化による空き地という空間の消失、習い事や塾による放課後の時間の減少、
スピーカー 1
なるほど。
スピーカー 2
そして少子化による入れねえの遊び仲間という関係性の喪失ですね。
スピーカー 1
確かに。私が子供の頃でもすでに空き地は減っていましたが、今の子供たちは放課後のスケジュールが分間の刻みで埋まってますし。
スピーカー 2
ええ、本当に忙しいですよね。
スピーカー 1
公園に行っても知り合う子が誰もいないなんてザランですからね。
スピーカー 2
その結果、何が起きたかというと、子供の遊びの質が変わってしまったんです。
質が変わった?
スピーカー 2
はい。昔は自分たちでルールや道具を工夫して作り出す創造だったものが、
今では大人が作ったゲームや動画などのコンテンツをただ消費するだけの消費へと変質してしまったんです。
スピーカー 1
ああ、創造から消費へですか。それは痛いところをつかれますね。
スピーカー 2
だからこそ、人火、水、泥、そしてノコギリやハンマーといった扱い方を間違えれば痛い思いをする本物の道具。
はい。
スピーカー 2
つまり、リスクを提供し、ゼロから試行錯誤できる物理的な環境を、今、意図的に作り出す必要があると叫ばれているんです。
プレーリーダーの専門性と役割
スピーカー 1
なるほど。それはすごく納得できます。でもですね、
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
頭では理解できても、実際に火を使ったり、高い木に登ったり、ノコギリを使ったりする子供たちが何十人も集まっている空間を想像すると、正直ヒヤヒヤするんですよ。
スピーカー 2
まあ、そうですよね。
スピーカー 1
映画のハエモモみたいに、完全なカオスになりませんか?
なってもおかしくない環境ではあります。
スピーカー 1
なぜそれが大事故にならずに、しかも学びの場として奇跡的に機能しているのか、そこが不思議で仕方ないんですが。
スピーカー 2
ここからが本当に面白いところなんですが、
スピーカー 1
おお。
スピーカー 2
それこそが、ただの空き地とプレイパークを分ける決定的な要素であり、現場にいるプレーリーダーという専門職の存在意義に直結する部分なんです。
スピーカー 1
プレーリーダー、資料を読んでいて彼らの動き方が一番驚いたポイントでした。
どんなところに驚かれましたか?
スピーカー 1
なんというか、彼らって単なる講演の関心員でもなければ、遊び方を教えるインストラクターでもベビーシッターでもないんですよね。
スピーカー 2
その通りです。
日本プレイワーク協会や各NPOのレポートから彼らの具体的な行動原則をひよい上げると、一般の大人の感覚とは真逆の、非常に高度な専門性が浮かび上がってきます。
スピーカー 1
真逆ですか?
スピーカー 2
ええ。彼らは子供たちの遊びの成り行きに任せ、むやみに声をかけて誘導したり、直接的に介入したりすることを極力避けるんです。
スピーカー 1
なるほど。
スピーカー 2
ある熟練プレーリーダーの言葉として、プレーリーダーとして、その場から最短で抜けられる方法を常に考えている、という驚きの原則が紹介されています。
スピーカー 1
最短で抜けられる方法を考える、これ本当に驚きましたよ。
スピーカー 2
そうですよね。
普通、大人が子供の遊びに関わるなら、「よし、今日はみんなで秘密基地を作ろう!」みたいに、先頭に立ってリーダーシップを発揮したがるものじゃないですか。
スピーカー 2
ええ、よかれと思ってやってしまいますよね。
スピーカー 1
なぜわざわざ抜けるんですか?
スピーカー 2
なぜなら、大人がこうやって遊ぼうと扇動した瞬間に、それは子供の遊びではなく、大人の課題になってしまうからです。
スピーカー 1
ああ、大人の課題に。
スピーカー 2
ええ、子供が自ら遊びを作り出し、リスクを計算する主体性を守るためには、有能すぎる大人の存在は時に最大の邪魔になるんです。
スピーカー 1
なんてこった、よかれと思ってやってたことが。
スピーカー 2
だからこそ、彼らは直接見えない、少し後ろに控え、子供が自分の力で遊びをコントロールできるように、さりげなく環境の調整だけを行っているんです。
スピーカー 1
ああ、なるほど。でも、子供同士でトラブルが起きたときはどうするんですか?
スピーカー 2
資料の中に、ある現場での具体的なエピソードがありましたよね。
スピーカー 1
ありましたね。2歳の男の子が、遊び場に1台しかないコンビカー、乗って遊ぶおもちゃですね。
それを独り占めしてしまって、他のお子さんが使えずにいた。で、独り占めしているこのお母さんが、周りの目を気にして困り果てていたという話ですよね。
スピーカー 2
はい。公園では日常茶飯時の光景ですよね。
スピーカー 1
親としては気まずくて、「ほら、順番でしょ?早く貸してあげなさい。」って無理やりおもちゃを取り上げて、泣く我が子を抱えて謝るというのが一般的な対応だと思うんですが。
スピーカー 2
ええ、そうなりがちです。
スピーカー 1
そこにプレーリーダーはどう介入したんでしたっけ?
スピーカー 2
プレーリーダーはですね、無理に子供からおもちゃを取り上げるようなことはしませんでした。
スピーカー 1
ほう。
スピーカー 2
代わりに、困り果てているお母さんに対して、「今この子は自分にとって大事なものを守ろうとしている時期なんですよ。」と伝えたんです。
スピーカー 1
大事なものを守ろうとしている。
スピーカー 2
ええ。貸せないのは我がままではなく、自我が育っている証なんですと、子供の心理をポジティブに通訳し説明したんですね。
スピーカー 1
なるほど。
スピーカー 2
その上で、少し気をそらしてみましょうかと、お母さんと一緒に別の遊びを提案するなどの対処法を相談しながら進めたんです。
スピーカー 1
つまりプレーリーダーの役割は子供と遊ぶことだけじゃないんだ。
スピーカー 2
そういうことです。
スピーカー 1
子供の行動を困ったトラブルとして処理するんじゃなくて、親に対して今この子はこういう成長の段階にいるんですよって翻訳してあげる?
スピーカー 2
ええ。
スピーカー 1
これは親にとってものすごく救いになりますよ。
スピーカー 2
本当にそうですね。なんだか彼らの役割って人間の免疫システムそのものみたいだなって思ったんです。
スピーカー 1
免疫システムですか?面白い視点ですね。どういうことでしょう?
スピーカー 2
人間の体って無菌室にずっといると逆に弱くなってしまいますよね。
スピーカー 1
ええ。抵抗力が落ちますね。
スピーカー 2
ちょっとした薬傷とか弱いばい菌、つまりリスクをあえて体に経験させることで白血球が働き、免疫力を高めて強くなる。
スピーカー 1
はい。
でも命に関わるような致命的な病原菌、これがハザードですが、これが体内に侵入しそうになったら免疫システムが全力で事前に排除しますよね。
スピーカー 2
なるほど。
プレーリーダーってこの優秀な免疫システムなんじゃないかと思って。
スピーカー 1
その例え素晴らしいですね。
彼らが裏で完璧に致命的なハザードを点検して管理してくれている。
スピーカー 2
そして同時に親の心の中にある怪我をさせたらどうしようとか、周りに迷惑をかけたらどうしようという不安もケアしてくれる。
スピーカー 1
はい。だから親は子どもがすり傷を作るのを安心してカフェでお茶でも飲みながら見守っていられるわけですよね。
スピーカー 2
まさにその通りです。免疫システムという比喩は完璧ですね。
スピーカー 1
ありがとうございます。
スピーカー 2
実際に資料にも妊娠中のお母さんが上の子を連れてきた際のプレーリーダーの声掛けの事例があります。
スピーカー 1
どんな事例ですか?
スピーカー 2
ハラハラしている母親に見守っているから大丈夫だよ。ほらあの子今いろいろ考えて試行錯誤しているねと声をかけ続けたそうです。
スピーカー 1
へー優しいですね。
スピーカー 2
親はつい危ないとかダメと反射的に言ってしまいがちですが。
スピーカー 1
言っちゃいますね。
プレーリーダーのこうしたポジティブな翻訳と介入によって親自身がサービスを消費するお客様から子どもの育ちや遊び場を共に支える当事者へと変わっていくプロセスが革命に描かれています。
スピーカー 1
ただのドロンコ遊びの面倒見のいいお兄さんお姉さんだと思っていたら大間違いですね。
組織運営の課題と外部連携
スピーカー 2
そうなんですよ。
スピーカー 1
チェーンソーやセメントを使ったハードな空間設計から怪我の応急手当て子どもの発達心理の理解。
スピーカー 2
ええ。
スピーカー 1
さらに親のカウンセリング近隣住民との交渉やクレーム対応までこなしているまさに多角的な総合マネジメント職じゃないですか。
スピーカー 2
しかしだからこそ大きな壁にぶつかるんです。
スピーカー 1
壁ですか。
スピーカー 2
これだけ高度な専門性と多岐にわたる業務を抱える遊び場をどうやって維持していくのかという組織運営の課題です。
スピーカー 1
ああ確かに熱意ある個人の自己犠牲だけで成り立つモデルには限界がありますよね。
スピーカー 2
そうなんです。
スピーカー 1
でも資料を見ると日本のプレーパークの歴史って1975年の世田谷区から始まっていて今では全国に約400カ所。
常設な遊び場としても約25カ所に広がっているとありました。
スピーカー 2
へえかなり広がってきています。
スピーカー 1
これどうやって回しているんですか。
スピーカー 2
規模でいうと川崎市子供夢パークは年間10万人、世田谷の羽木プレーパークは年間5万人もの人が訪れます。
年間10万人ってちょっとした商業施設やテーマパークなぎな集客力ですよね。
スピーカー 2
はい。雨の日でもここを自分の大切な居場所として訪ねてくる子供たちがいるんです。
スピーカー 1
すごいなあ。
これだけの規模になるとおっしゃる通り地域のボランティアの熱意だけでは絶対に回りません。
スピーカー 1
ですよね。
スピーカー 2
そこで重要になっているのが中間支援組織の存在や外部の専門スキルを持つ社会人の関与なんです。
スピーカー 1
外部の社会人ですか。
スピーカー 2
ええ。例えば東京プレイや日本冒険遊び場作り協会といった団体がプレーリーダーの育成プログラムを体系化し、全国の自治体への導入支援を行っています。
スピーカー 1
なるほど。
スピーカー 2
さらに非常に興味深い事例として仙台の西公園プレーパークの取り組みがレポートされていましたよね。
あ、その仙台の事例、読んでいてすごく違和感があったんですよ。
違和感ですか。
スピーカー 1
ええ。ドロンコ遊びのNPO法人の現場に、なぜか企業の第一線で働くIT系のビジネスパーソンがプロボの、つまりスキル提供のボランティアとして参加したって書いてありましたよね。
スピーカー 2
はい、ありましたね。
スピーカー 1
正直水と油というか一番遠い世界の人たちに見えるんですが、彼らはそこで何をしたんですか。
スピーカー 2
素晴らしい弱眼点です。実はこの仙台の団体、1987年から続く歴史ある場所なんですが、
スピーカー 1
ええ。
スピーカー 2
コロナ禍などを経て運営の担い手が減少し、中の人たちが日々の業務で完全に疲弊していました。
スピーカー 1
ああ、よくあるNPOの課題ですね。
そうです。NPO特有の阿雲の呼吸や暗黙の了解で回っていたため、新しく手伝いたいという人が来ても何を頼めばいいかわからない状態だったんです。
スピーカー 1
俗人化の極みになっていたわけですね。
スピーカー 2
そこでIT企業のプロボのチームが入りました。
スピーカー 1
はい。
スピーカー 2
彼らは非営利活動も遊び場作りも全くの未経験でしたが、ビジネスの現場で培った業務プロセスの可視化やヒアリング力という武器を持っていました。
なるほど。ビジネススキルを生かしたんですね。
スピーカー 2
ええ。彼らは第三者の視点から現場の理事やボランティア、参加者に徹底的にヒアリングを行いました。
そして、中の人たちが当たり前すぎて言葉にできていなかった会の思いや、俗人化していた見えない業務プロセスを見事なレポートやマニュアルとして見える化したんです。
スピーカー 1
はあ、なるほど。遊び場から物理的なハザードを取り除くのがプレーリーダーの役目なら、プロボのITワーカーたちは組織運営における俗人化やコミュニケーション不全というハザードを取り除いてくれたわけだ。
スピーカー 2
まさにその通りです。これによって新しい人が運営に参加しやすくなり、組織の持続可能性が劇的に向上したんです。
スピーカー 1
いや、これってリスナーのあなたも考えてみてほしいんですが、単なる公演のルール見直しとか、地域ボランティアのちょっとした美談というレベルの話じゃないですよね。
スピーカー 2
全く違いますね。プロのビジネスパーソンがわざわざ自分の専門スキルを提供し、行政が巨額の予算をつけて本腰を入れて支援し始めている。
これってもはや社会全体が子どもの遊びの価値を根底から再定義して、新しい社会インフラを作ろうとしている大きなうねりだと思うんです。
スピーカー 1
全く同感です。もしこれをより大きな視点、マクロな視点に結びつけるとですね、これはもはや国家レベルのインフラ整備と同等の話になりつつあることがわかります。
遊びの権利と社会インフラとしてのプレーパーク
スピーカー 2
国家レベルですか?
スピーカー 1
ええ。海外に目を向けると、私たちの常識を覆す非常に先駆的な動きがあります。
それがイギリスのウェールズ議会政府の取り組みです。
スピーカー 2
イギリスのウェールズ、資料の後半にありましたよね。何が起きているんですか?
ウェールズでは、2010年に遊び充足義務という法律が制定されました。
スピーカー 2
遊び充足義務。
スピーカー 1
はい。これは子どもの貧困対策の一環として交付されたものですが、なんと全国の自治体に対して子どもが自由に遊べる環境がどれくらいあるかの定期的なアセスメントと、
スピーカー 2
その環境を向上させるためのアクションプランの策定を法律で義務付けているんです。
スピーカー 1
えーっと、ちょっと待ってください。義務付けですか?
スピーカー 2
はい、義務です。
つまり、うちの自治体は財政が厳しいから、子どもが遊べる場所が足りていなくても仕方ないよね、という言い訳が法律上通用しないってことですか?
スピーカー 2
その通りです。道路を整備したり、上下水道を通したりするのと同じレベルで、子どもが遊ぶ権利と環境を保障することが自治体の法的な義務として位置づけられたんです。
スピーカー 1
それはすごい。
スピーカー 2
子どもが豊かに遊べる街は、子どもが豊かに育つ街であり、結果として大人にとっても暮らしやすい街であるという理念ですね。
はい。
スピーカー 2
それが国家レベルのインフラ整備として明確に扱われているという事実なんです。
スピーカー 1
それは衝撃的ですね。
日本でも埼玉や千葉市、大阪府池田市などで自治体がプレーパークも支援したり、バンに遊び道具を詰め込んで公園を回るプレーカーという移動型の遊び場を導入したりする事例が資料にたくさん載っていましたけど。
スピーカー 2
ありましたね。
スピーカー 1
でも、ウェールズのようにインフラとしての義務にまで昇華されているのを見ると、日本の取り組みはまだ入り口に立ったばかりなのかもしれないですね。
スピーカー 2
そうですね。日本でも昨今、こどもまんなか社会の実現が叫ばれ、各自治体で子ども計画の策定が進んでいます。
しかし、箱物を作るだけでなく、今日お話ししたようなリスクとハザードの違いという哲学や、それを現場でコントロールするプレーリーダーの専門性をどう社会インフラとして組み込んでいくかが今後の最大の鍵になるでしょうね。
スピーカー 1
いやー、今日は本当に物の見方がひっくり返りました。
リスナーの皆さんも、今日探求した情報を通して、遊びというものの捉え方が大きく変わったのではないでしょうか。
スピーカー 2
そう願いたいですね。
スピーカー 1
はい。遊びとは決して、大人の都合のいい暇つぶしや、単なるエネルギーな発散ではありませんでした。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
子供が自分でリスクを計算し、判断し、時には失敗して痛みを知り、そこから立ち直り、他者との社会性を身につけていくための、いわば命がけの創造行動であることがわかったはずです。
スピーカー 2
まったくその通りです。
スピーカー 1
そして、その一見カオスに見える自由な空間を裏で支え、リスクとハザードを冷静に見極め、時には不安な親の心までケアしてくれるプレーリーダーという見えない指揮者たち。
ええ。
彼らの凄さと、それを支える地域社会やプロボノの存在には本当に敬意を表します。
スピーカー 2
ここで、今日の議論を踏まえて一つ、現代社会の在り方に対する重要な疑問が浮かび上がってくるんですよ。
疑問ですか?
スピーカー 2
はい。私たちは今、子どもたちを取り巻く環境から、物理的なハザードだけでなく、彼らの成長に不可欠なリスクまでも、
徹底的に、まるで無菌室のように取り除こうと躍起になっているのではないでしょうか。
スピーカー 1
確かにそうかもしれませんね。
ええ。
では最後に、これを聞いているあなたに一つ問いかけたいと思います。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
私たちは今、子どもが怪我をしないように、失敗して泣かないようにと、先回りして全ての障害物を配慮しています。
スピーカー 2
そうですね。
スピーカー 1
しかし、子どもの頃に木から落ちるかもしれないとか、ナイフで指を切るかもしれないという物理的なリスクを自分で計算し、
実際に失敗して痛い目を見る経験を一度もせずに育った人間は、大人になった時一体どうなってしまうのでしょうか。
スピーカー 2
非常に重要な問いですね。
スピーカー 1
キャリアでの大きな挫折、複雑な人間関係の摩擦、あるいは予期せぬトラブルといった大人社会における社会的なリスクに直面した時、
それに立ち向かう免疫を持っていると言えるでしょうか。
スピーカー 2
うーん。
スピーカー 1
もしかすると、一切の危険を排除した安全すぎる公園こそが、実は子どもから将来社会を生き抜くための生きる力を奪い去る最大のハザードなのかもしれません。
スピーカー 2
そうかもしれませんね。
スピーカー 1
あなたはどう思いますか。
23:09

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