岩手eスポーツ協会事前調査ログの音声概要
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サマリー
岩手eスポーツ協会は、eスポーツを通じて地域の活性化やコミュニケーションの場を提供する独自のビジョンを持っています。ゲームを競技としてではなく、人をつなぐツールとして捉え、地域の文化創造や多様なコミュニティの育成に寄与しています。「競わない」という哲学を通じて地域をつなげることを目指しています。彼らの活動は、eスポーツを通じて多様な人々を結びつける新しい文化の創造を目指し、特に地域づくりや未来づくりに貢献しています。
岩手eスポーツ協会のビジョン
さて、eスポーツって聞くと、あなたは何を思い浮かべますか?
やっぱりこう、キラキラしたステージとか、億単位の賞金とか、超テクな技を繰り出すプロゲーマーたち。多分そんな感じですよね。
でも、もし、eスポーツがそういう華やかな世界とは別に、地方の街を元気にしたり、世代とか生涯の有無なんて関係なく、人をつなぐ便利な道具だとしたら。
今回は、まさにそんな話です。
今回共有してもらった資料、岩手県を拠点にする岩手eスポーツ協会のものですけど、SNSの発信とか、代表の方へのインタビュー、あとイベントレポートなんかもあって、これらを読み解いていくと、その競技っていう側面だけでは全く捉えきれない、eスポーツのもう一つの顔が、くっきりと見えてくるんですよね。
そうなんです。今回のミッションは、彼らが掲げている、eスポーツが岩手を変えるっていうスローガン、この真意に迫ることです。言葉だけ聞くとかなり壮大ですけど、その裏にある哲学とユニークな活動の数々を、一緒に紐解いていきましょう。
コミュニケーションツールとしてのeスポーツ
はい。彼らのビジョンは、多分一般的なeスポーツ団体のイメージとは少し、いや、かなり違うかもしれません。まず、その核となる考え方から見ていきましょうか。
お願いします。そのスローガンにもなっている、岩手を変えるという点ですけど、代表の方の言葉がすごく印象的で、シンプルにゲームで岩手が盛り上がればいいとか、とにかく面白いことをやりたいって、これってトッププロを育成して世界で勝つぞ、みたいな話とは、ちょっと温度感が違いますよね。
まさにそこが全ての出発点なんです。資料を総合すると、彼らのビジョンは、大きく3つの柱で成り立っているのがわかるんですよ。
3つの柱ですか?
まず、地域を面白く元気にすること。それから、多様な人が集まるコミュニティを育てること。そして最後に、岩手発の文化を創造発信すること。この3つですね。
コミュニティを育てるっていう部分が、僕は特に気になりますね。eスポーツって、どうしても個人のスキルを競うイメージが強いじゃないですか。それをどうやってコミュニティにつなげてるんでしょう?
いい質問ですね。そこがポイントで、彼らはeスポーツを目的そのものっていうより、人と地域をつなぐためのコミュニケーションツール。こういう位置づけなんです。
コミュニケーションツール?
そうです。ゲームが上手いか下手かとか、勝ったか負けたかということ以上にですね、ゲームをきっかけに人が出会って話して、一緒に何かを作り出す。その場を作ること自体が最大の目的なんですよ。
なるほど。コミュニケーションツールか。面白い考え方ですけど、同時にすごく抽象的にも聞こえますね。そのビジョンって具体的にどんな活動に落とし込まれているんですか?何か象徴的なイベントとかあるんでしょうか?
もちろんです。その哲学が最も色濃く出ているのが、J019サミットインAPPIというイベントですね。これは安否高原で開かれる東北でも最大級のゲームイベントなんですが、ちょっと特殊で。
特殊というと?
持ち込み型なんです。
持ち込み型。
参加者が自分のパソコンとか好きなゲーム機、コントローラーなんかを全部持ってくる。いわゆるランパーティーと呼ばれる形式ですね。でももっと重要なのは、このイベントのコンセプトが大人の文化祭だっていうことなんです。
大人の文化祭。ますますeスポーツのイメージから離れていくような。
そうなんですよ。だから会場で繰り広げられているのは最新の対戦ゲームだけじゃないんです。資料のレポート写真を見ると片隅ではボードゲームに講じるグループがいたり、あとはTRPG、テーブルトークRPGで物語を紡いでいる人たちもいる。こういうアナログゲームのブースもちゃんと公式に用意されているんですよ。
え、待ってください。ボードゲーム?eスポーツ協会なのに?それってちょっと軸がぶれてませんか?デジタルゲームの専門家たちが集まってるんじゃ。
そこがまさに彼らの哲学の現れなんですよ。目的はあくまでゲームを通じた交流なので、それがデジタルかアナログかなんて、彼らにとってはまあ些細な問題でしかない。むしろそこに垣根を設けることの方が不自然だと考えてるんですね。
ビデオゲームが好きな人もボードゲームが好きな人もみんなゲームっていう大きな文化の仲間じゃないかと。
地域課題へのアプローチ
はあ、なるほど。
そのためのお祭りがこのG019サミットなんです。
いや、僕の中にあったeスポーツ協会っていう名前から来る先入観がちょっとうつけされたかもしれません。手段は問わないと。その考え方って他の活動にも一貫してるんですか?
驚くほど一貫してますね。例えば福祉とか教育分野との連携。盛岡市にあるフレアイランド岩手っていう施設で、障害を持つ方とか高齢者向けの体験会を定期的に開いてるんですが、そこで選ばれる種目がまた面白いんですよ。
というと?
ストリートファイターみたいな複雑なコマンド入力が必要な格闘ゲームじゃなくて、太鼓の達人とか直感的に操作できるリズムゲームやパーティーゲームが中心なんです。
ああ、なるほど。
これなら、ゲームに慣れてないおじいちゃんおばあちゃんも車椅子の子どもも同じ土俵で一緒に笑いながら楽しめるじゃないですか。勝敗よりも一緒にリズムに乗って楽しかったねっていう、その共有体験を何より大切にしているのが伝わってきます。
教育の現場ではどうなんですか?高校でゼミも担当してるっていう資料がありましたけど。
盛岡中央高校などで、eスポーツゼミを受け持ってますね。でも、ここでも単に強いプレイヤーを育てるのが目的じゃない。むしろ大会を運営する側のスキルを教えることにすごく重きを置いてるんです。
運営する側ですか?
そうです。例えば、大会の企画立案からポスターとか告知動画の作成、当日の機材設定やライブ配信、実況解説まで。
へー。
これを全部、生徒たちが主体でやる。
へー。
これって、実はITスキルとかデザイン、チームビルディングにプロジェクトマネジメントまで、社会に出てからものすごく役立つ実践的な学びの塊なんですよ。
ゲームはあくまで、それらを楽しく学ぶための生きた教材というわけです。
すごいな。プレイヤーを育てるだけじゃなくて、eスポーツっていう文化そのものを支える人材を地域の中から育てようとしてるんですね。
まさに。
そして、それを地域全体で支える仕組みも作っている。
地元の企業約50社以上とスポンサーシップを結んで、ヨロズカップっていう大会を開いたり。
50社以上!?
ええ。これ単なる資金集めじゃないんです。
地元の建設会社とか飲食店、IT企業なんかが、うちの会社も岩手の若者が頑張ってるこの活動を応援するよって関わることで、
eスポーツが一部の若者の趣味じゃなく、地域ごとで支える新しい文化になっていく。
そういうエコシステムを意識的に構築してるんですね。
いやー面白い。お話を聞いていると、福岡とか札幌といった他の大都市のeスポーツ協会のイメージとは全然違いますね。
あちらはやっぱりIT産業の振興とか、プロチームを誘致して経済効果を、みたいな文脈で語られることが多い気がします。
まさにその点が、岩手モデルの独自性です。
あなたが送ってくれた資料の中に、他地域の団体との比較をまとめたメモがありましたよね。
あれが本質をついてます。
あー、ありましたね。
多くの団体がeスポーツを産業と捉えてビジネスとの接続を重視する中で、岩手はあくまで地域活動の文脈で捉えている。
つまり彼らは競技団体ではなく、地域活動団体なんです。
競技団体じゃなくて地域活動団体。なるほど、しっくりきますね。
だから、目指す方向も勝つ見せることより、続く育つことを重視するんです。
一回きりの派手な大会でスター選手を生み出すよりも、高校のゼミ活動を地味に続けたり、障害を持つ子がいつでも立ち寄れる居場所としての機能を継続させたりすることに課金を置いている。
彼らにとってeスポーツはゴールではなくて、過疎化とか世代間の断絶いった地方が抱える様々な課題にアプローチするための手段であり入り口なんですね。
岩手eスポーツ協会の哲学
でもその考え方って、ある意味ではすごく遠回りじゃないですか?競技性を追求してスター選手が生まれれば、それが一番の広告党になって結果的に地域も盛り上がるっていう考え方もあると思うんです。その辺りどうなんでしょう?
鋭い指摘ですね。もちろんスター選手の存在は大きな起爆剤になります。
ただ彼らの哲学は、一人のスターに依存するんじゃなくて、もっと草の根的で持続可能な盛り上がりを地域に根付かせたいという点にあるんだと思います。
スターが去ったら終わってしまうような一家制のブームじゃなくて、たとえ誰も見ていないとしても、そこに集まる人たちの日常が少し豊かになるような、そういう文化を育てたい。資料からはそんな強い意思を感じますね。
なるほど。ここまで聞くと、なんだか理想的な成功物語のようですけど、現実はそんなに甘くないですよね。資料には彼らが直面している壁についても書かれていました。やっぱり一番はゲームへの偏見あたりでしょうか?
ええ、それは設立当初から続く根深い課題のようですね。ゲームイコール、悪、不健康みたいなイメージ。これに対して彼らは、理屈で反論するんじゃなくて、とにかく間口を広げてどこにでも行く、という非常に地味なスタイルを貫いています。
どこにでも行く?
ええ、企業のイベント、地域の祭り、福祉施設、どこへでも機材を持って行って、とにかく直接触れてもらう。百聞は一見にしかず、で、理解者を一人ずつ増やしていく。非常に時間がかかる、でも多分一番確実な方法を選んでいるんですね。
現場で顔を見せて一緒に体験してもらう。泥腐りけど一番強いやり方かもしれないですね。他に課題は?
2つ目は、物理的なインフラ不足。これまで岩手には本格的なeスポーツ施設がなかったんです。これでは定期的なイベント開催とか人材育成にもどうしても限界がありますから。ただ、これには大きな希望が見えています。
2026年に片むしろに新たな施設が整備される計画があって、協会もその計画に関わっているそうなんです。それは大きいですね。これが実現すれば、活動の拠点という長年の課題が解決に向かうはずです。
3つ目が、彼ら自身が次のテーマとして掲げている、多様な人々へのさらなるアプローチです。例えば、外出が困難な重度の障害を持つ方々など、まだ活動を届けられていない人たちにどうやって参加の機会を作っていくか。オンラインの活用も含め、これも今後の大きな挑戦になりますね。
地域とのつながり
なるほど。そうした課題を一つ一つ乗り越えながら、彼らはこの活動を通じて最終的に何を伝えたいのでしょうか。
インタビュー記事の言葉を借りるなら、地方からでもここまで面白いことができるんだぞ、という一つのモデルケースを示したいんだと思います。
Eスポーツは都会の若者だけのものじゃない。世代や性別、障害なんて壁を軽々と飛び越えて、人と人を繋いでくれると。そして、それは地方を元気にする新しい文化になり得るんだ、と。これこそが岩手の地から彼らが発信する最もパワフルなメッセージじゃないでしょうか。
いやー、今日は岩手Eスポーツ協会の活動を深掘りしてきましたが、Eスポーツっていう言葉に対する僕自身の見方がかなり変わった気がします。言葉の裏には地域づくり、人づくり、そして未来づくりの物語が詰まっていたんですね。ゲームっていう身近なエンタメが社会をちょっと良くするためのものすごく強力なツールになり得るんだなと。
本当にそうですね。Eスポーツを競技というその一点だけで見ていては、彼らの活動の本質は絶対に見えてきません。なぜデジタルなのか、なぜゲームなのか、そのなぜを突き詰めた先に、それぞれの地域ごとの最適解がある。今回の岩手の事例は、もしかしたらリスナーのあなたが持っている好きなこととか得意なことが、どう社会と繋がれるかを考える上での大きなヒントになるかもしれません。
最後にですね、あなたに一つ思考の種を。今回の資料の中に、もし教会にインタビューするならっていう想定問答集がありましたよね。その中の一つが僕すごく本質的だと感じたんです。
もし、Eスポーツがこの世になかったとしたら、岩手Eスポーツ協会は何を使って人と人を繋ごうとしていたと思いますか?この問いの答えを考えてみると、彼らが本当に大切にしているもの、その活動の核にある哲学がよりクリアに見えてくるかもしれません。
13:01
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