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  2. ポエトリーリーディング #3
2021-09-18 06:10

ポエトリーリーディング #3

花瓶 https://shikakun.com/vase/

00:00
♪~
どっかから来た僕たちが
ここからどっかへ行くだけの
つまんない場所だよ
絶え間なく水は流れている
ゆっくり昇る太陽の光が
オレンジ色の雲の隙間から差し込んで
草も花も一本ずつ影を落とす
あらゆるものが立体的に立ち上がる
生きている気がしてしまう
そういう時間なんだ午前四時って
悪い夢を見た
激しい動機で目が覚めたが
夢だと気づいた瞬間には忘れてしまったので
悪い夢を見たということしか覚えていない
そのことすらやがて忘れてしまうだろう
ペットボトルの抹茶ラテが
絵筆を洗ったくらい濁っている
コンビニでスポーツ新聞みたいに
花束を売ってくれたらいいのに
(♪BGM)
そういえば元気かなと思って
アカウントのページを覗くと
半年ほどツイートがなかったが
いいね欄を見たら
8月にいいねしてたから
なんだか安心してブラウザを閉じた
花瓶がないから花を買えない
本棚の大きさは知識のキャパシティの可視化で
花瓶の大きさは心のキャパシティの可視化
他者を必要としているというより
都合の良い他者を必要としているのであって
それを間違えると
人間を頭の数で数えることになる
分かり合えないから他者なのに
分からない部分を無視して
分かるところだけと付き合うのは
他者の体を借りて
自分の分身と話しているだけだ
もしここが診察室で僕が医者なら
あなたは自身の不調を詳細に伝えようとするだろう
ここで大丈夫ではないと答えたところで
何かしてくれると期待できない相手には
本当のことを話す意味はない
だから僕は大丈夫ですかと尋ねるのを合理的にやめて
03:03
あなたが大丈夫ではないと仮定して
行動することにした
そもそも僕たちは自身のことがよく分からない
嘘をつきたくてついているのではなく
正確にトラッキングできていないから
罪の意識なく平気で嘘をつける
あなたの言葉を信用しない
でもあなたのことは信じる
ケチャップとマヨネーズを混ぜたオーロラソースのような色をした
オリジン弁当の椅子に座って
レシートに印刷された番号が呼ばれるのを待っている
1985番 西暦みたいだ
オリジン弁当の生姜焼きは生姜の香りがしなくて
かつて会社のオフィスの近くにあった
中華料理屋の生姜焼きに似ていて
その中華料理屋は新型コロナウイルスが流行する前に閉店してしまった
閉店の理由はオリンピックによる開発で
地価とテナントの家賃が上がったからだという噂だが
本当かどうかは分からない
続けていても苦しかっただろうし
いつか閉じるならベストなタイミングだったのかもしれない
1985年 初熱外来の場所を知らせる張り紙に
花の差し絵を入れた方がいいと思った人がいるんだよな
と思いながらテレビのニュースを眺めている
張り紙の隅に差し絵を入れた人は
おそらく文字だけでは殺風景だと思ったのだろう
そして今すぐに必要とされているこの場所にこそ
殺風景な紙を掲示するだけでは機能が足りないと思ったのだ
ラブホテルの外壁に埋め込まれたブラウン管のモニターに
無音のミュージックビデオが流れている
大丈夫 どっかから来た僕たちが
ここからどっかへ行くだけのつまんない場所だよ
この場所にいる人たちは
どこかで何をしているのかを知っている
この場所にいる人たちは
どこかで何をしているのかを知っている
この場所にいる人たちは
どこかで何をしているのかを知っている
06:00
この場所にいる人たちは
どこかで何をしているのかを知っている
この場所にいる人たちは
(字幕視聴ありがとうございました)
06:10

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