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2025-01-20 04:33

【0962】2025/01/20 冷たい雨と暖かい雨 #ことば

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2025/01/20

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おはようございます。花火鑑賞士、気象予報士の鶴岡慶子です。
この配信では、花火や天気、言葉に関することなどをお話ししています。 今日も最後までお付き合いください。
天気予報で、昨日冷たい雨が降るでしょう、と言っていました。 意図するところは、雨が降って冷えることだったり、逆に気温の低い中で雨が降ることだったり、
体感的に冷える雨が降るよ、ということを言っているんだと思います。 冷たい雨っていう歌もありますから、割と視聴者もあまり違和感なく聞いてしまうんだろうなって思います。
ただ、私はいつもモヤっとするんですね。私だったら、この表現を直してお話をします。 なぜなら、ということですが、気象学の観点からいきますと、これは少し違う意味を持つんですね。
実は、気象学では、雨の分類にはっきりとした基準があるんです。 冷たい雨、暖かい雨という分類があるんですが、これは何も降ってくる雨が、氷水のように冷たかったり、逆にぬるま湯のような雨が降るわけではないんですね。
何が基準なのかというと、雨の最初が氷だったか水だったかの違いです。 冷たい雨の方から少しご紹介していきますと、冷たい雨の定義は、雲の中で水滴が0度以下になって、小さい氷の粒を伴って形成される雨のことなんです。
冷度以下で小さい氷の粒から雨になったもの、これが冷たい雨なんです。 逆に暖かい雨というのは、雲の中で温度が0度以上で、氷の小さい粒が形成されることなく雨として降ってくる雨なんです。
もともと雲の中で氷だったのか、氷を形成することがなかったものなのか、 厳密に分類されています。
暖かい雨は主に熱帯地域で発生します。 日本のような温帯地域では、雨が作られる過程で氷の粒が含まれることがほとんどですので、基本的に暖かい雨が降りません。
ということで、日本では冷たい雨しか降らないとも言えます。 すべてが冷たい雨が降るでしょうなんです。
でも、あえて冷たい雨でしょうと言いますと、別の日はまた暖かい雨が降るでしょうということもあると、誤解を招く恐れがあります。
いや、降らないです。すべてが冷たい雨だからということなんですね。 だから、あえて冷たい雨が降るでしょうというのが、やっぱりもやっとするんですね。
さらに天気予報でよく耳にする、冷たい雨が降るでしょうという、この冷たい雨は単に気温が低い日の雨を指していることが多くて、これは気象学の定義に忠実ではありませんので、これは正確さに欠ける表現と言えるんじゃないかと思います。
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気象キャスターの多くは気象予報士ですので、そのフィルターを通っているはずなんですよね。
この暖かい雨、冷たい雨という定義をしっかりとわかっている人のはずなんですけど、そうであるならばオンエアに乗る前に修正できるはずなんですよね。
もちろん日常会話で使うとか、しかもそれが素人さんが使うのは全く私も目くじろを立てるっていうことではないんですけれども、オンエアに乗るのであれば言葉は厳密にしたいものだなって強く思います。
どう言ったらいいかなって言いますと、気温が低い中で雨が降るでしょうということになると思うんですね。
じゃあそれに伴う注意喚起としては、気温が低い中で雨に濡れてしまいますと、体感的に非常に寒く感じるということになると思うんですね。
そこでご注意くださいということにつながっていくんだろうと思います。
視聴者がいちいちそんなこと注意していないからいいだろうとか、それは伝える側の姿勢は正していかなきゃいけないことだなって思います。
特に気象コーナーです。
そのコーナーというのは気象予報士が気象解説をする場なんですね。
その時に気象学における定義、これはないがしろにすべきではないですし、言葉は厳密に使いたいものだなと思います。
この配信はアップルポッドキャスト他各種プラットフォームでお届けしています。
それではまた明日。
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