00:00
こんにちは。
あの、休日の朝7時って、普通ならまだ布団の中でまどろんでいる時間じゃないですか。
まあ、そうですよね。大体の方はゆっくり寝てますよね。
ですよね。でも今回資料を送ってくださった方は、なんとその時間にはもう車に飛び乗って、高速道路をひたしり走っていたそうなんですよ。
えー、朝7時から高速ですか。それはまたすごい気合ですね。
えー、目的地は仙台市で開催中の仮面ライダー神アギト展だったんです。
あー、なるほど。あのアギト展ですね。
はい。で、これ聞いている皆さんもちょっと不思議に思いませんか。
25年前の特作作品のために大人の男性がそこまで熱狂するって、正直どうしてそこまでって。
確かに、方から見たらただの買い子趣味に見えちゃうかもしれないですね。
でもこのアギトという作品って単なる特撮番組の枠を完全に超えてるんですよ。
ほう、超えている?
ええ。その後の平成ライダーシリーズのある意味でDNAを決定づけた雛型なので、その熱量も大いに納得できるというか。
なるほど。実は今回の資料の中で送ってくださった方がものすごく秀逸な表現をされてまして。
どんな表現ですか。
アギト、G3、ギルスっていう全く立場の違う3人のライダーが同時進行で絡み合う群像劇じゃないですか、この作品って。
ええ、そうですね。
それをメインディッシュが3つある仮面ライダー定食。
見事な例えですね。それぞれが全く別のベクトルを向いているのがこの作品の一番得意なところなんですよ。
別のベクトル?
はい。超能力的な力で覚醒したアギトと、警察が科学技術の息を集めて作ったG3、それに不本意ながら野生の力に目覚めちゃったギルス。
でも私ここで少し引っかかるんです。記憶喪失とか、謎の海難事故とか、さらには神の存在みたいなかなり重厚なテーマが中心じゃないですか。
ええ、かなり重いですよね。
これ、日曜の朝に子供たちが見ていたんですよね。ちょっと子供向けにしてはテーマが複雑すぎやしませんか。
いや、そこがアギトの最大の発明なんですよ。前作のクーガって、もし現代社会に怪人が現れたら警察はどう動くかっていう、現実世界のリアルを極限まで追求したじゃないですか。
はいはい、かなりリアルでしたよね。
対してアギトは、ベクトルを人間の内側に向けたんです。人間にはどんな可能性があるのかとか、その未知の力とどう向き合うのかっていう。
ああ、なるほど。深い人間ドラマに焦点を当てたんですね。単なる完全超合枠じゃなくて。
そうなんですよ。正義の側にいる人間同士の葛藤とかエゴを描き出したんです。この複数のライダーがそれぞれの信念でぶつかり合って、時に共闘するっていう構造が、後の平成ライダーの型を作ったんです。
だから当時の子どもたちは無意識に奥深さに惹きられて、大人になった今でも強烈に惹きつけられるわけですね。
03:01
まさにその通りです。それが今回の展示会での熱狂ぶりにも繋がってるんだと思います。
確かに、ただの懐かしい小道具の展示じゃなかったみたいです。送ってくださった方のレポートを読むと、中まで入れるGトレーラーがあったりとか。
クラウドファンディングで再現したやつですね。
そうです。あと当時のプロデューサーと脚本家の方が福島のお酒の大何を飲み交わす映像が流れていたりとか。
えー大何ですか。ギルス役の俳優さんが今店長をされている焼肉店の神井でのキャスト提談もあったそうですね。
ええ。でも一見すると作品の本編とは関係ない裏話ですよね。なぜファンはそこまで裏側とか当時の小道具に熱狂するんでしょうか。
それはですね、そういう作り手たちの生身の熱量とか人間色差がアギトっていう重厚なドラマを成立させていた土台だからなんですよ。
土台ですか。
はい。25年前、毎週テレビの前にいたあの頃の私は画面の向こう側の熱を確かに感じ取っていたわけです。
なるほど。
僕ら展示空間で当時の裏話に触れるっていうのは、ただ過去を懐かしむだけじゃなくて、純粋にワクワクしていた25年前の私自身の感情のスイッチをもう一度押し直す体験なんだと思います。
25年前の私との再会ですか。なんかすごく腑に落ちました。
ええ。とてもパーソナルな体験ですよね。
実際送ってくださった方は、その体験に心を揺さぶられすぎて、グッズを買いまくった結果財布の中身が変身解除したって笑ってました。
ああ、財布が変身解除ですか。面白いですね。
しかも出口で再入場付加の文字を見て慌てて会場をもう一周したっていう凄まじい熱量で。
いやあ、その慌てぶりからもどれだけのうみつな時間を過ごされたかが伝わってきますね。
でもこの深い人間ドラマの面白さってヒーロー側だけに留まらないんですよね。
実はレポートの最後にものすごくユーモラスで悲劇的なエピソードがありまして。
悲劇ですか。何があったんでしょう。
会場を後にしてSNSを見たら、なんと全く同じ時間帯にあの嫌な警察官の包丁東映を演じた山崎潤さんが会場を訪れていたらしいんです。
えっとあのG3の邪魔ばかりする絶妙に憎だらしいエリート警察官の包丁ですか。
ええ。ニアミスで会えなかったってものすごく悔しがっていらっしゃって。
ああそれは確かに悔しい。
特撮ファンって不思議ですよね。正義のヒーローに会いたいのは当然として、それ以上にあの嫌な奴に会って大興奮するっていう。
いやでもそれこそまさに先ほど言った人間ドラマの奥深さの証明じゃないですか。
あ、なるほど。
ただの悪者じゃなくて、彼なりの正義とか嫉妬、エゴイズムが徹底的に描かれていたからこそ、25年経ってもこれほどまでに愛される嫌な奴になっているんですよ。
確かにそうですね。作品の持つ人間への深い解乗度がこんな形でも証明されているわけですね。
ええ、本当にそう思います。
アギトが描いた人間の可能性とか進化っていうテーマですけど、今回早朝から拘束を飛ばして展示会に向かった熱意を見ていると、ちょっと気づくことがありまして。
06:06
ほう、何でしょう。
もしかしたら一番進化しているのは画面の中のヒーローじゃなくて、25年という歳月をかけて好きっていう感情をここまで成熟させたファンの情熱そのものなのかなって。
ああ、それは素晴らしい視点ですね。
過去に熱中したものを今の視点で再放したとき、新しく成長した現在の私の姿に気づくことができる。
はい。
本当に素晴らしい体験だと思いますよ。
リスナーの皆さんも過去の情熱に改めて向き合ってみると面白いかもしれませんね。
ええ、自分自身の変化に気づけるかもしれません。
次回の配信もお楽しみに。さようなら。