1. 小島ちひりのプリズム劇場
  2. #068 躊躇なくインターホンを..
#068 躊躇なくインターホンを押す人
2026-05-02 09:56

#068 躊躇なくインターホンを押す人

たまに、自分の見ている世界は、本当に合っているのか不安になります。

脚本・出演:小島ちひり
収録・編集:三木大樹(有限会社ブリーズ)

noteに本文を掲載中。
https://note.com/child_skylark

◇小島ちひり
7歳より詩を書き始める。
大学・大学院で現代詩を中心に近現代文学を学ぶ。
2013年 戯曲を書き始める。
2016年 つきかげ座を旗揚げ。3公演全ての作・演出を手がける。
2023年 プリズム劇場を配信開始。
日常の中の感情の動きを繊細に表現することを得意とする。
現在は表現の幅を広げるべく社会に潜伏中。

【X(旧Twitter)】
https://twitter.com/child_skylark
【note】
https://note.com/child_skylark
【Instagram】
https://www.instagram.com/child_skylark
【threads】
https://www.threads.net/@child_skylark
【戯曲アーカイブ】
https://playtextdigitalarchive.com/author/detail/360
【観劇三昧】
https://kan-geki.com/theatre/site/k7opwjrge5ne02y6

無断転載禁止

#ラジオドラマ #朗読 #物語 #シナリオ #脚本 #小説 #モノエフ朗読
#人間関係 #コミュニケーション #自己理解
---
stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。
https://stand.fm/channels/647871ce590eb774d1da4879

感想

まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!

サマリー

主人公は派遣社員として働く中で、人事部から呼び出され、遅刻や居眠り、特定の社員へのメッセージ送信などについて問いただされる。その後、派遣会社からも同様の指摘を受け、自宅待機となり、元の会社に戻れなくなる。失意の中、近所に住む少女「ゆあちゃん」に親近感を覚え、彼女の部屋のインターホンを押すが、現れたのは小学校教師を名乗る男だった。後日、再びインターホンを押すと、ゆあちゃんの母親と思われる女性に激しく問い詰められ、混乱の中、階段から転落してしまう。

人事部からの呼び出し
小島ちひりのプリズム劇場
この番組は、小島ちひり脚本によるラジオドラマです。
プリズムを通した光のように、様々な人がいることをテーマにお送りいたします。
最近、例えば、人間関係に悩んでいたりとか、そういったことはありますか?
人事部のおじさんに呼び出されたかと思ったら、そんなことを聞かれた。
いえ、特にはありませんが。
そうですか。実は、美永さんについて、人事部としていくつか相談を受けておりまして、何点か確認したいことがあるのですが、よろしいでしょうか?
はあ。
例えば、業務中に居眠りをしたことはありますか?
いえ、身に覚えがありません。
そうですか。勤怠を確認させていただきましたが、最近、遅刻が増えているように見えますが、体調で何か困っていることはありますか?
いえ、健康です。
そうですか。では、特定の社員に一方的に複数のメッセージを送った事実はありますか?
いえ、そんなことはしてないです。
そうですか。部署内で親しい人はいますか?
いえ、特別仲がいいと思っている人はいません。
そうですか。では、正治さんとも特別親しい関係というわけではないということですね。
正治さん?なぜ人事部が正治さんと俺のことを知っているんだ?なぜ正治さんの名前が出てくるんですか?
こちらの質問にお答えいただけますか?
人事部のおじさんはまっすぐ俺の目を見ている。俺は何て言えばいいのかわからなくて目をそらしてしまった。
正治さんに多数のメッセージを送った事実はありますか?
え?一般的な範囲内でなら送ったかもしれません。
多い日だと一日に53件のメッセージを送っていませんか?
は?どういうことですか?
質問に答えてください。
俺の心臓はバクバクとなっていた。
何て答えればいいんだ?
わかりません。
そうですか。承知しました。
大変申し訳ありませんが、皆川さんは本日より自宅待機となります。
派遣元の営業の方よりご連絡があると思いますのでそのままお持ちください。
また弊社から貸し出している物品に関しましてはこの後一旦返却をお願いします。
俺は何が起きているのかさっぱりわからなかった。
いやー俺らも頑張ったんですけどね。無力で申し訳ないっす。
派遣会社との面談と失業
人事部のおじさんとの面談の次の日、派遣会社の営業から連絡があり面談することになった。
遅刻問い眠りだけだったらね、これから頑張りますんでもう少し様子見てあげてくださいとか言えたんですけど、
女性社員へのしつこい連絡はちょっとかばいきれないっす。
しつこくなんかしてません。
あーなんていうか、美永さん的にはそのつもりだったかもしれませんけど、
世の中的には付き合ってない男性から女性に毎日何通もメッセージを送るのはしつこいのは範囲ないっす。
派遣の営業はニヤニヤしながら言った。
美永さんには新しい派遣先を探しますんでしばらく自宅待機でお願いします。
結局元の会社に戻ることはできなかった。
俺はびっくりして生辞祭にメッセージを送った。
1時間経っても返事が来ないので心配になってまたメッセージを送った。
既読にすらならなかった。
少女「ゆあちゃん」との出会い
マンションの下まで戻ってくると、ゆあちゃんが部屋に入っていくところが見えた。
ゆあちゃんの家はシングルマザーだ。
名前は郵便受けから飛び出していたDMを見て知った。
DMから察するに小学校4年生らしい。
母親は夜遅くまで帰ってこない。
俺が守ってあげなくちゃ。
ゆあちゃんいるんでしょ?
今日もお留守番かな?
寂しくない?
おじさんと遊ぼうよ。
俺はいつも通り夜の8時過ぎくらいにゆあちゃん家のインターホンを押した。
ゆあちゃんは出てきてくれたことはない。
きっと恥ずかしがり屋さんなのだろう。
すみません、どちら様でしょうか。
小学校教師との遭遇
中年男の低い声に驚いて振り向いた。
そこには俺を睨んでいる知らない男が立っていた。
あんた、誰だ?
私、こういうものです。
男は名刺を差し出してきた。
緑沢学園小学校、教諭、北峰清と書いてあった。
失礼ですが、こちらのお宅の方とどういったご関係でしょうか。
そんなこと、あんたに教える必要はないだろう。
お名前をお伺いできますか。
こちらのマンションの方ですよね。
お、お前には関係ないだろう。
俺は慌てて逃げた。
どこに逃げればいいのか分からず、自分の部屋に飛び込んだ。
なんで小学校の教師が他人のマンションをうろうろしているんだ。
不審者だろう。
母親からの激しい問い詰めと転落
借り返しに行った方がいいのだろうか。
それから、いわちゃんが帰ってくる時間になると、
その部屋のあたりを男がうろうろするようになった。
いわちゃんは男につきまとわれているのだろうか。
守ってあげたいが、俺はどうすればいいんだ。
それから1ヶ月ほどすると、
いわちゃんの部屋の前から男たちがいなくなった。
本当にいないかどうか、数日様子を見たが、大丈夫そうだ。
いわちゃんは無事だろうか。
俺はいてもたってもいられず、いわちゃんの部屋のインターホンをした。
いわちゃん、変な男がずっとうろうろしていたけど、大丈夫?
おじさんが守ってあげるからね。
え?誰ですか?
おばさんの低い声が聞こえた。
怒りがにじんでいるのが伝わってきた。
俺は背筋が凍った。
あ、あの…
先生じゃないですよね?誰ですか?
心臓がバクバクしている。
男たちよりも、俺に対する憎しみが、声にのっかっているような気がした。
その時、玄関の扉が開いた。
いわにつきまとっていたのは、あなたですか?
おばさんは目を大きく開き、今にも襲いかかってきそうだった。
えいっ!
気がつくと、俺は慌てて逃げていた。
待て!逃げるな!
おばさんの怒声が響く。
俺の心臓は飛び上がり、呼吸が上がる。
うわっ!
階段を降りようとして、足がもつれた。
ドカン、バタンと、頭に音が響いた。
大丈夫ですか?
知らない男の声が聞こえる。
救急車!救急車!
そこから、俺の記憶は途切れた。
番組の締め
いかがでしたでしょうか?
感想はぜひ、ハッシュタグプリズム劇場をつけて、各SNSにご投稿ください。
それでは、あなたの一日が素敵なものでありますように、
小島千尋でした。
09:56

コメント

スクロール