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2024-11-16 17:33

#4 偉大な芸術家の魂を突き動かす衝動とは / サマセット・モーム『月と六ペンス』①

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(※音が聴こにくい部分があります。すみません。)

今回は、サマセット・モームの代表作「月と六ペンス」

芸術の殉教者、永遠の巡礼者である生粋の芸術家ストリックランドたちを巡り、美のおそろしさに触れる。
この物語が描き出す人間の深淵さ、計り知れなさ、謎を深める。

サマリー

サマセット・モームの『月と六ペンス』では、主人公のチャールズ・ストリックランドが突然家を出て、画家になる決意をする様子が描かれています。物語は、ストリックランドの妻や主人公の視点を通して、芸術に対する強い衝動とその影響を探ります。また、作品を通じて夢を追いかけることの困難や人間の複雑さが描かれ、読み手に深い印象を与えます。

ストリックランドの出発
こんにちは。
こんにちは。
じゃあ、詩人さん、今日の一冊をお願いします。
今日はね、こちらです。
サムセット・モームの月と六ペンス。
月と六ペンスね。
僕、大好きですよ。
読んだことあります?
あります。
いいですね。
の、慎重文庫の、この青のね、私の持ってきてくれてるんだ。
タイトルもいいよね。
そうなんですよね。
月と六ペンス。
この小説に月と六ペンスってつけるタイトルの良さのことだよね。
これ、現代もそういうことなんだもんね。
ザ・ムーン・アンド・セックス・ペンスだもんね。
いいよね。
で、モームって、世界十大小説みたいなね、提唱した人で。
あ、そうなんだ。
世界十大小説というのがあるんですよ。
各国から2、3個ずつ引っ張って、
僕の好きなカラマー族の兄弟とか入ってて。
そっちの方が有名で、
モーム自身の小説を読んだ人も少なくなりつつあるかもしれないんですけど、
本当にモームの代表作。
そうですよね。
今日はちょっとこれ。
いいね。
新刊書店でも手に入りやすいですからね。結構並んでますからね。
そうなんだ。
モームの、この作品は結構見ますね。
いいねいいね。
いきますか。
いきましょうか。
この小説って、主人公の私っていう人の
独り語りというか、
この私っていう人は、
名前が出てこないから私って言うしかないんですけど、
この私っていう人が小説家の人って、
おそらくモーム自身なんですよね。
で、その私っていう人が、
本当に主人公、
チャールズ・ストリックランドっていう芸術家、
本当に喫水の芸術家と出会って、
ものすごい人だったんだっていうことを、
改装するという、
縦付け、
話が始まるわけでございます。
芸術のための決意
いいね。
僕もやっぱ記憶薄れてきてるから、
今日これでもう一回やるの楽しみ。
そうね。
で、ちょっと最初、
76ページぐらいのところを、
読んでいきたいなと思ってるんですけど、
ちょっとだけ、
どういう場面なのかっていうことを話すとですね、
チャールズ・ストリックランドっていう人は、
本当に知らないサラリーマンだった人ですよ。
証券会社だったかな?に勤めてた。
で、結婚もされて、子供もいて、
温かい家庭を築かれた、
本当にごく普通のサラリーマンだった人が、
ある日突然、家から出て行って、
画家になるっていう話。
そうですよね。
家族もいましたっけ?
家族もいる。
で、今から読む場面は、
その奥さんがね、ストリックランドの奥さんが、
困るわけですよ。
働いてもない。
舞台が、20世紀か19世紀ぐらいのイギリスだと思うんですよ。
だから、今の我々みたいに、
女性も共に遠働きとかじゃない。
そうですよね、時代が。
養ってもらわないと、生きていけないわけですよ。
当然困ると。
子供もいるし。
奥さんも何とかして、
旦那を連れ戻してきてくれって、
私に依頼するんですよ。
で、私っていう人も、
信じられないわけですよ。
あの人が突然出て行ったと。
理由はわかんないですよ。
突然出て行ったから。
奥さんは、
女ができたんじゃないかって。
あの夫に女ができたから、
だから理由も言えずに、
行ったんじゃないかって。
でも許すから。
それはもう、
帰ってきてくれって。
説得してきてくれって、
私にお願いするんですよ。
で、私も、
わかりましたって言って、
ちょっと気になるし。
イギリスに住んでるんですけど、
どうやらパリに行ったらしい、
っていう情報を入手して、
パリに行き、
ストリックランドに会って、
そこの会話。
もうだいぶ序盤ですよね。
動き出すとこですね。
一旦あげたことがあるシーンかもしれない。
改めていいね。
改めてね。
何かジューンさんに刺さってるんだろうね。
気になるってことですね。
だからずっと対話してる、
一部分なんですけど、
私っていう人が、
ストリックランドに言うわけです。
奥様を捨てたのは、
女性が原因ではないんですか?
ストリックランドが言うんですよ。
冗談じゃない。
名誉にかけてよ。
名誉にかけてよ。
じゃあどうして奥様を捨てたんです?
絵を描くためだ。
しかしもう四十じゃないですか。
だから今しかないと思ったんだ。
絵を描いたことはあるんですか?
ああ、
子供の頃は画家になりたいと思っていた。
だが、
父親は普通の仕事につかせたがった。
芸術じゃ食っていけないと思ったって言ってな。
絵を始めたのは一年前だ。
一年間夜間の教室に通った。
絵画教室に行ってたんですか?
奥様は、
あなたがクラブでブリッジしてると思っていたようですが、
ブリッジってトランプゲームだね。
ああ、
どうして奥様に話さなかったんです?
秘密にしておきたかった。
それで、
描けるようになったんですか?
まだだ。
だが、
いずれなる。
だからパリに来たんだ。
ロンドンでは、
求めていたものが手に入らなかった。
ここならきっと手に入る。
その歳で絵なんて、
初めて、
ものになると思うんですか?
大抵は18くらいで描き始めるでしょう。
18の時より、
今の方が早く身につくはずだ。
どうして自分に才能があると思ったんです?
描かなくてはいけないんだ。
当たって砕けるつもりですか?
もちろん、
奇跡が起こるかもしれない。
あなたは天才画家かもしれない。
ですが、
そんなこと滅多にあるもんじゃない。
後で全てを台無し、
後で全てを台無しにしたとわかったら、
立ち直らせんよ。
描かなくてはいけないんだ。
またストリックランドは言った。
仮に、
あなたに全く才能がないとして、
それでも全てを捨てる価値があるんですか?
他の仕事なら、
多少出来が悪くても構わないでしょう。
程々にやっていれば、
十分楽しく暮らしていけます。
衝動の本質
だけど、
技術家という職業は違う。
君は大バカ者だな。
ストリックランドは言った。
なぜです?
本当のことを言っただけです。
俺は、
描かなくてはいけない、
と言っているんだ。
描かずにはいられないんだ。
川に落ちれば、
泳ぎの上手い下手は関係ない。
岸に上がるか溺れるか、
二つに一つだ。
っていうところなんですよね。
いいね。
でも、たまんないんだよ、本当に。
確かに、
じゅうさん、前紹介してくれてたのを思い出したけど。
これ。
おお、これなんか、
じゅうさん、たまんなさみたいなとこちょっと。
そうだよね。
いけるならちょっと。
そうだよね。
いやー、
いや、これね、
40になって、
そうだよね。
今さら描くって、
描くんしますって、
ばっか言ってんじゃねーよって、
なるじゃないですか。
なるよね。
私の言ってることは結構、
ある種、世間の声だと思うんですよ。
そうなんですよ。
自分の声だよね。
そうなんですよ。
見てのね。
それに対してね、
もうね、上手い下手じゃないんだって。
川に落ちて上手い下手とかじゃないんだって。
俺はもう川に落ちてしまったんだって。
そうしたら、もう上がるか溺れるかしかない。
もう生きるか死ぬかしかないんだって言ってんすよ。
もう乗るか取るかなんですよ。
上手いとか下手とかじゃないんですよ。
泳ぐしかないんだって言ってんすよ。
だからこれ、もう、
そうならざるを得ないってこと言ってんすよ。
そうならざるを得ないってこと言ってんすよ。
何だったってことが最悪の謎でしょこれ。
ストリックランドの衝動
そんなことがね、
そう、人生で。
そう。
そう。
どういう状況なんだろう。
川に落ちたっていうのはどういうことだよね。
この彼の魂を駆り立てる衝動みたいなもんね。
この正体が何かって思う。
これですよ。
いいね。
これ。
これですよだね。
やっぱりどっかで、
なんかちょっと憧れてるところがある気がする。
そういう生き様に。
自分なんかが、僕もなんかこう、
詩人で食っていきたいとかね、
それだけで食べていきたいみたいなこと。
思ったりするけどできないなーみたいなね、
生活できないしなーみたいなこと思っちゃうけど、
もう生活できないとか稼げるとかそうじゃないんだと。
ざるを得ないんだって言ってるわけですよ。
まだ俺はそこまで行ってないってことだったと思うんですよ。
どんなふうにするのかはやっぱり。
ここまで夢を追いかけ、
追いかけざるを得ないってことはどういうことなんだって。
でも読んでる人の多くの人も、
どこか惹かれるかもね。
何かね、このむちゃくちゃやってるぞこいつは。
って思うと同時に、
何なんだこの、
無視できない感じだったよね。
これ、まあ、
なんだろうな。
モームも、
ストリックランドのことを、
その心情をあんまり書いてくれてないんです。
そっか、主人公は私だからね。
そう。
で、読む人からするとね、
書いてくれよと。
小説家としてね。
それはもうなんか、
もしかしてモームもわかってないんじゃないの?みたいな。
いや、まあ、モームもわかってないんですよ、実際。
モームも測り知れないところがあるんですよ。
だから、モームの小説家としてのそういう工夫が、
足りてないんじゃないの?って
読者は思うかもしれないんですけど、
逆なんですよ。
これ、ここまで、
ストリックランドの心情を書いてないということが、
読者の想像を働かせるという、
人間の測り知れなさ
小説家としては最大の工夫を行ってるんですよ。
これ、なるほど。
これもね、このテーマはやっぱり、
読者一人一人のね、
これ、取り分なんですよ。
あー。
ストリックランド視点で書かなかった。
なるほどね。
そう。
これ、まず、
いや、僕もこのテーマ考えたいから、
今日話したいんですけどね。
まず言えるのは、さっき言ったように、
人間の測り知れなさ。
なんだと思うんですよ。
人間の測り知れなさ。
うん。
あのサラリーになった人が、
突如、この、
真逆と言ってもいい、
変貌を遂げるっていうことがあるってことなんですよ。
簡単に人間はこうだって、
決めつけられないことがある。
このね、ストリックランドのことに関して言えばね、
本人さえもね、分かってないと思うんですよ。
ショート。
うん。
でも、やっぱりね、
40年の歳月が必要だったと思うんですよ。
あー。
なるほどねー。
その40年はあんまり描かれてなかった。
あんまり描かれてない。
この書籍の中では。
うん。
学科にね、通い始めた1年前って言ってるから、
まあ1年前にはもうはっきり、
この衝動があったわけですけど、
何よりも、
無意識には、
ずーっとあったんですよ。
でも今、じゅうさんが言ってくれたのは、
そこですぐ学科に目指すとかそういうことじゃなくて、
40年の歳月。
一見遠回りに見えるようなこの歳月も、
あんまり描かれてなかった。
うん。
でも、
この歳月、
この歳月、
この歳月、
この歳月、
一見遠回りに見えるようなこの歳月も、
そう。
むしろ、
むしろ、
必須の芸術家になるためには最短の近道だったっていうね。
この40年、
夢を、
にふたし続けたっていうか、
えー、まあわかんないけど、
なんか月を動かしたんでしょうね。
いやー。
でこれ、
僕が、
ちょっと憧れるとかって言うんですけれども、
これね、
その、
ストリックランドもね、
苦しんだと思うんです。
これだって、
生活よ、
一日に、
パン一つ、牛乳一つとかで生活してるんですよ。
そうなんですか。
大変な生活だよね。
みんな言いないなって思うかもしれないけど、
これ本人もね、
苦しいんですよ。
もう、
悪魔に取り憑かれたみたいなもんでね。
本人もわかんないことがあるんですね。
自分が言ってることが。
そう。
うん。
ただ、
ゴッフとかね、やっぱりちょっと放物するんですけどね、
またちょっと小林寺さんの本でご紹介できたら嬉しいんですけど、
その、
ゴッフもね、やっぱりね、
かかざるを得なかったんです。
ええよね。
はい。
自分のために。
うん。
自分はもう、
うん。
まあ、
気が狂ってしまうっていうね。
本当は、
ねえ、
弟と一緒に、
もっと仲良くうまくやりたかったし、
うん。
牧師にもなりたかった。
でも自分のこの気性の荒さで、
この自分の特性によって、
なれなかったし、
ねえ、
いろんなものを諦めざるを得なかったっていう。
うーん。
のがあって、
でもこれと向き合わざるを得ない。
この俺が絵を描いてるときは、
今こそ正気のときなんだって言って、
まあ、
自分と戦ってる、
まあ人なんですよ。
うーん。
なんかその、
描かざるを得なかった、
みたいなものが、
いろんな芸術家に、
まあ、
いろんな形であるんです。
よね。
うん。
で、このストリックランドも、
あるんですよ。
はあ。
やっぱり一概に憧れる憧れないとかって、
そういう話でもいいんですよね。
そうですよね。
大変に失礼なことを話してた。
ねえ。
本当にねえ。
いいねえ。
結構じゃあ、
序盤でそういうちょっと謎じゃないですけど、
引きつけられる、
何かこうねえ、
無視できない感じがあるよね。
そうだ。
うーん。
うん。
だからまあちょっと、
読んでない方はねえ、
うーん。
よかったら読んでもらって、
なんか、
このテーマについて自分なりになんか、
深めてね、
うーん。
いい気がして。
うーん。
はい。
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