1. 千利休生誕5百年記念作品「茶聖あり」
  2. 第5話 ジョブズ氏ら世界の一..
2022-12-22 07:51

第5話 ジョブズ氏ら世界の一流が知る和の本質【千利休生誕500年 第3部】

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千利休が大成した茶の湯の精神は海外のビジネス界をも魅了している。外資系IT企業の日本オラクルは東京・青山の本社ビル最上階に茶室と日本庭園を設置し、精神性を体現する。

茶室「聚想庵(しゅうそうあん)」に続く石畳に足を踏み入れると、騒がしい都心とは別世界の静寂が広がり、手水(ちょうず)鉢に落ちる水だけが音を発する。

「アメイジング(素晴らしい)」。新型コロナウイルスの感染拡大前、茶室では取引先の外国人らが驚きの声を上げていた。幾度も重要な商談の舞台となり、ビジネスを成功に導いた。

平成20年の自社ビル建設時に、日本文化に造詣が深い米オラクルのラリー・エリソン最高経営責任者(CEO、当時)の意向で設置。日本オラクルのディレクター、瀬谷一也さんは「社員がおもてなしの心を学ぶ場所としてもフル活用している。庭の天然のコケも常にいい状態を保たせており、箱モノをつくって終わりではない」と語る。

政治や武家に通じ、今に至る茶道を大成した千利休は今年が生誕500年になる。多方面の活躍と謎の多い生涯で現代人をも引きつける「茶聖」の魅力に迫る。

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千利休の茶の湯の精神と海外ビジネスマンの心
政治や武家に通じ、今に至る茶道を体制した千利休は、生誕500年を迎えます。
他方面の活躍と謎の多い生涯で、現代人をも惹きつける利休。
その魅力に迫るシリーズ、茶聖あり。千利休生誕500年を、菅俊介のナレーションでお届けします。
第3部は、戦国時代。茶人と経済の関係、そして著名人に与えた影響などをたどっていきます。
第3部、第5話。ジョブズシラ、世界の一流が知る和の本質。
千利休が体制した茶の湯の精神は、海外のビジネス界をも魅了している。
外資系IT企業の日本オラクルは、東京青山の本社ビル最上階に茶室と日本庭園を設置し、精神性を体現する。
茶室、修荘湾に続く石畳に足を踏み入れると、騒がしい都心とは別世界の静寂が広がり、蝶酢鉢に落ちる水だけが音を発する。
アメイジング、素晴らしい。
新型コロナウイルスの感染拡大前、茶室では取引先の外国人らが驚きの声を上げていた。
幾度も重要な商談の舞台となり、ビジネスを成功に導いた。
平成二十年の自社ビル建設時に、日本文化に造形が深い、米オラクルのラリー・エリソン最高経営責任者の意向で設置。
日本オラクルのディレクター、瀬谷和也さんは、社員がおもてなしの心を学ぶ場所としても、フル活用している。
庭の天然の苔も常にいい状態を保たせており、箱物を作って終わりではない、と語る。
茶室では、邸主と客が同じ目線で向き合い、茶を注いだ茶碗を介して、いろいろな話をする。
お互いを尊重しながら、いい時間を過ごすことができる、と話すのは、茶室を監修した、遠州佐渡宗家の小堀宗実さん。
まびさびの精神に、美しさや明るさ、豊かさを加えた、きれいさびを掲げる遠州流は、離宮没後の江戸初期に誕生。
創始者の小堀遠州は、離宮の弟子で武将の古田織部に支持した。
宗実さんは遠州流について、思いやりやもてなしの心を大切にする今日の茶道の基礎となっている、と説明。
庭師でもあった遠州の影響がみられる、京都市の桂離宮を好んだエリソン氏の養成で、日本オラクルとの関わりが始まったという。
米アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏も茶の湯の精神に魅せられた。
電話とパソコンを融合したiPhoneをはじめとするジョブズ氏の生み出した製品は、世界の常識を覆し生活を変えた。
ジョブズ氏の言った洗練を突き詰めれば完結になる、とは茶道の精神である禅に通じる。
ジョブズ氏は若き日に禅に出会ったことで、自身の哲学や美意識に大きな影響を受け、福井県の永平寺で出家しようとしたエピソードも残る。
海外ビジネスマンの心をつかむ茶の湯の本質とは何か。
茶道の精神が広がる今こそ知っておきたいこと
海外の用人に茶の機械を提供してきた茶道家の武田利恵さんは著書の中で、
茶道の基本精神は、和やかな心、清らかな心、動じない心を意味する和形静寂で、茶道の修練によってその教えを心に刻み、人間として成長しようとする日本独特の道、と指摘。
明日をも知れぬ武将が茶の湯によって己と向き合い、邪念を払って心を整えた、とする。
これは生き馬の目を抜くビジネスの世界とも共通しないか。
武田さんは、利恵の教えを踏まえ、一日一日を大切に生きること、それが茶道の精神の重要な部分だ、とした。
ジョブズ氏は晩年、「今日が人生最後の日だったら。」と自問自答し、重大な決断をしてきたことを明かしている。
世界を席巻しつつある茶の湯。
歴史家の各構造さんは、ロシアによるウクライナ侵攻などで世界が不安に包まれている現在だからこそ、
自己を立し心の平穏をもたらす茶道の精神はさらに広がるとみる。
その上で茶道に対する世界の理解はもっと深い。
手前をやれば外国人は喜ぶ、ではなく、利休の茶の湯が非常に先鋭的だったことを忘れてはならない、と強調。
日本人が茶の湯の本質を理解し、時代に合う形で世界に発信しなければ、自国のものでなくなるかもしれない、と警鐘を鳴らす。
エピローグ
お届けしたのは産経ポッドキャスト
茶聖有 千利休生誕500年 第3部の第5話
ジョブズしら世界の一流が知る和の本質でした。
第3部は以上となります。
なお産経ニュースでは文章、写真やグラフィックでお楽しみいただけます。
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ナレーターは菅俊介でした。
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