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今晩は、今夜もまた、おやすみ歴史ラジオの時間がやってきました。 ベッドに入って、一番リラックスできる姿勢で聞いてね。
前回は、無欲の知恵で豊臣秀吉の天下への道を照らし、 誇り高き友情と愛を残して駆け抜けた天才軍師、竹中半兵衛の生涯をお届けしましたね。
今夜からは、病に侵されながらも義と情けをおもんじ、 盟友、石田三成との友情にすべてを捧げて関ヶ原に散った致勝、大谷義次の物語です。
静かで熱い魂を秘めた名称の第一話をお届けしますね。 激動の戦国時代、越前や奥美の境に近い地で生まれたとされる大谷義次。
陽明を桂松と呼び、若い頃から聡明で礼優し正しく、 周囲から深く愛される穏やかな少年として育ちました。
やがて義次は、織田信長の重心として闘客を表し始めていた橋場秀吉、 後の豊臣秀吉に故障として使えることになります。
義次の類まれなる観察眼と相手の気持ちを察して細やかに動く気配りの深さは、 すぐに秀吉の目に留まることとなりました。
秀吉は義次の深い知恵と機品ある立ち振る舞いを高く評価し、 若くして重要な任務や身の回りの世話を任せるようになっていきます。
その秀吉の陣営で、義次は生涯の友となる一人の青年と出会いました。
それこそが、後に歴史を大きく動かすこととなる石田光成です。
光成は妥協を許さぬ真面目な性格ゆえに周囲と衝突することも少なくありませんでしたが、 義次は光成の不器用なまでの純粋さと高い志を誰よりも理解していました。
二人は夜遅くまで天下の行く末や理想の知性について語り合い、 言葉を超えた固い絆と友情で結ばれていったのです。
秀吉が天下人への道を駆け上がっていく中で、 義次もまた自らの才能を開花させていきました。
合戦での武勇はもちろんのこと、 特に物資の調達や軍の移動を整える武業としての能力において、 義次は目覚ましい手柄を立てていきます。
秀吉をして数十万の大軍を指揮させたい男とまで言わしめた義次は、 やがて鶴ヶ野大名へと取り立てられ、領民からも深く慕われる名将へと成長を遂げていくのでした。
秀吉からの絶大な信頼を受け、 鶴ヶ野大名として順風満帆な歩みを進めていた義次でしたが、 その壮健な体に不吉な病の影が忍び寄り始めていました。
当時の人々から恐れられていた重い皮膚の病が、 義次の皮膚を徐々に蝕み始めたのです。
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顔や全身の肌が荒れ果て、激しい痛みに襲われる病状は、 次第に隠し切れないものとなっていきました。
武士として戦場に立ち、政治の場で闘格を表していた義次にとって、 病によって容姿が変わっていくことは耐えがたい苦痛であり、 大きな心の傷となって重くのしかかりました。
周囲の家臣や他の大名たちの中には、 病を恐れて義次から露骨に距離を置こうとする者や、 心ない視線を向ける者も少なくありませんでした。
そうした世間の冷たい眼差しに触れるたび、 義次の心は静かに傷つき、孤立感を深めていったのです。
しかし、どれほど病状が悪化し、人々が離れていこうとも、 義次の持てる貴貧と深い知恵が衰えることはありませんでした。
そして何より、たった一人だけ、 以前と全く変わらぬ眼差しで義次に接し続ける男がいました。
それこそが、若き日からの盟友である石田三成でした。
三成は周囲の目を一切気にすることなく、 病に苦しむ義次の下を頻繁に訪れては、
以前と変わらぬ口調で政務の相談をし、 友情を温め続けました。
他人の目を恐れて遠慮する義次に対し、 三成は義次伝は義次伝だと言わんばかりの態度で、 変わらぬ絆を示し続けたのです。
病によって肉体が蝕まれ、 失意の底に沈みそうになる義次にとって、
三成の不器用ながらも温かい誠意は、 暗闇の中に差し込む唯一の救いの光でした。
義次は己の病という過酷な運命を受け入れつつも、 自らを一人の武士として、一人の友人として信じ続けてくれる三成のために、
自らの命と知恵のすべてを捧げることを静かに心に誓うようになっていくのです。
病の進行は容赦なく、義次の視力を奪い、 歩行すら不自由にしていくほど重々しいものとなっていきました。
顔を隠す白い布を巻き、腰に乗って移動せざるを得ない体となりながらも、 義次の心の内に秘められた聡明さと誇りが失われることはありませんでした。
そんな義次の人間性の深さを象徴する有名な出来事が豊臣家のお茶会で起こります。
秀吉をはじめとする名だたる大名たちが集まり、 一つの茶碗に継がれたお茶を順番に回し飲みする席でのことでした。
義次の順番が回ってきた際、痛ましい病の症状ゆえに、 茶碗の中にポタリと一滴の海が落ちてしまったのです。
座を包む静寂、周りの大名たちは顔を青ざめさせ、 自分の番が回ってくることを恐れて視線を背けました。
自分が飲む団になれば、口をつけるふりをすることすら ためらわれるほどの緊迫した空気が漂いました。
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その重苦しい沈黙を破ったのが、 義次の隣に座っていた石田三成でした。
三成はいやそうな素振りを未尽も見せることなく、 義次から受け取った茶碗を迷わず手に取ると、
中に残っていたお茶を豪快に一気に飲み干してみせたのです。
そして、大変旨なお茶でございましたと爽やかに微笑み、 何事もなかったかのように次の客へ茶碗を回しました。
自分の病を恥じ、身を縮こまらせていた義次の胸に、 三成のこの行動がどれほど深く突き刺さったことでしょう。
己の面目や衛生よりも、 友の誇りと立場を何より優先してかばってくれた三成の深い情け、
義次の目からあふれ出る涙が白い布を濡らしました。
この瞬間、義次はこの男のためならば、 いついかなる窮地にあろうとも、
我が命を捨てて共に戦おうと固く誓ったのです。
天下火と秀吉の死が刻一刻と近づき、 豊臣家に暗雲が立ち込め始める中、
二人の堅い友情は歴史の巨大な嵐へと 飲み込まれていくことになります。
大谷義次のお話、第1話はこれでおしまいです。
病に苦しみながらも貴品を失わず、 盟友との温かい絆を胸に刻んだ大谷義次。
次は一体どのような物語が待っているのでしょうか。
今夜はどうぞ、ぬくもりのある布団に包まれて、 心も体もゆったりとお休みさせてあげてくださいね。
それでは素晴らしい夢が見られますように、おやすみなさい。