さて、今回のWBC、私ももちろんネットフリックスで見ました。
正直最初は地上波で見れないの?って思ったんですよ。
もう野球を観戦している時に、親と一緒にテレビで見るという感覚がないんだなぁという気持ちにもなりました。
そして、これは私の親世代やもっと上の世代からクレームになるんじゃないかな?なんて思うこともありました。
でも実際見始めたら、ネットフリックスで放映する意味がしっかり見えてきました。
ホームベースの真下からの映像、いわゆるダートカメラや、ドローンでスタジアム全体を俯瞰する視点、ボリュメトリックビデオという立体的なリプレイ。
スタッドキャストの導入。
このスタッドキャストは、アメリカのメジャーリーグベースボールで導入されているデータ解析ツールで、スタジオカメラやレーダーを使用して選手やボールの動きを高速・高精度に分析するツールです。
急速や打球速度や飛距離がリアルタイムで表示されるんだそうです。
今回の放映では、この最新システムを駆使して、全部で137台のカメラを使っていたそうです。
それで思ったんです。これは単なる中継ではなくて、イベント体験として設計しているんだなと。
スポーツを流すんじゃなくて体験として売る。これ、押し勝つビジネス的にもすごく面白い視点なんですよね。
さて、2026年のWBCですが、日本ではネットフリックスが全47試合を6000ライブ配信しました。地上波でのフル中継はゼロでした。
地上波のテレビでは、ニュース内でのハイライトは流せるものの、ライブ中継はできないという状況でした。
これは配信の形としては、かなり事件と言える出来事です。
推定される放映件量は約150億円と言われています。数字を並べると、その凄さがよく分かります。
2006年の初回大会が約10億円、2009年には12億円、2013年に16.5億円、そして2023年に30億円と徐々に上がってきたのですが、
2026年には一気に150億円に跳ね上がりました。前回の5倍であり、20年間で15倍という金額です。
しかも今回は、ネットフリックスが従来の仲介社であった読売新聞社を介さず、MLBとMLB選手会が共同運営するWBCの主催団体と直接交渉を行いました。
地上波、BSやCS、Amazonプライムビデオ、ダゾーンなどでは、ライブ配信を一切流せないという完全独占状態です。
ただし、これは日本だけの話で、海外では全然状況が違ったんです。
アメリカや韓国ではどうだったかというと、日本というところの日テレやフジテレビ、NHKのような、みんなが普段見ている普通の地上波のテレビ局で放送されていたんです。
つまり海外のファンは、テレビをつければ誰でも見られる状態だったのに、日本だけがネットフリ独占だったんです。
世界全体としては、173カ国、14言語で放送されたのですが、独占となったのは日本だけの現象でした。
裏を返せば、それだけ日本の市場が大きいということでもあります。
WBCの収益全体の半分以上が、日本の放映権力とスポンサー収入で占められているともされています。
そして大会の結果についてです。
さてここからが本題です。
ネットフリックスは今回のWBCでどれだけ会員が増えたのでしょうか。
先に結論からお話しすると、ネットフリックスの決算資料だけでは日本での増加分を確定することはできません。
理由は2つあります。
ネットフリックスは国別の会員数を詳細に開示しておらず、さらに2025年から市販機ごとの会員数指標の開示自体を停止しているからです。
ですので今日は確定している情報と推定される情報を分けてお話ししようと思います。
まずネットフリックスの加入動成についてです。
一番強力だったのがWBC応援キャンペーンですね。
2月19日から3月18日までの期間、広告付きスタンダードプランが月額498円になりました。
通常が890円なので約44%オフです。
スタンダードプランが795円で約50%オフ、プレミアムプランが1145円でこちらも約50%オフとワンコインから入れるという価格設計でした。
キャリアとの連携も強力でした。
ドコモユーザーにはDポイントを20%還元し、AUや有給を奪えるユーザーには広告付きプランを無料提供しました。
お金がかからないなら入ってみようという層を確実に取りに行っているのがわかります。
ここで重要なのがライブ配信に関してはプレミアムプランであっても広告が入るという点です。
アーカイブ市長の場合は広告なしですが、ライブ配信は全プランで広告ありとなっていました。
つまりネットフリックスは広告モデルのスポーツ配信に踏み込んだわけです。
会費だけでなく広告費も得るという二重収益の設計ですね。
ビデオリサーチ者が市長人数や広告到達の計測を実施すると発表しているのもその証拠といえます。
また関連番組の同時投入もありました。
渡辺健さんと二宮和成さんがナビゲーターを務めるダイヤモンドトゥルースが配信されたり、
稲葉浩司さんのカバー曲が応援ソングに寄与されたりしました。
解説人には高橋よしのぶさん、原辰則さん、松坂大輔さん、ヌートファー選手が名を連ねており、
これらはすべてイベント体験としての設計の一部と言えるかもしれません。
さあここからは推定に入ります。
最も実務的に使える数字が産業能力大学スポーツマネジメント研究所が行った1万人規模の調査です。
これは47都道府県の20代から60代を対象にしたものです。
この調査によると、WBCに関係なく契約済みという方が17.3%、
WBCが理由で契約または契約予定という方が4.9%でした。
その内訳は独占決定で契約した人が1.5%、開幕に合わせて契約予定の人が3.4%です。
その他盛り上がり次第で検討する人が8.8%、契約予定なしの人が68.0%という結果でした。
この4.9%という数字を日本の世帯数である約5583万世帯に機械的に当てはめると最大で約274万世帯相当になります。
最小ケースとして独占決定で契約したという1.5%だけをとったとしても約84万世帯になります。
一見するとめちゃくちゃ増えているように見えますよね。
ただ調査は20代から60代が対象で、世帯と個人の単位が混在している可能性がありますし、既存会員は割引の対象外でした。
さらにパブリックビューイングが全国の約150会場で開催されており、家族で一つの契約をシェアしているケースも多いでしょう。
そして何より日本が負けたことでWBCだけを見たかった層が解約しやすい状況にあります。
これらを考慮するとWBCを起点とした純増数は数十万から150万人くらいまでで幅広い不確実性があるというのが私の見立てです。
また産経リサーチの調査では、Netflix視聴者の43.6%がWBCのために加入したと答えています。
イベントをきっかけとした加入の比率はかなり高いことがわかります。
でもその人たちがその後も残るかどうかはまた別の問題なんですよね。
就営者オンラインの分析がとても面白かったです。
新規加入者の90%が広告付きプランを選んだと仮定した場合、初月の収入が約26億円、2ヶ月目が約74億円になるそうです。
中程度の解約率を前提とすれば、約6ヶ月で150億円の投資回収が可能だという見方もあります。
ただしこれはあくまで推定です。
Netflix自身は、2026年3月19日の時点で日本の視聴者数も会員数も一切公開していません。
4月の決算発表が最初の判断材料となるでしょう。