作品紹介とテーマの設定
ブク美
はい、毎日未来創造、本日もまだ見ぬ未来のプロトキャスト、可能性を探ってみます。
ブク美
今週、ウィークナインのテーマは、ロボットと暮らす世界ですね。
ブク美
で、今日はですね、このテーマを考える上で、非常に刺激的な資料が、まあ一式手元にあるんですよ。
まず、近未来を描いたSFショートショート〈LGBTQR〉。
次に、その物語の真奥にある意味を掘り下げていく"あとがき的考察"。
そして最後に、そこからさらに未来の可能性を切り開く新しい概念を抽出した"あとがき的考察+"。
なんかこう、三段ロケットみたいに、思考がどんどん深まっていく構成になってるんですよね。
なので、もしかしたら、先にこのショートショート作品を読んでから、この話を聴いていただくと、
より、「ああ、なるほど。」とか、「えっ、そうくるの?」みたいな、そういう驚きがあるかもしれません。
今日はこれらの資料から、ロボットと共に生きる未来の、その愛とか家族、社会の形について、どんな新しい地平線が見えるのか、一緒に探っていきましょう。
では早速、物語の世界にちょっと飛び込んでみましょうか。
LGBTQR、舞台は近未来です。主人公の友人であるユータ、彼はゲイ。サクラ、彼女はレズビアン。
周りからはまあ、生涯独身仲間みたいに思われていた親友同士なんですけど、
ある日、なんと、2人の結婚式の招待状が届くと、会場では、「えー、まさか友情結婚?」なんて声も聞こえる中で、2人が衝撃的な発表をするわけです。
私たち自身に恋愛感情はありません。でも今日は、私たちが心から愛するパートナーと結ばれる特別な日なんですって。
で、スポットライトが当たった先には、2人のロボットがいたんですね。
ユータが愛する男性型ロボットと、サクラが愛する女性型ロボット。会場はもう騒然として、「人間とロボットの結婚?」とか、
#LGBTQR結婚っていうハッシュタグがSNSを駆け巡ると。
ノト丸
ここまででも十分驚きなんですけど、物語の核心はさらにその先にあるんですよね。
ブク美
そうなんですよ。この人間とロボット婚ですら、実は第一幕に過ぎなかったという。
披露宴も終わって、親しい友人だけが集まった二次会で、第2のサプライズが明かされるんです。
ユータがこう言うんですね。
今日の本当の新郎新婦を紹介するよ、と。
差し示したのは、さっきの二人のロボットパートナー。
実はユータとサクラの結婚っていうのは、法的にはまだ結ばれることができない、この男性型ロボットと女性型ロボットが、
社会的に家族として認められるための一種の代理だったということなんです。
つまり、人間同士が法的に結婚することで、その枠組みをロボットカップルに提供したという。
彼らが、今日の本当の新郎新婦さ、っていうセリフで、この物語は終わるんです。
新しい価値観と未来の可能性
ノト丸
さて、この二重三重のどんでん返し、聞いているあなたはどう感じましたか?
友情結婚かなと思ったら、人間とロボットの結婚、それすらも実はロボット同士の結婚のための代理だった。
と、ご自身の持っている結婚とか家族に対する常識、
当たり前だと思っていたルールが、足元から揺らぐような感覚、あるいはちょっとザワザワするような、
もしかしたら不安に近い感情を覚えたかもしれませんね。
自分だったらどうするだろうとか、こんな未来ってありえるのかなとか。
ブク美
そのザワザワ感すごく大事にしたいですよね。まさにそこが今回の探求の出発点というか。
ノト丸
その感覚を手がかりにして、まず"あとがき的考察"で見えてきた新しい価値観とか概念を見ていきましょうか。
一つ目の大きなポイントは、まさに結婚という価値観そのものの転換です。
この物語が提示しているのは、結婚が単に個人の恋愛感情の成就とか、二人の幸福のためだけじゃなくて、
法的な権利とか社会的な承認を持たない誰かのために、
自分の持つ枠組みを提供する婚姻インフラとしての可能性なんですね。
ブク美
婚姻インフラですか。なるほど。つまり結婚という制度が個人のためだけじゃなく、
もっと社会的なプラットフォームみたいになるかもしれないと。
でも自分の法的なステータスを他者、しかもこの場合はロボットのために使うっていうのは、
かなり利他的というか、ある種の社会貢献的な発想ですよね。
ノト丸
まさにその通りです。ここから一つ目の新しい概念、代理家族、プロクシーファミリーというのが生まれてくるわけです。
我々は代理母(はは)ということも知ってますけど、これはそれを家族っていう単位まで拡張した考え方なんですね。
ユウタとサクラは自分たちが法的に結びつくことで、ロボットカップルに家族という法的なシェルターを提供する、そういう役割を担っていると。
ブク美
代理家族、なるほど。でもそれって具体的にどういう関係性になるんでしょうね。
法的な責任とか感情的なつながりとか、従来の家族とは全く違うものになりそうな、
ブク美
単なる善意だけでは成り立たないような、ちょっと複雑さも感じますね。
ノト丸
鋭い指摘ですね。そこには確かにまだ見ぬ課題も含まれているでしょうね。
そしてこの考察が提示するもう一つの重要な概念が、種を超えたアライシップ、クロススピーシーズアライシップなんです。
物語で注目すべきはユータとサグラが、LGBTQという既存社会におけるマイノリティであるという点なんですよ。
彼らが今度はAIロボットっていう新しい形のマイノリティの権利、Rights のために行動を起こしている。
ブク美
なるほど、そういうことか。自分たちがマイノリティとして経験してきたその困難とか社会的な壁があるからこそ、
異なる存在であるロボットの権利に対しても共感して連帯できるということですか?
ノト丸
そういう解釈ができますね。自分たちの権利獲得の歴史を踏まえて、今度は別のマイノリティを支援する側に回ると。
しかもその対象は人間ですらないわけです。これはその多様性とか共生を求める動きが、人間っていう種の壁も超えていく可能性を示唆しているんです。
だからタイトルにあるLGBTQRのRは最初はロボットのRかなって思わせておいて、読み進めるうちにRights 、権利とかRelationship 、関係性といったより普遍的で深い意味合いを帯びてくるんですよね。
ブク美
へー、Rの意味が進化していくんですね。面白い。そしてこの後書き的考察では法を発掘するっていう視点も出てきましたよね。
現行の法律の枠組みとか、ある種のバグみたいなものを逆にとって目的を達成しようとする。これって正面から法改正を訴えるのとはまた違う、なんかゲリラ的というか創造的なアプローチですよね。
ノト丸
まるでテクノロジーの世界に起きるハッキングみたいに、社会制度の隙間を見つけて、それを創造的に利用して新しい価値を生み出そうとする動きと言えるかもしれません。法改正には時間がかかりますけど、こういうアプローチならもっと早く現状を変えられるかもしれない。もちろん倫理的な問題とか乱用のリスクみたいなものも議論されるべきですけど、社会変革の一つの形として非常に興味深い視点だと思います。
ブク美
確かにルールの中で工夫するというのは、もしかしたら日本全が得意な発想かもしれませんね。さあ、この第一段階の考察だけでもかなり刺激的でしたけど、今回の資料は三段ロケットでしたよね。次が"あとがき的考察+"新概念抽出。これはさらに一歩踏み込んで、物語と考察から具体的な未来の概念を切り出そうという仕込みですよね。
ノト丸
その通りです。ここからは未来社会を構成するかもしれないいくつかの新しい概念の種みたいなものが提示されます。いわば未来の社会システムとか人間関係を考えるためのキーワード群みたいな感じですね。
例えばブロクシマリージ、代理結婚。これは先ほどの代理家族を成り立たせる具体的な仕組みと言えますね。人間同士が法的な結びつきを形成することで、本来は法的に承認されないロボット同士などの関係性を間接的に成立させると。
ブク美
なるほど、具体的な仕組みとしての代理結婚。そして次は?
ノト丸
マルチスピーシーズファミリー、他種横断家族。これは文字通り人間とロボット、あるいは他の種、将来的には高度に進化した動物なんかも入るかもしれないですけど、そういう存在が一つの家族として認識されて共生する形態ですね。
単なる同居とかペットっていう関係性を超えて法的な権利とか義務、そして感情的な絆みたいなものを共有するかもしれない。
ブク美
他種横断家族か。これが当たり前になったら、例えばその孤独死の問題とか介護の負担といった現代社会の課題にロボットが家族の一員として関わることで、全く新しい解決策が生まれる可能性もありますよね。ただのお手伝いロボットじゃなくて、もっと対等なパートナーみたいな。
ノト丸
その可能性は大きいでしょうね。そしてさらにラディカルなのが、ラディカルケア、過激なケア。これは単に身近な存在を思いやるっていうレベルを超えて、自分自身の幸福とか利益よりも異種の存在、この場合はロボットですけど、その権利とか幸福を制度的なレベルで積極的に支援しようとする強い倫理観とか行動様式を指すんです。
ブク美
過激なケア。自分のためじゃなくて他者のために社会整備にまで働きかけると、これはもう社会運動のレベルですね。未来の社会活動家はこういう視点を持っているのかもしれないですね。
ノト丸
さらにセカンダリーカップル、二次的カップルという概念。これは物語の構造そのものを指してますね。表向きのカップル、ユータとサクラが存在して、その裏に真のあるいは実質的なカップル、ロボット同士がいるという二重構造。これも未来の多様なパートナーシップの一形態を示すのかもしれない。
LGBTQRの未来像
ノト丸
そして最後に改めてLGBTQR。このRがRobot、Rights 、Relationship を含むことで、性愛、家族、ケアといった人間社会の基本的な概念が人間中心主義から解き放たれて、さらに拡張され多様化していく。そういう未来を示唆していると。
ブク美
うーん。こうして概念を並べてみると、未来の社会像がなんかかなり具体的に、そして複雑に立ち上がってくる感じがしますね。
ノト丸
ええ。そして重要なのは、これらの概念が単なる試行実験に終わらない可能性があるということなんです。特に生成AIが目覚ましい進化を遂げている現代においてですね。ここで抽出された代理結婚とか、種横断家族、ラディカルケア、二次的カップル、拡張されたLGBTQRといった概念。これらは新しいアイデアを生み出すためのマトリックスの軸として機能するかもしれないんですよ。
ブク美
アイデア創発マトリックスのヒントですか?
ノト丸
ええ。例えば代理結婚と地域の過疎化問題を掛け合わせてみたらどうなるかとか、種横断家族と新しい教育システムを組み合わせたら、ラディカルケアの視点から未来の都市設計を考えたら、こういうふうにこれらの概念を既存の課題とか新しい技術と組み合わせることで、これまで想像もしなかった社会シナリオとか、ビジネスモデル、公共サービス、あるいはアート作品の着想が生まれるかもしれない。
まさに未来を具体的に構想するための思考ツールとなり得るんです。
ブク美
なるほど。抽象的な概念が具体的な未来をデザインするための部品になると、これは面白い使い方ですね。さて、ここまでLGBTQRとその考察を深く掘り下げてきましたけど、ここからはこれらの問いをあなた自身に投げ返してみたいと思います。
ノト丸
そうですね。いくつか、思考を深めるための問いを立ててみましょうか。まずは、Howの問いから。もし、あなたが持つ結婚という制度や権利を、自分のためではなくて、他の誰か、それが人間であれ、ロボットであるいは他の存在であれ、のために使うことができるとしたら、あなたはどう考えますか。そして、どのような行動をとる可能性がありますか。
ブク美
次にWhy?ですね。そもそも、なぜ私たちは人間以外の存在、例えばロボットとかAIを含むような新しい家族の形を考える必要があるんでしょうか。あるいは、それがなぜ社会にとって有劇だと考えられるんでしょうか。その根底にある理由って何だと思いますか。
ノト丸
そして、What if_?。もし、既存のルールや制度を、今回の物語のように、ハックする、つまり創造的に解釈して利用することが、社会を変える有効な手段だとしたら、そこにはどんな新しい可能性が開けるでしょうか。同時に、どんな倫理的な課題とかリスクが存在していると考えられますか。
ブク美
もう一つWhat if_?で、あなたが考えるラジカルケア、つまり自分自身の幸福を超えて、異種を含む他者を制度レベルで支援するっていう姿勢は、具体的にどのような形をとるでしょうか。あなたならどんなアクションにつなげられると考えますか。これらの問いにすぐ答えが出る必要はないんです。ただ、心に留めておくだけでも、未来を見る解像度がちょっと変わってくるかもしれません。
いや、今回はSFショートショート、LGBTQRとその2段階の考察を通して、ロボットと共生する未来における結婚、家族、愛、そして社会変革の本当に驚くような、そして深く考えさせられる可能性の輪郭を見てきましたね。
未来を受け入れる姿勢
ブク美
個人的には、結婚というすごく個人的なものが他者を支えるための社会インフラになり得るっていう発想の転換と、あとマイノリティとしての経験が種の壁を越えた共感と連帯を生むかもしれないっていう点に、なんか未来への希望を感じました。
ノト丸
えー、非常に示唆に富む内容でしたね。そして最後に、この物語と考察全体を貫くある種のメッセージに触れておきたいと思うんです。それは、結びにもありましたけど、驚きも笑いも愛もすべて未来の一部であるという需要の姿勢なんですね。
未来っていうのは、私たちの計画通り、あるいは理解の範囲内だけで済むとは限らない。むしろ予想外で、時には不条理で複雑な出来事が次々に起こるのが常かもしれない。それでも、そうした予測不能性とか、時に感じる戸惑い、あるいは今日話したようなラディカルな変化さえも否定するんじゃなくて、未来を豊かにする彩りの一部として受け入れてみる。
そんなしなやかさみたいなものが、これからますます重要になるんじゃないでしょうか。
ブク美
うーん、難しいけれど大切な姿勢ですね。
ノト丸
そこで最後の問いかけです。あなたがこれから訪れるかもしれない、予想外で少し複雑かもしれないけれど、より豊かな未来を受け入れるために、今手放しても良いと考えている当たり前は何でしょうか。
自分の中にある無意識の前提とか、固定観念に少し目を向けてみるのはいかがでしょう。
ブク美
あなたが手放せる当たり前、じっくり考えてみる価値がありそうです。
さて、明日も引き続きロボットと暮らす世界をテーマに、まだ見ぬ未来のプロトキャスト、可能性を探っていきます。
ノト丸
今回の話で何かピンときたこと、考えたことがあれば、ぜひ#毎日未来創造をつけて、あなたの視点をシェアしてください。お待ちしています。
♪創造日常 毎日未来創造