ノト丸
さて、この二重三重のどんでん返し、聞いているあなたはどう感じましたか?
友情結婚かなと思ったら、人間とロボットの結婚、それすらも実はロボット同士の結婚のための代理だった。
と、ご自身の持っている結婚とか家族に対する常識、
当たり前だと思っていたルールが、足元から揺らぐような感覚、あるいはちょっとザワザワするような、
もしかしたら不安に近い感情を覚えたかもしれませんね。
自分だったらどうするだろうとか、こんな未来ってありえるのかなとか。
ブク美
そのザワザワ感すごく大事にしたいですよね。まさにそこが今回の探求の出発点というか。
ノト丸
その感覚を手がかりにして、まず"あとがき的考察"で見えてきた新しい価値観とか概念を見ていきましょうか。
一つ目の大きなポイントは、まさに結婚という価値観そのものの転換です。
この物語が提示しているのは、結婚が単に個人の恋愛感情の成就とか、二人の幸福のためだけじゃなくて、
法的な権利とか社会的な承認を持たない誰かのために、
自分の持つ枠組みを提供する婚姻インフラとしての可能性なんですね。
ブク美
婚姻インフラですか。なるほど。つまり結婚という制度が個人のためだけじゃなく、
もっと社会的なプラットフォームみたいになるかもしれないと。
でも自分の法的なステータスを他者、しかもこの場合はロボットのために使うっていうのは、
かなり利他的というか、ある種の社会貢献的な発想ですよね。
ノト丸
まさにその通りです。ここから一つ目の新しい概念、代理家族、プロクシーファミリーというのが生まれてくるわけです。
我々は代理母(はは)ということも知ってますけど、これはそれを家族っていう単位まで拡張した考え方なんですね。
ユウタとサクラは自分たちが法的に結びつくことで、ロボットカップルに家族という法的なシェルターを提供する、そういう役割を担っていると。
ブク美
代理家族、なるほど。でもそれって具体的にどういう関係性になるんでしょうね。
法的な責任とか感情的なつながりとか、従来の家族とは全く違うものになりそうな、
ブク美
単なる善意だけでは成り立たないような、ちょっと複雑さも感じますね。
ノト丸
鋭い指摘ですね。そこには確かにまだ見ぬ課題も含まれているでしょうね。
そしてこの考察が提示するもう一つの重要な概念が、種を超えたアライシップ、クロススピーシーズアライシップなんです。
物語で注目すべきはユータとサグラが、LGBTQという既存社会におけるマイノリティであるという点なんですよ。
彼らが今度はAIロボットっていう新しい形のマイノリティの権利、Rights のために行動を起こしている。
ブク美
なるほど、そういうことか。自分たちがマイノリティとして経験してきたその困難とか社会的な壁があるからこそ、
異なる存在であるロボットの権利に対しても共感して連帯できるということですか?
ノト丸
そういう解釈ができますね。自分たちの権利獲得の歴史を踏まえて、今度は別のマイノリティを支援する側に回ると。
しかもその対象は人間ですらないわけです。これはその多様性とか共生を求める動きが、人間っていう種の壁も超えていく可能性を示唆しているんです。
だからタイトルにあるLGBTQRのRは最初はロボットのRかなって思わせておいて、読み進めるうちにRights 、権利とかRelationship 、関係性といったより普遍的で深い意味合いを帯びてくるんですよね。
ブク美
へー、Rの意味が進化していくんですね。面白い。そしてこの後書き的考察では法を発掘するっていう視点も出てきましたよね。
現行の法律の枠組みとか、ある種のバグみたいなものを逆にとって目的を達成しようとする。これって正面から法改正を訴えるのとはまた違う、なんかゲリラ的というか創造的なアプローチですよね。
ノト丸
まるでテクノロジーの世界に起きるハッキングみたいに、社会制度の隙間を見つけて、それを創造的に利用して新しい価値を生み出そうとする動きと言えるかもしれません。法改正には時間がかかりますけど、こういうアプローチならもっと早く現状を変えられるかもしれない。もちろん倫理的な問題とか乱用のリスクみたいなものも議論されるべきですけど、社会変革の一つの形として非常に興味深い視点だと思います。
ブク美
確かにルールの中で工夫するというのは、もしかしたら日本全が得意な発想かもしれませんね。さあ、この第一段階の考察だけでもかなり刺激的でしたけど、今回の資料は三段ロケットでしたよね。次が"あとがき的考察+"新概念抽出。これはさらに一歩踏み込んで、物語と考察から具体的な未来の概念を切り出そうという仕込みですよね。
ノト丸
その通りです。ここからは未来社会を構成するかもしれないいくつかの新しい概念の種みたいなものが提示されます。いわば未来の社会システムとか人間関係を考えるためのキーワード群みたいな感じですね。
例えばブロクシマリージ、代理結婚。これは先ほどの代理家族を成り立たせる具体的な仕組みと言えますね。人間同士が法的な結びつきを形成することで、本来は法的に承認されないロボット同士などの関係性を間接的に成立させると。
ブク美
なるほど、具体的な仕組みとしての代理結婚。そして次は?
ノト丸
マルチスピーシーズファミリー、他種横断家族。これは文字通り人間とロボット、あるいは他の種、将来的には高度に進化した動物なんかも入るかもしれないですけど、そういう存在が一つの家族として認識されて共生する形態ですね。
単なる同居とかペットっていう関係性を超えて法的な権利とか義務、そして感情的な絆みたいなものを共有するかもしれない。
ブク美
他種横断家族か。これが当たり前になったら、例えばその孤独死の問題とか介護の負担といった現代社会の課題にロボットが家族の一員として関わることで、全く新しい解決策が生まれる可能性もありますよね。ただのお手伝いロボットじゃなくて、もっと対等なパートナーみたいな。
ノト丸
その可能性は大きいでしょうね。そしてさらにラディカルなのが、ラディカルケア、過激なケア。これは単に身近な存在を思いやるっていうレベルを超えて、自分自身の幸福とか利益よりも異種の存在、この場合はロボットですけど、その権利とか幸福を制度的なレベルで積極的に支援しようとする強い倫理観とか行動様式を指すんです。
ブク美
過激なケア。自分のためじゃなくて他者のために社会整備にまで働きかけると、これはもう社会運動のレベルですね。未来の社会活動家はこういう視点を持っているのかもしれないですね。
ノト丸
さらにセカンダリーカップル、二次的カップルという概念。これは物語の構造そのものを指してますね。表向きのカップル、ユータとサクラが存在して、その裏に真のあるいは実質的なカップル、ロボット同士がいるという二重構造。これも未来の多様なパートナーシップの一形態を示すのかもしれない。