「ばあちゃん喫茶」の紹介とユニークなメニュー
この時間は日替わりコメンテーターによる解説で日々のニュースを掘り下げるブラッシュアップ。毎週水曜日はRKBニュースDIGの高藤秋子編集長です。高藤さん。
おはようございます。
今日ご紹介するのはちょっとリスナー投票にも関係がある話題かもしれません。
記事のタイトルこちらです。
訳あって、メニューはとんかつ定食のみ。認知症のおばあちゃんたちが切り盛りする飲食店ばあちゃん喫茶。
とんかつ。
飲みって言いましたね。
福岡市に認知症の症状がある高齢者が厨房に立つ飲食店があります。
提供するメニューはとんかつ定食のみ。なぜでしょうか。
実はこのメニュー、認知症の困りごとから生まれたものでした。
高齢女性たちの調理能力と「ばあちゃん喫茶」の運営
福岡市城南区にあるばあちゃん喫茶。
手際よく調理をする3人の高齢女性は平均年齢84.6歳。
高いですね。
全員認知症の症状があります。
このばあちゃん喫茶、浮橋市の食品製造会社浮波の宝が介護施設と連携して
去年から週1回のペースで営業を続けてきました。
ここで一緒に働く介護スタッフによると
記憶は1分も持たないときもあります。
料理はできます。
何十年もしてきているので新しいことを覚えるのは苦手なんですけど
やっぱり昔のこととか自分が慣れ親しんでやってきたことは
ちゃんと環境を整えれば皆さん手際よくできるんです。
そしてこの店で看板ばあちゃんと呼ばれているのが
看板娘・谷口雅子さんと「とんかつ定食」誕生の背景
86歳の谷口雅子さんです。
谷口さんは夫が亡くなったあと
6年ほど前から認知症の症状が出始めました。
息子さんのお話です。
認知症の進行とともにだんだん同じものを作るようになっていって
メニューが変わらなくなってきました。
家の近くのスーパーに行って同じものを買ってくる。
キャベツを買ってきて次の日もまた買ってくるから
どんどんストックされてしまう。
かつて食堂で働いたこともあったという谷口雅子さんは
症状が出て以来ほぼ毎日作り続けて
食卓に並んだのがとんかつでした。
息子さんの谷口大蔵さんこんな風に推察しています。
母のイメージの中ではとんかつにしても何にしても
私や兄弟がまだ中学生とか高校生の頃に作って出す。
お腹をいっぱいにするために作って出す。
より早くおいしく出す。そんなイメージで作ってたんじゃないかな。
なるほどね。充実してたときの記憶がずっと今残ってるのかもしれない。
バーチャン喫茶で唯一提供するこのとんかつ定食
谷口さんのこうしたいつもいつも同じものを作ってしまうという
困りごとから生まれたメニューだったんですね。
「とんかつ定食」の詳細と調理の様子
このとんかつ定食、価格は税込み950円。
とんかつにサラダと白ご飯、味噌汁、お漬物が付いています。
肉を叩いて筋を切ったり、油の温度を確かめながらいい頃合いに揚げていったり
店での料理は食べ盛りの子供たちをもって揚げ続けていた
谷口さんのかつての記憶だけが頼りです。
取材した記者が料理楽しいですかって聞くと谷口さんコクンとうなずいていました。
他のおばあちゃんたちも手際よくて定食の準備を進めています。
本当にキャベツを切る音が軽快でトントントン
どう味噌汁の準備をするおばあちゃんもとても認知症とは思えないほど生き生きと動いています。
店を訪れたお客さんにも聞きました。
来店客の声と認知症の現状
味はもちろん美味しいんですけど
おばあちゃんたちがいろんな世代の方たちと集える場所があって
生き生きとされているのはすごくいい。
もう一方、皆さんテキパキとされていて
おばあちゃんも気づいたら10食分ぐらいずっと揚げ続けられているので
すごいなと思って見ています。
厚生労働省が行った2022年度の調査によりますと
65歳以上の高齢者のうち認知症の人の割合およそ12%
前段階の軽度認知障害の人はおよそ16%
合わせると高齢者の3人に1人が認知機能に関わる症状を抱えていることになります。
人事とは思えない。本当に身近な問題ですよね。
「ばあちゃん喫茶」の運営理念と社会性回復
このばあちゃん喫茶を運営するウキハの宝、代表の大熊さんは
身近な問題だからこそ認知症の人たちが生き甲斐を持って過ごせる場所が必要だと話しています。
困ったおばあちゃんという高齢者が
ここではとんかつをひたすら作って喜ばれるので
社会性をここのおばあちゃんたちはかなり取り戻していると思います。
我々はここではお世話をしないので
冗談を言い合ったり、基本は働いてお客さんをもてなそうということなんです。
ちなみにおばあちゃんたちには売り上げの25%が分配されています。
収入にもなるし、社会との接点も持てるし。
自分が役に立っているという気持ちも持ってもらえる。
息子さん、こんな風に話しています。
家族の心配と「ばあちゃん喫茶」の逆転の発想
昔は自分たちがおいしい、もっと食べたいという反応をしていたわけですけれども
今は店に来た方からおいしかったって言ってもらえる。
それは本当に嬉しいと思いますよ。
なかなか家に閉じこもっていると、うれしいという気持ちになる機会はないから。
家にいると家族は心配して、
厨房に入らないで包丁なんか持たせたら危ないって思ってしまうんじゃないかな。
やめてって、何もしないでって。
火を使う?油あげる?いやいやいや。
消しあわせないで。
どんどん閉じた世界、閉じた社会にいさせてしまうようになるじゃないですか。
だけどそれを逆手にとってというか。
そうです。介護スタッフが一緒に働いているので見守ることはできますよね。
その安心感は本当にあると思います。
たくさんの人が一緒に集うからこそ可能にしているという部分はあると思うんですよね。
記憶の衰退と未来への希望
一方で元気に働く姿の裏で谷口さんの記憶は少しずつ薄れていて、
息子の大蔵さんには思い出してほしい母の味もあるそうなんですね。
息子さんの話です。
唐揚げは絶品だった。
私唐揚げが好きなので色々なところで食べるんですけど、
うちの母が作った唐揚げの方がめちゃくちゃ美味しい。
でもそれができないんです。レシピが頭に入っていないんでしょう。
同じ味が出せない。いつかは記憶がなくなるでしょうね。
私がわからなくなってもっと進んだら自分のことがわからなくなる可能性もあると思う。
そこはもちろん本当に寂しいことではあるんですけれども、
それでもできないことではなくてできることに目を向けて、
おばあちゃんたちこれからも温かいとんかつを揚げ続けます。
店舗の合併とメニューの拡充
実はこの福岡市城南区にあるばあちゃん喫茶なんですけれども、
沢良区にある別の店舗と合併することになりました。
この場所での営業は記者が取材した9月3日が最後になりました。
谷口さんたち10月からばあちゃん喫茶しかた団地店で厨房に立つ予定です。
取材した報道部の岩本記者によると、
このしかた団地店は毎週月曜日のみの営業で、
しかた団地店ではハンバーグが提供されているんですけれども、
10月からは谷口雅子さんたちのとんかつ定食も食べられると。
メニューが増えるということですね。
よかったですね。
続けられてよかったですね。
よかったですね。
記事と動画の紹介、今後の広がりへの期待
ニュースディグでもこれ記事載せてるんですけれども、
合わせて動画も載せているので、
ぜひ見ていただきたいと思います。
手際の良さだとか、
本当にこんな風にできるんだっていう驚き。
この着想っていうかね、
こんなことができるんだっていう。
なんか別の形でもいいから広がっていくといいなと思いましたね。
そうですね、アイデアですよね。
素晴らしいですね。
ぜひ皆さんも記事、そして動画の方も検索してご覧になっていただきたいと思います。
エンディング
この時間はRKBニュースディグ高戸脇子編集長でした。
高戸さんありがとうございました。
ありがとうございました。