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2022-10-01 05:22

#329 【史】技術の進歩が制度との矛盾を生む放送の問題/IT全史を読む(25)

ITの世界がどうして今のようになっているのか、その成立過程を知ることができます。

しばらくこの本の中身をかいつまんで、連想することも合わせて話していこうと思います。

最先端技術は既得権益を生むことがあります。

そして、さらに新しい技術によって、制度的な矛盾をはらむことになるのです。

今起きている放送の世界の矛盾について話してみます。

にゃおの考える現代の基礎的なリテラシーは、ITをきちんと使えることが含まれます。そのためにどのような問題があり、どう解決していったらよいか考えてみるPodcastです。

「IT全史」
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#188 【本を語る】IT全史(5)電話の前にファクシミリがあった。
https://anchor.fm/82661/episodes/IT-e1i3oh2

#181 【本を語る】IT全史(4)無線電信とタイタニック号の悲劇。
https://anchor.fm/82661/episodes/IT-e1hpiak

#170 【本を語る】IT全史(3)高価な通信と秘密通信の話。
https://anchor.fm/82661/episodes/IT-e1gte29

#134 【本を語る】IT全史(2)明治のはじめに海底ケーブルが長崎に届いた話。
https://anchor.fm/82661/episodes/IT-e1ff3oc

#129 【本を語る】IT全史(1)ナポレオンが活躍していた頃のデジタル。
https://anchor.fm/82661/episodes/IT-e1f8qt3

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をご覧ください。

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にゃおのリテラシーを考えるラジオ、読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書とIT時代の読み書きソロ版を中心に、様々な話をしています。
今回のタイトルは、「技術の進歩が生徒との矛盾を生む放送の問題。IT戦士を読む」の26回目です。
これまで、技術の進歩を中心にITの発展を見てきました。
技術開発が進むと、過去の技術ではできなかったことができるようになります。
逆に、時代の先端技術が既得権益を生むこともよくあります。
時間が経つと、過去の技術で起きた問題を解決するために作られた制度が、実際にやりたいことと矛盾するようになるのです。
現在大きな矛盾になっているものの一つは、放送の世界にあります。
テレビやラジオの放送が始まった頃、コンテンツの配信技術の先端は電波を使った放送方式でした。
電波には渾身の問題があります。
同じ周波数で電波を飛ばすことは、何人もの大声の人が同時に話すようなもので、誰が何を伝えようとしているのかわからなくなります。
そこで、放送したい人に使う周波数を割り当てることになりました。
割り当てられる周波数は限られていますから、免許を受けるにはそれなりの理由とともに、電波を使える技術力や、放送を維持できる資本力を示す必要があります。
そういう前提を国が審査するのが免許という制度なのです。
他方、電波が届く範囲はある程度限られています。
広い範囲に電波を届けるためには、中継することも必要です。
日本ではテレビやラジオの免許の範囲を原則として都道府県単位に整理しています。
逆に言うと県を越えて放送してはいけない建前なのです。
もちろん当初は日本中に放送を行き渡らせるためにそういう制度を作ったのです。
それが現在の県域放送の仕組みです。
放送するコンテンツのほとんどはキー局と呼ばれる大手の放送局が作っていて、
各県域放送局はそのコンテンツを買って県内に放送するという形をとっているのです。
電波で放送するという技術の観点で必要な仕組みだったのですが、
既にある県域放送局を維持するためにはこの仕組みを変えるのが難しいという側面もあります。
インターネットを中心とした通信技術の進展によって、
テレビやラジオのコンテンツをインターネット経由で配信することが可能になったのですが、
既存のテレビラジオ放送網を飛ばして配信すると県域放送局は維持できません。
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そのためにあえてコンテンツの流通を制限しているのです。
ラジコとかフィーバーが今一つ使いにくいのは、このような既得権益に根差すお金の流れが変えられないことが原因なのですね。
配信技術の問題だけではありません。コンテンツの権利も問題になっています。
デジタル技術を用いるとコピーによってコンテンツの品質が劣化することがありません。
美術の世界には原作という概念がありますが、オリジナルは唯一無二であるという信念の裏に、コピーには何らかの変化が発生するという前提がありました。
そもそもデジタルで作られるコンテンツにはこのようなことは起きませんから、オリジナルの著作物をどう保護するのかという問題も先鋭化してしまいます。
これらは現代の技術だけでは解決できない問題なのですね。
そのような問題をかなり不器用な形で観測できるのがラジコやティーバーということができます。
この問題は新しい技術によって消える仕事があるとシンプルに言い換えることができます。
産業革命の時代には新技術で生まれた自動機械を職を追われた労働者が破壊するということが起きました。
規模は違いますが現在もそのようなことが起きているのですね。
技術のことを歴史を含めて学ぶことは将来起きることを予測するのに役立ちます。
ITの世界ではその変化がとても早いので振り回されないようにするためには少し深い知識を持っておく必要があります。
この配信がその役に立てたらいいなと思っています。
読書と編集ではITを特別なものではなく常識的なリテラシーとして広める活動をしています。
ITリテラシーの基礎を学べるオンライン講座をやっています。
詳しい内容については概要欄のリンクから、または読書と編集と検索して猫がトップページに出てくるホームページをご覧ください。
この配信の書き起こしをnoteで連載しています。概要欄にリンクがありますのでフォローいただけると嬉しいです。
今日もワクワクする日でありますように。千葉直樹でした。ではまた。
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