僕が1年間ポッドキャストから離れた理由。 それはポッドキャストが嫌いになったからではありません。
好きやったからです。 大好きやった場所で自分の小ささと汚さと飢えを
見せつけられるのが嫌やったからです。
ハオー あなただけのゲイトもタオ風邸ウルフです。
この番組未定で結構は恋愛、家族、孤独、将来のこと。 生きていく中でまだまだ答えの出ていないことや名前のないモヤモヤを少しずつ言葉にしていくポッドキャストです。
うまくまとまってなくて大丈夫。 結論が出てなくても大丈夫。
未定のままで結構です。 と毎回言ってます。
でも今日はその未定で結構という言葉を僕自身が少しだけ疑っています。
未定で結構。 矛盾していても結構。
整理できてなくても結構。 ほんまに?
ほんまにこれもそれでいい? 人の成功を見て心のどこかで失敗すればいいのにと思ってしまうことも?
好きな相手やのにそのチャンス僕にもよこせよと思ってしまうことも? 笑顔で拍手しながら手のひらから血が出ているような気持ちになることも?
それも同時に存在していいんですか? 今日はそこをできるだけ綺麗にまとめずに話してみたいと思います。
前回は幸せになれなかったんじゃなくてという話をしました。 幸せがなかったのではなく、届いていた幸せを幸せとして受け取れなかったのかもしれない。
そんな話でした。 でも今回は第10回ということもあって
一番今まででみっともない回を作ろうとあえて考えています。 幸せを受け取れなかったではなく、人の幸せが許せなかった。
人の成功が眩しすぎて憎かった。 人の才能を好きやのに好きだからこそ見ていられなかった。
今日は僕がマイクの前から離れた1年間の話です。 そしてその1年間の底にあったかなり汚い感情の話です。
チャプター1 最初はただ話しだかった。
ポッドキャストを始めた頃は僕はもっと単純でした。 シンプルに話したいことがありました。
誰にも話されへんような感情があって、それをどうにか言葉にして誰かに伝えたかった。
誰かに分かってほしいというよりも同じように感じている人が一人でもいるっていう風に思いたかった。
自分の中にあるぐちゃぐちゃしたものをマイクの前で少しずつ解いていく。 それが嬉しかった。
楽しかった。 非難されるんじゃないかって怖かったけど楽しかった。
声は固い。 編集は終わらへん。
撮り終わった音声を聞き返すと、 えーっと
あのーが多すぎて、これはもうポッドキャストというより えーっとあのーの養殖場って感じでした。
超大量豊作。今年もよく育っております。 でもそれでも楽しかったんです。
自分の中に閉じた感情が音声になって外に出ていく。 ただモヤモヤしただけのものが
誰かに届くかもしれへん形になっていく。 誰かの生活のどこかにほんの少しだけ置いてもらえるかもしれへん。
それが嬉しかった。 その頃の僕は多分まだ自分の言葉だけを見ていました。
番組の内容が良いとか悪いとか話し方が上手いとか どうかは別として伸びるかどうかは別として
誰かと比べてどうかではなく自分の中から何が出てくるかというのを見ていた。
でも続けていくうちに少しずつ見ている場所が変わっていきました。 自分の言葉ではなく誰かの背中を見るようになりました。
誰かの番組、誰かの声、誰かの人気、誰かの周りに集まる人、
誰かのために動く人。 あの番組は面白い。
あの人は愛されている。 あの子の言葉は広がっていく。
あの子が何かを言えば周りが反応する。 あの子が困っていれば誰かが助ける。
あの子が何かを始めれば誰かが見に行く。 あの子が笑えばその場が明るくなる。
あの子のためには人が進んで動いてくれる。 じゃあ僕は?
僕が話しているこの言葉は誰の何になっているんやろう。 誰が待ってくれてるんやろう。
誰かが僕の言葉を広げてくれるんやろうか。 誰かが僕のために時間を使ってくれるんやろうか。
誰かが東風邸ウルフの言葉を必要としてるんやろうか。 考えれば考えるほど僕という存在がどんどんどんどん小さく見えました。
一番好きな場所にいるはずやのに、そこで一番自分のことがつまらなく見えた。
ポッドキャストを聞くのも、SNSを見るのも、誰かの盛り上がりを知るのも、だんだん苦しくなりました。
誰かの成功が、そのまま自分への不採用通知みたいに見えてたんです。 あなたは選ばれませんでした。
あなたにはその面白さはありません。 あなたには人を動かす力はありません。
あなたの言葉は、そこまで必要とされてません。 誰もそんなこと言ってへんのに。
全部全部、自分の中で勝手になってた音です。 でもその音がうるさすぎて、僕はマイクの前に座ることができなくなりました。
チャプター2 ハンビンシュクフクD ハンビンシュケツ
僕は嫉妬していました。 ここはもう変にきれいに言い換えない方がいいと思ってるんです。
刺激を受けた、ではありません。 悔しかったんです。
うらやましかったんです。 めっちゃ腹立ってたんです。
あの子はすごい、そう思ってました。 でも同時に、なんであの子ばっかりって思ってました。
あの子の何がそんなに人を惹きつけるんやろう。 いや分かる。分かるから腹が立つ。
分からへんかったら、なんであんな人が?って言えたんです。 でもその理由が分かってしまう。
面白い、軽い、明るい、かわいい。
巻き込む力がある。 人が手を貸したくなるような好きもある。
ちゃんと愛される才能がある。 だから辛かった。僕はその人の成功を
ちゃんと、 ちゃんと半分ぐらいは祝福してました。
よかったね。 すごいやん。ほんまにすごいと思う。
本当に心の底からそう思ってました。 でももう半分の心は血が出てました。
半分祝福で半分出血。 拍手している手のひらからは
血がにじんでる感じです。 しかもその血を誰にも見せたくない。
見せたら負けやから。 嫉妬してるってバレたら、自分の小ささがバレるから。
だから笑う。 だから拍手する。
だからすごいね!って言う。 でも心の中では言ってる。
なんであの子なんやろ? なんで僕はああいう風になられへんねやろ?
なんで僕じゃないんやろ? なんで僕のためには誰も動いてくれへんねやろ?
なんで僕はこんなに言葉を探しているのに、 こんなにも誰からも見つからへんねやろ?
好きという感情と嫉妬という感情は同じ箱に入る。 憧れと憎さも同じ場所に置かれる。
祝福と出血は同時に起きる。 僕はこの番組で、愛反する感情が同時に存在しても良い
というふうにこれまでの1話から9話でずっとお話ししてきました。 でもそれはどこかまだ綺麗な感情の話においてはっていうのが
本当にミソだったのかもしれません。 愛していたけど傷ついた。
幸せやったけど苦しかった。 好きやけど離れた。
それは全部全部痛いけどまだ美しい。 でもこれはどう?
祝福はしてるけど失敗してほしい。 好きやけど消えてほしい。
すごいと思うけど絶対に認めたくない。 応援はしてるけど僕より先に遺憾とってほしい。
これはほんまに同時に存在していい感情なんでしょうか? 僕はそこから目を逸らしたかった。
だってこの感情たちを認めたら、僕がほんまに自分は嫌な人間やっていうふうに認めることになるからです。
だからポッドキャストからも目を逸らしたんやと思います。
僕は長い間自分には面白さが一切ないというふうに思ってました。
もっと瞬発力がある人。 もっと明るく返せる人。
もっと人を笑わせられる人。 もっと場を回せる人。
もっと軽やかに愛される人。 もっと周りがほっておかへん人。
そういう人たちを見るたびに自分の言葉が重く暗く湿っていて面倒くさいものに思いました。
僕の話は長い。 僕の話は暗い。
僕の話はこじれてる。 僕の話は誰かが気軽に、「ねえ聞いてみて!」って言いやすいものではない。
そりゃ広がれへんよね。そりゃ応援もされへんよね。 そりゃ人は集まってけへんよね。
そうやって僕は自分の番組を出す前から何度も何度も殺していました。
でもね、ほんまはね、僕も面白くなりたかったんです。 人を笑わせたかった。
人を惹きつけたかった。 あの人の話また聞きたいって思われたかった。
この人をもっと広めたいって思われたかった。 この人には売れてほしいって思われたかった。
その願いを認めるのが すごく恥ずかしかった。
だってそれって言ってしまえばただ僕は選ばれたかったということやから。
見つけてほしかった。 才能があると言ってほしかった。
あなたの言葉が必要ですって言ってほしかった。 かなり重いです。でも実際そうやったんやと思います。
そしてその欲を認められなかったからすでにそれを持っているように見える人たちが憎らしく見えた。
あの子の前に人が集まるたびに自分の前が空っぽに見えた。
あの子が人を笑わせるたびに自分の言葉が死んでいくように感じた。 あの子のために誰かが動くたびに自分は誰にも必要とされてない気がした。
それは多分全部あの子や この子その子の問題ではありません。
僕の上の問題です。 僕はずっとお腹が空いていました。
認められたい 選ばれたい
応援されたい 必要とされたい
そんな空腹を隠したまま僕は別に平気です お腹なんて空いてませんけどみたいな顔をしていました。
腹ペコの人間が隣のテーブルのご馳走を見ながら 僕別にお腹空いてないしって言ってるようなもんです。
嘘つけ!めっちゃ見てるやん! 皿の枚数まで数えてるやん!ソースの照りまで見てるやん!
誰が取り分けてもらってるかまで見てるやん! 誰が美味しいねって話してるかまで見てるやん!
自分の水の減り具合と隣のグラスに注がれるワインの量まで比べてるやん! そのテーブルに誰が呼ばれて誰が隣に座って誰がまた来てねって言ってるのかまで見てるやん!
僕はそんな感じでした。 欲しくないフリをして誰よりも見てました。
そんないらんわ!っていう顔して、ほんまは全部欲しかった。 面白さも、愛され方も、応援される空気も、誰かが自分のために動いてくれることも、そのテーブルに座ることのできる資格も、全部全部欲しかった。
でもそれを欲しいって言われへんかった。
だから僕は、隣の皿を見ながら、自分の皿が空っぽであることに、勝手に一人で傷ついてました。
チャプター5 言えないくせに気づいてほしい
当時の僕は、僕のために動いてくれる人なんておらへんって
そんなふうに思ってました。
これはね、かなり拗ねてます。
でも本気でそんなふうに思ってました。
誰々さんのためには人が動く。
誰々さんのためには感想を書く。
誰々さんのためには告知をする。
誰々さんのためには会いに行く。
誰々さんのためにはお金を使う。
誰々さんのためには予定をあける。
誰々さんのためには声をあげる。
でも僕のためには?
僕が何かを出しても、世界は特に動かへん。
僕が頑張っても、別に誰も振り向かへん。
僕がいなくなっても、何にも変わらへん。
そんなふうに思ってました。
そして、そんなふうに思ってしまっている自分がまた、いやでした。
もう恐ろしいぐらいなんてズズズしいんでしょう。
誰かに動いてほしいなんて、誰かに応援してほしいなんて、
自分のために時間を使ってほしいなんて、
一体何様やねんと。
そう思う一方で、それでもやっぱり、誰かに動いてほしいと思ってた。
ただ、聞いておしまいじゃなくて、感想を書いてみてほしかった。
ただ、いいねするだけじゃなくて、誰かに勧めてほしかった。
ただ、見守るだけじゃなくて、この人もっと知られてほしいって言ってほしかった。
こうやって言葉にすると、ほんまにめっちゃ欲深いですね。
でもね、創作とか発信をしている人間の中には、少なからずこういう欲深さがあると思います。
見返りなんていりません。聞いてくれるだけで十分です。
そんなふうに言える日もあります。
でも、ずっとそれだけではおられへんのです。
ほんまは反応がほしい。ほんまは広がってほしい。ほんまは応援してほしい。
ほんまは自分のために誰かが少しだけ無理をしてくれたら、泣くほど嬉しい。
僕はその気持ちを自分で汚いものというふうに思いすぎていました。
だから、応援されている人を見るたびに、自分の中の欲が暴れてしまった。
あの子にはある。僕にはない。
あの子のためには人が動く。僕のためには誰も動かへん。
あの子は持ってる。僕は持ってない。
そうやって自分が持っていないものばかりを数えて、どんどんどんどん自分を嫌いになっていきました。
でも、もっとめんどくさいのはここからです。
僕は応援してと言えませんでした。
聞いてください。感想をください。広めてください。待っていてください。僕の言葉は必要だと言ってください。
そんなこと言えなかったんです。
重いから。恥ずかしいから。負けを認めるみたいだから。
欲しがってる自分を見られたくなかったから。
でも、言わへんくせに言わなくてもわかってほしい。そんなふうに思ってました。
最悪です。応援してとは言わへん。
でも、応援されへんかったら傷つく。
広めてとは言わへん。
でも、広がらへんかったら勧める。
待っててとは言わへん。
でも、待っててくれへんかったら、やっぱり僕は必要ないんや。って思う。
心の当たり屋です。
自分で車道に立っておいて、なんで避けてくれないんですか?って言ってるようなもんです。
でも、実際そうでした。
僕は自分の欲を認められなかった。
だから、応援されてる人を見ると、その欲が嫉妬に変わって、恨みになって、拗ねになって、どんどんどんどん汚く汚れていきました。
ポッドキャストから離れたというよりは、僕はポッドキャストを見ることができなくなっていきました。聞くことができなくなっていきました。
好きな番組を聞くと、胸の中がザワザワする。好きな人の声を聞くと、自分の声が嫌になる。
楽しそうな空気を感じると、自分がそこに入っていかれへん人間のような気がする。
誰かの人気を見て、誰かの反応を見て、誰かの周りに集まる人を見て、自分の何もなさを確認してしまう。
僕は好きだったものを楽しめなくなっていきました。
それが悔しかったです。
本間は好きやのに、本間は聞きたいのに、本間はその場所にいたいのに。
僕の嫉妬が邪魔をする。僕のコンプレックスが邪魔をする。
自分の、「僕だって!」っていう声が、すべてを濁らせていく。
誰かが楽しそうにしているだけで、僕は勝手に傷つく。
誰かが愛されているだけで、僕は勝手に置いていかれる。
誰かが選ばれているだけで、僕は勝手に落選する。
めっちゃしんどいです。しかも誰にも文句を言われへん。
だって、相手が悪くないことを僕はちゃんと理解してるから。
悪いのは、勝手に比べて、勝手に傷ついて、勝手に腐ってる僕っていうことがちゃんとわかってるから。
逃げ場がありません。
怒りの矛先が全部自分に跳ね返ってくる。
だから僕はポッドキャストから離れました。
見なければ比べなくて済む。
聞かなければ傷つかなくて済む。
作らなければ負けを確認しなくて済む。
出さなければ届かなかった現実を見なくて済む。
告知しなければ反応がない寂しさを見なくて済む。
そうやって僕は一番好きあった場所から自分で自分を遠ざけました。