さてこれを紐解いていきましょうか まず驚かされるのが私たちが普段一括りに天気予報って呼んでいるものの
えっと時間軸の広大さなんです時間軸ですか 週間天気予報とか1ヶ月予報は馴染みがあるんですが資料を見ると3ヶ月先の予測とか
暖光期とか寒光期といった半年単位の季節の傾向を予測するものまであるんですよ はいいわゆる長期予報と呼ばれるものですね
それでそこから一気に時間を絞り込んでいくと今度は降水短時間予報とか 高解像度降水ナウキャストといったものまで存在しているんです
そうですね数時間から数分単位の予測です 正直に言うとニュースでナウキャストという言葉を聞いても普通の短期予報と何が違うのか
よくわかっていなくて まあ専門用語が並ぶと少し戸惑いますよね
ここでの決定的な違いはその予測のメカニズムにあるんです メカニズムが違うんですか
え 通常の例えば明日の天気予報などは広範囲の気圧配置や風の動きからスーパーコンピューターが物理法則に
基づいて数日先の変更を計算 つまりシミュレーションするんですはいはい
計算して予測を出すわけですね ところがナウキャストはシミュレーションというよりは実況中継に近いんですよ
実況中継 はい気象レーダーを使って今まさにそこにある雨雲を立体的に捉えるんです
そして数分後から数十分後にどこで激しい雨や雷 竜巻が起こるかをピンポイントで追跡し続ける
そういうシステムなんです なるほど計算による予測ではなくてレーダーによる直接的な追跡なんですね
なんかこれカメラのレンズを切り替えるのに似ていませんか ほうと言いますとえっと3ヶ月予報とか観光機予報って広角の風景写真だと思うんです
風景写真なるほどはい一つ一つの雨粒がどうなるかは問題ではなくて全体の風景写真 つまり気候の大きなトレンドを捉えるような
でもナウキャストになると急にカメラのレンズをマクロレンズに付け替えて 今あなたの登場500メートルにある雨雲があと5分で雷を落とすっていう局所の世界の危機を覗き込んでいるような気がして
いやここで非常に興味深いのはまさにその視点なんです その穴の字は的確でして本当ですか
なぜ気象庁がそのレンズを使い分けているかというと 社会の意思決定のフェーズが全く違うからなんですよ意思決定のフェーズ
はい広角レンズである長期予報は例えば農家が今年の作付け計画を立てたに 自治体が除雪やエネルギー確保の予算を組んだりするためのいわば社会の基盤なんです
あーなるほど経済活動とか行政のベースになるわけですね そうです
一方でマクロレンズであるナウキャストは今まさにグラウンドで遊んでいる子供たちを 数分以内に建物の中へ退避させるための即時トリガーとして機能しているんです
風景全体の把握から目の前の危機回避まで裏側ではシームレスにつながっているんですね すごいな
いやーでも空からの脅威つまり雨や風の危険度はそれでわかるとしてはい私たちが 立っている大地
こっちの危険度はどうやって測るんでしょうか 同じ大雨でもコンクリートの平野部と山の斜面のすぐ下ではリスクが全く違いますよね
ええ全く異なりますね広域の気象警報だけでは足元のピンポイントな危険まではカバー しきれない気がするんです
そこが極めて重要なポイントです 実は雨そのものが直接人間の命を奪うケースというのは稀なんですよ
あそうなんですか大量の雨が第一に染み込み 土砂災害や洪水を引き起こすことで初めて地上での知識的な脅威やと変貌するんです
そこが土砂災害警戒情報が出てくるんですね これここからが本当に面白いところなんですが
はいこの情報気象台が単独で発表しているわけじゃないんですよね 資料を見ると都道府県の砂防部局と気象台が共同で発表する仕組みになっている
そうです連携して出しています これって医療の世界で違う分野の専門医がチームを組みようなものじゃないですか
専門医のチームですか 気象台が水分の専門医だとして上空からどれくらい雨が降るかを計算する
でもそれだけじゃ山の斜面が崩れるかはわからないから 地形の専門医である砂防部局が加わる
なるほど面白い例えですね そうすることで初めて市町村を特定した精度の高い診断
つまり避難情報が出せるんだなぁと そのアナロジーをさらに掘り下げるとこの患者
つまり地盤の状態って数分単位で様態が変わるんですよ 数分単位で
大地はスポンジのようなもので数日前にどれくらい雨を吸い込んでいるかによって 限界点が全く違うんです
あーすでに水を含んでいるかどうかで そうです斜面の角度土の性質そして現在の水分量
すべてが菊一国と変化する動的なターゲットに対して 空の専門家と大地の専門家がリアルタイムでデータをすり合わせているんです
恐ろしいほどの計算量ですね 動くターゲットの様態をリアルタイムで診断している
そしてその膨大な裏側の計算結果を専門知識のない私たちでも直感的に理解できる ようにしたのが土砂木ヒクルなどの危険度分布マップなんです
あーあの地図上が色分けされて危険度が一目でわかるマップですね ニュースでもよく見ます
複雑な地質データと降水量データを重ね合わせ あなたの今いる場所が紫や黒に染まっていればそれは文字通り
直ちに避難すべきレッドゾーンだということを視覚的に伝えているんです 視覚的にわかるのは大きいですねはい気象情報と地形情報が交差した
極めて精度の高い避難トリガーです ピンポイントで自分のいる場所が話しされたらもう迷っている時間はないということです
迷っている時間はない ここですねまさにここからがさらにシビアな領域になってきます