「幸せって所詮、差分でしかないんですよ」とAMIは言った。夜20時半、僕はしきりに腕時計を気にしていた。もうすぐスタジオを出なきゃいけない。それなのにそんな重そうな会話を今から始めるのか。僕の表情には明らかに影が差していたと思う。それを気にする素振りもなくAMIはこう続けた。「例えば推しと365日一緒に暮らせたとして幸せを感じるんでしょうか」。(知らんがな……)そう思った僕はこの話題をどれだけ真剣に続けるべきか問うため顔を上げた。彼女の目は空中の何かを捉えていた。まるでそこに大橋君がいるかのように――。「そうだね。僕は……幸せなんだと思う」しまった。これでは議論になってしまう。AMIの目に炎が宿るのを感じた。そしてこう言った。「私の答えは……NOです」そうか、僕は嵌められたのか。間が空き、隣のスタジオから笑い声が聞こえた。2人にはそれが戦いのゴングに聞こえたのだと思う。彼女は続けた。「……ということで本日のテーマは――」
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