神戸金史のCatchUp
2023-08-08 11:42

神戸金史のCatchUp

RKB解説委員 神戸金史
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三菱電機
さあ、火曜日はRKB解説委員長の神戸金史さんです。
8月ジャーナリズムという言い方をよくするんですね。夏になるとメディアがいきなり戦争に関する報道を集中的に始めていくということで、半分揶揄するようなニュアンスもあるんですけど、先週の土曜日に毎日新聞のコラムにですね、20年近く戦争にまつわる取材と報道を1年中やっているという栗原敏夫さんという記者がコラムを書いていましたが、1年中やっているので常夏記者と言われていると。
ほう。
なるほど、ほうと思いました。
8月だけではいけないのは当たり前なんですけど、せめて8月だけでもちゃんとやりたいというのも8月ジャーナリズムの中にはあるんですよね。
この栗原さんが書いていたのはですね、英霊という言葉が隠すことというタイトルのコラムだったんです。
3月10日の東京大空襲の法要には基地の予定がなくても参列していたり、沖縄やサイパン、シベリア、旧満州などでも手を合わせてきたと。戦没者を痛む気持ちは人後に落ちないと思っているとおっしゃる栗原記者なんですが、尊い犠牲の上に今我々が享受する平和と繁栄がありますという言葉は使わないようにしている。英霊という言葉も同じですというふうに書いているんですよ。
どういうことかなと思ったんですが、英霊とか尊い犠牲という言葉を使うと、誰のもしくはどの団体のどんな判断ミスで出口なき戦争に突き進んだのかという史実が後ろに行っちゃって責任が見えにくくなってしまう。
というのが一つ目。二つ目は、現在の平和と繁栄を強調すると、今80年近く経っても未解決の保障問題、例えば民間人の空襲被害者のこととか、戦争被害が続いていることが伝わらない。この二つの理由で尊い犠牲の上にとか英霊という言葉を避けるようにしているとおっしゃっているんですね。これはとてもいい視点だと思いました。
そういう意識は必要だと思いましたね。で、たまたまこの夏なんですけど、私がブックスキューブリックさんで買った本なんですけど、この国の戦争というタイトルの新書、川出新書の一冊の本があります。持ってきましたけど、小説家の奥泉光さんと歴史学者の加藤陽子さんの対談です。
対談なので非常に読みやすくて、この中でどうして日本がこういう戦争を引き起こしていったんだろうかということが丁寧に専門家の加藤さんと奥泉さんが質問するような形で進めていくんですね。
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たとえばあのポツダム宣言というのは、連合国軍の宣言があって日本が受諾するかどうかというのが最後焦点になるわけですけど、日本軍の軍隊が完全に武装を解除された後はそれぞれ家庭に復帰して平和的な生活を営む機会を得られるよと書いてある。
だそうです。僕もよく本文あんまり読んだことなかったので知らなかったんですけど、ところが戦争末期の日本国家は軍部の指示によってこの情報を隠して報道させたと。つまり生きて領収の恥ずかしみを受けずという教育をずっとしてきたわけですよね。日本軍は。だから帰ったら平和的に暮らせるんだよということがポツダム宣言に書かれていることを国民に伝えていなかった。
ということですね。この中で加藤さんはこれを正直に書けば国民の好戦意識が鈍ると思ったからでしょう。異性者はこのようなことをやるんですということを書いていて、非常に胸を打たれるというか知らないで戦っていたと。
もう一冊の本。山本七平さんという評論家が書いた昔の本なんですけど、一下級将校の見た帝国陸軍という文春文庫の本があります。これも今でも本屋さんで売っているんですけど、21歳で徴兵された山本さんが当時の自分が見た日本軍の状況を書いています。
これがですね、山本七平さんというと、私が学生の頃は中曽根内閣での倫理教育審議会で委員をしていたり、保守系の内閣の手伝っているような体制よりの人という印象が僕はあったんですよ。
ところがですね、この方が見た帝国陸軍論はもう実体験なんです。これもすごくてですね、因数主義という言葉を初めて聞いたんですけど、因というのは運動因とか教因の因ですね、頭数で。因数主義というのがはびこっていたと。この本の中で徹底的に陸軍の状況を追求していきます。
因数というのはですね、例えば、上官から暴力を振るわれてた奴は手を挙げろ。誰も挙げない。だからいません。という報告を挙げていく。数字が整っていればそれでいいとなしてしまう陸軍、軍隊の悪しき風習のことを語っているんですね。
例えば現地に行けば大砲を引くのは当時、車がなければ馬だったんですけど、フィリピンには馬がいると大砲を持ってきた将校がいました。その人たちに馬と山本さんは呆れてしまうわけですよ。現地で挑発せよ。現地にあるからと言われてきたのにいない。
因数としてはあるが実態がないという、これも因数主義なんですけど、水牛が代わりにいるとも聞いた。馬がいないんだったらと。その将校は言うんですけど、水牛は実は水辺の泥水の中に生息している生物、動物なんですね。草原を疾苦する馬とは違うわけです。
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1日に3時間水に入れていなければすぐ弱ってしまったり、地面に生えている草しか食べないので猛烈に餌が大量に必要だったり、食事にとっても時間がかかったり、馬のようにはいかないんですね。で、馬がいなければ水牛だと。でも水牛もほとんどいないという状況の中でどうしたらいいんだと。全く役に立たない。
現地に行けばなんとかなる。あるはずだという因数主義が行われていた。この現状を見てもですね、当時の日本軍ってこれはむちゃくちゃやなと思います。でもそれはですね、山本さんは自分が体験した実態を書いていることで、日本人の考え方みたいなもとをこの本に書いています。
その後も山本さんはですね、ずっと日本人のあり方を戦後論じていく保守系論客として活躍していくわけですけど、根底には戦前の日本のひどさみたいなものがずっとあったというのがこの本を読んでよくわかりました。あまり今までね避けてて読んでなかったんですけど、実はこの一下級商工の見た帝国陸軍文書文庫は一番初めに紹介したこの国の戦争の中でとてもよく書かれているというふうに紹介されていた本だったんですよ。
だから今まで手をつけていなかったんですけど、改めて見てみようと思ってみたんですが、よかったです。この2冊はですね、おすすめですね。この国の戦争、河出新書、それから一下級商工の見た帝国陸軍山本七重さんで文春文庫、本屋さんでお買い求めができます。
最初に紹介したの栗原記者なんですけど、戦争は自然災害ではないとコラムで書いていたんですよ。どういうことかなと思うじゃないですか。誰かの作意やったこと、もしくは不作意やらなかったことで起きる人災であるというふうに書いています。これはこの2冊の本を読むと本当にそうだというふうに思うんです。
その理由について栗原さんはこんなふうに書いているので竹田さんちょっと読んでいただけますか。
ということをですね、僕らは感覚としてもう失ってしまっているんです。女性に賛成権なかった時代ってどう思います竹田さん。国民の半分は選挙権がなくて、さらに納税規定もあった時代もあったので、20%しか投票はできなかった。
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国民の総意ではないですよね。
誰かのやったこともしくはやらなかったことによって人災だという栗原さんの主張の背景にはこういう現状があってですね。
まあその制限選挙、普通選挙じゃないわけですよ。選ばれた政党の党首が首相になるのはさらに困難だったということです。
515事件で犬貝武将は殺された後、11人が首相になったけど8人が軍人だった。残りの3人は官僚だったり貴族院の議長だったりして選挙で選ばれた人は一人もいない。
大米開戦時の東条内閣には衆議院議員は一人もいなかったということを考えると、戦前自分たち何も決められずに市に送り込まれた兵隊さんたちや空襲で被害になった一般の方々本当にひどい目になったなというふうにも思いますね。
そういう意味では8月ジャーナリズムって言われてもきちんとこの時期には放送していく新聞を書いていくことが必要なんじゃないかなと思ってるんですよね。
RKBではですね、私デジタルの担当してるんですけどもBC級戦犯の衣装を制作した大村幸子さんが取材主旗をインターネット上で今公開していたり、夕方のニュースでは昨日は豚田の森の悲劇を伝えるという企画をやったり、8月ジャーナリズムと言われてもやっています。
若い記者が改めて初めて戦争の取材をするということも記者にとって非常に重要なことかなと思っているので、8月しかやらないじゃないかと言われないようにしながら、なおかつでも8月はしっかりやっていきたいなというふうに思っております。
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