はい、こんばんは、石田衣良です。吉水奈奈です。早貝陽海です。
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さあ、やってまいりました。
さあ、今回は久々の小説家スペシャルなんだけど、一応タイトルはですね、第252回、
【AI時代の創作論】ということで、今回はちょっときちんと話をしてみようかなというね、
僕、ここ20何年、本を書いて、出版とか小説の世界の前線にいたと思うんだけど、
本当に変わったんだよね。なので創作論、AI時代の方に行く前に、
この20年で一番変わったことを最初にバッと話しておこうと思います。
あのね、やっぱり僕たちってさ、第二次大戦は知らないじゃない。
で、今まで一番大きな変化はもうここなんだよね。
変化は1989年、もう何があったか覚えてるよね。ベルリンの壁崩壊。
で、この何年か後にはそれも崩壊して、東西冷戦が終わり、グローバル化して、
世界中で中産階級が貧しくなった。で、実は本って上流階級、知識階級でもないし、
下半分の人って本を読まないから関係ないんだけど、ここが強くないと本ってダメなのともかく。
で、結局世界中でこの中産階級が滅ぶことで、社会創作のグラビティが変わったんだよ。
すごいですね、それは。
そう、もうこれものすごく大きな変化で、これ20世紀、1998年、9年くらいまでは光の時代で、
人間の良いところを描く。希望を描く。頑張って勝利する姿を描く。
で、積極的な恋愛を描くっていうさ、あと家族の話なんかも入るよね。
こういうさ、人のこの前世、良いところに向かうっていうのが20世紀までの小説だったの。
で、この変化って89年じゃん。で、社会とか世の中が本当に変わったなっていうのに、僕たち全体が気が付くのに10年かかるの。
で、ここで10年経って何が来たかっていうと、20世紀の光の時代の創作から闇の時代の創作に変わるんだよね。
そうすると、描くのはこの闇だから、人の悪いかに人がえぐいか悪いかを描く。
絶望を描く。格差を描く。人間に対する不信を描く。
ということで、こういう時代に流行るのって、ホラー、イヤミス、スプラッター。
本当に残酷な殺人者が多いじゃん。アメリカも日本も、ミステリーは。
で、イヤミスは意地悪な話。で、ホラーはもうドロドロでね、人が喰われるみたいなさ。
救いないですね。
そうそう。こういう風に変わったっていう、ここのところを掴んでおかないと、次の時代の創作がちょっと分かんないんだよね。
でもまさに前回ご覧になった方であれば、今のね、89年か10年くらい経って、99、98、97っていうと、
イミジクもイラさんがデビューしたのとほぼ一緒で、出版のピークから落ちてくるのと、ちょっとかぶってますよね。
そうなんだよね。だからここのところはさ、創作の重力が正反対に変わったっていうだけでなく、
ここのところから、なんていうのかな、本の時代の終わりも始まってるんだよね。
結局ここのところは大掴みでも分かっておかないと。
だから少年漫画ってさ、ワンピースがここのところの最後の残りなんだよね。
海賊王になると。
そうそう、海賊王になると。あれ連載90年くらいじゃん。
だからこっちの方のメインなんだよね。
海賊王になる。仲間と努力して勝利する希望の物語。
鬼滅の刃、鬼に家族を全員皆殺しにされて、絶望の中から復讐する話。
この復讐の物語は、例えばこの後、鬼滅もそうだし、事実もそうじゃん。
全部通ずるところがありますよね。
この変化が僕は現場で小説を書いていて、一番激しかったかな。
そんなにみんな絶望したんだ、辛くなっちゃったんだっていうのが一番感じるところ。
でもすごいですね。そういう意味ではイラさん、この覚察・不信・絶望・復讐とかって池袋の中で、
結構モチーフにしてて、イラさんだけを最後はこっちに持ってってますよね。
そうだね。だからそれがやっぱり僕がこの時代に生きてたからなんだと思う。
ちょうど境目のところ。
だから今さ、ホラーとかスプラッターとか読んでて、全く救いがない小説が多いじゃん。
え、これで?みたいな。
そうそう、終わるよね。救いはない。
それと、これはね、なんかね、あるんだけど、
ここの頃の人たちって、人間って優しいよねとか、いいねって思いたいの。
なんだっけ?
生前説。
アニメの歌であるじゃん。
いいな、いいな、人間っていいな。
日本昔話のエンディングですね。
そう。人間っていいなって思いたいんだけど、こっちは当然、ダメだなと思いたいわけ。
で、ダメだなと思うことで、あんなダメな人がいるから、自分は少しは幸せ、自分は少しは恵まれてるっていうスタンドポイントなんだよね。
なんか、相対的に感じる幸福みたいな。
そうそう、だからね、なんか本当に変わった。
で、それは、もう何が変わったかっていうと、その社会の文化のトーンを決める中3階級が没落したっていうことによって生まれてるんだよね。
だからさ、みんなさ、今の時代はこうだからって、一緒になって暗くなる必要は全くないよって一つ言いたいの。
確かに、こういう分水嶺があってこうなってるってあげっちゃったわけ。
そうそうそうそう。
だから、昔のCM、本当は89年とかのは、さすがにもうね、そう。
で、シティポップスとか今聴くとやっぱり華やかでいいじゃん。
あの頃みんな楽しそうだったな、贅沢してたんだなっていう。
肩パッド入ってんだろうってね。
危ないデカいからね。
そうそうそうそう。
懐かしいよね。
ただ、この変化は、僕はなんかね、作家もだからさ、正直言って、この頃描いてた人ほとんど消えたよ。
大物でもほとんどいなくなっちゃった。
そこを持ってるだけだとやっぱり残れなくなっちゃう。
うん。やっぱね、トーンがちょっと甘めだったんだよね。
だから今の時代ってさ、40みたいな小説って書きにくいと思う。
少年たちが気投げに頑張るみたいな。
だから伊田さんもやっぱり微妙にちょっと調整してるわけですよね。
意識してるかしてないかじゃないけど。
そうだね。だから例えばさ、北斗みたいなのはこっちじゃん。
本当そうですよね。
暗いから。
で、池袋はどっちにもあるんだけど、あれこれあった後、最終的にはこっちに戻すような形で書いてるから、
だからやっぱり20世紀小説なんだろうなって気がする。
ただいわゆる時代としてはそっちの右側ってことですよね。
そうだね。で、今の時代だから、これから何かを書きたいっていう人は、今の流行に上手く乗っかった方がいいと思う。
だからこれから創作をしたい人は、この辺ちゃんと書くっていいんじゃない?
格差、人間性の至らなさ、人間に対する不信、絶望感、復讐の物語、悪、救いのない世界。
正直言ってこれを書いていても、書いている側はそれで結構幸せになれるんだよね。
自分なりの世界を作り出せるから。
なのでここら辺のことを上手く考えながら、超ヤバい世界を書いてほしいかな。
でも考えたら世界の文学ってどっちかっていうとこっちが多いんだよね。
罪と罰、戦争と平和、ヘミングウェイ、武器をさらば、戦争の話だしね、1984、ユートピア。
実は全部ほとんど世界の名作文学ってこういう暗い話が多いの。幸せな人ほんとないんだよな。
なので先祖返りしたっていうのかな。
一時期のこの超豊かだったこの時代っていうのが、歴史の中で誰もかもがみんな豊かになれて幸せになれるって信じられていたこの時代が逆に短いんだよね。
そうすると時代を超えるような名作が出るかもしれないってことですか、これが。
そうだね。特に今の時代のひどさがわかってるから。
だってイーロンマスクが8兆円さ、ボーナスをもらう半年でだよ。
8兆円もらった後、南アフリカのガズダムでは子供が飢え死にして死んでいくわけじゃん。強烈な光と影じゃん。
そういう時代の方が立派な文学みたいなものは作りやすいのかも。ただ生きるのは辛いよね。
なぜかっていうと未来に対する希望がないからね。結局これだけなのよ。
この時代の方が貧乏だったのに希望があるから貧乏も減っちゃら。
この時代はみんな今そこそこ豊かじゃん。スマホもある、動画配信もある、ユニクロで不幸は安いし、食べ物もまだ日本は全然安い。
相対的に言ったら絶対こっちの方が幸せなはずなのに、この希望がないっていう一点でみんな不幸になっちゃうんだよね。
だからいかにさ、その時代のメンタル。
本当そう思いますね。
これ神聖って言うんだけど、この心の在り方、この神聖の持ち味でいかに変わるかだよね。
僕その89年とかまだ9歳くらいだったからはっきり覚えてないですけど、やっぱり今の話を伺ってて思うのは、
当時は確かに希望とか、見てるものが他者との比較じゃなくて、
やっぱり希望とか青臭いって本当に未来とか、何かよくわかんないエネルギーとかを常に感じてた、見てた。
でも今はやっぱり誰かとの比較とか、目の前の何かと常に晒されてる感覚。
あんまり他者にいい意味で、この時はあんまり興味なかったんじゃないかなと思って。
そうするとやっぱり自分自身と時間軸の中の話なんだよね。
来年は良くなる、再来年はもっと良くなる。
子供たちはさらに豊かになってもっといい暮らしができるっていうこの憧れが。
でもそうやって明日は今日よりいいんだよっていうふうに思ってると、これやりやすくない?
恋愛が本当にしやすいじゃん。
だって幸せの量が増えていく世界の中にいたら、じゃあ今からでもすぐ付き合おうってなるじゃん。
それがやっぱりこっちは弱いよね。
あんな楽しそうなCMがいっぱいあったんだ。
僕は本当にこの現場でこれを感じるし、今の小説のこの暗さ、救いのなさって時代が生んだものなんだなっていうのと同時に切なくもあるんだよね。
要は世界中でグローバリズムのおかげで中産会議がダメになった途端に文化がこんだけ暗くなるっていうと、
人間って本当にただ時代背景でその流れに乗ってやってるだけなんだなって思う。
というのが大前提で、その中でこういう闇の時代に生まれたのがAIなんだよね。
AIってお互いでもやったよね、昔。
ディープラーニングとかAIなのし。
AIって、要はディープラーニング、何段階かの階層に分かれて判断する人間の脳のモデルを模した電子回路の中に過去の大量の文章を流し込むわけ。
そうするとAIは確率で、例えばノアさんはって付けたら面白いYouTuberみたいな風にくっつけてくるわけよ。
ここの中には選択肢が何十個何百個ってあるんだけど、その中で一番続きそうな確率の高い言葉をつなげているだけなの、もっともらしく。
なので過去の文章から作ってるから、過去の文章の影響が大きいし、本質的に革新的な新しいものは作れないんだよね。
ということでここでお便りとご質問なんですが、今回はですね、皆さん覚えてますかね?
エピソードトークということで、皆様からスペシャルでエピソードを募集して、
こんな面白い話とかね、いろんなことをちょっと短くまとめてっていうので募集して、
もうすでにかなりいただいてるんですけども、
おそらく年末ぐらいにお届けしたいと思いますので、今後も募集はさせていただきたいんですけど、
エピソードトーク、どんな感じっていうこともあるので、すでに集まっているので、
お人方、例としてちょっと読んでもらおうかなと思って、野田さんいいですか?
はい。小鉢さんからいただいているものをちょっとご紹介したいと思います。
タイトルがあります。タイトル、心乱れたサイン会。
この前、サイン会行ったんです、僕。
今日は男女最終戦争池袋ウエストゲートパーク20のサイン会。
私はこの日を楽しみにしていた。
イラさんはその人を見ての一言をサインとともに添えてくれると聞いていた。
現に私の友人はもう一花とサインとともに頂戴していた。
私はなんて書かれるのだろう。ワクワクが止まらない。
コロナ禍で知ったオトラジオをきっかけに、今日のこの日までその一言を楽しみに待ちわびていた。
大好きなイラさんを前にアップルウォッチがいつもと違う心拍数を検出する。
まるで9階まで階段ダッシュをしたようなあたいだ。
目がこえているイラさんを前にお気に入りの着物をまとっていざ出陣。
震える声を微笑みながら聞いてくれて優しい時間が流れる。
はいと書き終わったサインをおそるおそる見ると一言がない。
慌ててイラさんにその人を見ての一言くださいと言うと、はいはいあれねとサラサラと。
そこには堂々とお茶の先生とこんな感じだと思うんだけどなぁと真顔のイラさんにゼック。
えっそれって見たまんまやんイラさんそうじゃなくてさ心の中で悲鳴をあげた。
久しぶりの失恋をした54歳でもただじゃ転ばない。
次回私への一言がいただけるまで自分探しの旅は続く着物という鎧をまとって。
なるほどね覚えてる覚えてる。
確かに一言欲しいです。今見た感情ちょっと伝えてくださいって言われたんだよね。
ただこのねサイン会めちゃめちゃ面白くてもうねいっぱいいたの。
今日サイン会なんですけど来週プロポーズします。
えっそうなんだ。うまくいく確率はどれぐらいの?
つったらもう80%ぐらいは大丈夫だと思いますって。
で僕その時にさじゃあこれはあれだなと思って傘を持たずに行こうって書いてあるんだよね。
香水確率2割だったら傘持たないじゃん。
もうねそんなのが山のようにあったその場で考えるっていう。
結構そういうイベントごとが。
だからこのオトラジを聞いてファンになったっていう人が三重から来て名古屋青森。
全国から?
そう全国から本当にサイン会に来てくれてみんなさあそこに泊まってんだよ池袋のホテル。
メトロポリタン。
だからあの日はメトロポリタンに5組ぐらいオトラジのファンの人が泊まってくれてるんで。
メトロポリタンからお菓子かなんか送ってもらってもいいよね。
カップルで5組だよ。
確かに確かに。
池袋の経済に貢献してますよね。
本当そうで夜は遊ぶって言ってたみんな。
本当ですか素晴らしい。
久々のサイン会楽しかったね。こんなのできなかったからね。
ぜひまた会ったら参加してほしいですね。
来年プロポーズする人にはうまくいったかどうかを報告に来るように。
そうなんですね。楽しみですねそれも。
ありがたいですね。小橋さんみたいなこういうエピソードトークでいいですよね。石平先生にコンタクトせずに。
僕の話じゃなくてもちろんいいし、自分のエピソードでいいので。
ただ小橋さんはうまいよね。
うまい。
もうなるほどっていう読ませる力があるんで。
そんなにハードル上げないと大丈夫です。
逆に上がったかもしれないですけど気軽にね。
年末どこかで楽しみだからみんなで見られればと思いますので
ぜひぜひ概要欄の方に引き続き募集のURLを貼っておきますので
応募をお待ちしております。
じゃあ質問の方お願いします。
次質問いきたいと思います。
もりもりさん20代男性の方からいただいています。
いつも楽しくおとらじ拝聴しています。
お三方はお仕事などでお忙しいと思いますが
どのように読書の時間を確保しているか伺いたいです。
私は現在20代後半で大学を中退しているため将来のキャリアに漠然とした不安があります。
そのため将来のことを考えて現在資格と英語の勉強を最低4時間しています。
すごいね。
しかし勉強を本格的にするようになってから読書の時間がかなり減ってしまいました。
1日全く本を読まない日もざらにあります。
お三方はお仕事でお忙しいと思いますが限られた時間の中でどのように読書をしていますか?
読書の時間が確保できないのであればいそのこと勉強の時間を少し減らそうかと考え始めているのですが
この考え方は間違いでしょうか?
でも今はとりあえず英語を集中的に学びたいんだから英語全振りでいいんじゃない?
本は何かのためにするっていうのもあるけどお楽しみじゃない?
気分転換。
例えば疲れた時にチョコレート食べたいなとか気分転換で散歩したいなというぐらい気楽に読むものなので
あんまりシリアスに読まないといけないとか勉強だとかって思わなくていいんじゃない?
目的とかね。
それに関してはちょこちょこ合間で読めるような本もたくさんあるし
探し方によっては読まなくてもいいんだけど
そういう隙間時間をうまく埋められる本
この人のことだったら信じられるっていう作家のものとかを読めばいいんじゃないかな
平田さんも小説書いて死ぬきり前とかお忙しいと思うんですけど
そういう時は本は?
そういう時は読めない。
小説って自分で書いてる時は人の文章にすごく敏感になるので
うわっていう感じなの。
触れたくないっていうのあります?
例えば臭いの強いチーズみたいな感じ。
和食食べてるじゃん。
タラの最強焼きとか食べてる時にブルーチーズボンと置かれたら
うわ臭っ!ってなるじゃん。
それぐらいの拒否感が出ちゃうから
自分で書いてる時には小説って読めないのよ。
それはもうそれ以上でもそれ以下でもないのかもしれないですけど
でもやっぱりどっかにイラさんといっても影響を受けたくない
受けちゃうかもしれないっていうのはね。
単純に拒否。
単純に受け付けないって感じ。
そうなんですね。
ちょっとでもそれ以外の期間に
書いていない時に関してはいちがいちでも読めるよ。
翻訳モノでも日本のモノでも全然問題ない。
じゃあ割とまとまった時間を作って
とって読むんじゃない。
今日本読もうかなっていう時にギュッて集中して
例えば同じジャンルのモノで
最近もあったんだけど日本の若手のホラーモノとかで
3冊ぐらいサッと読んだりはする。
そうなんですね。
だから特に僕はあんま考えてないんだよね。
本を読む時間を作らないといけないとか
勉強しないといけないとか全く思わないし。
移動の時間とか結構読まれたりするんですか?
移動の時間はほとんどないからね。
作家って自宅だから。
なるほど。
でもやっぱり直接の答えになるかわからないけど
俺イラさんと長くご一緒してたら思わないね。
無意識でね。
基本的に本読んでるよ。
イベントの合間とかで打ち合わせ終わった後も
じゃああと30分後ねみたいな感じで
また開けて常に読んでるよ。
っていうか癖になってるだけなのよ。
それが一番時間が潰せるし。
スマホよりダントツで面白いから。
スマホはもちろんなんだろうな
スマホってなんか麩菓子みたいな感じじゃない?