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インベストメントブリッジがお届けする、いろはにマネーのながら学習。 この番組では、インターン生2人が株、投資、経済関連の気になる情報を分かりやすくお伝えしていきます。
インターン生の会話をながら聞きする感覚で、一緒に勉強していきましょう。 おはようございます、インターン生の杉本です。 おはようございます、インターン生の松井です。
松井くん、去年の秋頃、コンビニや居酒屋からアサヒのビールが消えていた時期があったの覚えていますか?
はい、覚えてますよ。スーパードライがどっくに売ってなくて、お店にもアサヒ商品は品切れですみたいな張り紙がしてありました。
確か、サイバー攻撃が原因だったんですよね? そうなんですよ。あの騒動の当事者、アサヒグループホルディングスの決算が、つい先日の7月8日にようやく発表されました。
ようやくということは、遅れていたんですか? はい、そうなんですよ。
実は、アサヒは12月決算の会社なので、例年なら2月頃に発表されるはずなんですが、サイバー攻撃の影響で決算をまとめる作業そのものが大幅に遅れて、約5ヶ月遅れという異例の発表になったんです。
決算発表が5ヶ月も遅れるなんて聞いたことがないですね。それだけで影響が大きかったということですかね?
ということで、今日は飲料メーカー業界の特集回です。
前半はサイバー攻撃でビールが止まったら何が起きたのかというところから、アサヒの決算まで、後半はキリン、サントリー、サッポロといった競合の動きも含めて、飲料業界全体を俯瞰していきたいと思います。
その前に恒例のちょこっと株辞典のコーナーです。今日の用語は何ですか?
今日の用語はディフェンシブメイガラです。
ディフェンシブメイガラとは、景気の変動に業績や株価が左右されにくいメイガラのことです。
食品、飲料、薬品、電力、ガス、鉄道など景気が悪くなっても需要が大きく減らない生活出入り品やエリフラに関わる企業が代表例ですね。
守りを意味するディフェンスが語源で、景気交代の局面でも値動きが比較的安定していることから資産を守る守りのメイガラとしてポートフォリオに組み入れる投資家も多いんですよね。
反対に景気の波で業績が大きく動くメイガラは景気敏感株と呼ばれます。
今日取り上げる飲料メーカーはまさにこのディフェンシブメイガラの代表格です。
ただ今日の朝日のお話は景気に強いはずのディフェンシブメイガラにも景気とは全く別のリスクがあると考えさせられる事例でもあります。
それでは本編に入りましょう。
まず去年の9月に何が起きたのか改めて教えてください。
はい、2025年9月29日朝日グループはランサムウェア、いわゆるミノシロキン要求型ウイルスによるサイバー攻撃を受けてシステム障害が発生しました。
これによって国内グループ各社の受注や出荷、コールセンターの業務が止まってしまったんです。
システムが止まると具体的にはどうなるんですか?
普段はスーパーや飲食店がスーパードライを何ケースくださいと発注するとシステム経由で受注センターに届いてそこから出荷されるといった流れなんです。
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一方でその仕組みそのものが動かなくなってしまいました。
それによって工場の生産も一時ストップしてしまいました。
ビールの会社なのにビールを届けられない状態になってしまったんですね。
そこで朝日は電話やファックスで注文を受けて手作業で電瓶を処理するという昔ながらのやり方に切り替えてその場を凌ぎました。
まず看板商品のスーパードライから出荷を再開して工場も順次動かしていったんですが扱う商品は約500種類もありますから全てが物通りになるまでに長い時間がかかりました。
この時代にファックスと手書きでニュースで見た時は結構びっくりしましたよね。
本当に大変だったんでしょうね。
この影響というのは業界全体にも広がりました。
朝日の代わりを求めて他社のビールに注文が殺到したのでキリン・サントリー・サッポロの3社も主力商品に生産を絞ったり新規の注文を制限したりする出荷調整に追われたんです。
お世話用ビールの一部販売中止といった影響まで出てしまいました。
一社への攻撃が業界全体そして私たち消費者の生活にまで波及したんですね。
さらに経理関連のデータにアクセスできなくなったことで決算をまとめる作業もできなくなりました。
これが冒頭でお話した決算発表が約5ヶ月遅れた理由になります。
なるほど。それで肝心の決算の中身はどうだったんでしょうか。
一言で言うと大幅減益です。
2025年12月期は売上はわずかな減収にとどまった一方で営業利益は前期から3割ほど減少、最終利益も4割近く減りました。
やっぱりサイバー攻撃の打撃が大きかったんですね。
日本事業の第4四半期を直撃した形です。
10から12月って忘年会にお世話にとビール会社にとって1年で一番のかき入れ時ですよね。
そうなんです。一番の稼ぎ時に売るものを十分に届けられなかった。
販売の機会を失っただけでなくて在庫の廃棄やシステム復旧のための人件費、打てなくなった広告のキャンセル費用といった関連費用も大きくかさまりました。
では今期2026年12月期の見通しはどうなんですか。
こちらなんと会社側はV字回復を予想しています。
売上は1割強の増収。最終利益は6割近い増益で、なんと2期ぶりに過去最高益を見込んでいるんです。
え、最高益ですか。あれだけ被害を受けた翌年に一気に最高益になるなんて正直ちょっと出来すぎな気もしますが。
いい視点ですね。この大幅増益要素の背景には反動増の側面があります。
前期はサイバー攻撃で本来売れるはずだったものが売れず、一時的な費用も加算なので、それが正常化するだけで数字の上では大きく回復して見えるんです。
なるほど。落ち込んだ分の裏返しということですね。
はい。実際商品の出荷は今年の4月に全面再開していますし、決算発表を受けて株価も変われる反応を見せました。
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ではこれから投資家がチェックするべきポイントは何なんでしょうか。
大きく3つあると考えています。
1つ目は失ったシェアを取り戻せるか。シナウンスの間に他社の商品に切り替えたお店や消費者がちゃんと朝日に戻ってくるかどうかになります。
2つ目は再発防止のためのセキュリティ投資などのコストがどの程度利益を圧迫するかになります。
最後に3つ目はそもそも攻撃がなかった場合の成長軌道に戻れるのか、つまり回復で終わるのか成長までいけるのかといったところの見極めになります。
なるほど、V字回復のVの右側がどこまで伸びるかが大切なんですね。
それから今回の件をきっかけに企業のサイバーセキュリティ体制そのものが投資犯罪の材料として強く意識されるようになったのも大きな変化です。
ものづくり企業にとってシステムは工場と同じくらい大事なインフラだとわかりました。
ここまで朝日の話を聞いてきましたが、後半はいよいよ業界全体ですよね。他の飲料メーカーはどうなんですか?
はい、まず大前提として国内のお酒の消費量は1994年をピークに減少が続いています。
少子高齢化で人口が減っている上に若い世代のビール離れも指摘されていて、国内だけで大きく成長するのは正直難しいんです。
だからこそ各社はそれぞれ違うやり方で成長の種を作ろうとしているんです。
各社の色が出るところですよね。順番に教えてください。
はい、まず今日の主役の朝日になります。
朝日は海外M&Aで成長をつくってきた会社になります。
ヨーロッパやオーストラリアの大手ビール事業を次々に買収して、スーパードライやイタリアのペローニといったブランドを世界でプレミアムビールとして売る戦略を取っています。
実は今回の決算でも海外でのスーパードライの販売通量は15%も伸びていて、グローバル戦略によって大きく支えられています。
朝日はスーパードライの会社というイメージだったんですけど、今や海外でしっかり稼ぐグローバル企業なんですね。
そうなんです。
次にキリンホールディングスです。
キリンの特徴はお酒の外側、ヘルスサイエンス領域に軸足を広げていることです。
2024年にはサプリや化粧品のファンケルを完全子会社化、その前にはオーストラリアの健康食品大手ブラックモアズも買収していて、ヘルスサイエンス事業を種類に続く収益の発信に育てる計画を掲げています。
ビール会社が健康分野へというのは面白いですね。でもなぜそこまでするんでしょうか?
キリンの経営陣は人口減少や若者のビール離れに加えて、世界的にアルコールへの逆風が長期的に続くことを見据えています。
お酒だけに倒り続けるのはリスクが高いから、新しい柱を作ろうという発想なんですね。
なるほど、お酒の会社が出すお酒依存を進めているんですね。
サントリーはどうですか?
サントリーは実はグループの持ち壁会社としては上場していません。
上場しているのは清涼飲料を手がけるサントリー食品インターナショナルです。
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そしてグループ全体の戦略として有名なのが、買収によってバーボンのジムビーブなどを参加に収め、世界有数のスピリッツメーカーになったことです。
さらに国内では核ハイボールを仕掛けて、ハイボールという飲み方を定着させ、ピーク時の6分の1まで縮小していたウイスキー市場を復活させた立役者でもあります。
あ、そうなんですね。
ハイボール、今や居酒屋の定番ですもんね。
あれが戦略的に作られたブームだったとは知りませんでした。
そうなんです。
最後に札幌ホールディングスです。
札幌は黒ラベルやエビスのビール事業に加えて、エビスガーデンプレイスなどの不動産事業を持っているのが特徴でした。
ところが去年の12月、この不動産事業を投資ファンド連合に約4800億円で売却すると発表したんです。
え、あのエビスガーデンプレイスを手放してしまうんですか?
あくまで段階的にですけどね。
背景にはアクティビストの存在があります。
筆頭株主の投資ファンドが不動産を売却して種類事業に集中すべきだと求められていて、札幌はそれに応える形で売却を決断しました。
こうしてみると、同じビール会社でも海外M&Aの朝日、ヘルスサイエンスのキリン、スピリッツとハイボールのサントリー、
選択と集中の札幌と、戦略が全然違うんですね。
そうなんです。そして最後に業界共通の大きなイベントを一つ紹介させてください。
今年2026年10月に酒税改正が最終段階を迎えます。
これまで税率が違ったビール、発泡酒、新ジャンルの税率が一本化されてビールは減税、発泡酒や新ジャンルは増税になるんです。
ビールが今より買いやすくなるってことですか?
そういうことです。
だから各社はビール回帰に舵を切っていて、サントリーの金麦屋、キリンの本キリンのように新ジャンルの人気ブランドをビールとして作り直す動きも出てきています。
あわせて健康志向を背景にノンアルコールビール市場の拡大も続いていて、大手4社の新たな視線上になっています。
なるほど。今日のポイントを整理すると、一つ目は朝日はサイバー攻撃で異例の欠産遅延と大幅減益につながった。
二つ目、今期は過去最高益のV字回復を予想しているけれど、反動増の面があるので、地位や回復やコストの中身を見極める必要がある。
三つ目、国内市場が成熟する中、各社は海外M&Aやヘルスケア、ノンアルハイボール、そして酒税改正を見据えたビール回帰で成長を模索しているということですね。
完璧なまとめです。
ディメンシウムメーガラーの代表格である飲料株にもサイバー攻撃という新しいリスクと各社それぞれの成長ストーリーがある。
この夏はぜひ店頭に並ぶビールの裏側に企業戦略も想像してみてください。
私はまず棚井の売ってきたスーパードライの一杯から始めたいと思います。
いいですね。なお、本日ご紹介した内容は情報提供を目的したものであり、特定のメーガラーへの投資を推奨するものではありません。
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投資判断はご自身の責任でお願いいたします。
本日も最後までお聞きいただきありがとうございました。
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それではまた次回お会いしましょう。