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おしゃべり本棚。 この時間は福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします。
楠山正男 花咲じじい
昔々あるところにおじいさんとおばあさんがありました。 正直な人のいいおじいさんとおばあさん同士でしたけれど、子供がないので
犬のシロを本当の子供のようにかわいがっていました。 シロもおじいさんとおばあさんにそれはよくなついていました。
すると、お隣にもおじいさんとおばあさんがありました。
この方はいけない、欲張りのおじいさんとおばあさんでした。 ですから、お隣のシロを憎らしがって
汚らしがって、いつも意地の悪いことばかりしていました。 ある日、正直おじいさんがいつものように桑を担いで畑を掘り返していますと、
シロも一緒についてきて、そこらをくんくん嗅ぎ回っていましたが、 ふとおじいさんの裾をくわえて
畑の隅の大きなえのきの木の下まで連れて行って、 前足で土を掻き立てながら、
ここ掘れわんわん、ここ掘れわんわんと鳴きました。
なんだな、なんだな、 とおじいさんは言いながら桑を入れてみますと、
かちりと音がして、穴の底できらきら光るものがありました。 ずんずん掘っていくと、
こばんがたくさん出てきました。 おじいさんはびっくりして大きな声でおばあさんを呼び立てて、
えんやらえんやら、こばんを家の中へ運び込みました。 正直なおじいさんとおばあさんは急にお金持ちになりました。
すると、 お隣のよくばりおじいさんが、
それを聞いて大変うらやましがって、 さっそくシロを借りに来ました。
正直おじいさんは人がいいものですから、 うっかりシロを貸してやりますと、
よくばりおじいさんは、いやがるシロの首に縄をつけて、 ぐんぐん畑の方へ引っ張って行きました。
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俺の畑にもこばんが埋まっているはずだ。 さあ、どこだどこだ。
と言いながら、よけい強く引っ張りますと、 シロは苦しがってやたらにそこらの土をひっかきました。
よくばりおじいさんは、 ああ、ここか、しめたぞしめたぞ、
と言いながら掘り始めましたが、 掘っても掘っても出てくるものは、
石ころや河原のかけらばかりでした。 それでもかまわずやたらに掘って行きますと、
ぷーんと臭いにおいがして、 きたないものがうじゃうじゃ出てきました。
よくばりおじいさんは、 臭い!と叫んで鼻をおさえました。
そうして、はらだちまぎれに、 いきなりくわをふりあげて、
シロの頭から打ちおろしますと、 かわいそうにシロは一声キャンと泣いたきり、
死んでしまいました。 正直おじいさんとおばあさんは、
あとでどんなに悲しがったでしょう。 けれども死んでしまったものは仕方がありませんから、
涙をこぼしながら、シロの死骸をひきとって、 お庭のすみに穴をほって、
ていねいにうずめてやって、 お墓のかわりに小さい松の木を一本、
その上に植えました。 するとその松がみるみる育っていって、
やがて立派な大木になりました。
これは、シロの塊だ!
こうおじいさんは言って、 その松を切って、うすをこしらえました。
そうして、
シロはお餅が好きだったから、
と言って、うすの中にお米を入れて、 おばあさんと二人で、
とつきはじめますと、不思議なことには、
いくらついてもついても、 あとからあとからお米がふえて、
みるみるうすにあふれて、外にこぼれだして、
やがて台所いっぱいお米になってしまいました。
すると今度も、
お隣のよくばりおじいさんとおばあさんが、 それを知ってうらやましがって、
またずうずうしく、うすを借りに来ました。
人のいいおじいさんとおばあさんは、 今度もうっかりうすを貸してやりました。
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うすを借りると、さっそくよくばりおじいさんは、
うすの中にお米を入れて、おばあさんをあいてに、
とつきはじめましたが、どうしてお米がわきだすどころか、
今度もぷーんといやなにおいがして、
中からうじゃうじゃうじゃうじゃ汚いものが出てきて、
うすにあふれて、外にこぼれだして、
やがてだいどころいっぱいきたないものだらけになりました。
よくばりおじいさんは、またかんしゃくをおこして、
うすをたたきこわして、まきにしてもやしてしまいました。
しょうじきおじいさんは、うすをかえしてもらいに行きますと、
はいになっていましたからびっくりしました。
でも、もやしてしまったものはしかたがありませんから、
がっかりしながらざるの中にのこったはいをかきあつめて、
しおしおうちへかえりました。
おばあさん、しろのまつのきがはいになってしまったよ。
こういっておじいさんは、
おにわのすみのしろのおはかのところまではいをかかえていきますと、
どこからかすーすーあたたかいかぜがふいてきて、
ぱーっとはいをおにわいっぱいにふきちらしました。
するとどうでしょう。
そこらにかれいきのままたっていたうめのきやさくらのきがはいをかぶると、
みるみるそれがはなになって、
よそはまだふゆのさなかなのに、
おじいさんのおにわばかりはすっかりはるげしきになってしまいました。
おじいさんはてをたたいてよろこびました。
これはおもしろい。
ついでにいっそほうぼうのきにはなをさかせてやりましょう。
そこでおじいさんはざるにのこったはいをかかえて、
はなさかじじい、はなさかじじい。
にっぽんいちのはなさかじじい。
かれきにはなをさかせましょう。
とおおらいをよんであるきました。
するとむこうからとのさまがうまにのって、
おおぜいけらいをつれてかりからかえってきました。
とのさまはおじいさんをよんで、
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ほうめずらしいじじいだ。
ではそこのさくらのかれきにはなをさかせてみせよ。
といいつけました。
おじいさんはさっそくざるをかかえて、
さくらのきにあがって、
きんのさくらさらさら、ぎんのさくらさらさら、
といいながらはいをつかんでふりまきますと、
みるみるはながさきだして、
やがていちめんさくらのはなざかりになりました。
とのさまはびっくりして、
これはみごとだ、これはふしぎだ、
といっておじいさんをほめて、
たくさんにごほうびをくださいました。
するとまた、
おとなりのよくばりおじいさんがそれをきいてうらやましがって、
のこっているはいをかきあつめてざるにいれて、
しょうじきおじいさんのまねをして、
はなさかじじい、はなさかじじい、
にっぽんいちのはなさかじじい、
かれきにはなをさかせましょう、
とおおらいをどなってあるきました。
するとこんどもとのさまがとおりかかって、
こないだのはなさかじじいがきたな、
またはなをさかせてみせよ、
といいました。
よくばりおじいさんはとくいらしいかおをしながら、
はいをいれたざるをかかえて、
さくらのきにあがって、
おなじように、
きんのさくらさらさら、
ぎんのさくらさらさら、
ととなえながら、
やたらにはいをふりまきましたが、
いっこうにはなはさきません。
するうちどっとひどいかぜがふいてきて、
はいはえんりょなしにしほうはっぽうへばらばらばらばらちって、
とのさまやごけらいのめやはなのなかへはいりました。
そこでもここでもめをこするやらくしゃみをするやら、
あたまのけをはらうやら、
たいへんなさばぎになりました。
とのさまはたいそうおはらだちになって、
にせもののはなさかじじいにちがいない!
ふとどきなやつだ!
といって、
よくばりおじいさんをしばらせてしまいました。
おじいさんは、
ごめんなさい!ごめんなさい!
といいましたが、
とうとうろうやへつれていかれました。
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