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おしゃべり本棚 この時間は福岡のRKB毎日放送のアナウンサーによる朗読をお送りします 豊島よしお咲く天狗の鼻後編
許してください私が悪かったのです許してください もう決してごちそうをさらったりなんかしませんから
わしは元からの悪い天狗ではありません この姿の通り大天狗で大勢のカラス天狗を家来にもって立派な行いをしていました
ところがわしは 生まれつき鼻がよく聞いてにりしほうくらいは何でも嗅ぎ分けられるのです
あるとき山の奥から村近くへ出てくると 人間のこしらえてるごちそうのにおいがしてそれを食いたくてたまらなくなったのです
そして 一度盗み食いをしてみるとうまいのうまくないのってもう木の実を食ったり霞みを吸ったりしているのが
馬鹿らしくてごちそう泥棒になってしまったのです ところが今あなたに縛られてみると初めて夢から覚めたような心地になって自分の悪いことが
しみじみわかりました これからはつまらない欲なんか起こさないで山の奥へ戻っていって大天狗に恥じない
立派なおこないをしますどうぞお慈悲に許してください 許してさえくだされば何でもお望み通りにします一生おこないを慎みます
本当に許してください 私を村人たちの前に突き出してもあなたには何の儲けにもならないでしょう
その代わり 私を許してくだされば何でも望み通りのものを差し上げます
天狗が泣きながらそういうのを聞いてじいさんはなるほどと考え込みました 天狗を村人たちの前に突き出したところで自分の利益には少しもなりません
それよりも何か素晴らしいものをもらって許してやったほうがましです その上天狗はもう一生悪いことをしないと言っているのです
それでは 許してやっても良い
とじいさんは言いました だが
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許す代わりにこの羽打ちは送れるか それには天狗も弱りました
羽打ちはがなければ天狗の役目が務まりません いろいろ懇願した挙句
二利四方も聞くという花を譲ってやることに相談が決まりました ただ
こんな上等の花をもらったからといって欲を出してはいけません と天狗は言いました
欲張ったことをすると花を取り上げますから そのつもりでおいでなさい
やいたま じいさんは承知しました
そこで大天狗は縄を解いてもらって羽打ちはを拾い上げて それでじいさんの低い花を3度仰ぎながら何か口の中へ唱えますと
じいさんの花はみるみるうちに高くなって 二利四方のものが何でもかぎわけられるようになりました
じいさんがびっくりしているうちに天狗は羽打ちはをはたはたとやりながら 宙に飛び上がって
どこともなく立ち去りました じいさんは天狗の花をもらって嬉しくてたまりませんでした
夜が明けるとすぐに表へ飛び出しました 村の人たちは大天狗と同じようなじいさんの花を見て驚いたのなんのじゃありません
そして 正常じいさんを今度は天狗じいさんと呼ぶようになりました
さて天狗じいさんは大天狗からもらった真っ赤な高い花をうごめかして 自分の貧乏な家にじっと座っていますとまあどうでしょう
二利四方のものが何でも目に見えるようにかぎわけられるではありませんか どこにどんな花が咲いているかもわかればどこにどんなごちそうができているかもわかれば
どこにどんな酒があるかもわかります じいさんは家にじっと我慢していることができませんでした
晩になるとのこのこ出かけて行って村で一番ごちそうのある家へやっていきました 村人たちはもう天狗が来ないことを知っていつもより見事なごちそうをこしらえていたのです
こんばんはと言ってじいさんは入っていきました 天狗じいさんですかあんたのおかげでこんなごちそうを食べることができるようになりました
まあまあお祝いに食べていってください そう言ってどの家でもじいさんをもてなしました
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じいさんは大得意でした それからというものは昼間はいい香りのする花を取りに出かけ
それを売って大変お金をもうけ 晩になると立派なごちそうやうまい酒のある家をかぎつけてそこでたらふく飲み食いしました
いくら飲み食いしたってたかが老人一人ですからそうたくさんではありませんので 村人たちはいつも心よくもてなしてくれました
それにまたじいさんは村から天狗を追い払った大恩人ですもの そのうちじいさんは花を売ったお金はどしどしたまってくるしごちそうや酒には飽きてくるし
なんだか退屈でつまらなくなってきました この上は何かすばらしいものがまだ見たことも聞いたこともないようなものがどこかに
ありはすまいかと高い天狗花をうごめかしながらじっと考えていました すると
どこからともなくさらさらっと涼しい風が吹いてきてその風上の遠くの遠くになんとも 言えないいい香りのするものがありました
蛇行でも日系でもキャラでもランジャー隊でもない いやそんなものよりもっといい
絵も言われぬ香りでした これはきっと天下第一の宝物に違いない
じいさんは思いました じいさんはもううちおてんになってその宝物を取りに出かけました
いい香りは村の後ろの高い山の方から匂ってきました じいさんは天狗花を嘘嘘させながら山の奥へ奥へと登っていきました
ところが不思議なことにいくら行ってもそこへ行き着きませんでした 行けば行くほど香りは遠いところから匂ってきます
これはきっと大変な宝に違いない じいさんは考えました
そのうちに山はだんだん奥深くなって草木がいっぱい茂っていてもう道もなくなって しまいました
その上じいさんは長い山道を歩いてきましたので腹は減ってくるし足は疲れてくる し弱ってしまいました
けれどただ宝物を取るという欲でいっぱいでした 何もかもうち忘れて進んでいきました
にわかにひときわ強くプーンといい香りがしてきました
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いよいよ来たなと思ってじいさんは一生懸命に足を早めました そして山奥の崖の縁まで来ますと
あっと言って立ち止まりました まあどうでしょう
崖の下の谷間一面に素敵な花が咲き乱れているではありませんか 柔情時期もあろうかと思われるほど大きな百合の形をした花で
そのビロードのような花びらは赤や青や黄や紫や様々の色をして その上に金色の花粉が梅雨のように散りこぼれていて
それを澄みきった日の光がキラキラ照らしているのです そして涼しい風が軽やかに流れるたびに息もつけないほどのいい香りが
むらむらと立ち上ってくるのです あまりのことにじいさんはぼんやりしてしまいました
やがて我に帰るとじいさんは早くその花を織り取ってやりたくなりました ところが崖の上からその谷間に降りるのが容易でありません
ごつごつした岩の崖で何十畳というほど高いのです じいさんはあちこち見回してみてようやく一本のかずらを見つけ出し
それにすがって織り始めました ちょうど崖の中ほどまで織りますとどうしたはずみか
かずらがぶつりと切れて あっという間にじいさんは真っ逆さまに転げ落ちました
転げ落ちる途端に高い花が岩角にぶつかって ポキリッと大きな音を立てて折れてしまいました
じいさんは谷底で夢中に飛び起きて一番先に花へ手を当ててみますとさあ大変です テングからもらった大事な大事な花どころか自分のもとの低い花までも根っこからなくなって顔がのっぺらぼうになっているではありませんか
あたりを見回してみますと 今まで咲き乱れていた花は影も形もなくて
自分の足元に何か赤いものが一つ転がっています よく見るとそれは真っ赤な高い天狗花でした
まあこれさえあればいいそう思ってじいさんは急いで拾おうとしました すると驚いたことにはその赤い花がふわりと宙に飛び上がって舞い上がりながら次第に大きくなって
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やがて空いっぱいの大きさになりました そしてじいさんがあっけにとられていると
その空いっぱいの大きな花の向こうから ううううっはっはっは
と 雷のような笑い声が聞こえてきました
それは多分天狗が笑ったのだろう という事です
ガールズパンチ×少女隊の×ラジオ 隊
×少女隊の春野きいなと青井リド ワです
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