番組紹介と本橋成一さんへの追悼
NPO法人 世界被爆者展がお送りする
いのちのハーモニー
いのちのハーモニーでは、自然と調和し、多彩な命がハーモニーを奏でる母なる地球の新しい文明の創造に向けて、
いのちの視点から世界を変えていこうとする人たちをゲストにお迎えし、自由に語っていただきます。
進行は森下美穂と
安西尚人です。
この番組は、NPO法人 世界被爆者展がお送りします。
今日のゲストは、ドキュメンタリー映画監督の花房綾さんです。
綾さんは、氷の島やある生肉店の話など、一貫して命の尊厳を描き、国内外で高く評価されてきました。
待望の最新作、里守人と馬頭菌が完成したばかりの綾さんですが、
今日はまず、綾さんが死と仰いだ写真家で、映画監督の本橋誠一さんのお話から伺いたいと思います。
世界被爆者展でもおなじみの本橋さんは、1991年、事故から5年後のチェルノブイリで過酷な現実に直面し、
一度は写真は撮れないと絶望しました。
しかし、汚染された大地を愛し、そこで自給自足の暮らしを営む人々と出会ったことで、
悲劇ではなく、生きることの原風景を映し出す独自の境地にたどり着かれました。
そんな本橋さんですが、昨年末の12月20日に旅立たれました。
私たちも大変お世話になりました。今も感謝の気持ちでいっぱいです。心よりご冥福をお祈りいたします。
今日は、本橋さんの思い出を振り返りながら、綾さんに最新作、里守人と馬頭菌に込められた思いをじっくり伺っていきます。
綾さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
纐纈あやさんと本橋成一さんの出会い
本橋さんとはどんな出会いだったんですか?
私はいろんな仕事をして、自分は何をやったらいいんだろうかというのをすごく模索していた時期で、
その時にちょうど本橋さんに出会って、働かせていただくということになりました。
よく覚えているのは、本橋さんと最初に会った時に、君は何をしたい人なんだって聞かれて、
たまらなくこれだと思うものを見つけてしたいんですって、それを探してるんですって言った時に、
本橋さんが、自分のところはお金はないけれども、お金はあんまり給料は出せないけれども、
本当にいろんな人たちが、いろんな仲間がいて、いろんな知り合いがいて、みんな面白い人たちだから、
そういう人の財産は分けられるよ、遺産相続はできるよ、みたいなことを言われて、たまに覚えているんですね。
つい先日、お別れの会に行った時に、本当にたくさんの方が全国から集まっていらっしゃって、
会いたかった人たちの顔が目の前にたくさんあって、本当に本橋さんに私はこの人たちとのつながりをいただいたんだなと思って、
本橋さんの世界を知っている知り合い、仲間たちと本橋さんの世界を共有できるっていうことが本当に嬉しい1日でした。
すっごく大きくって温かい人だったんですよね。
自分に正直でわがままな人でもあったけれども、自分に正直で自分をすごく大切にしていた分、
本当に人のこと、他の人のことも、自分以外の人のことを自分と同じように大切にしようとした。
すごく尊重してくださった。
映画を作るようになったっていうのも、本橋さんと出会ってなければ絶対にこの仕事はしていたかったと思いますし、
私の人生の中で最大の幸運だったと思いますね、本橋さんとの出会いが。
綾谷さんは本橋さんからたくさんのものを受け取ったんですね。
私は本橋さんの写真すべてに共通しているのは、私たちの奥の奥に湧いているすごく透明感のある泉みたいな、
なんかそれの純粋性みたいなものがあって、そういったものをどんな写真にもなんかその透明感と粒子の美しさみたいなものを感じるんですよね。
撮っているものはすごく人間臭い人たちだったり、色濃い光と影の人間の決して良いところだけではない、
そういうものが見え隠れするようなものでも、何せか本橋さんは奥の奥にコンコンと湧いている泉みたいな、
透明な、それこそ命の泉みたいなものになんかタッチしてたような感じがして、
本橋さんの写真を見ると何かを訴えかけてくるとか、何かのメッセージが入ってくるっていうよりも、
見ると自分の心が現れるみたいな、どんな場所のどんな人たちの姿でもなんか美しい、
そこになんかこの世界のすごく根源を見せてもらえるような、そういうものかなって思います。
本橋さんの作品、心が現れるというのはよくわかります。
最新作「里守人と馬頭琴」の紹介
綾瀬さんの最新作もとても楽しみです。
今回の作品は、バトーキン奏者の美穂さんから直接声をかけていただいて、
こういう映像を撮りたいと思っているんですが、綾瀬さんお願いできませんかって声をかけていただいたことがきっかけなんですね。
里守人とバトーキンというタイトルなんですけれども、
栃木の北部にある中川町に梅平っていう小さな集落がありまして、その集落のお話なんですね。
その美しい里の風景がありまして、40人ぐらいの集落の人たちが暮らしているんですけれども、
そこの梅平からちょっと入った山の中に昔は棚田がずっと谷間に連なっていたところなんですが、
今は一箇所しかその棚田が残っていないんですね。
大金茂さんっていう茂さんの棚田が残っているんですけれども、
そこでイネの借り入れが終わった時に1年に1回、美穂さんのバトーキンコンサートを開催してきたんですね。
普通、野外コンサートって聴く方はとても気持ちいいですけれども、
実はとても難しくて場所として音が散ってしまったりするととても聴きづらいので、
演奏する方も大変なのでアンプをつけたりっていうことをするところもほとんどですし、
雨が降ったら開催できませんし、すごい野外コンサートって難しいんですが、
この棚田はもう天然の自然ホールでものすごい音が素晴らしく響くんですね。
アンプ一切使わずに、その棚田もですね、
集落の受付、駐車場から1キロ歩かないといけないような場所なんですが、
電車やバスも近くまで来ていないような場所なので、
そこにですね、続々と毎年人が集まってくるという、そういう棚田コンサートなんですね。
それが10回目を迎えるということで、その記念の映像を撮るというので、
棚田の音楽会と梅田エラの集落の人たちの1年の暮らしぶり、
里の暮らしがあっての棚田の音楽会であるということで、
それを年間撮影させていただいてまとめるという、そういう最初の構想だったわけですね。
馬頭琴の音色と自然との調和
それではここで1曲お聴きいただきます。綾瀬さん、曲の紹介をお願いします。
バトーキンってモンゴルの楽器なんですけれど、
元々は馬のしっぽで弦も指も作っている、そういう楽器なんですけれども、
美穂さんの風の馬という曲を皆さんに聴いていただきたいなと思って持ってきました。
皆さんいかがでしたか?映画が見たくなりましたね。
今回美穂さんの曲をたくさん使わせていただいて、
このバトーキンの音色が本当に梅田エラの集落の方たちの暮らしぶりに包み込むというか、
ちょっとその映像に寄り添ってくれているような音楽なんですね。
この音楽に助けられて、6年半かけてようやく完成したんですけれども、
美穂さん、オリジナルの曲をたくさん作られていらっしゃって、
いろんな曲があるんですけれども、旅先のいろんな自然の中でインスピレーションを得て作った曲が多いんですね。
なので本当に自然の音ととても近い感じが私の印象はあって、
チェロとかバイオリンとかっていうのは弦が1本だと思うんですけれども、
バトーキンって120本と160本の束なんですね。
なので音にすごく幅があって、自然界の音とか暮らしの音とかを包み込んでいく感じなんですよね。
なので音のハーモニーというか、バトーキンの音色だけじゃなくて、
人と自然の暮らし、里の暮らしを包み込んでくれるような音っていうのが、
音の物語でもあって、すごくそれが見どころかなというふうに思ってます。
今は2年に1回になってるんですが、本当に参加してもらいたいです。
ここでしか味わえない。音楽ってみんな耳で聴いてると思ってると思うんですね。音楽だけじゃなくて音って。
でもね、全身で聴いてるっていうことがよくわかるんですよ。
田中にいて美穂さんがバトーキンを奏でると、みんながそれに反応して揺れるんですよね。
人間だけじゃなくて、カエルもトンボも見えるものはそうですし、
土の中のものも必ずそうだと思いますし、鳥たちもみんなその音に反応してるんですよ。
去年の音楽会に行って、雲が波紋を描いていく感じがあって、
音が雲の波紋になっていくような、そんなふうに見えたんですよね。
棚田一帯が一つになって、美穂さんのバトーキンをきっかけに揺れてるみたいな、
他のどこでも味わえない体感なんですよ。
映画の上映情報と番組の締めくくり
それはすごいですね。映画はどこで上映されるんですか?
5月24日に中川町で少し大きな上映会をしたいなと思ってます。
主要都市とか劇場とかはですね、上映スケジュールが出てないんですが、
必ず全国、演奏と上映で回りたいなっていう計画も立てたいと思っております。
夏畑にも行きたいなと、ぜひ。
ぜひみんなで見たいと思います。
今日は本当にありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
この番組はNPO法人世界被爆者展がお送りしました。
では、みなさんまた来週。ごきげんよう。