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2025-12-15 07:03

#225【青空文庫】ねことおしるこ

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小川未明「ねことおしるこ」

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Ogawa Mimei title:a cat and sweet red bean soup

サマリー

このエピソードでは、しょうちゃんが夜中に猫の喧嘩で目を覚まし、お姉さんに叱られる様子が描かれています。また、日中にはおしるこを楽しみにするしょうちゃんとお姉さんのやり取りが中心となります。

夜の猫の喧嘩
ねことおしるこ、小川美名。
お姉ちゃん、お姉ちゃん、大変!
と、枕を並べているしょうちゃんが、夜中にお姉さんを起こしました。
よく寝入っていたお姉さんは、何事かと思って驚いて目を覚まして、
どうしたの、しょうちゃん?
と、今にも立ち上がろうとなさいました。
大変じゃないか?
と、しょうちゃんは、大きな目を開けて耳を澄ましていました。
なにさん、何が大変なの?と言っているだろう?
あれは、黒いドラ猫だよ。
そして、にゃーにゃーと言っているのは、みけなんだよ。
しょうちゃんは、猫の喧嘩で目を覚ましたのでした。
小さいみけが、大きな黒猫にいじめられているので大変だと思ったのです。
猫の喧嘩でしょ?そんなことで人を起こすものがありますか?びっくりするじゃありませんか?
と、お姉さんはしょうちゃんを叱りました。
しょうちゃんは、男の中で、しばらく黒猫とみけ猫の喧嘩を聞いていましたが、我慢しきれなくなって、
と、どなりました。
そのうちに、猫の鳴き声がしなくなりました。
悪いドラ猫だな。今度見つけたら、石を投げてやるから。
そう言ってしょうちゃんは眠りましたが、お姉さんはなかなか眠れませんでした。
おしるこの楽しみ
あくる日の朝、みんながテーブルの前に座ったとき。
あんなことで、起こすものじゃなくてよ。
と、しょうちゃんはお姉さんに叱られました。
ところが、その日の午後でありました。
お姉さんが学校から帰ってくると、往来で遊んでいたしょうちゃんが遠くから見つけて駆けてきて、と呼びました。
これを見たお姉さんは、思わずにっこり寝ていました。
しょうちゃんはやっとお姉さんに近づくと、
お姉ちゃん、おしるこがあるよ。だけど、たった。
と、大きな声で言いました。歩いている人がこれを聞いて笑って行きました。
お姉さんも、決まりが悪くなりました。
おうちへ帰るとお姉さんは、
なぜ?
お姉さんは、お姉さんのことを聞いて、
お姉さんは、
なぜあんなみっともないことを言うの?
人が笑って行くじゃありませんか?
と言ってしょうちゃんを叱りました。
本当だからいいだろう。
僕、おしるこ食べたいな。
と、しょうちゃんは言いました。
いいえ、もうあんたはいけません。
と、お母さんがおっしゃいました。
しょうちゃんは、外へ遊びに行きました。
それからだいぶ時間がたちました。
そのうちに日が陰って、風が寒くなりました。
さっきしょうちゃんはセーターを脱いだのよ。
寒くなったから呼んできて着せてをやり、風をひくといけない。
こうお母さんがおっしゃったので、お姉さんはしょうちゃんを探しに行きました。
しかし、どこにもその姿が見つかりませんでした。
いませんのよ。
と、お姉さんは帰ってきました。
赤土の原っぱにも?
ええ、原っぱにも。お宮の境内にも。
しょうちゃんはよくその原っぱやお宮の境内でお友達といろいろなことをして遊ぶのです。
どこへ行ったでしょう。
こんな遅くまで遊んでいることはないのに。
と、お母さんはおっしゃいました。
私、心配だからもう一度見てくるわ。
と、お姉さんは目に涙をためてお家を出ました。
昨日からいろんなことでしょうちゃんを叱ったのを思い出して、悪いことをしたと後悔しました。
なぜならそれはしょうちゃんが無邪気であったからです。
猫のけんかも、おしるこのことも。
と、お姉さんは歩きながら考えました。
その時、あちらから子供たちの声がして、わあわあ言って聞かかる中にしょうちゃんもいたのです。
お姉さんはやっと安心してそのそばに参りました。
しょうちゃん、どこへ行っていたの?
と、お姉さんは聞きました。
本屋の2階で学校ごっこをやっていたのさ。
僕、算術が7点で読み方が8点で3番だ。えらいだろう。
と、しょうちゃんは言いました。
だめよ、もっといいお点をとらなきゃ。
と、お姉さんは叱ってからはっとして、
いつも弟に小言を言う悪いくせに気がついて顔を赤くしました。
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