猫の自己紹介
猫の広告文
夏目漱石
我輩は猫である。
名前はまだない。主人は教師である。
明帝は美学者。
漢月は理学者。
いずれも東大の偏人。
太平の逸民である。
我輩は幸いにして、
この諸先生の知遇を片付けのするを得て、
ここにその平成を読者に紹介する光栄を有するのである。
我輩はまた、猫相応の敬意をもって、
金田礼夫人の花の高さを読者に報道し得るを一生の面目と思うのである。