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2026-02-23 04:00

#235【青空文庫】秋のお約束

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小川未明「秋のお約束」

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Ogawa Mimei title:Autumn's Promise

サマリー

マーちゃんは、欅の木の葉が色づき始めたのを見て、秋が近づいていると感じます。幼稚園からの帰り道、金魚売りや蝉取りの思い出を振り返り、葉が大きくなったことに気づきます。二輪車を買ってもらう約束をしていたマーちゃんですが、秋が来て欅の木の葉が散り、木が丸裸になっても、その約束を忘れてしまっていました。

秋の訪れとマーちゃんの気づき
秋のお約束、小川美明。
マーちゃんが、「寒い、寒い。」と言っていました時に、お母さんは子どもたちの着物を縫いながら、
もうあちらの欅の木の枝が色づいたから、時期に暖かくなりますよ、とおっしゃいました。
マーちゃんは、お母さんに連れられて幼稚園へ参ります途中、ふと頭の上を仰ぎ見ますと、
薄緑色の柔らかな細かな葉が、いっぱい欅の木の枝から出て、面白そうに笑っていました。
お母さん、あんなに葉が出た、といつかお母さんに言われたことを思い出したのです。
本当に可愛らしい肌こと、とお母さんはおっしゃいましたが、いつかマーちゃんに、
もうあちらの欅の木の枝が色づいたから、時期に暖かくなりますよ、と言われたことは忘れられてしまったように、
マーちゃんには感じられました。
夏の思い出と約束
ある日、金魚売りが暑いので、この大きな欅の木の陰に煮をおろして休んでいました。
マーちゃんは一人幼稚園からの帰りにじっと立ち止まって、金魚が浅い水に泳いでいるのを眺めたのです。
また、夏の暑い日のこと。
兄さんのマサちゃんのお供をして、蝉をとりに歩いた時、兄さんから籠を持たされて、この木の下に立ったことがあります。
小さな葉がこんなに大きくなった、とマーちゃんは頭の中で考えました。
三輪車を持っているのに、マーちゃんは二輪車を欲しがって、お母さんを困らせました。
じゃあ、秋になったら買ってあげましょうね、とお母さんはおっしゃいました。
秋っていつなの?
とマーちゃんは足をピチピチさせて畳を打ちながら聞きました。
お母さんは仕事をなさりながら、
秋といいますと、
あのケヤキの木の葉が落ちるころなんです、と言われました。
マーちゃんは早くその秋になってくれればいいと思いました。
秋の風景と約束の忘却
今、風の吹くたびにいろいろの木の葉が小鳥のように飛んで散りました。
いつしかケヤキの木もすっかり坊主となってしまいました。
マーちゃんは幼稚園からの帰りに、青い空にそびえた高いケヤキの木を見上げて、
細かい尖った枝になる風の音をさびしく聞きました。
お家へ帰ったら、今日はどんなおやつかしら?
とそんなことを空想しました。
しかし、お母さんとお約束をした二輪車のことは、
とっくに忘れてしまっていました。
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