まんりょうの赤い実
まんりょう ススキダキュウキン
夕方ふと見ると、植え込みのしめっぽい木陰で、 真っ赤なまんりょうの実がかすかに揺れている。
寒い冬を越し、年を越してもまだ落ちないでいるのだ。 小鳥の目のようなつぶらな赤い実が揺れ、
厚ぼったい葉が揺れ、茎が揺れ、 そしてまた、
まんりょうの実の謙虚さ
私の心がかすかに揺れている。 謙遜な小さきまんりょうの実よ、お前が、
夢にもこの夕暮れ時の微露土のように静かな、 その手触りの冷たさをかき乱そうなどと、大それた望みを持つものでないことはわかっている。
いや、お前の立っているその木陰のしめっぽい空気を、 自分のものにしようとも思うものでないことは、
よく私が知っている。お前はただ、 実の赤さを喜び、実の重みを楽しんでいるに過ぎない。
お前は夕暮れ時の木陰に小さな紅長針を灯して、 一人で面白がっている子供なのだ。
心の揺れ
もって生まれた、いささかの生命をいたわり、 その日その日を寂しく遊んできたまんりょうよ、
またしても風もないのに、お前の小さな紅長針が揺れ、 そしてまた私の心が揺れる。