六月十三日、土曜日。K圃場で、中島はひとり花を切っていた。翌十四日の中之条花マルシェに向けた準備作業だった。マイクは軽トラの荷台の上に置かれ、その日の音を拾っていた。風の気配、鳥やセミの声、そして時折やってくる来客の声。録音はやがて、スマートフォンの発熱によって静かに途切れた。機械が音を上げたその瞬間まで、中島は花を切り続けていた。
マルシェの前日というのは、静かな緊張感がある。売り物になる一本を選び取る手つきには、値踏みとも愛着ともつかない感覚が混じる。Kの圃場は、そういう作業に向いている。広すぎず、狭すぎず、手が届く範囲に花がある。軽トラはその日の道具置き場であり、録音スタジオだった。
来客はいつも唐突にやってくる。会話がはじまれば、それも記録の一部になる。ログとは、計画された音だけでなく、その日にたまたま起きたことの総体なのかもしれない。マイクを置き去りにしても気にしない。
いつの間にかマイクを指していたスマートフォンが熱を持ち録音は止まっていた。
感想
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00:01
2026年6月13日、晴れですね。
ハナボウズの山ログを撮っていきます。
時間は10時2分。
今日はね、明日のマルシェ純平の花を切っていくので、それを環境音とともに残しておきます。
場所はKの石のベンチ近くに泊めたKトラの上で。
この雌を残せないで。
08:50
野生動物だけじゃなくて、人間も現れるっていうのも面白いと思うんで。
08:55
半分野生動物じゃない。
今、花咲いてるのって、ここで?
09:04
やっぱり切り前、もっと後だと思う。
そうか。
さゆりさんが、今日から展示会が始まるんですよ。
広場でのアートなど。
ちょっと持って行ったら出たいなと思って。
もちろんお金払いますので。
切り花になるようなものをちょびっとだけ分けて払います。
16:58
まだいるんで大丈夫です。
17:02
はい。
ジャムは娘がパン好きなんで食べると思います。
20:59
近所の住んでいる人も来たり、賑やかな収録になっていると思います。
21:08
俺の声入れなくていいですか?
これ、キャラも来て戻るんで、レーザーするんです。
24:33
はい。
すいません。
ありがとうございます。
コメント
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