3月11日の前日、雪がちらつく晴れの朝。ハウスの骨にくくりつけたマイカ線が風でずり落ち、脚立を担いで修繕した。農の時間の多くは、こうした「立て直し」に費やされる。それを嘆くよりも、そういうものだと受け取れるようになってきた。
お世話になった人への贈り物に花を選んだ。切り花はいつか枯れる。だから捨てられる。空間を占拠しつづける景品より、潔く消えていくものの方が、感謝を伝えるのにふさわしいと思った。
借家から畑まで、毎日往復する10分の道。その積み重ねを30年分で換算したとき、畑の隣に家を建てるという選択が、突然リアルに見えてきた。移動は消費ではなく、時間という土地を耕すことだ。どこに根を張るかで、人生の収穫は変わる。
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08:12
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