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毎週木曜日のこの時間は三好剛平のCatch Up、クリエイティブプロデューサーの三好剛平さんです。三好さん、おはようございます。
なんか鼻息荒い感じでスタジオに入ってきた。すごい今日は作品を紹介してくれるような。
はい、なんです。もう本当にね、もう語彙が少ない。結局言っちゃいますけど、語彙が少ない風に感じられるかもしれないですけど、いきなりもう今年ベスト級のやつ出るんだなっていう驚かされる作品です。
-2月です。2月です。にしても、もう間違いなくトップ10中にはずっと居座り続けるような素晴らしい作品だと思います。
-そんな名作と思うじゃないですか。
はい、すごいですね。ということで、今日ご紹介するのは、現在シネコン各劇場にても上映中でございますけれども、「夜明けのすべて」という日本映画です。
この映画なんですけど、本当にどんな人にも見てもらえたら、この映画と出会えて本当によかったなって思ってもらえるようなしみじみといい映画でございますし、多くの人が人生の中で多分これ一回見たら何度も思い返すような映画になる。
本当に大切な映画になるような素晴らしい映画になっています。ということで、おまけに映画がすごく穏やかで静かな映画なので、
今日はなるべくね、僕は激好センスに落ち着いてお届けしたいなと思うんですけども。
-いつもエネルギッシュをパワフルにやっちゃうんですけど。
今日はなるべくこの映画のタッチを思い返しながらしみじみとお伝えしたい。そんな思いです。
ご紹介してまいりたいと思います。
この夜明けのすべてという映画なんですけれども、原作小説が同じタイトルで、夜明けのすべてという小説がありまして、それの映画化なんですね。
監督を務められたのが三宅翔さんという監督で、2010年に長編第一作目を発表された後、2012年にはプレイバックという作品でロカルの国際映画祭というところで出品されたりして、
その後も作品を重ねていくんですけども、2018年には君の鳥は歌えるという作品が高い評価を集めて、その年のキネマ旬報ベスト10で第3位につける改強を果たします。
その後も2020年にはネットフリックスでオリジナルドラマ呪音、呪いの家なども撮って、世界から注目される存在になっておりまして。
そのキャリアを決定付けたのが、2022年、ケイコ目を澄ませてという作品ですね。これはもう皆さんご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
聴覚障害と向き合いながら実際にプロボクサーとしてリングに立った小笠原恵子さんという実在の女性をモデルにした主人公ケイコというですね、役を女優の岸井幸乃さんが演じました。
これが本当に非常に高い評価を集めまして、ベルリンピさんなどで国際映画祭で評価を集めただけでなく、その年の毎日映画コンクール、キネマ旬報ベスト10、日本アカデミー賞などなど、国内映画賞でも本当に作品賞、監督賞、そして岸井幸乃さんの女優賞などですね、独占していくような改強が続きました。
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ということで、非常に国内外で高い評価を集める三宅翔監督が撮った新作ということで、これ今回ですね、メジャー資本ど真ん中なんですよ。
なんですけど、インディーから上がってきた三宅翔監督の、メジャーもインディーもいけちゃうキャリアの幅広さみたいなものを、本当に証明する作品として、今回の夜明けのすべて、もう間違いなくキャリア最高傑作にいったなという感じがします。
素晴らしいです。日常の中に生まれるほんとささやかな物語を丁寧に丁寧に紡ぎ上げて、本当に大切な映画にしてしまったような作品で、
くしくもですね、今日から始まっているベルリン国際映画祭で、フォーラム部門にも出品されておりまして、来週、再来週ぐらいにはその評価も出るところなので、ちょっと注目しておきたい作品でもあるということですね。
ということで、この作品をあらすじ紹介していきたいと思うんですけれども、主人公は上白石もねさんが演じる藤沢さんという女性です。彼女は女性に毎月やってくる生理、月経ですね。
この月経前に迎える精神的、身体的な症状がかなり重たい、PMSっていう月経前症候群って言うらしいんですけれども、このPMSが非常に重たいんだということで、毎月1回ですね、自分が全くコントロールできなくなるほどの苛立ちだったりとか、
立ち上がれないような体の不調であったりとか、症状を抑えるために服用するしかなかった薬の副作用で起きてられないほどの眠気だったりとか、そういうものに日々悩まされているということなんですね。当初勤めていた会社を、それを理由に退社しなければいけないぐらいのひどい症状で。
そんな症状と付き合いながら何とかやってたわけですけれども、その症状に理解を示してくれるような環境に新しい会社に転職してやっているというようなところから物語が始まるんですね。その会社には松村北斗さんという俳優さんが演じる山添くんという男性がいるわけです。
山添くんは転職してきたばかりなのにもかかわらず、やる気がなさそうに見える振る舞いがよく散見されまして、その様子におまけにPMSのイライラも助けてしまいまして、思わず抑えきれず、ある日藤沢さんは彼に向かって正面切って怒りを爆発させてしまったりするわけですね。
山添くんという男も突如として強い不安であったりとか恐怖感に襲われてしまうパニック障害という症状がありますけれども、これを抱えていて、生きがいも気力も失っているような人物だったわけですね。
そんな2人が職場の人たちの理解に支えられながら過ごす中で、やがて藤沢さんと山添くんという2人の間に恋人でも友達でもない一種の同士のような特別な連帯感というかその感情が芽生え始めていきます。
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で、やがて2人は自分の症状が改善されなくても相手を助けることだったらできるんじゃないかっていうふうに助け合うことだったらできるんじゃないかっていうふうに考えるようになってっていうような物語になっていくわけですね。
で、もうここからこの映画の素晴らしさを全部上げていきたいぐらいなんですけど、本当に脚本も演技もロケーションも美術も撮影も演出もほぼ全部、およそ全てが上手くいってるなっていうふうに驚かされるんですけども。
これ言い始めたらキリがないので、ここでは3つのポイントで絞ってご紹介したいと思います。
まず1つ目なんですけども、とにかくこの丁寧な演出がすさまじく素晴らしい。
今回三宅組がですね、このささやかな物語を観客にとっても信じられるものにするために本当に丁寧な準備を重ねています。
そこの最大のものとして挙げられるのが、主要キャストはもちろんのこと、もうワンシーンしか登場しないようなエキストラであったりとか、映画の中に登場する会社であったりとか、その歴史的背景とか、全ての人物とか設定のバックストーリーを全部準備して、現場でみんながやっていく台本とは別に数十ページに及ぶテキストブックを準備したっていうんですよ。
で、それをサブテキストにしながら、みんなが自分たちが演じるもの、その設定みたいなものを本当に存在するものとして立ち起こしていくような形にして、おまけに現場でも出演者とかスタッフの対話をとにかく重ね続けて、そこに信じられる世界っていうのを本当に立ち上げることに徹底したっていうことですね。
で、それによって立ち起こった特別な、まるでそこに本当にいる人物であったりとか、そこに本当に流れているような時間っていうのが、この映画の中で、その質感とか実在感がどれだけの役割を果たしているかっていうのはね、見てもらったらわかるはずです。これはすごいと思う、本当に。っていうのがまず一つ。
で、あと二つ目はですね、やっぱりあらすじの中でも紹介した、PMSとかパニック障害っていう、もう言ったらもう実際に存在はしているにもかかわらず、社会の中で認識されていなかったりとか、正しい認識が広がっていない、こういう生きづらさみたいなものを同じくやっぱり丁寧に描いて観客に見せてくれたことがあると思います。
で、やっぱり男性としてもですね、僕はやっぱもう、正直その女性たちのその月経前の苦しさとかっていうのは、もう想像してもわかんないわけですよね。
で、まあでもやっぱ今回の映画見ていくと、こんなにきついのかっていうことだったりとか、こんなにコントロールできなくなっちゃうんだっていうぐらいのやっぱりものをやっぱり初めて知る、改めて知るようなものもあるし、それはまあやっぱり劇中に出てくるこの山添くんのパニック障害っていうのもやっぱり同じようなものがあるわけです。
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で、まあそういう他人の抱える生きづらさみたいなものに対して、なんかやっぱりそのどのように向き合うことができるのか、その真摯にまあそれと付き合っていくにはどうすればいいのかみたいなことも教えてくれる、あり方を見せてくれる。本当にやっぱり丁寧な作りになっています。というのが2つ目。
そして3つ目ですね。これがね、原作から映画への脚色の見事さですね。本当に素晴らしいですね。で、本当に細かくですね、微妙に調整をしているわけですけれども、中でもやっぱり大きな変更としてあるのが、原作では栗田金属っていうですね、会社に勤めているっていうふうに2人がなってるんですけど、映画では移動式プラネタリウムを実施しているような街の科学研究キットメーカーの栗田科学っていう会社に、
設定が変更されているんです。で、この変更がめちゃくちゃ上手く全体に敷衍してるんですね。で、やっぱりそれは、闇の中で見つめた光に想像力を働かせ、思いを馳せることっていうのが何を象徴しているのかっていうことだったりとか、何光年も遅れて届くその光っていうのを捉えて、
捉えるっていうことがどういうことなのか、そのように世界と関係を結び直すというのはどういうことなのかみたいな、いろんな象徴的な意味を含みながら、やっぱりここに結実するものをちゃんと持ってきている。素晴らしいと思いました、本当に。こんなに上手く脚色ってできるんだなと思いましたね。素晴らしいと思いました。
で、最後にやっぱり僕、この映画のレイトショーで実は拝見させていただいたんですけれども、もうね、見終わった後ですね、ちょっとね、その静かな感触というかですね、その余韻をね、もう手放したくなくてですね、見終わった後、もう思わず夜の街にね、そのままで歩いて散歩してしまうぐらい、なんかね、ずっとその余韻をね、かみしめていたい、大切にしたい、忘れたくないっていうような、そんな時間になったんですね。
で、その夜の、独特のほら、夜歩いていると、静けさに身を浸すような、本当に落ち着いた気持ちになるじゃないですか。で、それと同時にやっぱりやってくるかもしれない、朝をなんか期待するような気持ちにもなる。そういうような映画なんですね。もうね、もう問答無用だと思います。本当に。おまけにやっぱり男性も女性も、本当にどんな人にとってもこれは当事者性のある映画でもあると思いますので、もう1000%、もうどなたにも勧められる、もう大傑作だと思います。
ぜひご覧いただきたい。夜明けのすべて、もうぜひ、もう見てくださいという、もうそういうレコメンドでございました。
結局、熱くなりましたね。ただ、もう公開中ですね。ぜひ足を運んでみてください。宮崎豪平のキャッチアップでした。
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