蟲
作:弓枝ユズル @amanoharatsuki 様
BGM:魔王魂
https://x.com/amanoharatsuki/status/1887818870280568869?s=46&t=63z_TUXdJxoQvBp-LsRI6g
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【活動まとめ】 https://lit.link/azekura
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00:06
ぬるくなったコーヒーを飲みながら、僕は昔話を思い出す。 この地域に伝わる
古い古いおとぎ話だ。 その昔、人の中には虫が住んでいた。
黒く、細く、 蛇のように長い虫である。足の裏から体内に入り込んだ羊体は、血管を自由に泳ぐことができた。
運ばれてくる養分をもとに成長し、その体調を伸ばす。 毛細血管に到達すれば枝分かれし、小指の先、太もも、
心臓と、さらに細く、長く伸びていく。 そしてすべての血管が虫に埋め尽くされた時、
虫は人の制御権を得るのだ。 なんて、ザレ事。
僕は立ち上がる。 膝をつき、ローテーブルに手を添える。
ヒヤリとした感触が指先を伝わる。 人と化した虫の寿命は長い。
他の動物よりも、どうにも相性がいいらしい。 とはいえ、ここ50年ほどでずいぶん数が減ってしまった。
瞼の筋肉を動かす。 ゆっくりと視界が遮られる。
光に透かされたその裏に映るのは不可思議な模様たちだ。 赤と黒の入り混じる変幻自在。
聞けばそれは瞼の血管だという。 毛細血管や血液がカメラのフィルムの役割を果たし、
網膜にその絵を焼き付けるらしい。 毛細血管。
血管。 それが己なのか否か。
僕は人なのか否か。
もはや知る術はない。
02:35
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