あのー、あなたが最後にテレビの前に座って、決まった時間にリアルタイムでテレビアニメを見たのって、いつか覚えてますか?
あー、言われてみるとパッとは出てこないかもしれないですね。
ですよね。ちょっと昔を思い出してみてください。子供の頃、夕方のアニメに間に合うように学校から走って帰ったりとか、
はいはい。
学生時代に、深夜に眠い目をこすりながら、思わての作品が始まるのをテレビの前でじっと待っていたりとか、そういうヒリヒリするような体験、きっと皆さんありますよね。
かつては、それがアニメを楽しむための、いわば絶対的なルールでしたからね。
そうなんですよ。
放送時間っていう強固な枠組みに対して、私たち視聴者の方が、自分の生活リズムを無理やりにでも合わせていたわけです。
ある種、同じ時間に同じものを共有するっていう、文化的な時計みたいな役割すら果たしていましたよね。
確かに。でも、今やその光景ってすっかり変わってしまいましたよね。
放送時間に縛られるどころか、私たちの視聴スタイルそのものが根本からひっくり返っていて、
ええ、完全に変わりました。
で、それに伴ってアニメがヒットする法則とか、お金の稼ぎ方みたいなビジネスモデルまでが激変しているんです。
よし、これを紐解いていきましょうか。
今回の深堀りでは、情報刀現代において膨大なデータからエッセンスを抽出して、
あなたのためにアニメビジネスの今と未来を解き明かしていきます。
はい。今日は多角的な視点を提供するために、様々な調査データを持ち寄りました。
市場全体の動きを見るためのグローバル白書とか、
ふむふむ。
メディア横断的な接触を図るエンタメリーチトラッカー、
さらに若年層からシニア層までをカバーする各種アンケート調査、
あとは歴史的な変遷を裏付ける過去の録画視聴データなんかですね。
なるほど。それらを掛け合わせることで、アニメビジネスの最前線がくっきりと浮かび上がってくるわけですね。
その通りです。
今日のミッションはまさにそれです。
アニメ視聴データの活用方法をビジネスマーケティングの観点から徹底解合すること。
誰が、どこで、どうやってアニメを見て、どのようにお金を使っているのか。
そのデータの裏にある人間の真理やインサイトに迫ります。
はい。
さあ、この複雑に絡み合った構造を一つずつ丁寧に見ていきましょう。
まずはですね、視聴環境がどれほど劇的に変化したのかっていうマクロな視点から入るのが分かりやすいと思います。
お願いします。
最新の調査データを見てみると、最も頻繁に利用する主たる視聴手段として、
定額制の動画配信サービス、つまり有料動画配信が67.7%と圧倒的なトップに立っているんですよ。
67.7%。
ってことは、約7割の人が、アニメを見るならまずはVODを開くっていう状態なんですね。
そういうことです。
一方で、私が衝撃を受けたのが、かつてアニメビジネスの絶対的な主役で、
制作費の回収源だったDVDとかブルーレイのパッケージ視聴が、なんとわずか0.3%にまで縮小しているという事実でして。
これはもう本当に一目瞭然な市場モデルの崩壊ですよね。
ですよね。
パッケージを売って制作費を回収するっていう旧来のビジネスモデルは、国内市場においては完全に役割を負えたと言っていいでしょう。
ただ、ここでデータを別の角度から見てみると面白いんですよ。
別の角度ですか?
はい。日常的な接触媒体として複数回答を許容する形で見ると、主たる視聴手段としては圧倒的マイノリティになったはずのテレビのリアルタイム視聴が、なんと依然として56.7%という高い数字を維持しているんです。
えっと、ちょっと待ってください。一番使う手段としては選ばれないのに、日常的に接触している割合は56.7%もあるんですか?
そうなんです。
なんかそれって矛盾してません?結局みんなテレビを見ているのか見てないのか?どっちなんでしょうか?
そこを読み解く鍵がメディア横断リーチの黄金比にあるんですよ。
へえ。
現在のアニメの視聴割合って、放送、録画、配信が1対2対7っていう比率に落ち着いているんです。
1対2対7?
ええ。比較としてテレビドラマの比率を見てみると、これが3対4対3なんですね。
ああ、なるほど。ドラマはまだテレビ放送とか録画で見られているのに、アニメは1対2対7で圧倒的に配信のパイが大きいわけですね。
なぜ、ジャンルによってここまではっきり分かれるんですか?
それはもう、アニメの特性が大きく関係しています。アニメって世界観の作り込みが深くて、伏線が入り組んだ連続ドラマ性の高い作品が多いじゃないですか。
確かに、1話見逃したらついていけなくなるっていうプレッシャーは強いですよね。
そうなんですよ。さらに言えば野村総合研究所の2014年のデータを見ると、当時BSアニメの録画率ってリアルタイム視聴のなんと3.53倍に達していたんです。
へー。
つまり、新画体のアニメは当時から録画して休日にまとめてみるっていうタイムシフト視聴が前提のコンテンツだったわけです。
なるほどってことは、ある日突然みんながVODっていう新しいテクノロジーに飛びついたわけじゃなくて、
ええ。
もともとアニメファンの中にあった、自分の好きな時に自分のペースで一気見したいっていう巨大なエネルギーが、録画容量の制限とか予約の手間をなくしてくれたVODへと大移動しただけなんですね。
その見立てはまさに確信をついています。VODはアニメファンが長年求めていたタイムシフト視聴の究極の進化系だったんですよ。
だとすると、1つ疑問が湧いてくるんですけど。
はい、何でしょう。
テレビが能動的にアニメを追いかける場所から外れてしまったのだとしたら、なぜ今でもあれだけ多くのアニメがテレビで放送されてるんですか?
ああ、良い質問ですね。ビジネス的に考えたら、能動的な視聴者が少ないテレビの放送枠に、わざわざ高い電波量を払う意味ってあるのかなって。
実はですね、テレビの役割そのものが再定義されているんです。テレビは今、潜在相を開拓するための巨大な広告塔として機能しているんですよ。
広告塔ですか?
ええ。5、6.7%の人が日常的にテレビでアニメに接触しているということは、自分からはわざわざ検索してまで見ないけれど、テレビで流れていればつい見てしまうっていう不動層が膨大にいることを意味します。