ええ、その傾向ははっきり出ています。
そして何より長期的にチャートの地盤を固めているのが、早々のフリーレンと呪術回戦ですよ。
アマゾンプライムとかフル、あとアリメイトタイムズのランキングなんかでも常に上位に居座っています。
そうですね、不動の二大巨頭という感じです。
これってもうどこのスーパーに行っても必ず一番目立つ場所にドンと積んである、国民的な定番商品みたいな状態じゃないですか。
まさにその通りです。
彼らはすでにアニメを見るっていう特定の行為を超えて、現代のポップカルチャーにおける共通言語になっちゃってるんですよね。
共通言語、なるほど。
だからこそ、視聴者がただの暇つぶしモードであっても、逆に真剣に見るモードであっても、とりあえず再生ボタンを押してしまうと、プラットフォーム固有のバイアスを跳ね返すほどの頻力があるわけです。
いやー、すごい引力ですよね。
でもここで一つ、このデータに対して疑問があるんですよ。
はい、何でしょう。
フリーレンや呪術回戦みたいな国民的メガヒットタイトルが、あらゆるサービスのランキングを上から押さえつけているとしたらですよ。
新しい作品が入り込む余地なんて、数学的に考えてかなり厳しいんじゃないですか。
普通に考えればその通りです。
ただですね、実はこの万弱に見えた二強体制が、ほんの一週間で劇的に塗り替えられるという事件が起きたんですよ。
え、一週間でですか?
はい。先週の3月29日の時点では、確かにその二作品が向かうところ的なしだったんです。
ところが今週4月5日のデータでは、ある新作がその壁を鮮やかに浮き破りました。
あ、もしかして。
ええ、それが、転生したらスライムだった件、第4期です。
スライム来ましたね。
ええ、配信が開始されるやいなやバンダイチャンネルとDMMTVの二つのサービスで、いきなりデイリーランキングの1位を脱出しました。
ちょっと待ってください。そこがすごく不思議なんですよ。
だって、フリー連とか呪術回戦が持っているあの累積された圧倒的な視聴者数を考えてみてくださいよ。
はい、膨大ですよね。
たった数日前に配信が始まったばかりのスライムの新シーズンが、どうやって彼らを打ち勝つことができるんですか?
そこですよね。
これって単にデイリーランキングっていうアルゴリズム自体が、新作の初動の再生数のスパイク、つまり急増を過剰に評価して目立たせるように組まれているだけなんじゃないですか?
ああ、非常に鋭いご指摘ですね。まさにそのアルゴリズムの仕組みこそがカギなんですよ。
やっぱりそうなんですか。
はい。多くのストリーミングサービスのデイリーランキングっていうのは、単なる累積の視聴回数じゃなくて、短期間でのアクティブな視聴の勢い、つまりモメンタムに大きな重みづけをしているんです。
モメンタムですか?
なぜかっていうと、プラットフォーム側はユーザーに対して常に新しい出来事が起きていると感じさせたいからですね。
なるほど。つまりランキングは純粋な人気投票というよりも、今この瞬間の熱量を可視化する装置として機能していると。
その通りです。スライムみたいな人気シリーズの新作が投下されると、待望していたファンが一斉に同じ日にアクセスしますよね。
はい、待ち構えてますからね。
その一斉に動くという波が、アルゴリズム上では巨大な津波として認識されて、長期間安定して見られているメガヒットタイトルを一時的にランキングから押し解けるわけです。
だとすれば、視聴者が今何を熱狂的に求めているのかっていう瞬間最大風俗を見るには、ランキングの頂点を見るのが一番手っ取り早いわけですね。
ええ、そういうことになります。
じゃあここからが今日の本題なんですが、もしアルゴリズムがその瞬間の熱を映し出す鏡だとしたら、なぜプラットフォームによってその1位の顔ぶれが全く違うんでしょうか。
そこが一番面白いところなんですが、それはですね、私たちがアプリを開く前にくぐり抜けている見えないフィルターの存在が関係しているんです。
見えないフィルター?
ええ、まずTVerのデータを見てみましょうか。
1位が名探偵コナン、2位がクレヨンしんちゃん、3位がドラえもんです。
完璧に日本の夕方のお茶なまじゃないですか、これ。
そうですよね。
なぜこうなるのか。
TVerの最大の特徴は無料であり、広告モデルであることです。
さらに言えば、地上波の見逃し配信という明確な立ち位置があります。
ユーザーはここにお金を払っていないので、視聴に対する心理的なハードルが極めて低いんですよ。
ああ、なるほど。つまり、わざわざさあ腰を据えて新しい世界観のアニメを理解するぞって気合を入れるわけじゃないと。
ええ、全然違いますね。
疲れて帰ってきた夜に、とりあえずリビングのテレビをパッとつけるのと同じ感覚でアプリを開いているっていうことですか。
まさにそれです。
だからこそ、何十年も前から知っていて、途中から見ても内容が100%理解できるような圧倒的な安心感を持つタイトルが上位を独占するんです。
ファミレスみたいな安心感ですね。
ええ、TVer、ハイババ、デジタル化されたリビングルームの延長線上にあると言えます。
なるほど、すごく腹打ちしました。
じゃあ、その無料のデジタルリビングルームとは対局にあるのが。
それが、Dアニメです。
こちらの総合1位は、ラブコメのお隣の天使様にいつの間にかダメ人間にされていた件2。
そして、サスペンス枠として薬屋の独り言なども上位にランクインしています。
TVerとは全く視聴者の顔が違いますね。
なぜこんなに変わるんですか。
Dアニメは月額料金を支払うサブスクリプションであり、しかもアニメに特化しているという点が重要です。
アニメ特化の有料サービス。
つまり、ここにいるユーザーは、わざわざアニメを見るためだけにお金を払うというハードルをすでに超えているコアなそうなんです。
こだわりの専門店ですね。
お金を払うというペイウォールを超えた時点で、ユーザーのモードが受け身から能動的に切り替わっているわけですね。
その通りです。
だからこそ、自分の細分化された特定の欲求、例えばニッチなラブコメが見たいとか、
面白いなぁ。
だからこそ、新作の波が来た瞬間に、違和感なく異世界ファンタジーという新しいシステムへとスライドしていった。
これは非常に高度な視聴者のマイグレーション、つまり異向現象と言えます。
めちゃくちゃ面白いですね、それ。パッケージだけ見てユーザーが入れ替わったと勘違いしそうになりますが、実は根っこで繋がっていたと。
ええ。
では、他のサービスにもそういった見えない繋がりはあるんでしょうか?
ありますよ。例えば、通信キャリアが背景にあるテラサとレミノのデータを比較してみましょうか。
はい、KDDIとNTTドコモですね。
なんとこの両サービス、全く違うプラットフォームにも関わらず共通して、ヘルモードやり込み好きのゲーマーはハイ設定の異世界で無双するが1位を獲得しているんです。
あ、本当だ。しかもテラサの2位には、転生したらドラゴンの卵だった、最強以外目指さねえが入っていますね。
なぜこの2つのサービスで、こういった主人公が圧倒的に強い無双系の異世界ものがドンピシャで被るんですか?
それはですね、彼らのビジネスモデルにヒントがあります。両サービスともスマートフォンの通信プランとセットで契約されることが多いという特徴を持っているんです。
バンドル契約ですね。
つまり、最初からアニメを見ようと意気込んでいる層というよりは、通勤電車の中とかちょっとした隙間時間にスマホの小さな画面で動画を見るというライフスタイルの人々が多く含まれている可能性が高いんです。
なるほど。満員電車の中で仕事に向かっているストレスフルな状況で複雑な伏線が絡み合う重厚なドラマなんて見たくないですよね。
そうなんですよ。頭を使いたくないんです。
だからこそ、主人公が圧倒的な力ですっきりと問題を解決してくれるという予測可能でストレスフリーな無双系ファンタジーがモバイル主体のユーザー層に強烈に刺さっているわけですか?
まさにその通りです。レバイスの視聴環境とユーザーの日常生活のストレス度合いが好むコンテンツのジャンルを決定づけているという行動心理学の教科書のようなデータですね。
なるほどな。つまりこれらすべてのデータが私たちに教えてくれるのは、ランキングというのは単なる人気投票ではないということですね。
ええ。
私たちは今、どのアプリを使ってどんな精神状態で生きているのかという現代人のメンタルヘルスのスナップショットだということですね。
はい。だからこそデータを見ることは面白いんです。
今回の分析から得られた教訓は非常にクリアですね。もしあなたが世の中の人が今何を考えているのかという大きな社会の潮流を知りたければ横断的なヒット作を追うべきです。
ええ。定番商品ですね。
でも自分のピンポイントな好みを満たしたいなら、どのアプリを開くかを得られることが自分専用の世界を見つける一番の近道だと。
アプリのアイコンをタップして、その中にある独自な生態系を観察してみてください。
そこには、ただの曖昧作品のリストではなく、安心を求める人々、特定のフェテシズムを満たす人々、システムを解明したい人々、そして日常のストレスから解放された人々の姿がはっきりと映し出されています。