はじめに:言語における「数」の復習
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、英語のなぜに答える初めての英語史、英語語源ハンドブック、言語学ですっきり解決英語のなぜの著者の堀田隆一です。
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本日は2026年3月17日火曜日。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
本日の話題は言語における数)イベント編と題してお届けいたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
言語における数、数と書いて文法カテゴリーとしては数と読ませるんですね。英語では単にnumberという単純な用語を使うわけなんですが、言葉において数、ものの数というものがどのように文法上に反映されているかということを考えるシリーズというほどではないんですが、過去に関連する2つの回お届けしてきました。
1738回が言語における数基本編。そして翌日でしたかね、1739回言語における数応用編と2つお届けしてきたんですが、今回ちょっと挽回編と言いますか、改めて数というカテゴリーを考える上でですね、面白い視点があるなというふうに思いましたので、これをご紹介したいと思います。
続きものになっておりますので、まだお聞きでない方はですね、1738回と9回、基本編、応用編をお聞きになると、お話がですね、つながってくるんではないかと思うんですね。
基本的に言語における数、数えるということですね、単数、複数、英語にはあります。その他の言語にはもっと細かくですね、刻んで、1個系、2個系、3個系、4個以上系、たくさん系みたいに分かれているものもあればですね、日本語のように明確な複数表示マーカーというもの、少なくとも義務の形ではないというようなものがあります。
そういうような言語まで様々だったりするんですね。一方ですね、日本語ではその義務的な複数形の英語のSに相当するようなものはないということなんですが、このような直接的なマーカー表示するものがない日本語のような言語ではですね、一方でクラシファイアーと呼んでいるものがあるんですが、これ分類詞ですかね。
日本語文法、国語文法では、いわゆる助数詞と呼んでいますね。助ける数字ということで、いわゆる単位です。何個とか何匹とか何冊というあれですね、クラシファイアーと呼んでいますが、このような単位がですね、発達しやすいという現状があるんですね。
英語にも例えばa piece of paperとかですね、a glass of waterのように単位になり容器に相当するものをつける言い方があるわけなんですが、これが異常拡大して汎用的に使われるようになったのが日本語、クラシファイアーというふうに考えても良いかもしれません。
これもですね、広い意味で数に関する研究がカバーする問題で、クラシファイアー、これもですね、日本語非常に多い、何百頭ありますので、これだけでもですね、本当に研究対象になるという大きな話題なんですね。
それからですね、応用編ではどんなことをお話ししたかということをおさらいしておきますと、数ですから本来的にもの、そしてものを表す言葉ということで名詞、名詞に単数形と複数形があるというのはわかるんだけれども、実はその周辺的な単語にもですね、単数、複数が間接的にですね、表示されることがあるということで、
フランス語の定感詞る、ら、れ、みたいな話もしましたね。名詞そのものではなく、その前について名詞を修飾するものですね。
広く言えば形容詞です。フランス語の場合には後ろにくるかもしれませんけれども、名詞を修飾する形容詞そのものが複数形に屈折する、語尾が変化するというような言語もあります。
さらにはですね、動詞、動詞はそもそも数えられないじゃないかということなんですが、そうではなく主語に相当する名詞あるいは名詞句の数が単数か複数かによって、それに対応する動詞、つまり主語動詞という場合の動詞ですね。
主語が単数だったらこういう語尾を取る、複数だったらこういう語尾を取るというふうに一致を起こしてですね、動詞においても間接的に数が示される、表示されるというようなこともですね、インドヨーロッパ系の言語だとあるわけです。
世界の言語を見渡すと本当にいろいろな形でこの数を文法的にマークしたいという、そういう欲求が強いんですかね。日本語にはあまりそれがないのでわかりにくいわけなんですが、数というのは一つの大きな文法カテゴリーとして言語学上の研究対象となっているんですね。
ここまでは復習なんですが、今日はですね、副題にイベント編とつけたんですね。これ何のことかよくわからないかもしれませんが、動詞の動作の複数性とか単数性と言ったらいいんでしょうかね。
今さっきですね、数、数えるというのは典型的には物であると。物を表す言葉は名詞ですので、名詞に関わっていく概念であり文法カテゴリーであると、第一義的に。
そして第二義的にその周りにある形容詞とか一致する動詞が関わるといっても、やはり基本にあるのは数えるもの、数えられるものということで名詞なんですね。
ですが、この前提を破って、動詞の動作、ここに複数性であるとか数、ナンバーという概念を仮定したらどうなるだろうかという、いわば試行実験のようなことなんですが、これが文法上の数の研究ではですね、少しずつ盛り上がってきているようなんですね。
イベント編:動詞・出来事における「数」
名詞ベースの数の研究というのは当然ながら予想される通り多いんですけれども、動詞ベースといいますか、動作ベース、これをイベント、出来事、動詞の表す動作ですよね。
これは広くとってイベントと今回呼んでおきたいと思うんですが、このイベントの単数性とか複数性みたいなことをですね、語る研究というのがこれ徐々にですね、どうも来ているらしいんですね。
私もしっかりと学んだわけではなくてですね、概説的な論文、その論文のイントロぐらいを読んだに過ぎないわけなんですけれども、これは面白い概念だなと思いましたので、数の概念を紹介したついでの番外編として今日お話しする次第なんですね。
具体例を挙げるとこういうことかとわかってくるんじゃないかと思うんですが、英語の例ということで今回挙げてみたいと思うんですね。
例えば、このような文や文意について扱う領域だという例ですね。
わかりますかね。このような現象なんですね。
最初に挙げた例は、
ジョンは鈴を鳴らし続けているということなんですが、
これはですね、鈴がたくさんあるわけではなく、鈴を鳴らす回数を鳴らし続けているということで、回数に置き換えると複数性を帯びるということです。
鳴らすという動作、イベントと言っておきますと、これが複数回つながっている、つなぎ合わさっているという意味でのイベントの複数性ということなんですね。
2つ目に挙げたのは、
これもoftenという頻度の副詞ですけれども、頻度が高いということですね。
複数性がここに含まれているというのは確かなんだけれども、何か名詞を数えているのではなく、あるいは出来事の回数を数えているということで、出来事と結びつく、そして出来事を典型的に表してくれるのは動詞であるということなんですね。
ここの場合のoftenというのは、副詞という品詞に分類はされますけれども、名詞というよりも動詞と関連が強いというのが、このoftenなわけですよね。
たまにやってきた乗組員が通り過ぎていったというような、
occasionalというのが訳し方が難しいですけれども、たまのと訳したりするんですかね、偶然に通りかかったような意味合いで、この場合、単数性を帯びているということなんですが、形容詞でもって乗組員、この船員の出現というイベントの頻度みたいなものを匂わせているわけですね。
本を読み直した、読み返したというところでしょうか。
2回目、複数性が暗示されています。
ジョンは最近よく私に電話をかけてくるということですね。
これも頻度に相当するでしょうか。
今挙げたものは英語の例なんですけれども、いろいろな品詞によってイベントの複数性が示されていますね。
ただ、実はこれはある言語から、複数異なる言語なんですけれども、からの翻訳に過ぎない英語訳、その元の言語、例えばハウサ語とかテルグ語とかいろいろな言語から取られているんですが、
そこでは、今英語で副詞なり他の手段で表していたようなものが、動詞の変化であるとか、動詞に何らかの設字をつけた、つまり動詞をいじることによってこうした意味を表している。
つまり直接動詞につくカテゴリーとしてのイベントの数という現象のようなんですね。
英語に訳してしまうと、それは副詞で表現したり、場合によって形容詞になったりもするわけなんですが、広く考えるとこれは大元の言語の観点から見ますと、イベントの複数性だということになるんですね。
他に英語としては、こんな例もありましたね。
彼女はその本を章ごとに読んだということなんですが、これはチャプターズを暗示するとともに、読み方が、イベントが章ごとになのであってということで、
チャプターという名詞の複数性ということももちろん原因はするんですけれども、それ以上に読み方、どのように読むかという読み方というイベントの複数性とも確かに考えられるので、
チャプターバイチャプター、なんとかバイなんとかというのも、動詞や動作に関する数というカテゴリーに関する研究の対象になってくるということなんですね。
こう考えると、確かに単数複数というのは、最も典型的には名詞、ものの数を数えるということなんだけれども、イベント、どこで一つのイベントが始まり、どこから次のイベントが始まるかというのが微妙なケースもあるとは思うんですね。
なので、この分野はまずどこで区切るのかというような大きな問題から考察を始めたりするような意味論的な話題になってきますけれども、ただイベントというのを数の範疇で捉えることができるようになったといいますか、捉えてみることによって、どんな新たな言語における数表示の新しいことが見えてくるのかというのは見物ですよね。
今のところ研究はまだ深く進められていないようで、通言語的に研究は始まっているようなんですけれども、名詞を中心とした数というカテゴリーと、動詞やイベントを中心とする数のカテゴリー、
ここの間にどれだけ接点があるのかないのかという、この辺りの議論、つまりまだ初期的な議論ですよね。まだ最初期の議論が始まったばかりだということなんですが、なかなか面白い概念だなということでご紹介いたしました。
まとめと今後の展望
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
言語における数、イベント編ということなんですが、つまり動詞の数といって見たほうがわかりやすかったかもしれませんね。
ただ動詞の場合ですね、やはり数というよりも、つまり複数性というよりは、頻度が増したり、時間、それが繰り返される時間が増したりというような、複数性というよりは、どちらかというと量が大きくなるというような、そんなイメージで捉えるべき数。
ただ名詞の議論との比喩で、number、数というカテゴリーで捉えているようなんですけれども、この辺り、今後の研究どうなっていくのかなというのは、アンテナを張っておきたいと思います。
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