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2024-10-03 11:32

#21 WCAG 2.0 解説シリーズPart3「『ガイドライン1.2 時間依存メディア』とその達成基準 前編」

今回から2回にわたってWCAG 2.0の「ガイドライン1.2 時間依存メディア」について詳しく解説します。

時間依存メディアとは、時間の経過に伴って変化する音声や映像。動画や音声には代替コンテンツを提供するように求められます。

代替コンテンツには、テキストトランスクリプト(音声の書き起こし)、キャプション(字幕:オープンキャプションとクローズドキャプションの2種類)、音声解説(映像内容を音声で説明)の3つがあります。

これらは、障害の有無や利用環境に関わらず、多くの人がコンテンツを利用できるようにするための手段です。例えば、音声を聞けない環境や視覚情報を得るのが難しい人でも、代替コンテンツを通じて情報を取得できます。代替コンテンツの提供は、ウェブアクセシビリティの向上だけでなく、コンテンツの利用範囲を広げる効果もあります。このガイドラインに関連する5つの達成基準については次回の後編で詳しく紹介します。

参考:

ガイドライン 1.2: 時間依存メディアを理解する

https://waic.jp/translations/WCAG21/Understanding/time-based-media.html

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サマリー

WCAG 2.0の解説シリーズパート3では、ガイドライン1.2における時間依存メディアとその大体コンテンツの重要性について詳しく説明しています。具体的には、音声や動画の内容を文字起こしやキャプション、音声解説として提供することが、様々な状況にある人々にどのように役立つかを考察しています。

ガイドライン1.2の概要
ゆみこ:こんにちは。チャコウェブラジオは、株式会社Cyber Catsが運営するチャコウェブのスタッフが、
ウェブアクセシビリティやSNS運用など、ウェブに関するテーマについて楽しくお話しするポッドキャストです。
進行を担当するゆみこです。よろしくお願いします。
みあ:みあです。よろしくお願いします。
ゆみこ:本日のテーマは、WCAG 2.0 解説シリーズPart3「『ガイドライン1.2 時間依存メディア』とその達成基準 前編」です。
みあ:4つの原則の1つ目「知覚可能」の中には4つのガイドラインがありますが、今回はその2つ目について詳しく見ていきましょう。
なお、前編ではガイドラインを、後編ではそれに関連する達成基準をやっていきたいと思います。
ゆみこ:早速ですが、今回のガイドラインは一体どんなものでしょうか。
みあ:はい、今回見ていくのは「ガイドライン1.2 時間依存メディア」です。
これは動画や音声のように、時間とともに変化するメディアに関するものです。
WCAG 2.0の解説書には、「ガイドライン 1.2 時間依存メディアには代替コンテンツを提供すること」と書かれています。
ゆみこ:なんだか難しそうな言葉が出てきましたね。時間依存メディアとは何ですか?
みあ:まず、メディアというのは情報を伝える手段や媒体の総称です。
時間依存というのは、時間の経過に依存しているということです。
つまり、時間依存メディアとは、時間の経過に伴って変化するメディアのことを指します。
具体的には、ポッドキャストのような音声のみのコンテンツ、無音の動画など映像のみのコンテンツ、音声付き動画のような音声と映像を含むコンテンツなどが挙げられます。
ゆみこ:このポッドキャストも時間依存メディアなんですね。どうしてこういったメディアに代替コンテンツが必要なんでしょうか?
みあ:はい。例えばですが、耳が聞こえない人や、デバイスの音を出せない環境にいる人が、ポッドキャストの内容を知りたいときはどうすればいいでしょうか?
ゆみこ:んー、そういう場合は、音声から内容を知ることができないので、文字起こしなど視覚的に内容を確認できるものがあるといいですよね。
みあ:はい、そうなんです。
一つの感覚で情報を提供している場合、その感覚が使えない状況にいる人は、情報を知ることができないんです。
だからこそ、音声を文字に起こしたり、動画に字幕を付けたりするんですね。
他にも、視覚から情報を得るのが難しい人に向けて、映像の内容を音声で説明したりすることもあります。
ゆみこ:ああ、なるほど。この辺りの考え方は、前回やったテキストによる大体とも通ずるところがありますね。
それから、ウェブアクセシビリティというと、「障害者や高齢者向けの対応」というイメージを持つ人もいますが、
代替コンテンツの提供は、もっと幅広い人たちの役に立ちそうですね。
ポッドキャストの例で言えば、不具合で音声が再生できないときに、文字起こしがあれば内容を知ることができますよね。
それだけではなく、騒がしい場所にいて音声が聞き取りにくいときや、逆に静かな環境で音を出せないときにも、文字起こしがあればコンテンツを楽しめます。
それに、聞き逃した部分を確認したり、印象に残ったフレーズを引用したりするのも文字起こしがあると便利です。
外国語のコンテンツを理解する助けにもなります。
障害の有無に関わらず、様々な状況でコンテンツを楽しみたい全ての人にとって価値があると考えると、代替コンテンツの提供はとても大切なんですね。
みあ:はい、そうですね。代替コンテンツをしっかり提供することで、障害の有無や年齢に関わらず多くの人が便利になるんですよね。
そういった活用方法を知ると、代替コンテンツ、ひいてはウェブアクセシビリティの重要性が感じられるのではないでしょうか。
ゆみこ:はい、そうですね。それでは、代替コンテンツを提供するためには、具体的にどうしたらよいのか教えてください。
みあ:はい、主な方法としてはテキストトランスクリプト、キャプション、音声解説などがあります。
ゆみこ:おお、色々あるんですね。
みあ:そうなんです。テキストトランスクリプトは書き起こしたテキストのことです。
例えば、誰かのスピーチの音声ファイルがあったとして、その話されている内容を書き起こしたものがテキストトランスクリプトになります。
音声情報をただ文字にするだけでなく、複数人で話しているときには、誰が話しているのかを分かるようにしたり、重要な効果音があれば、(電話が鳴る)といったように記述するのが特徴です。
ゆみこ:うーん、音声情報をなるべく正確に伝えられるように話されている内容だけでなく、誰が話しているのかや、どんな効果音が流れたのかも記述する必要があるんですね。
みあ:はい、そうなんです。
次にキャプションです。キャプションは簡単に言うと、動画につける字幕のことです。
これも、誰が話しているのかや、重要な効果音が含まれます。
テキストトランスクリプトとの大きな違いは、映像や音声とタイミングを合わせて表示するところです。
テキストトランスクリプトの場合、テキストファイルを用意して、サイト内で閲覧できるようにしたり、ダウンロードできるようにしたりします。
そのため、メディアの内容を知ることはできますが、どのタイミングで何が起きているかまではわかりません。
これがキャプションの場合、動画に字幕がついているわけですから、映像や音声とタイミングを合わせて代替情報を提供することができるんですね。
ゆみこ:なるほど。テキストトランスクリプトはテキストファイルなどの形式で提供する代替コンテンツですが、キャプションは字幕として、映像や音声とタイミングを合わせて情報を提供することができるんですね。
みあ:はい。また、キャプションにはオープンキャプションとクローズドキャプションの2種類があります。
音声解説と達成基準
みあ:オープンキャプションは非表示にできないキャプションで、文字画像として映像に埋め込まれているようなものを指します。
バラエティ番組などでよく見るテロップをイメージするとわかりやすいかもしれません。
クローズドキャプションはユーザーの操作で表示させたり、非表示にしたりと切り替えることができるものを指します。
こういったキャプションの表示・非表示の切り替えは、テレビやYouTubeなど様々なところで行えますね。
ゆみこ:うーん、2種類あるんですね。
ウェブアクセシビリティの観点で考えると、クローズドキャプションの方が使いやすそうな気がします。
動画の要点をまとめたり、話の中に出てきたキーワードを強調するには、オープンキャプションが有効だと思いますが、テキストリーダーで音声化したりすることを考えると、クローズドキャプションの方が良さそうです。
みあ:確かに、他の形に変換しやすいのはクローズドキャプションだと思います。
また、キャプションがちらついて動画の内容に集中できないといった人もいるかもしれませんから、各々で表示と非表示を切り替えられるのは良いですよね。
最後に音声解説です。
音声解説は、動画の内容を音声で解説するものです。
これも映像とタイミングを合わせるようにします。
例えば、ドラマや映画の音声解説の場合、誰がどの位置にいてどんな表情をしているかといったようなことを、映像に合わせて逐一音声で説明します。
セリフには被らないようにする必要があるので、限られた時間の中で、メディアの進行に合わせて正確な情報を提供する必要があります。
ゆみこ:なるほど。音声解説はこの3つの中だと一番難しそうですね。
ところで、このガイドラインにも関連する達成基準があるんですよね。
みあ:はい。詳しくは後編でお話ししますが、ガイドライン1.2には、レベルAとAAに絞ると、5つの達成基準があります。
ゆみこ:その5つを満たすことで、メディアのウェブアクセシビリティを向上させることができるんですね。
後編の内容もしっかり確認したいと思います。
本日のテーマは、WCAG 2.0 解説シリーズPart3「『ガイドライン1.2 時間依存メディア』とその達成基準 前編」でした。
お聞きいただきありがとうございました。
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