あしたのキャンパス|11 June 2024 - Camp@Us FM6214
夜が明ける時夜明けが来た。雀の声は生唾液に似てゐた。水仙は雨に濡れてゐようか? 水滴を付けて耀いてゐようか?出て、それを見ようか? 人はまだ、誰も起きない。――井戸端はさぞや、睡気にみちてゐるであらう。 (中原中也「夜明け」より抜粋)🌅明時のCamp@Us|6月11日(火)此日のclose-up⚽️日本対シリア|テレビ放送・ネット配信予定 フジテレビ系列 18:50-[LIVE]【6月11日テレビ放送】サッカー日本代表 シリア戦|FIFAワールドカップ26アジア2次予選【Voice and Transcript: Free】LISTENで文字起こしの閲覧とコメントができます。番組をフォローすると更新情報が届きます。Camp@Us presentsーーーーーーーーーーーーーー【明日/あした:あした】あしたは、元は「朝」の意味で用いられ、「夕べ」に対する語であった。あしたの語源は、「夜が明ける」などの「明け(あけ)」に、奈良時代の東国方言で「時」を意味する「しだ」で、「あけしだ(明時)」が転じた語と考えられる。(語源由来辞典より引用)ーーー夜明け 夜明けが来た。雀の声は生唾液(なまつばき)に似てゐた。水仙は雨に濡れてゐようか? 水滴を付けて耀[かがや]いてゐようか?出て、それを見ようか? 人はまだ、誰も起きない。鶏(にはとり)が、遠くの方で鳴いてゐる。――あれは悲しいので鳴くのだらうか?声を張上げて鳴いてゐる。――井戸端はさぞや、睡気(ねむけ)にみちてゐるであらう。 槽[おけ]は井戸端の上に、倒(さかし)まに置いてあるであらう。御影石[みかげいし]の井戸側は、言問ひたげであるだらう。苔は蔭[かげ]の方から、案外に明るい顔をしてゐるだらう。御影石は、雨に濡れて、顕心[けんしん]的であるだらう。鶏(とり)の声がしてゐる。遠くでしてゐる。人のやうな声をしてゐる。 おや、焚付[たきつけ]の音がしてゐる。――起きたんだな――新聞投込む音がする。牛乳車(ぎうにうぐるま)の音がする。《えー……今日はあれとあれとあれと……?………》脣(くち)が力を持つてくる。おや、烏(からす)が鳴いて通る。 (一九三四・四・二二) 出典:夜明け (中原中也) 抜粋